「Googleスプレッドシート版」と「Webシステム版」の違いを徹底解説|システム開発・フルスクラッチ開発の判断基準
スプレッドシート運用から次のステージへ進むためのシステム選択基準
2025-12-04

業務管理をデジタル化する際に、多くの企業が悩むのが「Googleスプレッドシートで運用するか」「Webシステムとして構築するか」という選択です。初期費用を抑えたい、まずは小さく始めたい。こうした現場の声がある一方で、スプレッドシート運用が限界に達し、業務の属人化やミスの増加に悩むケースも少なくありません。
本コラムでは、「Googleスプレッドシート版」と「Webシステム版」の違いを対比しながら、どのような業務にどちらが適しているのか、そしてフルスクラッチ開発を行う価値がどこにあるのかを、実務的に解説します。
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目次
Googleスプレッドシート版とWebシステム版の違いとは?
Googleスプレッドシート版は、手軽さと即時性が最大の特徴です。初期コストがほぼ不要で、複雑な設定をせずに運用を始められます。小規模チームでの情報共有や、変更頻度が高い業務には適しています。一方で、データ量が増えると動作が重くなり、権限管理や入力制御が限定的なため、業務の複雑化につれて管理が難しくなります。
対してWebシステム版は、業務フローに合わせた高度な処理やデータ構造を設計でき、大量データの高速処理、堅牢なセキュリティ、柔軟な権限管理を備えています。ワークフローの自動化や外部サービスとの連携、ログ管理など、事業の成長に耐えうる拡張性と運用の安定性が求められる場合に最適です。
ポイントをひとことで
スプレッドシートとWebシステムは「どちらが優れているか」ではなく、「業務の成熟度と将来像にどちらが適しているか」で判断すべき選択肢です。スプレッドシートは迅速に試したい段階で非常に有効ですが、部門横断の運用や大量データ、権限管理、監査性が必要になると構造的な限界に直面します。対してWebシステムは業務プロセス自体を再設計し、データの一元化や自動化を実現できるため、成長を前提とした仕組みづくりに向いています。運用が複雑化し始めた段階で早めに移行を検討することが重要です。
スプレッドシートとWebシステムは“目的”が異なる
Googleスプレッドシートは「共有しながら扱いやすい表計算ツール」であり、Webシステムは「業務プロセス全体を支える仕組み」です。
どちらが優れているかではなく、用途が異なります。この違いを理解することが、失敗しないシステム選定の第一歩です。
Googleスプレッドシート版の特徴
小さく始められる“即効性”
スプレッドシートの最大の強みは、導入の早さです。アカウントさえあればすぐに利用でき、初期費用もほとんどかかりません。小規模の業務、頻繁な仕様変更、検証段階のワークフローに向いています。
柔軟に編集しやすい反面“統制が効かない”
セルを自由に編集できることは便利ですが、同時にリスクでもあります。
気づかぬうちに数式を変更されたり、入力規則が崩れたりすることが多発します。特に複数人が編集する環境では、「いつの間にか壊れる」ことが避けられません。
データ量が増えるほど不安定に
大量データのフィルタ、複雑な数式、多数のシート。これらが重なると動作が重くなり、処理待ちが発生します。データモデルがないため、構造的に管理することも難しく、過去データとの整合性チェックも人手に依存します。
権限管理と履歴管理の限界
閲覧・編集といった大まかな権限は付与できますが、「この項目だけ編集不可」「この人は承認だけ」といった細かな制御は困難です。ログ管理も限定的で、後から不具合の原因を追跡しづらく、監査性は高くありません。
Webシステム版の特徴
業務プロセスを構造化し、再現できる
Webシステムでは、データベース設計やロジックに基づき、「誰が」「何を」「どの順番で」行うかを一貫して管理できます。属人化しやすい業務を自動化し、全体最適に向けて業務フローを標準化できます。
大量データ・高負荷処理に強い
Webシステムは、データ量の増加を前提に構築されます。検索、並び替え、集計などが高速に実行でき、数万〜数十万件のデータでも安定して処理できます。業務が成長してもシステムが耐えられる拡張性が魅力です。
セキュリティ・権限管理が強力
ログイン認証、多段階承認、細やかな権限管理、操作ログ、暗号化通信など、セキュリティ面での安心感は圧倒的です。ビジネス上のリスクや監査要件に対応しやすく、情報管理の精度を大きく高めます。
他システムとの連携がしやすい
会計システム、基幹システム、予約サイト、API連携など、外部との連携を組み込める点もWebシステムの強みです。業務全体の自動化や統合管理が可能となり、データの一元化を実現できます。
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スプレッドシートでは限界が来る瞬間
スプレッドシートから相談に来る企業は、次のような課題を抱えていることが多いです。
・データが破損し、原因が追えない
・入力ミスが頻発し、手戻りが増える
・ファイルが複数存在し、どれが最新かわからない
・承認フローが機能せず、業務がブラックボックス化
・人が増えるほど管理が破綻
・Excel/スプレッドシートの“改修担当者”が属人化
これらの問題は、ツールの設定では解決できず、“業務をシステムとして設計する”必要があります。
Webシステム版が必要となる業務とは
以下の条件が揃い始めたら、Webシステムを検討するべきタイミングです。
・データ量が月次で増え続ける
・複数部門が同時並行で利用する
・ルールベースの判断や承認が必要
・外部システムとの連携が発生する
・更新履歴の管理が必須
・監査対応やセキュリティ要件がある
・業務フローの標準化が求められる
これらはすべて、スプレッドシートでは「頑張ればできる」ではなく「構造的に困難」な領域です。
スプレッドシートやエクセルの管理に限界を感じている方は、以下記事もご覧ください。
>>Excel管理に限界を感じていませんか?脱Excelの方法を解説します。
フルスクラッチ開発の価値
スプレッドシートを前提とした運用は、「ツールに業務を合わせる」方式です。
しかし、多くの企業が求めているのは「業務にシステムを合わせる」ことです。
フルスクラッチ開発であれば、次のような価値が得られます。
・既存の業務プロセスに合わせた画面・項目・処理
・将来的な拡張を見据えたデータ構造
・必要な部分だけを最適化したUI/UX
・独自のルールをシステムに落とし込み自動化
・属人化の排除と業務の標準化
・運用開始後の改善・追加が容易
「どう運用するか」ではなく、「事業の成長に合わせられるか」が軸になります。
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Googleスプレッドシート版とWebシステム版の比較まとめ
| 観点 | Googleスプレッドシート版 | Webシステム版 |
| 初期コスト | 低い | 適度に必要 |
| 導入スピード | 早い | 設計が必要 |
| 編集のしやすさ | 高いが事故が起きやすい | 仕様に沿って操作 |
| データ量 | 少量向き | 大量データに強い |
| 権限管理 | 制御が粗い | 緻密な管理が可能 |
| 自動化・連携 | 制限あり | 連携・自動化に強い |
| 拡張性 | 構造的に限界 | 業務の成長に合わせられる |
まとめ
Googleスプレッドシート版は「小規模・短期・試行」向け、Webシステム版は「長期・多人数・高信頼性」向けです。
業務の特性、将来の拡張性、データ量、セキュリティ要件を踏まえ、どちらが本質的な選択肢となるのかを見極めることが重要です。スプレッドシート運用は多くの企業にとって入口として最適ですが、成長に伴い限界に達するポイントがあります。システム化の目的を整理し、業務そのものを最適化できる仕組みを選ぶことが、持続的な効率化の鍵となります。 業務の成長とともに求められる仕組みは確実に変化していきます。だからこそ、「自社の業務に本当に合うシステムとは何か」を見極めることが、長期的な効率化と競争力強化につながります。
フレシット株式会社では、スプレッドシート運用で抱えている課題の整理から、業務プロセスの可視化、最適なデータ構造の設計、そしてフルスクラッチでのWebシステム開発まで、一気通貫で伴走しています。
現場の“実務”に深く踏み込み、必要な機能だけを過不足なく設計することで、日々の業務に自然と馴染むシステムをご提供しています。
「スプレッドシートでは限界を感じ始めている」「業務に合わせた仕組みをつくりたい」というご担当者さまは、ぜひ一度ご相談ください。お客様の事業の成長に寄り添う最適な仕組みづくりをお手伝いします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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