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COLUMN コラム詳細

奥村組の現場支援部署の新設に学ぶ──現場の負担を減らすDX、遠隔でできる業務をシステムでどう移管するか

2025-09-22

建設業をはじめとする現場産業では、人材不足や労働時間規制が深刻な課題となっています。こうした中、奥村組が2024年に工事現場を支援する部署を新設し、写真整理や部材発注といった遠隔で対応可能な業務を内勤へ移管したことに注目しました。この取り組みは建設業界に限らず、製造業や物流業など幅広い業種にとっても参考になるポイントが多くあります。

本コラムでは、現場から切り離せる業務をどのようにシステム化して効率化するか、具体的な手法と考え方を解説します。

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【記事要約】奥村組、現場支援部署を新設し業務移管で労働時間削減を推進

奥村組は2024年に工事現場を支援する専任部署を立ち上げた。写真整理や資材発注といった遠隔対応が可能な業務を現場から内勤部門に移管し、作業員の負担軽減を図っている。さらに外部委託も組み合わせ、効率化と柔軟な働き方を進めることで時間外労働の削減を推進中だ。人材不足が深刻化する建設業界において、持続的な働き方改革と人材確保の両立を目指す取り組みといえる。

出典:日本経済新聞「〈Leader’s Voice〉活発なM&A『経営の刺激に』 奥村組 奥村太加典社長」2025年9月20日付朝刊

ポイントをひとことで

現場業務を支援するDXの本質は、単なる効率化ではなく「業務の再配置」にあります。写真整理や部材発注といった付随業務をシステム化して内勤や外部委託に移管すれば、現場は本来の作業に集中できます。これにより属人化の解消や時間外労働の削減だけでなく、品質や安全性の向上も期待できます。重要なのは、自社の業務フローを正しく分析し、現場に最適化されたシステムを設計する視点です。

現場の負担が生まれる背景

現場で働く人々は、単に作業を行うだけでなく、付随する多くの雑務を抱えています。工事写真の撮影と整理、必要資材の在庫管理や発注、日報や進捗報告の作成などは典型的な例です。これらの業務は一見小さな作業に見えますが、積み重なることで大きな負担となり、時間外労働や作業品質の低下につながります。特に人材不足が深刻な現代では、本来集中すべきコア業務に支障をきたすことが少なくありません。

遠隔で移管可能な業務の具体例

現場業務の中には「必ず現場で行わなければならない仕事」と「遠隔でも処理できる仕事」が存在します。後者を見極めてシステム化することが、業務効率化の第一歩です。

  • 写真整理:現場で撮影した写真をクラウドに自動アップロードし、分類・タグ付けを行う仕組みを導入すれば、整理作業を内勤が遠隔で進められます。
  • 部材発注:在庫管理システムと連動した発注システムを構築すれば、現場で必要数を入力するだけで購買部門や外部委託先が対応可能です。
  • 報告業務:進捗や作業内容を入力するだけで、自動でフォーマット化された報告書が生成される仕組みを整えることで、現場の事務作業を最小化できます。

システム化による属人化リスクの解消

属人化とは、特定の人しか対応できない状態を指します。従来の現場業務は経験や勘に依存する部分が多く、担当者が不在になると業務が停滞するリスクがありました。システム化によって、業務の流れを明確化し、誰でも同じ手順で作業を進められるようにすることで、属人化を防止できます。また、クラウドやデータベースに記録を残すことで、情報の共有や引き継ぎも容易になります。

内勤移管と外部委託の組み合わせ

全ての業務を内勤で吸収することは現実的ではありません。そこで効果を発揮するのが外部委託との組み合わせです。写真整理やデータ入力の一部を外部委託し、システムを介して業務を分担することで、コストを抑えつつ効率を高めることが可能です。重要なのは、システムが「誰がどの業務を担っているか」を可視化し、タスクの進捗を一元管理できるように設計することです。

システム開発会社に求められる視点

市販の汎用ツールを導入するだけでは、現場固有の課題を十分に解決できない場合が多いです。たとえば建設現場と製造現場では必要な機能やワークフローが大きく異なります。そのため、各企業の実情に合わせたオーダーメイドのシステム開発が重要になります。システム開発会社には、業務プロセスを丁寧にヒアリングし、課題を正しく抽出した上で最適な仕組みを設計する姿勢が求められます。

労働時間削減の先にある価値

システム化によって時間外労働を削減できれば、それは単なるコストカットではなく、従業員のモチベーションや定着率の向上にもつながります。特に人材確保が困難な業界では、働きやすさの改善は競争力の源泉となります。さらに、現場が本来の作業に集中できることで品質や安全性が高まり、結果的に顧客満足度や企業の信頼性向上にも寄与します。

導入ステップの例

現場の負担を減らすためのシステム導入には段階的なアプローチが有効です。

  1. 現状業務の棚卸し:現場と内勤で行っている業務を洗い出し、負担の大きい業務を特定する。
  2. 移管可能業務の選定:遠隔でも対応できる業務を抽出し、優先順位をつける。
  3. システム要件定義:必要な機能やフローを明確化し、開発会社と共有する。
  4. パイロット導入:小規模で試験的に運用し、課題を洗い出す。
  5. 本格展開:全社的に導入し、運用ルールを整備する。

他業界への応用可能性

建設業界の取り組みは、製造業や物流業にも応用できます。製造現場での工程管理や検査記録、物流業での配送指示や在庫補充といった業務は、同様にシステム化によって現場負担を軽減できます。共通するポイントは「現場でしかできない業務」と「遠隔でも対応できる業務」を切り分け、後者を積極的にシステム化することです。

まとめ

現場業務を支援するためのDXは、単なるシステム導入ではなく、業務全体を見直し、負担を再配置する取り組みです。写真整理や部材発注のような業務をシステム化して内勤や外部委託に移管することで、現場は本来の作業に集中でき、労働時間削減や品質向上が期待できます。属人化リスクを排し、持続可能な働き方を実現するためにも、企業は自社に最適なシステム構築の方法を模索する必要があります。

現場の負担を減らすためのDXは、業務の切り分けと最適化が欠かせません。しかし、既存のパッケージや汎用ツールでは、自社特有のフローや課題に対応しきれないケースが多くあります。だからこそ、業務実態に合わせてゼロから設計するフルスクラッチ開発が有効です。フレシット株式会社では、現場の声を丁寧にヒアリングし、課題に直結するシステムをオーダーメイドで構築することで、属人化リスクを解消し、持続可能な効率化を実現します。自社に最適化された仕組みを求める企業にとって、確かな選択肢となるでしょう。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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