マンション修繕管理の新戦略から考える、フリーミアム型プラットフォームのつくり方
無料でユーザーを集め、データで価値を生む
2025-08-27

マンション修繕計画の管理を効率化するため、関西電力系のオプテージが開発した新システムが注目されています。管理組合向けに無料で提供されるシステムを軸に、工事業者からの利用料で収益を得るという「フリーミアム(freemium)」モデルを採用している点が特徴です。
本コラムでは、オプテージの事例をきっかけに、DX時代におけるフリーミアム×プラットフォーム戦略の本質と、システム開発の視点から見た成功の条件を解説します。
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目次
【記事要約】オプテージ、DXでマンション修繕管理を効率化──積立金不足リスクを可視化
関西電力系のオプテージは、マンションの長期修繕計画をデジタルで一元管理するDXシステムを開発し、25日から提供開始する。紙やPDFの計画書をAIで読み取り、管理組合内で容易に共有できるほか、修繕費用と積立金のシミュレーション機能を備え、資金不足を事前に把握可能にした。国交省調査では約4割のマンションで積立金不足が判明しており、同システムは定期的な計画見直しを支援。高齢化による管理役員不足にも対応し、所有者の負担軽減と資産価値維持を目指す。
出典:日本経済新聞「マンション修繕、管理容易に 関電系がシステム積立金不足も防止」2025年8月23日付朝刊
ポイントをひとことで
フリーミアム×プラットフォーム戦略は、無料機能を入り口にユーザーを獲得し、データや取引を軸に収益を設計するDX時代の有効なモデルです。オプテージの事例では、管理組合向けに無料でシステムを提供し、工事業者から収益を得る仕組みを構築しています。重要なのは、単なる機能開発ではなく、ユーザー体験・データ活用・収益モデルを一体で設計することです。そのためには、ビジネス戦略に最適化したシステム基盤の構築が不可欠です。
フリーミアムモデルとは何か
フリーミアム(freemium)は、無料(free)とプレミアム(premium)を組み合わせたビジネスモデルです。
基本機能を無料で提供し、多くのユーザーを集めることで、追加機能や関連サービスで収益を得る仕組みです。SaaSやクラウドサービスでは一般的な手法ですが、BtoB領域ではまだ導入事例が限られています。
オプテージのシステムでは、管理組合が利用する修繕計画の管理機能を無料で提供し、工事業者からサイト利用料を得ることで収益を確保しています。管理組合にとっては初期費用もランニングコストも不要なため、導入ハードルが極めて低く、すでに約300組合の利用実績を獲得しています。
オプテージ事例に見るビジネスモデルの強み
オプテージの特徴は、「無料でユーザーを集め、業者側で収益を確保する」という逆転発想です。
- 導入障壁を極限まで低く
管理組合は無償で導入できるため、申し込みハードルが低くユーザー基盤を短期間で獲得。 - 業者側課金で安定収益
工事見積もりを希望する業者がサイトを利用する際に課金するため、継続的な収益源を確保。 - 情報資産の集約
計画データや見積履歴、工事業者の対応実績など、システムにデータが集まり、サービス価値が高まる。
このように、ユーザー・パートナー・オプテージの三者が利益を享受する「三方良し」のモデルが構築されています。
プラットフォーム戦略との高い親和性
フリーミアムは単なる価格戦略ではなく、プラットフォーム形成のための起点になります。オプテージはシステム上で管理組合、工事業者、コンサルタントをつなぎ、相見積もり依頼、見積比較、工事進捗管理までを一元的に提供。これにより、単なるシステム提供者から、市場全体を動かすハブへと進化しています。
プラットフォーム化が進むと、以下のような競争優位性が生まれます。
- 利用者・業者・コンサルタントが自然と集まることで、ネットワーク効果が強化
- データが蓄積されるほどサービス価値が高まり、スイッチングコストが上昇
- サードパーティを巻き込み、エコシステム全体が広がることで市場支配力を獲得
DX時代に求められるシステム開発の視点
このようなフリーミアム×プラットフォームモデルを成功させるには、ビジネスモデルに最適化したシステム設計が不可欠です。
特に、既存パッケージではなくフルスクラッチ開発を検討すべき理由は次のとおりです。
データ活用を前提としたアーキテクチャ
ユーザー行動や見積履歴、契約データなど、複雑なデータを統合的に管理しやすい基盤設計が必要です。
柔軟な機能追加・拡張
ビジネスモデルの成長に応じて、新たな機能やマネタイズ手法を迅速に追加できる拡張性が求められます。
マルチステークホルダー対応
ユーザー(管理組合)、パートナー(業者)、コンサルタントといった複数の関係者を1つのシステム上でつなぐUX/UI設計が重要です。
フリーミアムモデルを成功させるための実践ポイント
- 無料機能を通じたユーザー基盤の拡大
初期コストを抑えた導線設計で、短期間で利用者を獲得。 - データを活用した付加価値提供
無料利用をきっかけに蓄積されたデータから、分析・提案・最適化機能を生み出す。 - パートナーを巻き込む収益設計
業者・コンサルタントなどの第三者課金モデルで、利用者負担を抑えつつ利益を確保。 - システムを市場基盤へと進化させる発想
単なるツール提供ではなく、エコシステムを形成する「プラットフォーム」へ拡張する視点が重要です。
まとめ
オプテージの事例は、無料機能を入り口にユーザーを獲得し、データとパートナーをつなぐことで収益化を実現した、DX時代に適したビジネスモデルです。
フリーミアム戦略は単なる価格施策ではなく、プラットフォームを形成し、市場を掌握するための起点となります。
ビジネスモデルを軸にしたシステム開発を行うことで、単なるサービス提供者から、市場を動かすプレイヤーへと進化することが可能になります。
フリーミアム×プラットフォーム戦略を実現するには、ビジネスモデルに適した柔軟なシステム基盤が必要です。
単に機能を実装するだけでなく、ユーザー体験、データ活用、収益設計など、事業全体を見据えたシステム開発が求められます。
フレシット株式会社では、要件定義から設計・開発・運用保守まで一貫して対応し、事業戦略に合わせたオーダーメイドのシステムを構築しています。標準パッケージでは実現が難しい独自の機能設計や複雑な業務フローにも柔軟に対応できるのが強みです。
「自社サービスに最適なフリーミアムモデルを取り入れたい」「利用者とパートナーをつなぐプラットフォームを構築したい」とお考えのご担当者さまは、ぜひ一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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