俯瞰で全体最適を実現する──システムに組み込むべき具体的な機能とは
現場では気づけない非効率を浮き彫りにする俯瞰の仕組み
2025-09-20

トヨタが部品の重複や使われない在庫を俯瞰的に洗い出し、最大8割の削減につなげた取り組みは、多くの企業にとって示唆に富むものです。企業活動も同様に、商品・在庫・サービスが複雑化し、現場では把握できない非効率が潜んでいます。これを解決するには、システム自体に「俯瞰視点」を組み込み、全体最適を支援する機能を備えることが不可欠です。
本コラムでは、フルスクラッチ開発だからこそ実現できる俯瞰機能と、その導入効果について詳しく解説します。
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目次
【記事要約】トヨタ、俯瞰的な視点で部品の重複を排除し生産効率を向上
トヨタ自動車は「AREA35」と呼ぶ取り組みを通じ、部品の種類を最大8割削減し、工場内に平均35%の余剰スペースを創出した。従来は車種ごとに個別の改善を進めていたが、開発・生産・販売を一体で俯瞰することで、重複や不必要な部品が浮き彫りとなり、効率化や働きやすさ向上につながった。今後は国内外18工場に展開し、電動化や自動運転で競争軸が変化する中でも、持続的なカイゼンで競争力維持を目指す。
出典:日本経済新聞「トヨタ、部品を最大8割減世界18工場で『カイゼン』 重複回避、種類絞り込み」2025年9月13日付朝刊
ポイントをひとことで
俯瞰視点を持たないまま商品や在庫、サービスを運用すると、現場では気づけない重複や非効率が蓄積していきます。本コラムが示すように、全体を見渡す仕組みをシステムに組み込むことで初めて「不要な在庫」「売れないサービス」「利用されない仕組み」が明らかになります。特にフルスクラッチで設計されたシステムは、自社の業務構造や部門間の実態を反映し、経営層が意思決定を下すための正しい材料を提供できる点に大きな価値があります。
全体マッピング機能で「全体像」を把握する
複数部門がそれぞれ商品や在庫を管理していると、全体像が見えなくなります。フルスクラッチシステムでは、商品・在庫・サービスを一元的にマッピングし、ツリー構造やマトリクスで俯瞰表示できます。これにより「どこに、どれだけ、何が存在しているのか」を直感的に理解でき、経営層が全体を見渡した上で戦略を描けるようになります。
重複検知と類似性分析で「似て非なるもの」を削減
部品や商品は、名前や仕様が違っていても本質的には同じ機能を果たす場合があります。重複検知や類似性分析機能を備えれば、こうした「二重登録」「同じようなサービス」を自動的に洗い出せます。トヨタが部品の重複を整理したように、企業も商品群のスリム化を進め、在庫コストを圧縮できます。
利用頻度・稼働状況の可視化で「眠っている資産」を発見
売れない商品や滞留在庫は、現場の感覚では把握しにくいものです。俯瞰機能として利用頻度や稼働状況を可視化するダッシュボードを設ければ、「一度も売れていない商品」や「利用率が極端に低いサービス」をデータで特定できます。これにより、在庫削減率20〜30%といった実績を出すことも不可能ではありません。
部門横断シナリオシミュレーションで「最適解」を探る
販売・生産・開発がそれぞれの事情で判断すると、全体最適から外れてしまいます。そこで、部門横断のシナリオシミュレーション機能が有効です。例えば「在庫を20%削減したら販売にどう影響するか」「サービスを統合した場合の顧客満足度はどう変化するか」といったシナリオを事前に試算できれば、現場と経営の対立を避けながら合理的な判断が可能になります。
意思決定支援ダッシュボードで「経営判断」を加速
経営層にとって重要なのは、複雑なデータをシンプルに理解し、迅速に意思決定できることです。フルスクラッチ開発では、自社に合わせたKPIや指標を盛り込んだダッシュボードを設計できます。例えば「在庫回転率」「商品別利益率」「サービス利用率」などをひと目で比較できる仕組みがあれば、経営会議での意思決定スピードが2倍以上に高まることも期待できます。
他システム連携による「統合的な俯瞰」
俯瞰を真に実現するには、販売管理・生産管理・顧客管理といった他システムとのデータ連携も不可欠です。フルスクラッチ開発なら、既存のSaaSや基幹システムと柔軟に連携し、部門横断でデータを統合できます。これにより「個別最適のシステム群」を「統合的に俯瞰できる基盤」へと昇華できます。
導入効果の具体例
俯瞰機能を備えたシステムを導入することで、以下の効果が見込まれます。
- 在庫削減率20〜30%:不稼働品や重複在庫を削減し、保管コストを大幅圧縮。
- 商品群の統合率15〜25%:売上貢献度の低い商品や類似商品を統合し、利益率を改善。
- 意思決定スピード2倍:部門横断データを俯瞰的に集約することで、経営判断が迅速化。
- 従業員工数削減10〜20%:情報が整理されることで業務の重複が減り、現場の負担軽減につながる。
まとめ
全体を俯瞰する仕組みは、単なる在庫削減や商品整理のためではありません。部門ごとに閉じた情報を統合し、企業全体の資産を最大限に活かすための基盤です。フルスクラッチ開発なら、自社固有の業務フローやデータ構造に合わせて俯瞰機能を組み込めます。全体を見渡す力こそが、次の成長を切り拓く鍵となるのです。
全体を俯瞰する仕組みを自社に合わせて構築するには、既製のシステムでは限界があります。フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発を通じて、企業ごとの業務構造や課題に最適化されたシステムを設計します。商品・在庫・サービスを一元的に把握できる基盤を整えることで、重複やムダを削減し、経営判断を支える視点を提供します。御社の成長を後押しするための「俯瞰できるシステム」を、私たちが形にします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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