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COLUMN コラム詳細

なぜ“現場を知らない”システムは失敗するのか?業務理解から始める要件定義の重要性

課題発見から始める、実務に根付くシステム開発

2025-12-19

システム開発が失敗する原因は、技術力不足や予算超過だけではありません。実務から乖離した要件定義、つまり「現場に立たないまま設計されたシステム」であることが、多くの失敗を招いています。あるスタートアップでは、新規事業の種を探す過程で経営者自らが飲食店の現場に入り込み、そこで初めて見えた課題から新たなシステムを生み出しました。

本コラムではこの事例を手がかりに、机上の要件定義と現場起点の要件定義の違い、そして業務を理解せずに作られたシステムがなぜ機能しないのかを掘り下げます。

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【記事要約】無断キャンセル問題に挑むアコードX、自動請求で飲食店の負担を軽減

飲食店の無断キャンセルによる年間約2000億円の損失を背景に、スタートアップのアコードXはキャンセル料を自動請求するシステム「請求できるくん」を提供している。専用サイトに情報を入力するだけで、顧客に段階的な請求通知を送付でき、従業員が直接対応する必要はない。2024年6月の開始以降、導入店舗は約5000店に拡大し、回収率は平均5割超に達した。成功報酬型で中小店も導入しやすく、多言語対応や再来店促進策も備える。創業者の現場経験を基に開発され、今後は飲食以外への展開やデータ活用事業も視野に入れている。

出典:日本経済新聞「〈STARTUP X〉無断キャンセル、飲食店負担軽く アコードXが自動請求システム」2025年12月4日付朝刊

ポイントをひとことで

本コラムは、システム開発の成否が技術や機能選定ではなく、要件定義以前の「課題の見つけ方」に左右されることを示しています。現場に立たずに整理された要件は、業務の摩擦や例外、心理的負担を捉えきれず、結果として使われない仕組みを生みます。現場体験を通じて業務を分解し、人とシステムの役割を切り分ける姿勢こそが、実効性のあるシステム設計につながる重要な示唆だと言えます。

会議室だけで決まる要件定義の落とし穴

多くのシステム開発は、会議室での打ち合わせから始まります。業務フロー図や要望リストをもとに、「必要そうな機能」を整理していく進め方です。この方法自体が悪いわけではありませんが、現場の実態を十分に理解しないまま進むと、大きな落とし穴があります。

資料上では合理的に見える業務も、現場では例外処理や感情的なやり取りが頻発します。誰が、どのタイミングで、どんな心理的負担を抱えながら作業しているのかは、ヒアリングだけでは見えにくいものです。その結果、完成したシステムが「理屈では正しいが、使われない」状態に陥ります。

現場に入って初めて見える業務の歪み

新規事業を模索する中で、経営者自身が単発アルバイトとして複数の飲食店で働いた事例があります。個人経営の店からチェーン店まで現場を渡り歩く中で、共通して見えてきたのが無断キャンセル対応の負担でした。

予約が入れば仕込みを行い、席を確保します。しかし連絡なしのキャンセルが発生すると、食品ロスと売上損失が同時に発生します。それ以上に深刻なのは、その後の対応です。キャンセル料を請求するために電話をかけ、時には強い言葉を投げかけられる。こうした業務は本来、接客や店舗運営の価値を高めるものではありません。

この「誰もやりたくないが、誰かがやらなければならない業務」は、現場に立って初めて実感できる課題です。

業務を知らずに作られたシステムの限界

業務理解が浅いまま作られたシステムは、往々にして表面的な効率化にとどまります。入力画面が増え、確認作業が増え、かえって現場の手間が増すこともあります。

特に、感情的な摩擦が生じやすい業務や、例外対応が多い業務は、机上の設計では見落とされがちです。その結果、システムが「現場を助ける存在」ではなく、「使うこと自体が負担になる存在」になってしまいます。

無断キャンセル対応のように、定型的でありながら心理的負荷が大きい業務こそ、業務理解に基づいた設計が不可欠です。

現場起点の要件定義が生むシステムの価値

現場起点の要件定義では、まず業務を分解します。誰が、どの工程で、何に時間や神経を使っているのかを洗い出します。その上で、「人がやるべきこと」と「システムに任せるべきこと」を切り分けていきます。

無断キャンセル対応を例にすれば、事実確認や請求通知、支払い状況の管理は仕組み化が可能です。一方で、例外的な判断や顧客対応は人が担う。この切り分けを明確にすることで、現場の負担を減らしながら業務全体の質を高められます。

このような設計は、汎用的なツールを当てはめるだけでは実現できません。業務そのものに合わせて仕組みを組み立てる必要があります。

なぜフルスクラッチ開発が必要になるのか

現場起点で課題を捉えると、業務は企業ごとに大きく異なることが分かります。店舗規模、顧客層、運用ルールが違えば、最適な仕組みも変わります。

既存のパッケージや汎用サービスでは、こうした違いに十分対応できない場合があります。その結果、運用で無理に合わせるか、現場が我慢するかの選択を迫られます。

業務を理解した上で一から設計するフルスクラッチ開発は、現場に合わせた要件をそのまま形にできる点が強みです。現場での体験を要件に落とし込み、業務に自然に溶け込むシステムを作るためには、オーダーメイドの設計が欠かせません。

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新規事業が示す課題発見のプロセス

アルバイト体験から生まれた新規事業の事例は、課題発見のプロセスそのものが重要であることを示しています。最初から「システムを作ろう」と考えたのではなく、現場に入り込み、困りごとを体感した結果として仕組みが必要だと気づいた点に価値があります。

この順序を誤ると、システムは目的化し、業務改善につながらなくなります。現場を見る、業務を理解する、その上で要件を定義する。この基本を押さえることが、システム開発の成否を分けます。

まとめ

システム開発の失敗は、現場不在の要件定義から始まることが少なくありません。会議室で整理された要望だけでは、業務の本当の課題は見えてこないのです。現場に立ち、業務を体感することで初めて、仕組み化すべきポイントや人が担うべき役割が明確になります。机上の理論ではなく、現場起点で課題を捉える姿勢こそが、実際に使われ、業務を支えるシステムを生み出す土台となります。

現場に立つことで初めて見える業務の歪みや、本来システムで肩代わりできる負担は、机上の検討だけでは見落とされがちです。業務を深く理解しないまま機能を積み上げても、現場に根付く仕組みにはなりません。重要なのは、業務の流れや例外、現場で生じる心理的負荷まで含めて整理し、「何を人が担い、何を仕組みに委ねるべきか」を丁寧に設計することです。

フレシット株式会社は、要件が固まりきっていない段階からでも、業務理解と課題整理を重視したフルスクラッチ開発を行っています。業務をそのままシステムに写し取るのではなく、現場にとって本当に意味のある形に再構築することで、使われ続ける仕組みを実現してきました。現場起点で業務を見直し、オーダーメイドのシステムを検討したいとお考えであれば、フレシット株式会社は有力な選択肢となるでしょう。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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