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COLUMN コラム詳細

【宿泊予約サイトの功罪から考える】検索機能に埋もれないために──自社システムで交渉力と差別化を取り戻す

検索画面の一行から抜け出す、唯一無二の自社ルート

2025-09-09

外部プラットフォームは、多くの顧客にとって商品やサービスを比較する出発点となっています。宿泊予約サイトやECモール、フードデリバリーや人材マッチングなど、業界を問わず集客力のあるチャネルとして浸透しました。しかし便利さの裏側で、企業は「価格競争の一要素」として扱われやすく、差別化やブランド価値を発揮しにくいという問題に直面しています。

本コラムでは、プラットフォーム依存がもたらすリスクと、自社システムを活用して顧客との接点を取り戻し、持続的な競争力を築く戦略を解説します。

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【記事要約】宿泊予約サイトの普及と持続可能性を巡る視点──沢登次彦氏と星野佳路氏の提言

リクルート「じゃらん」の沢登次彦氏は、OTA(OnlineTravelAgent/オンライン旅行代理店)の強みをデータ分析と迅速な改善にあるとし、地域と連携して観光資源を磨き上げることで「安さ」ではなく「お得さ」による価値提供が重要だと指摘する。地域と旅行会社が共に成長する仕組みを築くことが業界の持続可能性につながると強調した。一方、星野リゾートの星野佳路氏は、OTA依存でホテルが不利になる現状を問題視。自社予約ルートの強化で交渉力を高め、OTAと「検索対象」ではなく「対等な関係」を築くべきだと述べた。AIによるホテル選びの変化も視野に入れ、双方の協力関係が旅行業の健全な発展に不可欠とする。

出典:日本経済新聞「宿泊予約サイトの功罪 問われる旅行業界の持続可能性」2025年8月3日付電子版

ポイントをひとことで

プラットフォームは強力な集客手段である一方、事業者を「比較の一行」に押し込み、価格競争に巻き込む構造を生み出します。顧客情報を直接取得できないことは、改善のための洞察を欠く大きな損失です。自社システムを持つことは単なる販売経路の確保ではなく、顧客理解を深め、交渉力を取り戻す基盤整備に他なりません。フルスクラッチ開発により業務や戦略を反映した仕組みを構築することで、持続的な差別化とブランドの独自性を守ることが可能になります。

プラットフォーム依存が生む埋没のリスク

プラットフォーム上での表示順位は、アルゴリズムや広告出稿、そして多くの場合「価格」に大きく左右されます。顧客の目に映るのは数十社が並ぶ比較画面の一行に過ぎず、独自のサービスやこだわりが正しく伝わらないまま「最安値かどうか」だけで判断されるケースが少なくありません。

さらに、プラットフォームに顧客が流入する仕組みでは、顧客データは事業者ではなく運営側に集中します。自社に残るのは限られた情報のみで、利用者の購買背景や満足度を分析する余地が狭まります。結果として、長期的な関係性構築や再購入の仕組みが築きにくくなり、企業はいつまでも“借り物の集客”に依存することになります。

自社システムで取り戻す交渉力

こうした状況を打破するには、自社ルートの確立が不可欠です。自社サイトやアプリを通じて顧客を直接獲得できれば、プラットフォームの手数料に左右されず、収益性を高めることが可能です。加えて、顧客の属性や購買履歴、利用の目的や頻度などのデータを自ら収集・分析できるため、サービス改善や新規企画の根拠を得られます。

例えば宿泊業では、自社サイトを経由することで「子どもの年齢」「アレルギーの有無」「滞在中に希望する体験」など細やかなニーズを事前に把握できます。これにより、顧客に合わせた最適なプランを提案でき、滞在の満足度やリピート率を高めることができます。こうした仕組みが整えば、プラットフォームとの契約交渉でも強い立場を取ることができ、価格競争だけに巻き込まれる状況から脱却できます。

差別化の鍵は顧客体験の一貫性

本当の意味での差別化は、単なる機能追加やデザインではなく「顧客体験の一貫性」をどう設計するかにかかっています。自社システムを持てば、予約から購入、利用、アフターサービスまでのプロセスをシームレスにつなげられます。これにより、プラットフォームでは実現できない独自の付加価値を提供でき、顧客に「この会社を選んで良かった」という実感を持たせることができます。

小売業であれば、購入データから顧客ごとに異なるレコメンドを提示し、金融業であれば利用状況に応じたリスク診断や資産運用提案を行うといった応用も可能です。業界が異なっても、自社ルートを通じて顧客理解を深める仕組みを持つことは、企業価値の源泉となります。

フルスクラッチ開発が可能にする未来

既成のパッケージシステムを利用する方法もありますが、標準化された機能だけでは自社の戦略や独自性を十分に反映できません。フルスクラッチ開発は、企業の業務プロセスやビジョンに沿って自由に設計できるため、将来を見据えた柔軟な拡張性を備えられます。

例えば、宿泊業界で自社予約サイトを構築する際、一般的な予約機能だけでなく「地域体験とのパッケージ販売」「顧客レビューに応じたリアルタイム改善」「会員制度によるリピート獲得」といった仕組みを最初から組み込むことができます。これは、プラットフォーム上では決して得られない独自の武器となります。

まとめ

外部プラットフォームは顧客と出会う場を提供してくれる一方で、依存が続けば企業は価格競争の渦に埋もれ、利益やブランド価値を失ってしまいます。検索画面に並ぶ一行の存在から抜け出すには、自社システムを構築し、顧客との直接的な接点を持つことが不可欠です。交渉力を取り戻し、差別化を持続させるためには、自社戦略に合わせた柔軟なシステムを整えることこそが、企業にとって最も確実な成長の礎となるのです。

自社の交渉力を高め、顧客との関係を主導的に築くためには、戦略に即した柔軟なシステム基盤が欠かせません。既成の仕組みでは拾いきれない業務や顧客体験を設計に織り込むことで、初めて持続的な差別化が可能となります。フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発を通じて企業の独自性を形にし、顧客との最適な接点を創り出す支援を行っています。プラットフォーム依存から脱却し、自社ならではの価値を最大化したいとお考えのご担当者さまにこそ最適なパートナーです。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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