データ強要調査から考える──AI活用に必須の“使えるデータ基盤”をフルスクラッチで設計する
断片的な情報を統合し、企業データを戦略資産へ変える方法
2025-08-31

AIの進化により、企業の競争力は“どれだけ有効なデータを持ち、どう活用できるか”に大きく左右されるようになりました。大量のデータを学習させることで性能が向上するAIにとって、整理された正確なデータは不可欠です。しかし、既存のSaaSやパッケージシステムでは、自社固有のデータを効率的に集め、AIが活用可能な形で整理することは容易ではありません。
本コラムでは「AI活用 データ基盤」の観点から、“使えるデータ”をどう整え、フルスクラッチ開発による「業務システム設計」の強みについて解説します。
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目次
【記事要約】公取委、全産業で「データ強要」調査 独禁法違反を未然防止
公正取引委員会は、取引上の優位性を利用して知財や生産設備のデータ提供を強いる行為がないか、全産業の約4万社を対象に調査を開始する。従来の製造業やスタートアップに限定した調査を拡大し、中小企業も幅広く対象とする。AI活用の広がりでデータの価値が高まり、不正な転用や学習利用のリスクが増すなか、優越的地位の乱用を防ぐ狙いがある。公取委は2026年度以降、調査結果を独禁法の指針に反映し、企業のデータを経営資源として保護する体制を整備する方針だ。
出典:日本経済新聞「データ強要、全産業を調査 公取委、4万社対象 地位の乱用を監視」2025年8月18日付朝刊
ポイントをひとことで
AI活用の前提となる“使えるデータ”をどう整備するかは、今後の企業競争力を左右する大きなテーマです。既存のシステムを寄せ集めてもデータは分断され、学習や分析に耐えうる形に整えにくいのが実情です。フルスクラッチ開発で業務システムとデータ基盤を同時に設計することは、単に業務を効率化するだけでなく、データを企業の資産として活用する体制を築く点で重要な戦略といえます。
データ価値の高まりと企業の課題
AIや生成AIの普及により、データは単なる記録ではなく企業の成長を左右する「資産」となりました。営業記録、顧客行動、生産設備の稼働情報など、あらゆるデータがAIに学習させることで新たな収益機会を生み出します。
しかし多くの企業では、データがシステムごとに分断されていたり、フォーマットがバラバラで統合が難しいという課題を抱えています。この状態では、せっかく蓄積したデータも“眠れる資産”となり、AI活用に結びつきません。
既存システムの限界とフルスクラッチ開発の優位性
市販のSaaSやパッケージ製品は導入が容易な反面、カスタマイズには限界があります。標準仕様に合わせるために、逆に現場の業務がシステムに縛られるケースも少なくありません。特にAI活用を前提としたデータ整備では、「自社固有のデータ粒度や処理ロジック」に柔軟に対応できる基盤が求められます。
フルスクラッチ開発であれば、業務フローに最適化されたシステム設計が可能で、データ収集から統合、整理までを一体化できます。これにより、長期的に拡張可能なデータ基盤を構築できる点が大きなメリットです。
“使えるデータ”を生み出す仕組みづくり
AIにとって必要なのは「量」だけではなく「質」の高いデータです。重複や欠損の多いデータを学習させれば、精度はむしろ低下します。
フルスクラッチの業務システム設計では、次のような仕組みを組み込むことが可能です。
- データ入力時点での自動チェック機能による整合性確保
- システム間のコード体系を統一するデータ設計
- 不要な作業を減らしながらも自然にデータが収集される業務プロセス設計
これにより、現場の負担を増やすことなく、“AIがすぐに使えるデータ”が業務の中で自動的に蓄積されていきます。
データハブとしての業務システムの役割
現在、多くの企業でSaaSの乱立による「データのサイロ化」が課題となっています。CRM、会計ソフト、在庫管理システムなどが独立して稼働することで、横断的なデータ活用が阻まれます。
フルスクラッチ開発による業務システムは、これらの分断された情報を統合する“データハブ”の役割を果たします。社内外の複数システムとAPIで接続しながら、一元的にデータを整理・管理できるため、AI活用に直結する「全社最適なデータ基盤」を築けるのです。
データ収集と業務効率化の両立
データ活用を重視するあまり、現場に過剰な入力作業を強いてしまうと、かえって生産性が落ち、データ品質も低下します。重要なのは、日常業務の中で自然にデータが収集される仕組みを設計することです。
フルスクラッチ開発では、業務プロセスの設計段階からデータ収集の動線を組み込むため、現場の負担を最小化しながら質の高いデータを蓄積できます。この「効率性と正確性の両立」が、AI活用を持続可能なものにします。
まとめ
AI活用の前提条件は、大量のデータを効率的に収集し、正確に整理することです。しかし既存システムの枠組みでは、自社に最適化された“使えるデータ基盤”を整えることは困難です。
フルスクラッチによるオーダーメイドの業務システム設計は、業務効率化とデータ活用を同時に実現し、AIの時代における企業の競争力を大きく高める有効な手段となります。
フルスクラッチによるシステム開発は、単なる業務効率化の手段ではなく、将来のAI活用を見据えた“企業独自のデータ資産”を築く基盤となります。フレシット株式会社は、要件定義の段階からデータ設計まで丁寧に伴走し、業務プロセスとデータ収集基盤を一体で設計する強みを持っています。既存の枠にとらわれないオーダーメイド開発を通じて、貴社が持つデータを最大限に活かすシステムを共に描いていきます。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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