受発注システムをフルスクラッチでシステム開発する理由──業務最適化と拡張性を両立する“理想の受発注基盤”のつくり方
Excelではもう限界──複雑な取引をラクに回す受発注DX
2025-12-10

受発注業務は、企業の売上・在庫・物流・経理など、あらゆる領域と密接に結びついています。そのため、運用に合わない市販ツールを使い続けると、担当者の負担が増えるだけでなく、社内の業務フローが分断され、情報の齟齬やミスが発生しやすくなります。自社の業務特性に合わせて設計された受発注システムは、こうした課題を根本から解消し、取引のスピード・精度・生産性を大きく高める力を持っています。
本コラムでは、受発注システム開発で押さえるべき機能要件、自社フローに最適化するフルスクラッチ開発の価値、そして導入による実務的な効果を詳しく解説します。
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目次
受発注システムとは?取引をスムーズにする“デジタル受注・発注管理”の仕組み
受発注システムとは、企業間の「受注(注文を受ける側)」と「発注(注文を出す側)」のやり取りを一元管理し、業務を効率化するための仕組みです。従来はメール・FAX・電話などで行われていた情報伝達をデジタル化し、注文入力、在庫確認、納期調整、ステータス管理などをオンラインで正確かつ迅速に処理できます。重複入力や記入ミスを防ぎ、リアルタイムで状況を可視化できるため、担当者の業務負担軽減やトラブル防止につながります。取引量の増加や人手不足への対応、複数拠点・複数部門の連携にも役立ち、企業の生産性を高める重要な基盤となるシステムです。
ポイントをひとことで
受発注システムは、単に「受注と発注をデジタル化する仕組み」と見られがちですが、実際には在庫・購買・物流・会計など企業全体のプロセスを貫く“中核システム”です。そのため、パッケージに業務を合わせ込むほど現場は無理を抱え、例外処理が増え、結局は属人化が残ります。本コラムが示すように、業務ルールや取引先ごとの慣習を正しく理解し、それをシステム設計に落とし込むことが成功の鍵です。フルスクラッチ開発は負担が大きく見えますが、結果として最も再現性の高い運用基盤を実現するアプローチだと言えます。
受発注システムを導入する目的
受発注業務は、情報の正確性と処理スピードが品質を左右します。複数の取引先とのやり取り、数量・単価・在庫・納期調整など、担当者は膨大な情報をタイムリーに処理する必要があります。
Excelやメール運用のまま規模が大きくなると、
- 情報が分散して追跡が困難
- 二重入力や入力ミスが頻発
- 在庫や納期のズレが生じやすい
- 承認に時間がかかり、取引機会を逃す
といった問題が顕在化します。
受発注システムは、これらを「一元管理」と「自動化」によって解決し、取引に関わる全体フローを最適化するための基盤となります。
受発注システムで必要となる主要機能
受注管理機能
顧客からの注文内容を一元管理し、商品、数量、単価、希望納期などの情報を正確に登録します。手動入力を削減するために、注文フォームや取引先ごとの定型パターン登録、CSVインポートなども有効です。ステータス管理機能により、受注から出荷・売上計上までの流れを可視化できます。
発注管理機能
仕入先への発注を管理する機能です。必要数量の自動算出、最適な仕入先の選択、発注書の自動生成などにより、購買業務を効率化します。受注量に応じて発注量を自動調整する仕組みを用意することで、欠品や過剰在庫のリスクを抑えられます。
在庫管理機能
受注・発注と密接に連動する機能です。倉庫ごとの在庫状況をリアルタイムで把握し、引当可否を正確に判定します。在庫の移動や棚卸の履歴も記録でき、在庫差異の原因追跡が容易になります。
納期管理機能
納期回答のスピードと正確性は顧客満足度を左右します。受注・在庫・仕入・生産・配送の情報を統合し、最適な納期を算出できる仕組みが求められます。フルスクラッチ開発であれば、自社特有の生産リードタイムや取引先ルールにも柔軟に対応できます。
見積作成機能
受注前の段階で必要となる見積書を自動生成する機能です。商品マスターと単価ルールに基づき、担当者による属人的な計算を排除できます。過去見積の参照や再利用により、提案スピードも向上します。
請求・売上管理機能
出荷や納品完了に応じて売上計上を行い、請求書を自動作成します。取引先ごとに異なる請求パターン(月末締め・月次まとめ等)に対応する必要があります。会計システムとの連携により、バックオフィス業務も効率化します。
承認ワークフロー
受注・発注・見積・値引きなど、業務には社内承認が伴います。システム上で承認ルートを自動化すれば、メール連携や通知により滞留を防ぎ、決裁スピードが向上します。承認ログが残ることで内部統制にも寄与します。
取引先管理(CRM)
取引先ごとの条件や履歴を管理し、単価、契約内容、個別ルールをシステムに反映します。取引データを蓄積することで、販売分析や発注予測の高度化にもつながります。
ログ監査・アクセス管理
受発注業務は企業の基幹領域に影響するため、操作ログや権限管理は必須です。不正操作の防止だけでなく、内部監査やトラブル調査の際にも役立ちます。フルスクラッチ開発であれば、自社のセキュリティポリシーをそのまま反映できます。
フルスクラッチ開発が選ばれる理由
業務フローをそのまま“システムに落とし込める”
市販のパッケージ型システムでは、自社の運用に合わせ込むために無理な“回避策”や“つじつま合わせの運用”が発生することがあります。
フルスクラッチ開発では、以下のような個別最適を実現できます。
- 商材特有の単価ロジック
- 取引先ごとの特殊な締め処理
- 自社独自の在庫引当ルール
- 倉庫、工場、店舗など複数拠点の連携フロー
結果として、運用負荷のない“本当に使いやすい受発注システム”が構築できます。
既存システムや他サービスとの柔軟な連携
会計、ECサイト、基幹システム、WMS、配送管理などとのデータ連携は、受発注システムの重要なポイントです。
フルスクラッチであれば、API設計からバッチ処理まで自由度高く構築でき、社内全体の業務データが途切れなく流れる仕組みを実現できます。
拡張性の高さ
ビジネスの成長に応じて、
- 新商品・新サービスの追加
- 新しい販売チャネルの開拓
- ロジックやワークフローの変更
- AI・RPAとの連携強化
など、後から必要になる機能も柔軟に追加できます。
パッケージでは難しい中長期的な拡張を見据えたシステム運用が可能です。
属人化の解消とトレーサビリティ確保
担当者ごとのExcel管理やメール文化から脱却し、誰が見ても同じ情報にアクセスできる環境が整います。ミスや漏れを防止しながら業務が標準化され、組織としての再現性が向上します。
受発注システム開発の成功ポイント
要件定義で“業務の棚卸し”を行う
受発注システムは業務領域が広く、影響範囲が大きいため、最初の要件定義が非常に重要です。
業務フローの整理、例外ケースの洗い出し、既存ツールとの関係性まで丁寧に棚卸しすることで、あとから起こる手戻りを防げます。
画面・操作性への配慮
受発注担当者は日々多くの案件を処理します。
UI/UX設計で重要なのは、
- 少ない操作で完了できる導線
- 一覧画面の情報構造
- 検索性とフィルタ機能
- 入力ミスを防ぐデザイン
といった細部の最適化です。
フルスクラッチ開発ではこれらの要望を細かく反映できます。
データの正確性と運用ルールの整備
どれだけ優れたシステムでも、マスター情報や運用ルールが整っていなければ効果は半減します。
品目マスター、取引先マスター、在庫情報などの精度が高まるほど、受発注全体の品質が上がります。
段階的なリリース
受発注システムは機能範囲が広いため、フェーズ分割による段階的リリースも有効です。
優先度の高い機能から順に展開することで、現場の負荷を抑えながら確実な導入ができます。
まとめ
受発注システムは、企業の取引フローを支える中核的な仕組みです。受注・発注・在庫・納期・請求・承認などの情報を一元管理することで、業務のスピードと正確性が大きく向上します。
さらに、自社フローに最適化されたフルスクラッチ開発であれば、業務特性をそのまま反映でき、運用負担のない理想的な受発注基盤を構築できます。
長期的な拡張性や他システムとの連携を見据えた設計により、ビジネスの成長を支える強固な仕組みを整えることができます。
受発注業務は、企業ごとに細かなルールや例外処理が存在し、既存ツールでは吸収しきれない“現場固有の複雑さ”を抱えています。その課題こそ、フレシット株式会社が最も価値を発揮できる領域です。当社は、要件整理からUI/UX設計、システム構成設計、実装、運用まで一気通貫で伴走し、お客様の業務フローそのものを理解したうえで最適な受発注システムをゼロから設計します。
単なる機能の追加ではなく、「業務が確実にラクになる仕組み」を形にすることにこだわり、既存システムとの連携や将来的な拡張性まで見据えて構築します。もし自社に合う受発注システムが見つからない、手作業が多く非効率さを感じている、といった課題をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。フルスクラッチ開発だからこそ実現できる“業務に最もフィットする一つだけのシステム”を、丁寧に設計・開発いたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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