通販サイトに広がる“誤誘導デザイン”から学ぶ──ダークパターンの逆を行く信頼のUI/UX設計
信頼を起点にしたシステム設計が長期的成長を支える
2025-09-04

国内の主要通販サイトの7割で「ダークパターン」と呼ばれる不当なデザインが確認されたとの報道がありました。ダークパターンとは、利用者に不利な条件を気付かせないまま選ばせたり、解約を不自然に困難にしたりする仕組みのことです。こうしたUI/UXは、企業に短期的な売上をもたらす一方で、長期的には顧客からの信頼を失い、ブランド価値を毀損する危険性が高いと指摘されています
本コラムでは、ダークパターンのリスクと、その逆にある「ホワイトパターン」や「ユーザーセントリックデザイン」の考え方を整理し、DX推進におけるUI/UX設計の本質と、フルスクラッチ開発だからこそ実現できる強みについて解説します。
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目次
【記事要約】通販サイトに蔓延するダークパターン、DX時代の透明性確保が急務
国内主要通販サイトの7割で、定期購入が初期選択されるなどの「ダークパターン」が確認された。これらは景品表示法や独禁法に抵触する恐れがあり、消費者保護の観点からルール整備が求められている。デジタル化に伴いオンライン取引が日常化する中、UI/UX設計は単なるマーケティング手法を超えて、企業のDX推進における信頼性確保の核心的課題となっている。公正かつ分かりやすい設計が、利用者の安心と競争環境の健全化につながる。
出典:日本経済新聞「通販サイト7割ダークパターン 顧客惑わすデザイン勝手に定期購入・メルマガ登録に印 消費者保護ルール重要」2025年8月5日付朝刊
ポイントをひとことで
ダークパターンが短期的な利益をもたらす一方で、長期的には顧客離れやブランド毀損につながる点を見逃すべきではありません。DXの本質は技術導入ではなく、利用者が安心して使える仕組みを提供することにあります。使う人の立場に立ってデザインする設計思想を取り入れたシステムは、業務効率化や顧客満足度の向上に直結し、企業の競争力を持続的に高めます。フルスクラッチ開発はその実現に最も適したアプローチと言えるでしょう。
ダークパターンが企業にもたらす代償
通販サイトやアプリでよく見られるダークパターンには、あらかじめ定期購入が選択されている「事前選択」や、最も高額なプランを強調する「目立たせ表示」、解約手続きの複雑化などがあります。これらは景品表示法や独占禁止法などに抵触する可能性があるだけでなく、ユーザー体験を著しく損ないます。
「気付かず契約してしまった」「解約できない」といった声はSNSでも炎上を招きやすく、企業に対する不信感は一度生じると容易には回復できません。短期的な売上増の裏で、顧客離れ・解約率増加・訴訟リスクといった長期的損失を招く構造になっているのです。
ホワイトパターンが生む信頼
こうした反動として注目されるのが「ホワイトパターン」や「ユーザーセントリックデザイン」という概念です。これは、利用者が誠実で透明な情報に基づき、自ら意思決定できるように設計されたUI/UXを意味します。
具体的には以下のような配慮が挙げられます。
- チェックボックスを未選択状態で提示し、明示的に同意した場合のみ登録する
- 解約ボタンをわかりやすい場所に設置し、手続きフローを簡潔にする
- プラン比較を隠さずに提示し、価格や機能差を正しく理解できるようにする
このような設計は「売り逃げ」を防ぎ、利用者の安心感を高め、結果的に顧客ロイヤルティやLTV(顧客生涯価値)の向上につながります。
DXにおけるUI/UXの本質
DXの推進は単なる業務効率化やデータ活用だけでなく、利用者に「使いやすい」と感じてもらえる仕組みを提供することが不可欠です。システムが現場で使われなければ、どれほど高機能でも投資は無駄になります。
UI/UXは顧客や従業員が毎日触れる部分であり、その体験が企業の評価に直結します。透明で誠実なUI/UXは、従業員の生産性を高め、顧客との関係性を長期的に強化する「無形資産」となります。つまりUI/UX設計は、DX戦略全体を成功に導く根幹的な要素なのです。
フルスクラッチ開発が持つ優位性
既製のパッケージやSaaSは導入スピードやコスト面で利点があるものの、細やかなUI/UX調整や企業独自の業務フローに合わせた設計には限界があります。ダークパターンを避け、誠実なUXを徹底するには、柔軟に設計思想を反映できるフルスクラッチ開発が有効です。
オーダーメイドであれば、業界特性や利用者の習慣を踏まえてゼロから画面遷移や操作フローを構築できます。これにより「現場で本当に使われるシステム」を実現でき、結果としてDX投資のROIを最大化できます。
信頼こそ競争力を生む
現代のユーザーは、機能の多さや派手さよりも「誠実でストレスのない体験」を評価します。ダークパターンによる一時的な収益よりも、ホワイトパターンに基づく誠実な設計の方が、長期的に顧客基盤を安定させ、企業の競争力を高めるのです。UI/UX設計の誠実さは、単なる操作性の問題ではなく、企業の価値観そのものを映し出します。
まとめ
ダークパターンは、企業に一時的な利益をもたらしても、最終的にはブランドを傷つけ、顧客の信頼を失わせます。その逆にあるホワイトパターンやユーザーセントリックデザインは、透明性と誠実さを軸にしたUI/UXを通じて、長期的な信頼と成長をもたらします。
DXを真に成功させるためには、技術やデータの活用だけでなく、ユーザーが安心して使える体験設計こそが欠かせません。誠実なUI/UXは、企業が未来に向けて持続的に成長するための最も確かな土台となるのです。
フレシット株式会社では、このような「信頼を勝ち取るUI/UX設計」を重視し、業務フローや利用者の行動に即したフルスクラッチ開発を行っています。既存の枠に縛られないオーダーメイドの設計だからこそ、透明で誠実な体験を実現でき、結果として長期的な顧客との信頼関係を築くことが可能です。利用者に寄り添ったDXを推進したい企業さまにとって、フレシットは最適なパートナーとなります。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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