システム開発を「言われた通りに作る」と、機能は揃うのに“システムは完成しない”理由とは?フルスクラッチ開発で失敗しないための本質
できたはずなのに、終わらないシステム開発
2025-12-23

システム開発を依頼する際、「必要な機能はすべて洗い出した」「この通りに作ってもらえれば問題ない」と考える事業会社のご担当者さまは少なくありません。
実際、「言われた通りに作る」開発を行えば、依頼した機能そのものは確かに出来上がります。しかし、完成したはずのシステムを前にして、「なぜか業務が回らない」「結局、手作業が減らない」「これを“完成”と呼んでいいのか分からない」と感じるケースは非常に多く見られます。
本コラムでは、「言われた通りに作る」と機能はできてもシステムとして完成しない理由を紐解きながら、フルスクラッチ開発で本当に重視すべき視点について解説します。
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目次
ポイントをひとことで
本コラムが示しているのは、「機能が完成すること」と「システムが完成すること」は本質的に別物だという点です。言われた通りに作れば、要望された機能は確かに揃いますが、業務の流れや判断、データの意味まで設計されていなければ、実運用では必ずどこかで詰まります。システム開発の成否を分けるのは、仕様通りかどうかではなく、業務として完結しているかどうかです。その視点を持てるかが、フルスクラッチ開発で失敗しないための重要な分岐点だと言えるでしょう。
「機能ができる」と「システムが完成する」はまったく別物
システム開発において混同されがちなのが、「機能が実装されている状態」と「システムが完成している状態」です。言われた通りに作る開発では、要望された機能は一つひとつ正しく実装されます。
入力画面があり、一覧があり、検索ができ、データも保存される。仕様書を見れば、確かに「書いてあること」はすべて満たしています。
しかし、システムとは本来、業務が滞りなく流れ、意思決定や作業がスムーズに行える状態を指します。
機能が存在していても、それらが有機的につながり、業務全体を支えていなければ、システムとして完成しているとは言えません。
なぜ「言われた通り」に作るとシステムが完成しないのか
その理由は、「機能単位」で物事を考えてしまう構造にあります。
要件として整理される内容の多くは、
・〇〇を登録したい
・〇〇を一覧で見たい
・〇〇を出力したい
といった、個別機能の集合です。
言われた通りに作る開発では、この機能リストをそのまま実装対象とします。しかし、機能と機能の“間”にある業務の流れや判断プロセスは、要件として明文化されていないことがほとんどです。
その結果、機能は揃っているのに、業務として使おうとすると必ずどこかで詰まります。
業務は「画面」ではなく「流れ」で成り立っている
実際の業務は、単一の画面や機能で完結することはほとんどありません。
登録→確認→修正→承認→次工程へ引き渡しといった一連の流れの中で、複数の機能が連動します。
しかし、「言われた通りに作る」開発では、各機能が個別最適で設計されがちです。
結果として、
・前後の画面で入力項目の意味が微妙に違う
・どの状態が“確定”なのか分からない
・次に何をすればいいのか画面から読み取れない
といった問題が頻発します。
これは機能不足ではなく、「システムとしての設計不足」です。
要件通りでも、業務の“判断”は実装されていない
業務の中には、「条件によって判断が変わる」場面が数多く存在します。
例えば、
・この条件なら承認が必要
・このケースは例外対応
・この状態なら差し戻し
といった判断です。
これらは担当者の頭の中では明確でも、要件として書き切られていないことがほとんどです。
言われた通りに作る開発では、書かれていない判断は存在しないものとして扱われます。その結果、システム上では判断できず、結局人が介在する運用が残ります。
機能はあるのに、業務は自動化されない。このズレこそが、「完成しないシステム」を生む要因です。
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データはあるのに、意思決定に使えない
機能として「データを蓄積する」ことは比較的簡単です。
しかし、
・どのデータを正とするのか
・どの粒度で管理すべきか
・後工程でどう使われるのか
といった視点が欠けると、データはただ溜まるだけになります。
言われた通りに作る開発では、「保存すること」がゴールになりがちです。その結果、レポートや分析をしようとしたときに、「この数字はどの状態のものか分からない」「集計したい切り口でデータが取れていない」といった問題が発生します。
これはデータ設計が“機能視点”でしか行われていない典型例です。
「完成=リリース」という誤解
システム開発では、「リリースできた=完成」と捉えられがちです。しかし、実務においては、運用が始まってから初めてシステムの評価が下されます。
言われた通りに作られたシステムは、初期要件を満たすことに最適化されているため、少しの業務変更にも弱くなりがちです。
その結果、
・追加改修が前提になる
・変更のたびに全体へ影響が出る
・結局使われなくなる
といった状況に陥ります。
機能は完成しているのに、システムとしては“未完成のまま”なのです。
フルスクラッチ開発で本来向き合うべきもの
フルスクラッチ開発の価値は、「要望された機能をすべて作れること」ではありません。
本来は、
・業務全体の流れ
・判断のポイント
・データのつながり
・将来の変化
を踏まえたうえで、最初から“システムとして成立する形”を設計できることにあります。
そのためには、「言われた通り」を起点にするのではなく、「それは業務としてどう使われるのか」「本当にその形で完結するのか」を問い続ける姿勢が不可欠です。
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「要望を聞く」と「そのまま作る」は違う
要望を丁寧に聞くことと、要望をそのまま形にすることは同義ではありません。
むしろ、要望の背景を理解し、業務として成立する形に再構成することこそが、フルスクラッチ開発における重要なプロセスです。
「言われた通りに作る」ことは一見親切に見えますが、結果的に“完成しないシステム”を生み出してしまうリスクを孕んでいます。
システムが完成するとはどういう状態か
システムが完成している状態とは、
・業務の流れが自然につながっている
・判断がシステム上で完結する
・人が迷わず使える
・将来の変更にも耐えられる
こうした条件が満たされている状態です。
これは、機能一覧を埋めるだけでは決して到達できません。
まとめ
「言われた通りに作る」システム開発では、確かに依頼した機能は出来上がります。しかし、それだけではシステムは完成しません。
業務の流れ、判断、データの意味、将来の変化まで含めて設計されて初めて、システムは“使われるもの”になります。
フルスクラッチ開発を検討する際には、「機能が揃うか」ではなく、「システムとして成立するか」という視点を持つことが、失敗を避けるための重要なポイントと言えるでしょう。
ここまでお読みいただき、「機能は揃っているのに、なぜか完成しないシステム」が生まれてしまう理由に、少しでも心当たりがあったのではないでしょうか。
当社フレシット株式会社では、要望された機能をそのまま形にするのではなく、業務の流れや判断、データのつながりまでを一つの「システム」として捉えることを重視しています。だからこそ、要件の背景や業務の実態を丁寧に整理し、「本当にシステムとして成立する形は何か」を一緒に考えるところから開発を進めています。
フルスクラッチ(オーダーメイド)だからこそできるのは、機能を並べることではなく、業務が自然に回り、使い続けられる構造を最初から設計することです。「言われた通りに作る」開発ではなく、「完成するシステム」を本気で目指したいとお考えでしたら、フレシット株式会社のフルスクラッチ開発という選択肢を、ぜひ検討してみてください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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