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COLUMN コラム詳細

機能テストで抑えるべき観点―正常系と異常系、二つの視点で品質を高める

テストを“任せきり”にしない。発注者も持つべき視点。

2025-11-08

機能テストで抑えるべき観点―正常系と異常系、二つの視点で品質を高める

はじめに

システム開発において、品質を確保するためのテスト工程は全体の約30%を占める重要なプロセスです。しかし、テストはシステム開発会社に任せきりにされることも多く、その中身は見えづらいと感じている方も多いのではないでしょうか。

テストには「テストタイプ」と呼ばれる、確認観点や目的ごとの分類があります。前回のコラムで触れた「機能テスト」も、その重要なタイプの一つです。機能テストは、システムが仕様通りに動くかを確認する、最も基本的でありながら重要なテストです。しかし、このテストは「観点の抜け漏れ」や「項目粒度の不足」に陥りがちです。

本コラムでは、品質を大きく左右する正常系と異常系という二つの観点から、Webサイトの機能テストで抑えるべきポイントを詳しく解説します。

機能テストの基本

機能テストとは、設計書や仕様書に基づき、各機能が期待通りに動作するかを確認するテストです。Webサイトを例とした主な対象は、入力フォーム、認証、画面遷移、処理ロジックなどです。

「テスト工程はシステム開発会社側がやってくれる」と思われがちですが、発注者側がテスト範囲を把握しておくことは非常に重要です。テストタイプの意図と役割を知ることで、見積もりの妥当性を判断したり、品質リスクを能動的に管理したりすることが可能になります。

機能別に抑えるべきテスト観点

テストの網羅性を高めるためには、単に機能が動くか確認するだけでなく、正常系と異常系の両面からテスト観点を整理することが欠かせません。以下に、Webサイトでよく見られる主要な機能ごとに、抑えるべき観点をまとめます。

Webサイトの機能テスト観点の一例

機能テスト観点種別テスト観点内容
ログイン・ログアウト機能正常系有効なIDとパスワードでログインできるか。
ログイン・ログアウト機能正常系「ログイン状態を維持する」機能が正しく動作するか。
ログイン・ログアウト機能異常系無効なIDやパスワードでログインした場合、適切なエラーメッセージが表示されるか。
ログイン・ログアウト機能異常系パスワードを複数回間違えた場合、アカウントがロックされるか。
会員登録・ユーザー管理機能正常系必須項目を全て入力して、新規会員登録が完了するか。
会員登録・ユーザー管理機能正常系任意の項目が空欄でも、登録が完了するか。
会員登録・ユーザー管理機能異常系必須項目が空欄の場合、登録できず、適切なエラーメッセージが表示されるか。
会員登録・ユーザー管理機能異常系既に登録済みのメールアドレスやユーザー名で登録しようとした場合、エラーとなり、適切なエラーメッセージが表示されるか。
お問い合わせフォーム正常系必須項目をすべて入力し、お問い合わせ内容が正常に送信されるか。
お問い合わせフォーム正常系送信後、完了画面が表示されるか。
お問い合わせフォーム異常系必須項目を空欄にした場合、エラーメッセージが表示されて送信できないか。
お問い合わせフォーム異常系メールアドレスの形式が正しくない場合、エラーとなり、適切なエラーメッセージが表示されるか。

観点を整理することでもたらされる効果

正常系と異常系の観点からテストを整理することには、以下のような大きな効果があります。

  1. 抜け漏れの防止:正常な動作だけでなく、エラーや不正な操作への対応も網羅的に確認できます。これにより、潜在的な不具合を早期に発見できます。

  2. 共通言語の構築:開発者、テスト担当者、発注者間で「この機能は正常系はOKだが、異常系の観点で問題がある」といった具体的なコミュニケーションが可能になります。

  3. 説明責任の担保:「どの観点まで確認済みであるか」を客観的に説明できるようになり、品質に対する信頼性が向上します。

まとめ

テストタイプとは、単なる作業手段ではなく、「何を防ぐために、どの段階で、どう確認するか」という品質設計の一部です。機能テストは、システムの品質を支える土台です。単に「動く」ことを確認するだけでなく、正常系と異常系の両面から多角的に検証する姿勢が、システムの堅牢性を高めます。

発注者側がこの観点を理解し、開発チームと積極的に議論することで、テスト工程のブラックボックス化を防ぎ、最終的なプロダクトの品質を左右します。ぜひ、次回のプロジェクトからこの観点を取り入れてみてください。

監修者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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