システム開発をフルスクラッチで成功させるために──ライフサイクルコストを重視すべき本当の理由
「作った後」のコストまで考えていますか?
2025-12-29

システム開発を検討する際、多くの事業会社のご担当者さまは「初期費用」を最も重要な判断軸として捉えがちです。しかし、実務の現場では「安く作ったはずのシステムが、数年後には高くつく」という事態が少なくありません。その原因の多くは、開発費用だけを見て意思決定し、運用保守を含めた全体コスト、すなわちライフサイクルコストを十分に考慮していない点にあります。
本コラムでは、「ライフサイクルコストを重視する」という原理原則を軸に、なぜ初期費用だけで判断してはいけないのか、そしてフルスクラッチ開発においてどのような視点で投資判断を行うべきかを、事業会社のご担当者さま向けに分かりやすく解説します。
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目次
【要約】IT化の原理原則[7]ライフサイクルコストを重視する
システム導入の判断においては、初期の開発費用だけでなく、運用保守を含めたライフサイクル全体のコストを考慮することが重要です。短期的なコスト削減を優先すると、運用負荷の増大や保守性の低下を招き、結果として総コストが膨らむ可能性があります。特に業務パッケージの採用においては、過度なカスタマイズを前提とすると、将来的なバージョンアップ対応や保守に支障が生じやすくなります。対象業務や扱う情報の特性を見極め、適切な開発手法や技術を選定することが不可欠です。また、拡張性や障害対応のしやすさなど、運用性・保守性を高める設計を重視することで、長期的に安定したシステム運用と投資対効果の最大化につながります。
出典:独立行政法人情報処理推進機構
『超上流から攻める IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
『実務に活かす IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
「IT化の原理原則17ヶ条」が教える、IT導入を成功へ導くための基礎知識
IPAが公開する「IT化の原理原則17ヶ条」は、企業がIT導入やシステム開発を円滑に進めるための基本的な考え方を整理した指針です。ユーザー企業とシステム開発会社の視点の違い、要件定義の重要性、コミュニケーション不足が招く問題など、実務で起こりやすい課題を原理的に示している点が特長です。また、開発プロセスにおける責任や役割の明確化、投資判断の妥当性、品質確保への姿勢など、プロジェクト成功に必要な視点を包括的に提示しています。これらの原理原則を理解することで、組織が主体的にIT化を推進し、失敗しにくい体制を整えることができるようになります。
出典:独立行政法人情報処理推進機構
『超上流から攻める IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
『実務に活かす IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
ポイントをひとことで
このコラムは、システム投資を「初期開発費の比較」で判断する危うさを、実務視点で的確に整理しています。ライフサイクルコストを意識せずに設計されたシステムは、運用負荷や保守コスト、将来の改修難易度によって、結果的に高い投資となりがちです。重要なのは、業務特性や成長シナリオを踏まえ、開発手法・構成・技術選定を長期視点で設計することです。フルスクラッチ開発は、その前提整理ができてこそ真価を発揮する選択肢だと言えます。
ライフサイクルコストとは何か
ライフサイクルコストとは、システムを「作る」段階だけでなく、「使い続け、維持し、最終的に刷新する」までにかかる総コストを指します。具体的には、以下のような要素が含まれます。
- 企画・要件定義・設計・開発にかかる初期費用
- インフラや環境構築にかかるコスト
- 運用保守、障害対応、監視にかかる継続費用
- 機能追加や改修、法改正対応に伴う費用
- 利用者教育や業務定着のためのコスト
これらを合算して初めて、「そのシステムにどれだけの投資が必要なのか」を正しく把握できます。
初期費用重視が招く典型的な失敗
初期費用だけを重視したシステム開発では、次のような問題が起こりがちです。
運用負荷が想定以上に大きくなる
開発段階では問題なく見えたシステムでも、実際の運用が始まると手作業が多く、担当者の負担が増えるケースがあります。結果として、運用コストが膨らみ、業務効率化の効果が薄れてしまいます。
保守性が低く、改修に時間と費用がかかる
短期的な開発コスト削減を優先した設計では、将来的な改修や機能追加が困難になることがあります。その都度、想定以上の工数や費用が発生し、総コストが増大します。
システム刷新のタイミングが早まる
拡張性や柔軟性を考慮せずに構築されたシステムは、事業成長に耐えられず、数年で作り直しが必要になる場合があります。これはライフサイクルコストの観点では大きな損失です。
業務パッケージとライフサイクルコストの関係
業務パッケージは、初期費用を抑えやすい選択肢として検討されることが多いですが、ライフサイクルコストの視点では注意が必要です。特に、カスタマイズを前提とした利用は、次のようなリスクを伴います。
- カスタマイズ部分が将来のバージョンアップで引き継げない
- 保守や障害対応が複雑化する
- 特定の製品や環境に依存し、選択肢が狭まる
結果として、初期費用は低く抑えられても、長期的な運用・保守コストが高くなるケースが少なくありません。
フルスクラッチ開発とライフサイクルコスト
フルスクラッチ開発は初期費用が高いと思われがちですが、ライフサイクルコストの観点では有効な選択となる場合があります。理由は、業務や将来像に合わせて設計できるため、次のようなメリットが得られるからです。
- 業務に最適化された設計により、運用負荷を抑えられる
- 将来の機能追加や事業拡大を見据えた拡張性を確保できる
- 不要な機能を持たず、保守対象を最小限に抑えられる
これにより、長期的には安定した運用とコストコントロールが可能になります。
運用保守を前提とした設計の重要性
ライフサイクルコストを抑えるためには、開発段階から運用保守を前提とした設計が欠かせません。例えば、以下のような観点が重要です。
- 障害発生時に原因を特定しやすい構成
- モニタリングやログ取得が容易な仕組み
- 拡張や改修を前提とした疎結合な設計
- OSやミドルウェアの更新に対応しやすい構成
これらは、開発時には見えにくい要素ですが、運用フェーズで大きな差となって現れます。
ROIの視点でシステム投資を考える
ライフサイクルコストを考えるうえで欠かせないのが、投資対効果(ROI)の視点です。単に「いくらかかるか」ではなく、「どの期間で、どのような効果が得られるのか」を評価する必要があります。
- 業務時間の削減
- 人的ミスの低減
- サービス品質の向上
- 事業拡大への貢献
これらの効果を定量・定性の両面で整理することで、システム投資の妥当性を判断しやすくなります。
システム開発会社選びで見るべき視点
ライフサイクルコストを重視する場合、システム開発会社の姿勢も重要な判断材料となります。
- 初期費用だけでなく、運用保守まで含めた説明があるか
- 将来の拡張や改修を前提とした設計を提案しているか
- 技術選定の理由を、事業視点で説明できるか
これらを丁寧に確認することで、短期的ではなく長期的に信頼できるパートナーを選びやすくなります。
【関連記事】
システム開発に最適なパートナー選びの方法を徹底解説!
まとめ
システム開発の成功は、初期費用の多寡だけで決まるものではありません。開発、運用保守、そして将来の拡張までを含めたライフサイクルコストを意識することで、初めて本質的な投資判断が可能になります。特にフルスクラッチ開発では、業務や事業の特性を踏まえた設計ができる分、長期的な視点でのコスト最適化が実現しやすくなります。システムを「一度作って終わり」にせず、事業を支え続ける基盤として捉えることが、失敗しないシステム化への第一歩です。
システムを長く使い続けるためには、開発時点の費用だけでなく、運用・保守・拡張まで含めた全体最適の視点が欠かせません。フレシット株式会社は、要件定義の初期段階からライフサイクルコストを意識し、業務内容や将来の事業展開を踏まえた設計を行うことを強みとしています。フルスクラッチ開発だからこそ可能な柔軟性を活かし、過度なカスタマイズや無理な構成を避け、運用負荷や保守リスクを抑えた現実的なシステムを構築します。システムを「作ること」ではなく、「事業を支え続ける基盤」として捉え、本質的なシステム化を進めたいとお考えでしたら、ぜひフレシット株式会社にご相談ください。貴社の将来を見据えた最適な選択肢を、伴走しながら共に描いていきます。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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