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COLUMN コラム詳細

地下インフラ管理に学ぶDX──属人化を排し、知見をシステムに蓄える条件

DX推進に不可欠な「情報の見える化」と「知識の資産化」

2025-09-03

水道管や電力線、通信ケーブルといった地下インフラは、複数の事業者が関わり合う複雑な仕組みです。従来は紙図面や属人的な知識に頼った管理が中心で、工事調整や老朽化対策に膨大な時間と手間がかかってきました。近年はNTTデータをはじめとする企業が位置情報を電子化し、一元管理できる新技術を開発しています。これは単なる効率化にとどまらず、属人化を排し「知見をシステムに蓄える」というDXの本質を示す象徴的な事例です。

本コラムでは、事業会社が自社のDXを成功させるために学ぶべきポイントを解説します。

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【記事要約】地下インフラ管理のDX、老朽化対策を加速

NTTデータなど7社は、水道管や電力線など地下インフラの位置を電子情報化して一括管理する技術を開発した。これにより事前調査の手間が大幅に削減され、工期短縮や人手不足対策に寄与する。従来は紙図面を基に事業者ごとに照会していたが、オンラインでの一元管理により申請作業が9割削減され、数時間かかっていた手続きも平均8分で完了する。政府は2033年度までに50都市でデータ電子化を進める計画であり、老朽インフラ更新の迅速化にはDXが不可欠とされている。

出典:日本経済新聞「地下インフラ、電子情報にNTTデータなど、位置把握し老朽対策」2025年8月31日付朝刊

ポイントをひとことで

地下インフラの電子化事例は、DXの核心をよく示しています。属人化は業務効率を下げるだけでなく、知識の断絶を生み、組織の成長を阻害します。データをシステムに集約し、知見を資産化することで初めて持続可能な体制が整います。これはインフラ業界に限らず、あらゆる事業会社に共通する課題です。単なるデジタル化ではなく、情報の「見える化」と「共有化」を通じて業務を再設計し、属人依存から脱却することが、真のDX成功の条件といえるでしょう。

属人化が招く非効率とリスク

属人化とは、業務やシステムの運用が特定の担当者に依存し、他者が容易に引き継げない状態を指します。地下インフラの場合、担当者だけが知る位置情報や慣習的な調整ルールが存在し、更新工事を行う際には時間もコストも膨らんでいました。

企業内の業務でも同様です。たとえば在庫調整が担当者の経験則に依存している、営業データが個人のExcelに分散している、システムの仕様が一部の社員しか理解していないといったケースは珍しくありません。こうした属人化は、業務効率を阻害するだけでなく、担当者の退職や異動によって知識が失われ、重大な業務停止リスクを生む原因となります。

DXがもたらす「見える化」と「知識の資産化」

DXの本質は、単なるデジタル化ではなく「データと知識を組織の資産に変える」ことです。地下インフラの事例では、電子化された位置情報を誰もが共有できる仕組みを整えたことで、工事前の調査時間を大幅に短縮しました。これまで紙図面を探し回っていた作業が、システムに入力するだけで瞬時に解決できるようになったのです。

事業会社に置き換えれば、受発注情報や顧客履歴、業務フローをシステム上で可視化し、誰もがアクセスできるようにすることと同じです。属人的に分散していた情報が「システム上の共通知」となり、組織全体で意思決定や業務改善に活用できるようになります。これは単なる効率化にとどまらず、事業の持続性を高める大きな武器となります。

属人化を解消するための実務的アプローチ

属人化を排し、知識をシステムに蓄積するには、いくつかの実務的なポイントがあります。

  • 業務フローの見直し
    現状の業務がどこで属人化しているのかを洗い出し、標準化すべき手順を明確にします。
  • データの一元管理
    部署ごとに分散している情報を集約し、システムに記録・参照できる仕組みを構築します。
  • システム開発会社との協働
    既存のパッケージシステムでは属人化の根本解決が難しい場合が多く、フルスクラッチによる柔軟な設計が有効です。
  • 教育と運用ルールの徹底
    システムに蓄積した情報をどう活用するかを社員全体に浸透させることが、属人化の再発を防ぎます。

このプロセスを通じて初めて、知見がシステムに蓄えられ、属人管理からの脱却が実現します。

DX成功の条件は「人からシステムへ」

地下インフラの電子情報化が示すように、DXの真価は「人に依存していた知識をシステムに移し替える」ことにあります。これにより、組織の知識は担当者個人ではなくシステムに残り、世代を超えて引き継がれていきます。さらに、その知識をもとに新しいサービスや事業展開を検討することも可能になります。
DXを進める事業会社にとって、属人化を解消することは避けて通れない課題です。逆にいえば、属人化を乗り越えられれば、業務効率化だけでなく競争力強化にも直結します。

まとめ

地下インフラの事例は、属人化から脱却し、知識をシステムに蓄積することの重要性を鮮明に示しています。DXを成功させる条件は「情報の見える化」と「知識の資産化」です。事業会社が持続的に成長するためには、属人管理に依存せず、組織の知見をシステムに残す仕組みを構築することが不可欠です。

属人化を解消し、知識をシステムに蓄えるためには、自社の業務や将来像に最適化された仕組みづくりが欠かせません。既存のパッケージでは表現しきれない業務特性や現場の知恵を反映するには、柔軟に設計できるフルスクラッチ開発が有効です。フレシット株式会社は、要件整理から設計・実装・運用保守まで一貫して伴走し、企業ごとの課題を的確に解決するオーダーメイドのシステムを提供しています。属人管理から脱却し、知識を資産として未来につなげたいとお考えのご担当者さまはお気軽にご相談ください。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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