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COLUMN コラム詳細

システム開発における「フレキシビリティの二律背反性」とは?使いやすさを犠牲にしないフルスクラッチ設計の考え方

業務に最適化された設計を考えるための重要な視点

2025-12-14

システム開発を検討する際、「将来の拡張性を考えて柔軟にしたい」「業務変更にも耐えられる仕組みにしたい」と考える担当者さまは多いのではないでしょうか。一方で、柔軟性を追求した結果、操作が複雑になり、現場で使われなくなってしまったシステムも少なくありません。

この背景にあるのが、デザインや設計における「フレキシビリティの二律背反性」という考え方です。本コラムでは、事業会社の視点からこの二律背反性を紐解き、なぜフルスクラッチ開発が有効な選択肢になり得るのかを実務目線で解説します。

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フレキシビリティの二律背反性とは何か

フレキシビリティの二律背反性とは、仕組みや制度に柔軟性を持たせるほど、使いやすさや効率が低下しやすくなるという関係性を指す考え方です。多様な選択肢や設定を許容すると、対応範囲は広がる一方で、操作や判断が複雑化し、利用者の負担が増す傾向があります。逆に、使いやすさや処理効率を優先すれば、機能や選択肢は限定され、柔軟性は抑えられます。このため、設計や制度設計においては、柔軟性・利便性・効率性のどこを重視するかを明確にし、目的に理解のあるバランスを取ることが重要となります。すべてを同時に最大化することは困難であり、意図的な取捨選択が求められます。

参考:William Lidwell(ウィリアム・リドウェル)、Kritina Holden(クリティナ・ホールデン)、Jill Butler(ジル・バトラー)著『要点で学ぶ、デザインの法則150 Design Rule Index』

ポイントをひとことで

本コラムが示している本質は、「柔軟に作ること」そのものが目的化した瞬間に、システムは現場から乖離していくという点です。フレキシビリティの二律背反性は理論ではなく、実務で頻発する設計上の落とし穴です。将来対応を名目に複雑さを許容すると、操作性や定着率が犠牲になります。重要なのは、変わる業務と変わらない業務を見極め、柔軟性を持たせる“場所”を意図的に限定することです。その判断を設計段階で行えるかどうかが、システムの成否を分けるポイントだと言えるでしょう。

フレキシビリティの二律背反性とは何か

フレキシビリティの二律背反性とは、システムやデザインにおいて柔軟性を高めるほど、使いやすさやパフォーマンスが下がりやすくなるという関係性を指します。

多様な業務や将来の拡張を想定して多機能・多設定にすると、対応範囲は広がります。しかしその反面、画面や操作手順は複雑になり、利用者が迷いやすくなります。結果として、入力ミスや作業時間の増加を招き、現場で敬遠されるシステムになることもあります。
つまり、柔軟性と使いやすさは、同時に最大化することが難しい関係にあるのです。

なぜ事業会社のシステムで問題になりやすいのか

事業会社の業務システムでは、「将来のために」「他部署でも使えるように」という理由で、柔軟性が過剰に盛り込まれるケースが多く見られます。
しかし、現実にはすべての機能が均等に使われることはほとんどありません。一部の複雑な設定や例外処理は、使われないまま残り続け、画面や運用を重くする要因になります。

その結果、システムは存在しているものの、Excelや別ツールに業務が戻ってしまうという本末転倒な状況が生まれます。これは設計段階で二律背反性を十分に考慮できていないことが原因の一つです。

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多機能=良いシステムではない

「できることが多い=価値が高いシステム」と考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。
業務システムにおいて重要なのは、利用者が迷わず、ストレスなく、正しく業務を遂行できることです。機能が多すぎると、選択肢が増え、判断コストが上がります。

結果として、操作ミスや教育コストが増大し、システム導入の効果が薄れてしまいます。フレキシビリティの二律背反性を理解することで、「何を作るか」だけでなく「何を作らないか」を判断する視点が持てるようになります。

フルスクラッチ開発だからできるバランス設計

パッケージや汎用的な仕組みでは、どうしても「多くの会社に対応するための柔軟性」が前提になります。そのため、不要な機能や設定が含まれやすく、二律背反性の問題が顕在化しがちです。
一方、フルスクラッチのシステム開発では、特定の業務や組織に合わせて設計できるため、必要な柔軟性と不要な複雑さを切り分けることが可能です。

業務の変わりやすい部分と、変わりにくい部分を見極めたうえで設計することで、使いやすさを保ちながら、将来の変更にも耐えられるシステムを構築できます。

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設計段階で問われる本当の判断力

フレキシビリティの二律背反性は、設計段階での意思決定によって大きく左右されます。
「この設定は本当に必要か」「誰が、どの頻度で使うのか」「業務が変わった場合、どこを変えればよいのか」といった問いを重ねることで、適切な柔軟性の水準が見えてきます。

この判断には、業務理解とシステム設計の両方に精通した視点が不可欠です。単に要望を形にするだけではなく、業務全体を俯瞰しながら設計する姿勢が、二律背反性を乗り越える鍵となります。

事業成長を支えるためのフレキシビリティとは

本来、フレキシビリティは事業成長を支えるための手段です。
成長フェーズや組織構造の変化に応じて、無理なく手を入れられる設計であれば、システムは足かせではなく武器になります。

そのためには、最初から万能を目指すのではなく、「今の業務で最大限使いやすい形」を基準に設計し、必要に応じて拡張できる余地を残すことが重要です。これこそが、フレキシビリティの二律背反性と向き合った現実的な解決策と言えるでしょう。

まとめ

フレキシビリティの二律背反性は、システム開発において避けて通れない課題です。柔軟性を高めれば使いにくくなり、使いやすさを追求すれば柔軟性は制限されます。
重要なのは、その関係性を理解したうえで、自社の業務や将来像に合ったバランスを意図的に選択することです。
フルスクラッチ開発は、その取捨選択を設計段階から行える手法です。自社にとって本当に必要な柔軟性とは何かを見極めることが、失敗しないシステム開発への第一歩となります。

システム開発において、柔軟性と使いやすさのバランスを最適化することは容易ではありません。フレキシビリティの二律背反性を理解し、業務に最適な設計を描くには、業務現場の深い理解と技術的な実装力が必要です。フレシット株式会社は、事業会社の現場ニーズを丁寧にヒアリングし、単に要望を形にするだけでなく、業務の本質と将来像を踏まえたシステム設計をご提案します。

特にフルスクラッチのシステム開発では、現状の課題を解消しつつ、将来の変化にも対応できる柔軟性を、複雑さを抑えた使いやすさと両立させる設計力が求められます。フレシット株式会社は、豊富な開発実績と業務理解力に基づき、最適な機能設計・画面設計・運用設計を実現します。単なるカスタマイズではなく、事業の成果につながるシステムを目指す方にこそ、安心してご相談いただけるパートナーです。

まずはお気軽にご相談ください。貴社のビジョンに寄り添い、本当に価値あるフルスクラッチ開発をご一緒に創り上げていきます。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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