【宿泊予約サイトの功罪から考える】なぜ“自社ルート”が顧客との最強の接点になるのか──プラットフォーム依存から脱却するシステム戦略
利益とブランドを守る“直結チャネル”の重要性
2025-09-06

外部プラットフォームの台頭は、企業にとって大きな集客力をもたらしました。宿泊予約サイトやECモール、フードデリバリーやマッチングサービスなど、多様な分野で事業者と消費者をつなぐ存在となっています。しかし、便利さの裏側には手数料負担や顧客データの喪失、価格競争の激化といったリスクが潜んでいます。
本コラムでは、プラットフォーム依存がもたらす課題と、それを乗り越えるための「自社ルート構築」の重要性について解説します。
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目次
【記事要約】宿泊予約サイトの普及と持続可能性を巡る視点──沢登次彦氏と星野佳路氏の提言
リクルート「じゃらん」の沢登次彦氏は、OTA(OnlineTravelAgent/オンライン旅行代理店)の強みをデータ分析と迅速な改善にあるとし、地域と連携して観光資源を磨き上げることで「安さ」ではなく「お得さ」による価値提供が重要だと指摘する。地域と旅行会社が共に成長する仕組みを築くことが業界の持続可能性につながると強調した。一方、星野リゾートの星野佳路氏は、OTA依存でホテルが不利になる現状を問題視。自社予約ルートの強化で交渉力を高め、OTAと「検索対象」ではなく「対等な関係」を築くべきだと述べた。AIによるホテル選びの変化も視野に入れ、双方の協力関係が旅行業の健全な発展に不可欠とする。
出典:日本経済新聞「宿泊予約サイトの功罪 問われる旅行業界の持続可能性」2025年8月3日付電子版
ポイントをひとことで
外部プラットフォームは短期的な集客力をもたらす一方で、手数料や顧客データの不透明さにより、長期的には企業の競争力を削ぎます。自社ルートを確立することは、単なる販売経路の追加ではなく、顧客理解とブランド価値を守る基盤づくりです。特にフルスクラッチ開発によるシステム構築は、業務や戦略に合わせた柔軟な設計が可能であり、顧客体験を高めつつ自社の独立性を保つ最適な手段といえます。
プラットフォーム依存の現実とリスク
プラットフォームは短期的には強力な販売チャネルです。新規顧客を獲得しやすく、事業を立ち上げたばかりの企業にとっては魅力的な存在です。
しかし依存が深まるにつれ、次のような課題が浮かび上がります。
- 利益率の低下:高額な手数料が発生し、薄利多売に陥りやすい。
- データの不透明化:顧客情報はプラットフォームに蓄積され、事業者側は断片的な情報しか得られない。
- 価格競争の激化:検索画面上で「価格順」に並べられることで、サービスの質よりも値段が判断基準になりやすい。
- ブランド毀損のリスク:顧客は「プラットフォームで買った」という認識を持ちやすく、自社のブランド名が埋もれてしまう。
これらは一時的な集客力を得る代わりに、長期的な顧客基盤や利益構造を犠牲にする危険性をはらんでいます。
自社ルートが持つ本当の価値
自社ルートを整備する最大の価値は、「顧客と直接つながれること」です。
顧客の属性、購買履歴、嗜好性、問い合わせ内容などを自社で把握できれば、商品開発やサービス改善のスピードと精度は格段に上がります。
例えば、宿泊施設であれば「子どもの年齢」や「食事制限」「滞在中に体験したいアクティビティ」など、プラットフォームでは拾いにくい情報を事前に取得することで、最適なプランを提供できます。小売業であれば購入履歴からリピート提案を自動化し、金融サービスであれば利用状況に合わせたリスク診断や個別アドバイスを行うことができます。
顧客に「理解されている」と感じてもらえることは、価格では測れない付加価値であり、長期的な関係を築くための土台となります。
フルスクラッチ開発がもたらす差別化
パッケージ化された予約システムやCRMを導入する方法もありますが、多くの場合は機能が画一的で、自社独自の強みを十分に反映できません。
フルスクラッチによるシステム開発であれば、以下のような柔軟な対応が可能です。
- 独自の業務プロセスに完全対応:既存の仕組みにシステムを合わせるのではなく、自社の戦略に沿って最適化できる。
- 顧客体験の高度化:要望や行動履歴を取り込み、個別にカスタマイズした体験を提供できる。
- データ活用の自由度:蓄積したデータを分析し、マーケティングや新規サービス開発に活かせる。
- 交渉力の強化:プラットフォームとの関係において、自社独自の集客基盤を持つことで依存度を下げ、対等な立場を築ける。
これは単に「自前のシステムを持つ」という話ではなく、企業の競争力そのものを左右する基盤整備です。
持続可能な成長のために
プラットフォームを否定する必要はありません。むしろ、入口として活用しつつ、自社ルートへ顧客を誘導する「二段構え」の戦略が有効です。最初はプラットフォームで出会い、その後は自社サイトやアプリを通じて深い関係を築く。こうした設計を支えるのが、柔軟かつ長期的に運用可能なシステム基盤です。
まとめ
外部プラットフォームは即効性のある集客手段ですが、そこに依存し続ければ利益構造や顧客基盤を失うリスクを抱えます。自社ルートを整備することは、単なる販売チャネルの確保ではなく、顧客理解を深め、ブランド価値を守り、持続可能な成長を実現するための最強の接点づくりです。フルスクラッチ開発による独自システムの構築は、その戦略を支える不可欠な選択肢といえるでしょう。
フルスクラッチでの開発は、単にシステムをゼロから作ることではなく、自社の戦略や顧客体験に合わせて最適な仕組みをデザインすることに他なりません。既製品や外部プラットフォームでは実現できない柔軟性と独自性を持ち、長期的に運用しながら進化させられる点こそが最大の強みです。フレシット株式会社は、こうしたフルスクラッチ開発を専門に、企業の課題に寄り添いながら「持続的に使えるシステム」を共に設計します。自社ルートを確立し、顧客との最強の接点を築きたいとお考えのご担当者さまにとって、最適なパートナーとなれるはずです。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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