to TOP
無料で相談する 資料を請求する

COLUMN コラム詳細

システム開発で陥りがちな「フィーチャー・クリープ(機能の増殖)」とは?フルスクラッチ開発で失敗しないための設計思考

多機能≠高品質。シンプルこそ成果を生む理由

2025-12-03

システム開発の現場では、当初の要件にはなかった機能が少しずつ追加され、気づけばプロジェクトが重く複雑になってしまうことがあります。この現象は「フィーチャー・クリープ(機能の増殖)」と呼ばれ、プロジェクトの遅延、コスト増大、品質低下など、多くのトラブルの原因となります。

本コラムでは、フィーチャー・クリープがなぜ起こるのか、どう防ぐのか。そして、フルスクラッチ開発で失敗しないために事業会社が知っておくべき視点を解説します。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

フィーチャー・クリープ(Feature Creep:機能の増殖)とは何か

フィーチャー・クリープとは、システムや製品の開発過程で、当初の計画に含まれていない機能が次々と追加され、結果としてコスト超過やスケジュール遅延を招く現象を指します。新しい機能が生まれる背景には、開発者が「より良いものを作りたい」と考える善意の発想や、顧客からの追加要望などがあります。しかし、追加機能が本当にユーザーに価値を生むとは限らず、仕様が肥大化するほど全体の検証・調整負担が増大し、プロジェクト管理が難航します。また、要件変更が頻発すると優先順位付けが不明確になり、品質低下を引き起こすリスクもあります。そのため、開発では要件定義と変更管理のプロセスを明確にし、追加機能の必要性と影響を慎重に検証することが不可欠です。

参考:William Lidwell(ウィリアム・リドウェル)、Kritina Holden(クリティナ・ホールデン)、Jill Butler(ジル・バトラー)著『要点で学ぶ、デザインの法則150 Design Rule Index』

ポイントをひとことで

フィーチャー・クリープの本質は「機能が増えること」ではなく、「目的からズレた意思決定が積み重なること」にあります。特にフルスクラッチ開発では、実現できる選択肢が広い分、その歯止めが効きにくくなります。だからこそ、事業会社側が“判断軸”を持ち、システム開発会社と同じ視座で目的・優先度・影響範囲を確認し続けることが重要です。追加機能の是非を感覚ではなく構造で捉えることで、プロジェクトの迷走を防ぎ、運用段階でも持続性のあるシステムへとつながります。

フィーチャー・クリープとは何か

フィーチャー・クリープとは、開発の途中で本来の目的から逸脱し、次々と新しい機能が積み重なることでシステムが肥大化してしまう現象です。
問題となるのは、それらが本当に必要かどうかを慎重に検証する前に、勢いで追加されてしまう点です。

背景には、ユーザーからの要望、社内の意見、開発メンバーの“良かれと思って”の提案などさまざまな要因があります。個々の追加は小さく見えても、積み重なった結果、開発スケジュールが遅延し、データ構造が複雑化し、運用コストが跳ね上がることがあります。

システム開発企業としては、良い提案をしたつもりでも、顧客側には価値が伝わらない場合があります。事業会社の担当者の視点でも、「本当に必要な機能か」「その開発コストに見合う効果があるか」は常に問い直す必要があります。

フィーチャー・クリープが発生する主な原因

目的が曖昧なままプロジェクトが進む

システム開発の初期段階で“解決すべき課題”が明確でない場合、機能追加は起こりやすくなります。目的地が定まっていない状態では、どんなアイデアも「良さそう」に見えてしまうためです。

無意識の「追加したい欲求」

開発メンバーは技術的にできることを見ると、「この機能も付けられる」「もっと便利にできる」という発想が出やすいものです。悪意ではなく善意から生まれる発想ほど、チェックが甘くなりがちです。

ユーザー要望へのその場対応

ユーザー要望を受けて都度機能を追加していくと、全体最適ではなく部分最適の機能が積み上がり、結果として運用に耐えないシステムが生まれてしまうことがあります。

要件変更の判断基準が無い

要件変更を受け入れるかどうかの判断基準が曖昧だと、「対応したほうが良いのでは」という空気感だけで追加されてしまいます。後から全体の構造を見直すと、不要な枝葉が大量に付いていたという状況は珍しくありません。

フィーチャー・クリープがもたらす影響

開発スケジュールの遅延

機能が増えるほど、設計・開発・テストすべての工程に遅延が生じます。特にテストは影響を大きく受け、小さな機能でも周辺への影響範囲が広く、予想以上の工数がかかることがあります。

コストの増大

機能追加は単純な開発コストだけでなく、データ構造の再設計やインフラの見直しなど、隠れたコストも引き起こします。運用開始後もメンテナンス費用が膨らみ、総保有コスト(TCO)は想像以上に膨れ上がることがあります。

UXの低下

機能をつめ込みすぎたシステムは操作が難しくなり、ユーザーが迷いやすくなります。結果として“便利にしたつもりが使いにくくなる”という逆効果が発生します。

運用負荷の増加

機能が増えれば増えるほど、マニュアル作成、問い合わせ対応、担当者教育など運用サイドの負荷も比例して高まります。

なぜフルスクラッチ開発でフィーチャー・クリープが起こりやすいのか

フルスクラッチ開発は自由度が高いため、「できること」の範囲が非常に広くなります。その一方で、事業会社の担当者が「どこまで作るべきか」「どれが本当に必要か」を判断する難しさが生じます。

また、既存パッケージやテンプレートがないため、全てをゼロから積み上げていく構造上、追加依頼や仕様変更が起きるほど影響範囲が大きくなります。「できること」が多いからこそ、「やらないこと」を決めることがより重要になります。

フィーチャー・クリープを防ぐためのポイント

目的を成果レベルまで言語化する

「売上向上」「業務効率化」だけでは抽象的すぎます。
「誰が、どの作業を、どれだけ短縮したいのか」を定義することで、機能の優先順位付けが明確になります。

追加機能の価値を定量的に評価する

追加提案が出た際には、以下を比較します。

・効果(コスト削減・売上向上・リスク低減)
・開発コスト
・運用負荷
・影響範囲

「効果が薄い機能」ほど後から大きな負債となります。

変更管理プロセスの整備

要件変更は珍しいことではありませんが、そのたびに「目的」「効果」「影響」を整理したうえで判断するプロセスが必要です。

UI/UX設計を優先し、機能は必要最低限から

良いUI/UXは、機能を増やすことではなく、操作ステップを減らすことから生まれます。
“多機能”が必ずしも“使いやすい”とは限りません。

MVP・段階的リリースを前提にする

初期リリースの段階では必要最低限の機能だけに絞り、実際の運用から得られるフィードバックをもとに改善していく方が、結果的に高品質なシステムが生まれます。

フィーチャー・クリープを防ぐために、事業会社が持つべき視点

システム開発会社にすべて任せるのではなく、事業会社側にも“判断軸”が必要です。

・何のためにシステムを作るのか
・どんな業務を簡素化したいのか
・どのユーザーを最優先するのか
・追加依頼のメリットとデメリットを言語化できるか
・最小構成でも価値が成立するか

これらの観点を持つことで、プロジェクトの舵取りが劇的に安定します。システム開発会社とのやり取りもスムーズになり、仕様変更による混乱が大幅に減ります。

まとめ

フィーチャー・クリープは、誰もが“良かれと思って”行動した結果として起こることが多いものです。しかし、不要な機能追加はプロジェクトの成功率を大きく下げ、コストと運用負荷を肥大化させる要因になります。

システム開発を成功させるためには、目的の明確化、要件管理、UI/UX視点、段階的リリースなど、プロジェクトを適切に制御するための仕組みが欠かせません。フィーチャー・クリープを理解し、抑えるべきポイントを押さえることで、使いやすく、効果の高いシステムを実現することができます。

システムを本当に価値あるものに育てるには、「どの機能を足すか」以上に「何を足さないか」を見極める設計思想が欠かせません。フレシット株式会社では、事業会社ごとの業務構造や意思決定プロセスを丁寧に理解し、最小限の機能で最大の成果を生む“本質的な要件定義”を重視しています。フルスクラッチ開発だからこそ可能な柔軟性と、必要以上に膨らませない設計のバランスを熟知したエンジニアが、目的達成に直結する仕組みづくりを伴走型で支援します。「使われるシステム」を実現したい企業さまは、ぜひフレシットにご相談ください。

>>フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発について詳細はこちら

著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

公式Xアカウントはこちら

CONTACT お問い合わせ

フルスクラッチのシステム開発会社フレシットへのお問い合わせ

REQUEST 資料請求

フルスクラッチのシステム開発会社フレシットへの資料請求