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COLUMN コラム詳細

営業を科学するヒロセ電機に学ぶ──データ活用で受注率を高めるシステム開発の考え方

自社の営業プロセスに最適化した業務システムが必要とされる理由

2025-11-15

近年、多くの企業が「営業の生産性」をテーマに組織課題と向き合っています。根性や訪問回数に頼った営業スタイルだけでは、競争が激しい市場で成果を出し続けることは困難です。商談内容をデータとして蓄積し、受注確率を分析し、次に取るべきアクションを可視化する“営業の科学化”は、すでに複数の企業で成果を上げています。

なかでも、電子部品メーカーのヒロセ電機が導入した「商談プロセスの徹底的なデータ化」は象徴的です。商談後の記録を徹底し、受注確率を算出し、データを製品開発部門とも共有する仕組みを整えたことで、案件数は5年間で倍増したと報じられています。

この変化は、商談データの収集・加工・分析を支える業務システムの役割がいかに重要であるかを示しています。本コラムでは、営業活動を科学的に進めるためのシステムのあり方と、既存SaaSでは実現が難しい理由、そして業務に合わせて構築するフルスクラッチ開発の価値について解説します。

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【記事要約】営業プロセスを科学するヒロセ電機、データ活用で受注力と開発力を強化

日本企業の営業ROIは海外企業に比べ低水準とされる中、ヒロセ電機は2019年に営業活動を徹底的にデータ化する仕組みを導入した。商談内容を社内システムに入力し、世界中の営業データを統合して受注確率や必要な面談回数を算出。これを基に次の営業計画を策定するだけでなく、蓄積データは製品開発部門とも共有され、顧客ニーズを先取りした開発にも活用されている。その結果、案件登録数は5年間で倍増し、テスラのEVにも採用される新市場開拓に成功。営業の「科学化」が企業全体の競争力向上に結びついている。

出典:日本経済新聞「〈THESTRATEGY〉勝ち筋をつくる(3)テスラもつかむ商談法営業は根性でなく科学」2025年11月11日付朝刊

ポイントをひとことで

営業の科学化は「データを集めること」と誤解されがちですが、実際に成果を生むのは“集めたデータが意思決定に直結する構造”を持てているかどうかです。多くの企業では、営業が使うツールと管理側が見たい指標が一致しておらず、入力負荷だけが増えてしまいます。本来は、商談フローそのものを見直し、営業担当者が自然に入力できる設計と、部署横断で使えるデータ定義の統一が不可欠です。フルスクラッチ開発は、こうした業務の“型”を企業ごとに再構築できる点が強みになります。

営業活動が科学できる組織とできない組織の違い

営業の成果は担当者のスキルや努力に左右されがちですが、継続的に成果を出す企業は、例外なく「営業の判断材料となる情報が整っている」点で共通しています。商談の内容、顧客の反応、提案フェーズの進捗、過去案件との類似性など、営業活動は本来多くのデータに支えられたプロセスであるにもかかわらず、実際には手入力のメモやExcel、個人の経験則に依存している企業も多いのが現状です。

データが整っていないと、営業会議での議論は曖昧になり、受注確率の高い案件にも低い案件にも同じ時間が割かれ、最適な経営判断が難しくなります。一方、営業活動をデータとして蓄積・分析できる企業では、案件の優先度、必要な面談回数、提案の改善ポイントなどが明確になり、同じ営業人員でも成果が大きく異なります。

ヒロセ電機の事例は、この「営業判断の標準化と精度向上」が組織の成長に直結することを示しています。

商談データの入力が資産化につながる理由

営業担当者が商談内容を記録する行為は、一見すると単なる事務作業に見えるかもしれません。しかし、これらのデータが十分に蓄積されると、企業にとって欠かせない資産へと変化します。

例えば、以下の分析が可能になります。

  • 過去類似案件の傾向から算出される受注確率
  • 面談回数と案内資料の関連性
  • 営業担当者ごとの成功パターン
  • 顧客ごとのニーズや温度感の推移
  • 製品開発に生かせる要望の抽出

これらは、属人的な経験を“組織の知”へと転換する作業です。数年間蓄積すれば、企業独自の受注モデルが構築でき、精度の高い戦略立案が可能となります。

しかし、この資産化は単に「データがある」だけでは実現しません。
適切なデータ項目の設計と、入力のしやすさ、分析に使える粒度の統一が不可欠です。

既存SaaSが営業データの科学化に向かない理由

営業管理といえば、SFA(営業支援システム)やCRMなどのSaaSを想像する方も多いでしょう。しかし、SaaSが「導入したけれど使われない」状況に陥りやすいのには理由があります。

1.自社の営業フローとシステムの仕様が一致しない

多くの企業は、業界・商材・顧客によって営業プロセスが大きく異なります。しかし、SaaSは幅広い企業が使えるように汎用化されています。そのため、入力項目が多すぎたり、逆に必要な項目がなかったりと、現場に適合しないケースがあります。

2.必要なデータ項目が取れない

商談記録に必要な項目は企業ごとに異なります。
独自の意思決定プロセス、ヒアリング項目、専門用語などが多く、SaaS上で柔軟にカスタマイズすることが難しい場面もあります。

3.既存の社内ツールとの連携が不十分

営業データが散在している企業では、名刺管理、顧客DB、案件情報、見積書などが複数ツールに分かれていることが一般的です。SaaSを導入しても、それらが連携されていなければ、結局手入力が増え、定着率は下がります。

4.現場の負荷が下がらず「結局使われない」

営業担当者にとって、入力の負担は成果に直結しません。入力のストレスが大きいほど、データの鮮度は落ち、分析精度も大幅に低下します。

営業データが使える形になるシステム設計のポイント

営業データを活用するためには、入力を義務にするのではなく、「入力したくなる仕組み」をつくることが重要です。

入力が自然にできるUI/UX

スマホで商談直後に数タップで記録できるようにする、回答が自動入力される仕組みをつくるなど、負担の少ない導線が欠かせません。

必要なデータだけが集まる設計

「とりあえず全部取っておく」という設計は失敗の原因になります。
自社の営業フローを分解し、“判断材料になるデータ”だけを項目化することが求められます。

営業×製品開発の横連携ができる構造

ヒロセ電機のように、営業データを製品開発部門と共有することで、顧客の声を反映した製品開発が可能になります。これにより、営業と開発の連続性が生まれ、組織としてのスピードが向上します。

フルスクラッチ開発で営業データの活用度が変わる理由

営業データを最大限に生かすためには、企業特有の営業プロセスとデータ構造に合わせたシステムが必要です。この要件を満たすのが、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発です。

1.自社の営業フローに完全準拠できる

営業ステップ、判断基準、KPI…
すべて自社の仕様に合わせて設計できるため、現場にフィットし、定着率が高まります。

2.既存ツールやデータベースと柔軟に連携できる

顧客マスタ、製品DB、見積システムなどと連携し、データの重複や二重入力を防ぐことができます。

3.将来的な分析・AI活用に対応しやすい

十分なデータが蓄積されれば、将来的には自社専用の受注予測モデルの構築も可能です。
SaaSの制限に縛られず、成長とともにシステムを拡張できます。

まとめ

営業活動を科学的に改善するために必要なのは、根性論ではなく「データが確実に集まり、活用できる仕組み」です。商談データを統合し、受注確率や行動指針を可視化できる企業は、営業の再現性を高め、競争環境でも安定した成果を出すことができます。

既存SaaSでは、自社の営業フローやデータ構造に適合しないことが多く、入力が負担となり、十分なデータが蓄積されないケースもあります。営業データを本当の意味で資産化するには、自社の業務に合わせたシステム設計と、無理のない入力導線、部署間連携を可能にする柔軟性が欠かせません。

営業の科学化は、単なるデジタル化ではなく、企業の競争力を高める土台そのものです。自社の営業プロセスを見直し、最適なシステムのあり方を検討することが、これからの企業成長を支える鍵となります。

営業データの活用は、単にシステムを導入すれば実現できるものではなく、自社固有の営業プロセスや判断基準をどう“仕組み化”できるかが成否を分けます。だからこそ、業務の実態に寄り添いながら設計できるフルスクラッチの価値が際立ちます。

当社フレシット株式会社では、商談管理や受注予測といった表層だけでなく、現場フロー・入力動線・分析ロジックまで、企業ごとに最適化した営業システムをゼロから構築しています。営業活動の再現性を生み、企業全体の意思決定を強くする“自社だけの営業OS”をつくりたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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