「SaaS乱立の副作用」を解消する──フルスクラッチが担う“データハブ”の役割
バラバラのSaaS、つなぐのはオーダーメイド
2025-08-29

営業支援や経理、人事、マーケティングなど、業務ごとに特化したSaaSやパッケージを導入する企業は少なくありません。導入当初は効率化につながりますが、気づけばシステムが乱立し、データが分散して管理が複雑化する「副作用」が生じます。情報がつながらないことで、重複入力やデータ不整合が発生し、経営判断の精度を損なうケースもあります。
本コラムでは、この課題を解決するための「データハブ」としてのフルスクラッチ開発の役割について解説します。
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目次
【記事要約】メルカリ、社内データ統合で生成AI活用を加速
メルカリは年内をめどに、人事・経理など社内業務システムに分散するデータを統合し、生成AIを経営基盤として本格活用する。MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)やAPIを用いた連携で、重複業務を削減し迅速な意思決定を可能にする狙いだ。統合データは部門横断的に検索・参照でき、利益相反の確認や経営情報の共有にも活用される。人員削減ではなく社員の再教育による生産性向上を重視し、米国事業の立て直しにも生成AIを導入する方針である。
出典:日本経済新聞「メルカリ、AI基盤整備 人事や経理のデータ統合 年内めど 意思決定速く」2025年8月21日付朝刊
ポイントをひとことで
SaaSやパッケージの導入は即効性のある効率化をもたらしますが、部門単位で導入が進むと必ず「データの分散」という副作用が現れます。システム間の不整合や二重入力は業務効率を下げるだけでなく、経営判断の精度を損なう大きなリスク要因です。これを解消するには、自社の業務フローに即した形でシステムをつなぐ“データハブ”の構築が必要です。フルスクラッチによる統合基盤は、分断を超えて全社最適を実現する唯一の有効なアプローチだといえます。
SaaS導入のメリットと落とし穴
SaaSやパッケージ製品は、必要な機能を素早く導入できる点で非常に有効です。特に部門単位で導入する場合、業務効率は短期的に大きく改善します。しかし、その便利さゆえに部門ごとに個別最適のシステムが導入され、結果として「全社的にデータがつながらない」という落とし穴にはまることが多いのです。経理と営業が異なる顧客データを管理していたり、人事と勤怠システムの情報が同期していなかったりと、システムが増えるほどに“データのサイロ化”は深刻になります。
データ分散がもたらすリスク
データが分散すると、業務の現場では二重入力や手作業での転記が必要になり、ヒューマンエラーが発生します。また、部門ごとの数値が一致しない、最新情報が反映されていないといった問題が生じ、経営層の意思決定に支障をきたします。特にAIやBIツールを活用する際には、統合されていないデータは分析の前提を歪め、精度を大きく下げる原因となります。データ活用が企業競争力を左右する現在、このリスクを放置することは大きな損失につながります。
フルスクラッチ開発が果たす「データハブ」機能
既存の統合ツールや部分的な連携機能では、各システム特有のデータ構造や制約により、十分な統合を実現できない場合があります。フルスクラッチ開発であれば、自社の業務プロセスを起点に、必要なデータを正しい粒度で整理し、全社横断の統合基盤=「データハブ」を構築することが可能です。これにより、複数のSaaSやパッケージを活かしながらも、重複入力を排除し、一貫性のあるデータ環境を整えることができます。
実務的なアプローチ
データハブを構築する際には、以下の実務ポイントが重要です。
- 既存システムのデータ構造を分析し、共通マスタを定義する
- APIやCSVを活用し、データを自動的に収集・変換する仕組みを作る
- 重複や誤入力を防ぐために、クレンジングと正規化のプロセスを組み込む
- 将来のシステム追加や業務変更に対応できる拡張性を確保する
こうした仕組みにより、全社で統一されたデータが活用できる環境が整い、AIやBIの効果を最大限に引き出すことが可能になります。
経営と現場をつなぐ共通基盤
フルスクラッチによるデータハブは、単なるシステム連携にとどまらず、経営層と現場をつなぐ共通基盤となります。経営は現場の動きを正しく把握し、現場は経営の判断を裏付けるデータを参照できるようになることで、組織全体が一枚岩で動ける体制が整います。これは、複数のSaaSを活用しながらも「全社最適」を実現するための重要なステップです。
まとめ
SaaSやパッケージの導入は業務効率を高める一方で、システムの乱立によるデータ分散という副作用を生みます。そのままでは重複作業やデータ不整合が積み重なり、経営判断の精度やスピードを損ねる危険性があります。フルスクラッチ開発によるデータハブ構築は、分散するシステムをつなぎ、全社横断の一貫性あるデータ環境を実現する有効な手段です。企業が持続的に成長し、AIやデータ活用を武器にするためには、業務に即したオーダーメイドの統合基盤が欠かせないと言えるでしょう。
分散したSaaSやパッケージを活かしながら全社的な最適化を実現するには、業務の実態に合わせた柔軟な統合基盤が不可欠です。フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発を通じて、既存システムの制約を乗り越える“データハブ”を設計・構築してきた実績があります。パッケージやSaaSの利便性を最大限に活かしつつ、自社独自の要件を反映した統合を実現できるのが私たちの強みです。経営と現場をつなぐ確かな基盤づくりを、フレシットがご支援します。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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