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COLUMN コラム詳細

ECサイトのフルスクラッチ開発を成功に導くポイントを解説

2025-10-29

近年、EC市場の競争が激化するなかで、「自社独自の販売戦略に合わせたECサイトを構築したい」という企業が増えています。

しかし、パッケージ型やSaaS型サービスでは柔軟な拡張や独自機能の実装が難しく、思うように差別化を図れないケースも少なくありません。こうした課題を根本から解決する手法として注目されているのが「フルスクラッチ開発」です。

本コラムでは、ECサイトのフルスクラッチ開発における基本概念から、費用・メリット・デメリット、そして成功に導くためのポイントまでを詳しく解説します。ECサイトのフルスクラッチ開発を検討している方は、ぜひ参考になさってください。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

フルスクラッチ開発とは

フルスクラッチ開発とは

フルスクラッチ開発とは、既存のテンプレートやパッケージを使わず、システムをゼロから設計・構築する開発手法を指します。

要件定義から設計、プログラムの実装までを自社専用におこなうため、業務内容や目的に完全に適合したシステムを構築できる点がフルスクラッチ開発の最大の特徴です。一般的なパッケージ型システムではカバーできない独自機能や複雑な業務フローも再現できることから、効率化や差別化を重視する企業に選ばれています。

またECサイトにおけるフルスクラッチ開発では、販売戦略や顧客体験を中心に据えた自由な設計が可能です。例えば、独自のポイント制度や定期購入機能、業界特有のBtoB取引フローなどを反映させることで、パッケージ型サービスでは得られない柔軟性と競争優位性を確立できます。

フルスクラッチは時代遅れ?

「フルスクラッチは時代遅れでは?」という声もありますが、決してそうではありません。

確かに、SaaS型やクラウドサービスの普及によって、安価かつ短期で導入できる選択肢は増えました。しかし、標準化された仕組みでは対応できない業務や、独自戦略を反映させたい企業にとっては、今もフルスクラッチ開発が有力な手段です。

自社に最適化されたECサイトを構築できることは、長期的に見ればコストや運用効率の面でも優位に働きます。つまり、フルスクラッチ開発は「時代遅れ」ではなく、「目的に合った投資を選ぶ企業戦略のひとつ」といえるのです。

ECサイトをフルスクラッチでつくる費用

ECサイトをフルスクラッチでつくる費用

ECサイトのフルスクラッチ開発費用は、サイトの規模や機能要件、デザインの複雑さによって大きく変動します。

小規模なネットショップであっても、設計から開発、テスト、リリースまでを一からおこなうため、300〜500万円前後が目安になります。中規模で会員管理や在庫連携、クーポン・レビューなどの機能を備える場合は、1,000万円〜2,000万円程度になるケースが一般的です。

さらに、BtoB向けの大規模サイトやサブスクリプション型サービス、基幹システムや外部決済との高度な連携を含む場合は、3,000万円を超えることも珍しくありません。

また、フルスクラッチの初期開発費用に加え、リリース後の運用保守コストも考慮する必要があります。サーバー維持費、セキュリティ更新、機能追加などを含めると、年間で数十万円〜数百万円の運用費が発生することもあります。

このようにフルスクラッチ開発は投資規模が大きいものの、自社仕様に最適化されたEC基盤として、運用効率と拡張性を両立できる費用対効果の高い選択肢といえるでしょう。

ECサイトをフルスクラッチでつくるメリット

ECサイトをフルスクラッチでつくるメリット

ECサイトをフルスクラッチで構築する最大の魅力は、自社の戦略や業務に最適化された設計ができる点にあります。既存サービスに自社を合わせるのではなく、自社のビジネスモデルや顧客体験を中心に据えてサイトを構築できるため、長期的な運用と成長に強い基盤を整えられます。

ここでは、ECサイト構築でフルスクラッチ開発がもたらす具体的なメリットを、3つの視点からご紹介します。

業務フローや販売戦略に完全適合できる

ECサイトのフルスクラッチ開発では、商品登録から受注処理、在庫管理、顧客対応まで、自社の業務プロセスに合わせたシステム設計が可能です。

既存のECパッケージやSaaS型サービスではカバーしきれない細かな業務要件にも柔軟に対応できるため、業界特有の商習慣や社内の承認フローをそのまま反映できます。

特に、卸売・予約販売・定期購入などの特殊な取引形態を持つ企業や、BtoBとBtoCを併用するような複合型ビジネスでは、フルスクラッチによる構築が大きな強みとなります。

フルスクラッチであれば、業務効率化と顧客満足度を両立しながら、「現場で使いやすいECサイト」を実現できるでしょう。

自由なUI/UX設計が可能

フルスクラッチ開発では、ECサイトの構造やデザインをゼロから設計できるため、ブランドコンセプトや世界観を最大限に反映したUI/UXを実現できます。

既存テンプレートに縛られず、商品の見せ方や導線設計、購入フローを自由にデザインできることは、ユーザー体験の質を大きく高める要素です。また、スマートフォンやタブレットなど複数デバイスでの操作性を最適化できるため、離脱率の低減やコンバージョン率(CVR)の向上にもつながります。

ECサイトの見た目の美しさだけでなく、使いやすさや心理的なストレスの少なさまで設計に反映できる点は、ブランディングと売上拡大の両面に大きな恩恵を与えます。

外部システムとの連携・拡張性が高い

フルスクラッチ開発では、ECサイトのシステム全体を自社でコントロールできるため、外部システムとの高度な連携や将来的な拡張に強い構造を実現できます。

基幹システム(ERP)や在庫管理、会計システム、CRM、MAツール、物流APIなどとの連携もスムーズで、ビジネスの拡大に合わせて柔軟に進化させることが可能です。さらに、新しい販売チャネルやマーケティング機能を追加する際にも制約が少なく、技術的にもビジネス的にも拡張しやすい設計を組み込めます。

こうしたフルスクラッチ開発の柔軟性の高さは、急速に変化するEC市場において、競争力を維持するための大きな武器となるでしょう。

ECサイトのフルスクラッチ開発で注意すべきデメリット

ECサイトのフルスクラッチ開発で注意すべきデメリット

ECサイトをフルスクラッチで構築する際には、自由度や拡張性と引き換えに、コストや運用負担といった課題も生じます。しかし、適切な準備と体制づくりをおこなうことで、これらのリスクは最小限に抑えることができます。

ここでは、導入前に理解しておきたい、フルスクラッチ開発の代表的な3つのデメリットをご紹介します。

初期費用と開発期間が大きい

フルスクラッチ開発は、設計から構築まですべてをゼロからおこなうため、テンプレート型やSaaS型に比べて初期コストと開発期間が大きくなります。

ECサイトのデザインや機能を細部までカスタマイズできる反面、要件定義・設計・実装・テストといった各工程に時間と人員が必要となるためです。

よって、ECサイトのフルスクラッチ開発を開始する前に、「何を優先し、どこまでを初期リリースに含めるか」を明確にしておくことが重要です。スケジュールと予算を現実的に設定し、フェーズごとにリリースを分けるなどの計画的な進行により、コストの膨張や納期遅延を防ぐことができます。

運用保守の体制を自社で整える必要がある

フルスクラッチ開発では、リリース後のシステム更新やセキュリティ対策を自社主導で実施する必要があります。

脆弱性対応や機能追加、サーバー監視、バックアップ運用など、運用保守には継続的なリソースが求められます。特にECサイトは顧客情報や決済データを扱うため、セキュリティ更新を怠ると重大なリスクにつながります。

開発段階から運用保守契約を含めた体制設計をおこない、外部パートナーと連携して運用を分担することで、ECサイトの安定した長期運用が可能になります。

開発ベンダーに依存しやすい

フルスクラッチ開発では、ソースコードや設計構造が特定のシステム開発会社に依存しやすい傾向があります。ECサイトの仕様変更やトラブル発生時に担当エンジニアが不在となると、修正や拡張に時間がかかるリスクもあります。

このような属人化を防ぐためには、ドキュメントの整備やソースコードの共有ルールをあらかじめ明確にしておくことが重要です。また、長期的な関係を築ける信頼性の高い開発ベンダーを選定し、開発後も技術サポートを受けられる体制を確保しておくことが求められます。

ECサイトのフルスクラッチ開発を成功に導くポイント

ECサイトのフルスクラッチ開発を成功に導くポイント

ECサイトのフルスクラッチ開発を成功させるには、自由度の高さを活かしつつ、リスクを抑えるための計画と体制づくりが欠かせません。

ここでは、ECサイト開発プロジェクトを円滑に進め、安定した成果を得るための5つのポイントをご紹介します。

要件定義を明確にし、開発目的を共有する

フルスクラッチ開発では、最初の要件定義がプロジェクト全体の成否を左右します。開発初期の段階で、ECサイトの目的・ターゲット・優先すべき機能を整理し、チーム全体で共通認識を持つことが重要です。

要件が曖昧なまま開発を進めると、後の工程で仕様変更や設計の手戻りが発生し、コストや期間が膨らむリスクがあります。明確な要件定義は、ECサイト開発スケジュールの安定と品質確保の第一歩です。

>要件定義が失敗する原因についての詳細はこちら

MVP設計で優先度をつけて段階的に実装する

ECサイトに実装したいすべての機能を一度に開発しようとすると、予算や納期の圧迫、品質の低下を招く恐れがあります。そのため、最小限の実用的な機能(MVP:Minimum Viable Product)をリリースし、段階的に改善・拡張していくアプローチが効果的です。

早期にユーザーの反応を得ることで、実際の利用データに基づいた改善が可能になり、無駄のない開発につながります。最初から完璧なECサイトを目指さず、段階的に機能を実装していくことは、コストを抑えつつ成長性を確保する現実的な方法として非常に有効です。

>MVP開発の成功事例についてはこちら

UI/UXデザインとカスタマージャーニーを重視する

ECサイトのフルスクラッチ開発では、自由度が高いからこそUI/UX設計が成果を左右します。購入までの導線設計や操作性を設計段階から意識し、ユーザーが迷わず快適に利用できる体験をつくることが重要です。

例えば、商品検索のしやすさ、カート操作のシンプルさ、決済までのステップ数など、ECサイトの細部の改善がCVR(コンバージョン率)向上に直結します。

さらに、顧客がサイトを再訪したくなるデザインと体験を提供することで、リピート率の向上にもつながります。

運用保守・セキュリティ運用を含めた契約設計をおこなう

ECサイトのフルスクラッチ開発の契約を締結する際は、納品後の運用保守・運用体制を契約書の段階で明確にしておくことが不可欠です。障害発生時の対応範囲やアップデート、脆弱性対策の責任分担をあらかじめ定めておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、ECサイトは個人情報や決済情報を扱うため、セキュリティポリシーを設計段階から組み込むことも重要です。

開発と運用を分断せず、一貫したサポート体制を整えることが、長期的な安定運用のためには欠かせません。

信頼できるシステム開発会社を選定する

ECサイトのフルスクラッチ開発を成功させるには、経験と実績を持つシステム開発会社の選定が必須です。ECサイト構築やスクラッチ案件の豊富な実績を持つ会社であれば、要件定義から運用保守までをワンストップで対応してもらえます。

また、システム開発会社を比較する際は、提案力や対応スピードが重要なポイントになります。単なる技術力だけでなく、自社の事業理解や課題解決に寄り添ってくれるパートナーを選ぶことで、開発後も安心してECサイト運用を続けられる体制を築くことができます。

>信頼できるシステム開発会社の選び方はこちら

ECサイトのフルスクラッチ開発に強いシステム開発会社を選ぶには

ECサイトのフルスクラッチ開発に強いシステム開発会社を選ぶには

ECサイトのフルスクラッチ開発は、高度な技術力と業務理解の両立が求められる専門性の高い領域です。システム開発会社によって得意分野や体制が異なるため、パートナー選びの段階で慎重な見極めが必要とされます。

ここでは、信頼できるシステム開発会社を選定するために確認すべき4つのポイントをご紹介します。

EC分野での実績・得意業界

まず重視すべきは、システム開発会社がどの業界・商材分野でどのようなECサイトを手がけてきたかという「実績」です。

BtoC向けのアパレルや食品EC、BtoBの業務用販売サイト、あるいはサブスク型サービスなど、扱う業界によって必要な機能やUI設計は大きく異なります。自社の商材や顧客層に近いECサイト開発を担当した経験がある会社であれば、業務理解が早く、要件定義の段階から的確な提案を受けられます。

そのため、依頼前に開発実績の具体例を確認し、課題解決力と再現性の高さを見極めることが重要です。

柔軟に対応できる開発体制とプロジェクト進行力

ECサイトのフルスクラッチ開発では、要件変更や追加機能にも柔軟に対応できる「開発体制」が重要なポイントになります。

特に、アジャイル型やプロトタイプ開発など、段階的に検証と改善を重ねるスタイルの経験が豊富なチームであれば、実装の精度とスピードの両立が期待できます。

また、プロジェクトマネージャー(PM)を中心に、UI/UXデザイナー、エンジニア、テスターなどの専門担当者が明確に役割分担されているかも重要です。開発体制が整っている会社ほど、意思疎通がスムーズで品質管理も安定しており、結果として納期やコストの面でもリスクを抑えることにつながります。

セキュリティと決済連携の対応力

ECサイトは顧客の個人情報や決済データを扱うため、セキュリティ対策は最優先で確認すべき項目です。

暗号化通信(SSL/TLS)やアクセス制御、脆弱性診断などの基本的な対策はもちろん、国際的なセキュリティ基準「PCI DSS」への対応力も欠かせません。さらに、クレジットカード・QRコード・電子マネーなど多様な決済手段に柔軟に連携できるかどうかも信頼性を左右します。

セキュリティと利便性の両立を実現できる会社を選ぶことで、ユーザーに安心して利用されるECサイト構築を実現できるでしょう。

長期的な運用保守サポート

ECサイトは公開して終わりではなく、リリース後の改善や機能追加を継続的におこなうことが欠かせません。そのため、フルスクラッチ開発を依頼する際は、長期的な運用保守サポートを提供できる会社を選ぶことが重要です。

例えば、問い合わせ対応のスピードやトラブル発生時の復旧体制、定期的なセキュリティ更新の有無などを確認し、運用面での安定性を見極めましょう。

フルスクラッチ開発から運用までを一貫して支援できるパートナーであれば、長期的に安心してECサイトを成長させていくことが可能になります。

まとめ

今回は、ECサイトのフルスクラッチ開発について、基礎知識から費用、メリット・デメリット、成功のポイント、そしてシステム開発会社の選び方までを詳しく解説しました。

フルスクラッチ開発は、初期費用や開発期間が大きくなるものの、自社の業務フローや販売戦略に完全に適合したシステムを構築できる大きなメリットがあります。標準的なテンプレートでは実現できない独自機能やデザインを実装し、長期的な運用効率やブランド価値を高めることが可能です。

一方で、体制の構築や運用保守対応など、リリース後の継続的な取り組みも不可欠です。ECサイトのフルスクラッチ開発を成功させるためには、明確な要件定義と段階的な実装、そして信頼できるシステム開発会社とのパートナーシップが鍵となります。

自社の成長戦略に合わせたECサイトを構築したい企業にとって、フルスクラッチ開発は「コストではなく、未来への投資」といえる選択です。今回の内容を参考に、自社に最適なパートナーを見極め、フルスクラッチ開発で長期的に成果を生み出すECサイトを実現させましょう。

さいごに

当社フレシット株式会社では、「自社の販売戦略に合ったECサイトをつくりたい」という企業さまを、要件整理から開発・運用保守まで一貫してご支援しています。

テンプレートや既製サービスでは表現しきれない“自社らしさ”を、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発で実現します。ポイント制度やサブスク機能、BtoB取引や会員限定の販売など、業種や戦略に合わせた柔軟な設計が可能です。

また、リリース後も安心して運用できるよう、保守・改善までを見据えたサポート体制を整えています。私たちは「システムをつくって終わり」ではなく、「システムが成果を生み続ける状態」を一緒に目指します。

自社の強みを活かしたECサイトを実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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