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Salesforce導入は失敗します!その理由と対策をプロが解説

2025-09-29

Salesforce導入は失敗します!その理由と対策をプロが解説

Salesforceは世界的に利用されるCRM(顧客管理システム)ですが、日本企業における導入は「失敗した」「思ったほど効果が出ない」という声も少なくありません。

確かに大企業や専任の管理部隊を持つ組織にとっては強力な武器となり得ますが、中堅・中小企業では「複雑すぎて使いこなせない」「現場が定着しない」といった課題が目立つのも事実です。

このように、多くのSalesforceの導入プロジェクトが上手くいかない背景には、Salesforce自体の特性と企業側のリテラシー不足や運用体制の問題が複雑に絡んでいます。

この記事では、Salesforce導入が失敗する理由と注意点を整理し、実際に訴訟に至った事例も紹介します。そのうえで、代替手段として注目される「フルスクラッチ開発」の可能性についても解説します。

Salesforceの導入を検討している方は、今後のシステム選定の一助として、ぜひ参考になさってください。

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なぜSalesforce導入は失敗するのか

なぜSalesforce導入は失敗するのか

Salesforceは高機能で拡張性にも優れたCRMシステムですが、実際の現場ではその性能を十分に活かしきれず、導入が失敗に終わるケースが少なくありません。

その理由はひとつではなく、ツール自体の制約や現場の運用体制、さらには利用者側のリテラシー不足が複雑に絡み合っています。ここでは、特に多くの企業がSalesforce導入で失敗しやすい典型的な要因について解説します。

カスタマイズに限界がある

Salesforceは標準オブジェクトをベースに業務を設計する仕組みを採用しており、基本的な営業プロセスや顧客管理には対応できます。しかし、自社特有の複雑な業務フローや独自の承認ルールを再現しようとすると、標準機能だけでは限界が見えてきます。

なお、無理にカスタマイズを重ねれば、システムの構造が複雑化し、保守性や安定性を大きく損なうリスクが高まります。結果として「当初は業務効率化を狙ったのに、かえって負担が増えた」と感じる企業も少なくありません。

長期運用を考えると、このカスタマイズの限界はSalesforce導入失敗の大きな要因となるのです。

学習コストが高い

Salesforceは非常に多機能であるがゆえに、導入した直後からすぐに使いこなせるわけではありません。画面上には多くのメニューやボタンが並び、どの操作がどの機能につながるのか直感的に理解しづらいのが現実です。

システム担当者や現場の社員には、データベース構造やCRMの基本概念に関する知識が求められるため、教育にかかる時間やコストが膨らみます。社内教育やマニュアル整備が不十分なまま運用を始めてしまうと「結局誰も触らない」「Excelに戻ってしまった」といった事態になりがちです。

そのため、この学習コストの高さが、多くの企業でSalesforce導入が定着しない理由のひとつだといえます。

ユーザーの定着率が低い

導入当初は期待値が高くても、現場のユーザーが日常的に使い続けられるかどうかは別問題です。

Salesforceは入力項目が多く、日々の商談や顧客対応で忙しい営業担当者にとっては「入力が手間」「操作が面倒」と映ることが少なくありません。その結果、データが十分に蓄積されず、システムが形骸化してしまうケースが多発しています。

最終的にはExcelや他の簡易ツールに逆戻りし、「導入した意味がなかった」と評価されてしまうのです。

システムの機能面だけでなく、現場のモチベーションや運用設計を考慮しないと、ユーザー定着率の低さがSalesforce導入の失敗を決定づける要因になります。

Salesforce導入の落とし穴と注意点

Salesforce導入の落とし穴と注意点

Salesforceを導入する際は、単なる機能の使い勝手だけでなく、長期的な運用や契約の仕組みに潜むリスクにも注意が必要です。見落とされがちなポイントを理解していないと、導入後に「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。

ここでは、特に注意すべきSalesforce導入の3つの落とし穴について確認していきましょう。

ベンダーロックインに陥りやすい

Salesforceは顧客情報、営業活動履歴、商談データ、さらにはカスタムオブジェクトなど、業務の根幹に関わるデータをすべて集約して管理します。この仕組み自体は効率的ですが、一度Salesforceに依存してしまうと、他のシステムへ移行するのが非常に難しくなる点は見逃せません。

つまり、「やめたい」と思った時点で既に大量の重要データがSalesforceに蓄積されており、簡単に切り替えられない状況に陥ります。これがいわゆる「ベンダーロックイン」であり、多くの企業が長期的に高額な利用料を払い続けざるを得なくなる理由です。

移行が難しい

Salesforceから他のCRMや独自システムにデータを移行するのは容易ではありません。データ構造が複雑で、商談やカスタムオブジェクトなどの情報をそのまま移すことは難しく、移行には専門的な知識と多大な工数が必要となります。

加えて、移行中はシステムが安定せず、業務に支障をきたすリスクもあります。そのため「失敗したから他に変えよう」と考えても、時間とコストが膨大にかかり、後戻りが困難になってしまうのです。

導入前にこの点を見誤ると、長期的に不利な契約や運用を強いられる結果となります。

費用が高い

Salesforceの料金体系は、基本的に「1ユーザーごとの課金+年単位の契約」が前提となっています。

初期費用は比較的抑えられるように映りますが、運用を続けるとライセンス料に加えて、保守費用や追加カスタマイズ費用が積み重なります。その結果、トータルコストは想定以上に高くなりがちです。

特に従業員数が多い企業では、ユーザー数に比例して費用が跳ね上がるため、規模拡大に伴って経済的な負担が急増します。結果として、「最初は安いと思ったが、長期的に見れば高くついた」という実感につながりやすいのです。

Salesforce導入で実際にあった訴訟事例

Salesforce導入で実際にあった訴訟事例

Salesforce導入の失敗は単なる運用上の問題にとどまらず、企業の経営を揺るがす事態に発展することもあります。代表的な例が、文化シヤッターと日本IBMの間で起きた訴訟です。

販売管理システム刷新にあたり、当初は「標準機能8割・カスタム2割」の想定でSalesforceを基盤に開発が進められました。しかし実際にはカスタマイズが全体の95%に膨張し、技術的制約による不具合や納期遅延、コスト増大が重なり、最終的にプロジェクトは頓挫してしまいました。

東京地裁・高裁・最高裁はいずれも、日本IBMのプロジェクト管理不備を認定し、約20億円の損害賠償を命じました。

この訴訟が示すのは、「思ったようにカスタマイズできない」「業務に合わない」といった問題が、ときに訴訟や巨額損失へと直結するという現実です。要件定義や契約内容が不十分なままSalesforce導入を進めれば、どの企業でも同様のリスクに直面し得ます。

大手でさえ失敗する以上、「自社だけの問題ではない」と認識し、導入前に慎重に検討を重ねることが不可欠だといえます。

参考:“標準機能8割”のはずが、なぜ“カスタム95%”になったのか?――文化シヤッター×日本IBMから学ぶ設計の教訓

Salesforce導入を失敗させないための対策

Salesforce導入を失敗させないための対策

Salesforceの導入を成功に導くためには、「とりあえず導入する」という姿勢ではなく、導入前からの明確な準備と体制づくりが欠かせません。

ここでは、Salesforce導入の失敗を避けるための、2つの具体的な対策をご紹介します。

要件定義を徹底する

Salesforceを導入する前に、まずは現場業務を細かく洗い出し、自社のプロセスを正確に把握することが必要です。そのうえで、標準機能でどこまで対応できるのかを精査し、追加カスタマイズが必要な場合は、範囲と費用を明確にしておくことが欠かせません。

要件定義が曖昧なまま進めると、後から「この機能が足りない」「想定よりカスタマイズが増えた」といった問題が発生し、コスト増や納期遅延の原因になります。

システムを導入すること自体が目的化してしまうと、失敗のリスクが高まります。そのため、あくまで「業務課題を解決できるか」を基準にしたうえで、要件定義を徹底することが重要です。

教育と社内浸透を重視する

Salesforceは高機能であるがゆえに、導入してすぐに現場が使いこなせるわけではありません。導入後の失敗を防ぐには、従業員が日常業務の中で自然に使えるようになるまでの教育とサポート体制がポイントになります。

研修の実施や操作マニュアルの整備はもちろん、導入初期には質問や不明点に迅速に対応できる窓口を設けることも効果的です。また、経営層や管理職だけでなく、実際にシステムを利用する現場担当者の声を反映させることが、定着率を高めるうえで欠かせません。

ツールを「使わせる」のではなく「使いたくなる」環境を整えられれば、長期的な定着につながります。

Salesforceが合わない企業におすすめの選択肢「フルスクラッチ開発」

Salesforceが合わない企業におすすめの選択肢「フルスクラッチ開発」

Salesforceは多機能で利便性が高い反面、「複雑すぎて現場に合わない」「カスタマイズに限界がある」といった理由でうまく活用できない企業も少なくありません。

そうした場合に検討すべき選択肢のひとつが、ゼロから自社の業務に合わせて設計する「フルスクラッチ開発」です。ここでは、その具体的な魅力を4つの観点からご紹介します。

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初期投資は高いがトータルコストは安い

フルスクラッチ開発は、導入時に一定の開発費用が必要となるため「高額な投資」と受け止められがちです。

しかし、Salesforceのようにユーザー数に応じて毎年ライセンス料が発生することはなく、利用しない機能に対してコストを払い続ける必要もありません。必要な機能だけを選び、効率的にシステムを設計できるため、維持費や追加課金を抑えやすい特徴があります。

その結果、数年から十数年という長期的な運用を前提にした場合、全体としてはSalesforceなどのパッケージ型よりもコストメリットを得やすいのです。

学習コストが低く現場に定着しやすい

フルスクラッチ開発は、自社の業務フローや担当者の利用スタイルを前提に設計されるため、無駄な画面や複雑な操作を排除できます。

直感的に理解できるUIやシンプルな機能構成にすることで、従業員は短期間で使い方を習得でき、学習に余計な時間を割く必要がありません。結果として「業務の中で自然に活用される」状態を実現しやすく、現場への負担も軽減されます。

このように、学習コストの低さは定着率の高さにつながり、導入効果を持続させる大きなポイントになります。

自由度が高く業務に最適化できる

Salesforceなどのパッケージ型システムは、「標準機能に業務を合わせる」発想が前提となります。一方で、フルスクラッチ開発は「業務に合わせてシステムを作る」ことが可能です。

そのため、新しい事業を始めるときや既存の業務プロセスを改善したいときにも、制約に縛られず自社の判断で仕様を変更できるので柔軟な対応が可能です。さらに、将来的な拡張や新機能の追加も段階的におこなえるため、事業の成長スピードに合わせて最適化を続けられるのも魅力です。

フルスクラッチ開発だからこそ、自社の戦略や働き方にマッチした唯一無二のシステムを構築でき、競合との差別化にもつながるのです。

ベンダーロックインのリスクが低い

フルスクラッチ開発は、特定のプラットフォームやライセンスモデルに依存せず、自社が主体となってシステムをコントロールできる点が大きな強みです。

データ移行や改修、外部システムとの連携も自社主導で進められるため、「やめたくてもやめられない」といったベンダーロックインのリスクを大幅に軽減できます。

長期的に見れば、この自由度の高さが運用上の安心感を生み、持続的な成長に合わせて柔軟にシステムを進化させられる基盤となります。安心して自社の未来を託せるのは、フルスクラッチならではの大きな魅力といえるでしょう。

まとめ

今回は、Salesforce導入が失敗に陥りやすい理由や落とし穴、実際に起きた訴訟事例、そして代替手段としてのフルスクラッチ開発の魅力について解説しました。

Salesforceは世界的に高く評価されるCRMである一方、日本企業においては「複雑すぎて使いこなせない」「コストが想定以上に膨らむ」といった課題が多く見られます。特に、カスタマイズの限界や学習コストの高さ、ベンダーロックインのリスクなどは、導入前に十分な注意が必要です。

一方で、フルスクラッチ開発は初期投資こそかかるものの、無駄のない機能設計や高い自由度、現場に定着しやすいUI、ベンダー依存の少なさといった強みがあります。自社の業務に寄り添ったシステムを構築することで、長期的なコスト削減と業務効率化を両立できる可能性が高まります。

システム選定のゴールは「導入すること」ではなく、「現場で活用し、成果につなげること」です。今回ご紹介した内容を参考に、自社に最適なシステムの形を見極め、後悔のない選択をしましょう。

また、別コラムにて、ある事業会社の代表取締役 K様へのインタビューを掲載しております。
当社代表の増田が、Salesforce 導入で直面した課題や失敗要因、フルスクラッチ開発による解決策を掘り下げております。ぜひご一読ください。

>>Salesforce導入の失敗から学ぶ──なぜ多くの企業がつまずくのか

監修者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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