サブスクリプション型サービスのシステム開発とは?成功企業が“フルスクラッチ”を選ぶ理由
テンプレートでは描けない、自社だけのサブスク体験を。
2025-11-02

月額制や定期課金など、サブスクリプション(以下、サブスク)型サービスは、継続的な売上を確保しながら顧客との関係性を深められるビジネスモデルとして、多くの企業に採用されています。
しかし、サブスクサービスを支えるシステムは単なる「決済の自動化」では済みません。会員管理やプラン変更、トライアル、請求サイクル、利用状況の分析など、事業戦略に密接に関わる機能を高い柔軟性で統合する必要があります。
このコラムでは、サブスクリプション型サービスのシステム開発で必要となる主な機能を体系的に整理し、なぜ“フルスクラッチ(オーダーメイド)開発”が選ばれるのかを解説します。
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目次
サブスクリプション型サービスとは?継続利用で価値を高めるビジネスモデル
サブスクリプション型サービスとは、ユーザーが商品やサービスを「購入」するのではなく、「一定期間利用する権利」に対して料金を支払う仕組みです。月額や年額などの定期課金制が一般的で、音楽配信や動画配信、ソフトウェア、EC、学習サービスなど幅広い分野で採用されています。特徴は、継続的な収益を得られる点と、利用データをもとに顧客体験を改善しやすい点にあります。企業側は新規顧客獲得だけでなく、継続率(チャーン率)や顧客生涯価値(LTV)の向上を重視することで、長期的な事業成長を実現できます。
ポイントをひとことで
サブスクリプション型サービスの成否は、システムがどれだけ柔軟に“ビジネスの変化”へ追随できるかにかかっています。課金や契約更新はもちろん、顧客行動の可視化やプラン改定など、運用段階で求められる拡張性は想像以上に高いものです。テンプレート型では成長の限界が早く訪れます。フルスクラッチ開発による設計思想の自由度こそが、LTV最大化と業務効率化を両立させる鍵です。技術選定ではなく、事業構造から逆算したシステム設計が必要です。
サブスクリプションビジネスを支えるシステムの基本構成
サブスクリプション型サービスの基盤となるシステムは、次のような構成で成り立っています。
- 会員・アカウント管理
- プラン・契約管理
- 決済・請求管理
- 利用状況トラッキング(UsageTracking)
- レポート・分析機能
- 顧客サポート・解約抑止機能
これらはそれぞれが単独で完結するものではなく、相互にデータを連携しながら、顧客体験全体を設計する役割を持ちます。以下で、各機能の要点と開発上のポイントを詳しく見ていきます。
会員・アカウント管理機能
サブスク型サービスの中心にあるのは「顧客」です。
会員管理機能では、ユーザー登録・ログイン・プロフィール編集・パスワードリセット・メール認証など、基本的なアカウント操作に加え、複数アカウント管理や法人契約、アカウント権限の分割などの対応も求められます。
特にBtoB向けサービスでは、「担当者ごとに異なるアクセス権限」や「契約単位での管理」が必要となるため、SaaSテンプレート型では柔軟に対応できないケースも多く見られます。
フルスクラッチ開発であれば、契約構造や社内運用ルールに合わせた会員モデルを設計し、後続の請求・分析処理との整合性を保つことができます。
プラン・契約管理機能
サブスクでは、「プラン変更」「アップグレード」「ダウングレード」「トライアル期間」「自動更新」など、多様な契約状態を一元管理することが重要です。この設計を誤ると、課金漏れや二重請求、更新タイミングのズレといったトラブルにつながります。
一般的なパッケージ型SaaSでは、月額・年額などの固定周期課金に最適化されているため、独自のプラン構成や段階的価格設定(ステッププライシング)には対応しづらい場合があります。
フルスクラッチ開発では、事業戦略に合わせて契約テーブルを柔軟に設計し、「顧客にとって最も自然な課金体験」を実現できます。
決済・請求管理機能
サブスクの要である決済機能は、単なるクレジットカード処理だけでなく、以下のような多層的な仕組みを持ちます。
- クレジットカード・口座振替・請求書払いへの対応
- 決済エラー時の自動リトライ・メール通知
- 請求履歴の管理とCSV出力
- 売上データとの突合
- 会計システムとの連携
決済代行サービス(Stripe、GMO-PG、SBペイメントなど)を利用することが一般的ですが、それらをどのように自社システムに統合するかが設計の鍵になります。
フルスクラッチ開発では、決済APIの挙動や例外処理を自社のルールに沿って細かく制御できるため、会計処理や内部統制への適合性も高められます。
利用状況トラッキング機能
顧客が「どの機能を」「どの頻度で」使っているかを可視化する仕組みは、LTV(顧客生涯価値)を高めるうえで欠かせません。利用履歴データは、プラン見直し・解約抑止・アップセル提案などに活用されます。
この際に重要なのは、「どの単位でデータを記録するか」という設計です。
フルスクラッチ開発では、単なるアクセスログではなく「顧客の行動シナリオ」に基づいたトラッキングを実装できます。たとえば「動画を最後まで視聴した回数」「在庫データのAPI利用量」「予約完了までの導線」など、事業特性に応じて計測粒度を調整できます。
レポート・分析機能
サブスク事業では、継続率・解約率・ARPU(平均収益)・チャーン率・LTVなどのKPIを追うことが日常です。しかし、これらの指標は単なる集計ではなく、「会員」「プラン」「契約期間」「利用傾向」といった多次元データを結びつけて分析する必要があります。
SaaSのダッシュボードツールでも一定の可視化は可能ですが、事業構造が複雑化するほど、「自社独自の分析軸」を持てるかが競争力になります。フルスクラッチ開発なら、BIツールとの連携や独自分析画面の構築により、経営・マーケティング・カスタマーサクセスの各部門で使いやすいデータ活用基盤を整備できます。
顧客サポート・解約抑止機能
サブスクモデルの利益は「いかに長く継続してもらうか」で決まります。そのため、解約を未然に防ぐ仕組みづくりが重要です。
たとえば次のような仕組みがあります。
- 解約理由アンケートの自動取得と分析
- 利用頻度の低下を検知してフォローを自動送信
- トライアル終了前のリマインドメール
- チャットサポートやFAQシステムとの連携
これらを適切に連動させるには、会員・契約・決済データをリアルタイムに扱える統合設計が必要です。既存SaaSではこの連携をAPI経由で都度組み合わせる必要がある一方、フルスクラッチ開発では、初期段階からデータ構造を統一して設計できるため、よりスムーズなカスタマーサクセス施策を展開できます。
フルスクラッチ開発が選ばれる理由
SaaSやテンプレート型CMSを利用すれば、短期間でサブスクサービスを立ち上げることも可能です。
しかし、それは“試すための環境”であり、“育てるための基盤”ではありません。
フルスクラッチ開発が選ばれる理由は次の3点に集約されます。
- 事業成長に合わせて進化できる設計
マーケットの変化やプラン体系の見直しに合わせて、柔軟に機能追加・再設計が可能です。 - 既存業務との整合性・効率化
CRMや会計、物流システムなど社内の既存データと連携しやすく、業務の二重入力や属人化を防げます。 - 独自体験(UX)の創出
UI/UXを自社ブランドに合わせて設計でき、顧客接点の一貫性を保つことができます。特に顧客が定期的に触れる画面での体験差は、解約率に直結します。
サブスク事業を成功させるための設計視点
サブスクリプションサービスは、単なる“システム開発”ではなく“ビジネスモデル設計”そのものです。
設計段階では次の3つの視点を持つことが重要です。
- ビジネスモデルとの整合性
「どう収益を上げるか」「どんな顧客を継続させたいか」を明確にし、それをデータ構造に落とし込む。 - 運用フェーズの想定
運営担当者が日々利用する管理画面の操作性や、顧客対応時のステータス確認など、現場運用を前提に設計する。 - データ連携と拡張性
今後の外部ツール連携(MA、CRM、BIなど)を見据え、API設計やID統合方針を初期段階で整理しておく。
まとめ
サブスクリプション型サービスのシステム開発では、単に課金を自動化するだけでなく、顧客の行動を軸にしたデータ設計と柔軟な契約管理が求められます。SaaSの既製プラットフォームでは限界が生じやすく、事業戦略に合わせて“育てていける”システムこそが、長期的な競争優位を支えます。
フルスクラッチ開発は、初期コストこそ高く見えるものの、事業の成長にあわせて確実に回収できる「柔軟性の投資」です。自社のビジネスモデルを真に支えるサブスクリプションシステムを構築するためには、技術面だけでなく、経営・運用・顧客体験の全方位から設計を考えることが欠かせません。
サブスクリプションサービスの仕組みを、単なる「課金システム」ではなく「事業そのものを支える基盤」として捉えることができるかどうかが、長期的な成功を左右します。
フレシット株式会社では、ビジネスモデルの設計段階から伴走し、会員管理・契約・決済・分析などの全領域を貫くフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を行っています。既存SaaSの制約に縛られず、御社の事業構造や成長戦略に最適化した“育てられるシステム”を構築します。 「自社ならではのサブスクリプションモデルを形にしたい」「今後の拡張を見据えて柔軟に設計したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。ビジネスの継続と成長を両立するシステムを、対話を重ねながら共に創り上げていきます。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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