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COLUMN コラム詳細

“出しすぎない”が正解。情報の最適表示が現場力を変える

見えてるのに伝わらない

2025-08-23

金融アプリ「iGrow」が若年層から支持を集めた理由のひとつに、使い慣れたECのような操作性と、情報が過不足なく整理されたUIが挙げられます。表示内容が過剰になればなるほど、ユーザーの判断力は鈍り、目的の行動にたどり着くまでの負担は大きくなります。業務システムも同様です。本当に必要な情報だけを、適切なタイミング・適切な形で表示することが、業務効率や判断精度を左右します。

このコラムでは、情報の「最適表示」がもたらす効果と、それを実現できるフルスクラッチ開発の設計思想について解説します。

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【記事要約】若者向け金融アプリのDXSNS化とデザインで新規層を獲得

楽天証券などが展開する若年層向け金融アプリが、SNS風のデザインや操作性を重視することで注目を集めている。ネット通販のUIを参考にした導線や、パーソナライズされた情報提供で「使いやすさ」を追求。価格競争が限界を迎える中、金融サービスのDXは“見た目と体験”での差別化が鍵となりつつある。DXによって金融の敷居を下げ、新たなユーザー層の獲得が進んでいる。

出典:日本経済新聞「(YOUTH FINANCE)金融アプリもSNS風に 見た目・使い勝手、若者に刺さる」2025年6月19日付朝刊

ポイントをひとことで

情報は多ければ多いほど良いとは限りません。むしろ業務現場では、過剰な情報が判断スピードを鈍らせ、ミスや作業の停滞を招く原因になります。このコラムが指摘するように、「何を出すか」以上に「何を出さないか」を設計段階で見極める視点が求められます。特に、複数の職種・業務が入り混じる業務システムでは、立場ごとに必要な情報の粒度やタイミングが異なるため、画一的な表示設計では対応できません。フルスクラッチ開発を選択する価値は、まさにこの“現場最適”な情報設計が可能になる点にあります。UIは「見やすさ」ではなく「現場の意思決定の質と速度」を支える武器であるべきなのです。

情報が多い=親切という誤解

業務システムを設計する際、ユーザーの利便性を考えて「できるだけ多くの情報を画面に載せよう」とする傾向があります。エラーを減らしたい、業務の抜け漏れを防ぎたいという思いから、ついあれもこれもと詰め込みたくなるのは自然なことです。

しかし、実際の現場では、表示された情報の8割以上が“目に入っていない”ことも珍しくありません。視覚的なノイズが多いと、かえって重要な情報を見落とすリスクが高まるのです。

判断力と行動スピードを奪う情報過多

情報が多すぎると、ユーザーは「何を見て、どう判断すればよいか」を探すのに時間を取られます。例えば、帳票画面に20項目以上の情報が並んでいる場合、確認や修正に集中力を要し、ミスや確認漏れも増えていきます。

業務がタイトであればあるほど、ユーザーは“情報を読む”ことをやめ、経験や勘で処理を進めようとします。これが判断ミスや属人化の原因となり、組織としての再現性を損なう結果につながります。

最適表示の鍵はではなく状況依存性

情報の最適表示とは、「表示量を減らすこと」ではありません。大切なのは、「今、このユーザーに、この場面で必要な情報だけを出す」という設計視点です。

たとえば、入力フェーズでは必要最低限のフィールドだけを表示し、確認フェーズで初めて補足情報を展開する。あるいは、管理者と一般ユーザーで画面表示を切り替えることで、職務に応じた“迷わないUI”を実現する。こうした状況依存型の情報表示が、業務のストレスを大きく軽減します。

フルスクラッチだからできる、情報表示の柔軟設計

このような精密な制御は、既成のパッケージシステムでは限界があります。一方、フルスクラッチであれば、ユーザーごとの操作フローや業務上の判断タイミングに合わせて、どの情報を、どの順番で、どの形式で表示するかを細かく設計できます。

たとえば、

  • ユーザー属性ごとの情報出し分け(例:営業/経理で表示項目が異なる)
  • 操作ステータスに応じた表示切替(例:未処理時は赤系で強調、処理後はグレーで非アクティブ化)
  • 業務フェーズごとの段階的表示(例:初回入力→確認→提出→承認でUIが進化する)

こうした柔軟なUI設計は、業務効率を高めるだけでなく、ユーザーの心理的負担も減らし、システム定着率の向上にも貢献します。

情報の出しすぎが生む見ない習慣

情報を詰め込みすぎると、ユーザーは「見ても意味がない」と感じ、画面上の要素を無視する習慣が形成されます。特にエラーメッセージや注意喚起が多すぎると、重要な警告すら「とりあえずOKを押す」行動に変わってしまいます。

情報を絞ることで、画面上の一つひとつの要素に意味が生まれ、ユーザーの注意が本当に必要な部分に集中するようになります。これは単なるデザイン上の配慮ではなく、業務ミスを防ぎ、判断の正確性を支える設計戦略です。

まとめ

情報は“多く出せばよい”ものではありません。業務の現場で本当に求められるのは、状況に応じて最適な情報が、最適な形で提示されることです。過剰な情報は、判断力を鈍らせ、業務の効率や正確性を損ないます。

こうした最適表示を実現するには、ユーザーの業務フローを理解し、柔軟にUI設計を行えるシステム開発体制が不可欠です。フルスクラッチ開発の強みを活かし、情報の出し方そのものを“設計対象”と捉えることで、業務に本当に寄り添うシステムが生まれます。情報を削ることは、現場の力を引き出す第一歩なのです。

判断力を高め、業務のスピードと精度を両立させるには、「情報の出し方」そのものを緻密に設計する必要があります。フレシット株式会社では、こうした現場視点に立脚したUI設計を得意とし、フルスクラッチ開発だからこそ可能な“使われるシステム”の構築を徹底しています。業務に最適化された情報設計を通じて、現場力の底上げを図りたい企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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