Webシステムの仕組みをレストランで解説!はじめての発注担当者が知るべき開発の裏側と選び方
仕組みの理解が、開発手法と発注判断の質を高める
2026-01-02

「Webシステムを作りたい」と考えたとき、まず最初にぶつかる壁が、専門用語の多さと仕組みの難解さではないでしょうか。サーバー、データベース、クラウド、フロントエンド、バックエンド……。お見積もりの項目を見ても、何に費用がかかっているのか、なぜ開発に数ヶ月もかかるのか、直感的には理解しにくいものです。
しかし、ご安心ください。私たちエンジニアが普段扱っている技術は複雑に見えますが、その基本的な構造は、皆さんがよく知っている「ある場所」の仕組みと驚くほど似ています。
本コラムでは、ITやエンジニアリングの知識が全くないご担当者様に向けて、Webシステムが動く「仕組み」を徹底的にわかりやすく解説します。この仕組みを理解することは、単なる知識欲を満たすだけでなく、貴社のビジネスに最適な開発手法、特に「フルスクラッチ開発」の価値を見極めるための重要な判断基準となります。
PCやスマホのボタンを1つ押したとき、システムの裏側ではどのような処理が行われているのか。その具体的な仕組みとデータのやり取りを解説します。
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目次
ポイントをひとことで
本コラムは、Webシステムを「技術」ではなく「仕組み」として理解するための導入解説です。ブラウザ・サーバー・プログラム・データベースの役割分担をレストランに例えることで、ITやエンジニアリングの知識が全くないご担当者様でも処理の流れや開発コストの理由が直感的に把握できます。特に重要なのは、単に機能を作るのではなく、将来の拡張性や業務変化に耐えられる設計こそがシステムの価値である、という点をお伝えする構成になっています。システム発注や刷新を検討するご担当者様が「何を判断軸にすべきか」を整理するうえで、有効な視点を与えてくれる内容と言えるでしょう。
Webシステムの世界を「レストラン」に置き換えてみよう
Webシステムの仕組みを理解する上で、最もわかりやすい例えが「レストラン」です。私たちが普段、PCやスマホを使ってWebシステム(予約サイトやECサイトなど)を利用する流れは、レストランでお客様が料理を注文し、提供されるまでの流れとほぼ同じ役割分担で行われています。
主要な登場人物は以下の4人(4つの要素)です。
- お客様(ブラウザ):あなた自身、および使っているPCやスマホ
- ウェイター(Webサーバー):注文を聞き、料理を運ぶ係
- シェフ(アプリケーション/プログラム):注文内容に合わせて料理を作る係
- 食材倉庫(データベース):食材(データ)を保存している巨大な冷蔵庫
この4つの関係性を頭に入れながら、実際のデータの流れを見ていきましょう。
1.お客様(ブラウザ)からの注文
あなたがスマホで「商品Aを購入する」ボタンを押したとします。これはレストランで「ハンバーグ定食をください」と注文するのと同じです。このとき、あなたのスマホ(GoogleChromeやSafariなどのブラウザ)は、インターネットという道路を通って、お店(システム開発会社が用意したサーバー)に向かって注文票を飛ばします。これを専門用語で「リクエスト」と呼びます。
2.ウェイター(Webサーバー)の対応
お店に到着した注文票を最初に受け取るのが、ウェイター役の「Webサーバー」です。Webサーバーの仕事は、あくまで「接客」です。彼自体は料理(複雑な計算処理)をしません。「商品Aの購入ですね、承りました」と注文を受け取り、それを厨房にいるシェフに伝えます。また、もし注文されたのが「お店の地図が見たい」という簡単な内容(静的なページ)であれば、シェフの手を煩わせることなく、ウェイターがポケットから地図を出してすぐにお客様に渡すこともあります。
3.シェフ(アプリケーション)の調理
ここがWebシステムの心臓部です。PHPやJava、Rubyといった「プログラミング言語」で書かれたプログラムが、このシェフにあたります。ウェイターから「商品Aの購入注文が入ったぞ!」と伝えられると、シェフは調理を開始します。ただし、Webシステムの調理とは「計算」や「判断」のことです。
- 「このお客様はログインしているか?」
- 「商品Aの在庫は残っているか?」
- 「会員ランクに応じた割引はあるか?」
- 「消費税を計算して合計金額を出す」
こうしたビジネスロジック(業務ルール)に基づいて、瞬時に処理を行います。システム開発会社に依頼する費用の多くは、この「優秀なシェフ(プログラム)を育てる(書く)」ための人件費と言っても過言ではありません。
4.食材倉庫(データベース)からの出し入れ
シェフは調理の過程で、食材(データ)を必要とします。「商品Aの現在の在庫数」や「お客様のクレジットカード情報」などは、厨房の奥にある巨大な食材倉庫「データベース」に保管されています。シェフは倉庫番(データベース管理システム)に対して、「商品Aの在庫を1つ減らして!」「売上データに1件追加して!」と指示を出します。データベースは、企業の資産である大切なデータを整理整頓して守っている、非常に重要な金庫のような場所です。
5.料理の提供(レスポンス)
シェフの調理(計算・データ処理)が終わり、「注文完了画面」という料理が出来上がると、それを再びウェイター(Webサーバー)に託します。ウェイターはインターネットという道路を通って、お客様(ブラウザ)の元へ料理を運びます。あなたのスマホに「購入ありがとうございました」という画面が表示された瞬間、この一連の流れ(レスポンス)が完了したことになります。
驚くべきことに、Webシステムはこの「注文→受付→調理→データ確認→提供」という工程を、わずか0.1秒〜数秒の間に行っているのです。
「静的」なWebサイトと「動的」なWebシステムの違い
仕組みの話をすると、よく「Webサイト(ホームページ)」と「Webシステム」は何が違うのか?という疑問が湧いてきます。これもレストランで説明がつきます。
静的なWebサイト=「作り置きのお弁当」
コーポレートサイトやブログ記事のように、誰が見ても同じ内容が表示されるページを「静的(せいてき)」と呼びます。これは、すでに完成している「作り置きのお弁当」や「売店のお菓子」のようなものです。ウェイター(Webサーバー)は、棚にある商品をそのままお客様に渡すだけです。シェフ(プログラム)による調理が必要ないため、表示が速く、仕組みもシンプルで安価に作れます。
動的なWebシステム=「オーダーメイドのコース料理」
一方、ECサイト、予約システム、SNS、業務管理ツールなどは「動的(どうてき)」と呼ばれます。見る人やタイミングによって、表示される内容が変わるからです。
- Aさんが見たら「ようこそAさん」と表示される。
- 在庫が減ったら「残りわずか」と表示が変わる。
- 検索窓に「東京」と入れたら、東京の天気だけが表示される。
これらは全て、注文が入ってからシェフ(プログラム)がその場で作っています。食材(データ)を組み合わせ、計算し、その人専用の画面(料理)を瞬時に生成しているのです。これが「Webシステム」の本質であり、開発難易度が高くなる理由です。
なぜWebシステム開発には「プロの技術」が必要なのか
ここまでの説明で、「なんとなく動きはわかった。でも、プログラムを書くだけなら誰でもできるのでは?」と思われたかもしれません。しかし、ビジネスで使えるシステムを作るには、単に「動く」だけでは不十分です。プロのシステム開発会社は、以下のような「見えない部分」に技術とノウハウを注ぎ込んでいます。
1.100人が同時に注文してもパンクさせない設計
レストランにお客様が1人しか来ないなら、アルバイトのウェイターと新米シェフでも回せるかもしれません。しかし、人気店のように100人、1,000人が同時に押し寄せたらどうでしょうか?プロのエンジニアは、「アクセスが集中してもサーバー(ウェイター)を増員して対応できる構成」や、「データベース(倉庫)の前で行列を作らせないための効率的なデータ取得方法」を設計します。これが「インフラ構築」や「パフォーマンスチューニング」と呼ばれる領域です。
2.食中毒(バグ・セキュリティ事故)を起こさない衛生管理
Webシステムにおける「食中毒」とは、個人情報の漏洩や、データの不整合(在庫がないのに注文できてしまう等)です。悪意のあるハッカーは、常にシステムの隙を狙っています。プロのシェフ(エンジニア)は、食材(データ)の扱い方に厳格なルールを設け、外部からの攻撃を防ぐためのセキュリティ対策(WAF導入、暗号化、入力値のチェックなど)を何重にも施します。
3.メニュー変更(機能追加)に耐えられる厨房づくり
ビジネスは変化します。「来月から新メニューを出したい」「コースの内容を変えたい」といった要望が出たとき、厨房(プログラムの構造)が整理整頓されていなければ、対応に時間がかかりすぎたり、変更のせいで他の料理の味が変わったり(バグの発生)してしまいます。後々の変更を見越して、きれいで読みやすく、変更に強いプログラムを書く能力こそが、プロフェッショナルの証です。
仕組みを知れば納得!「フルスクラッチ開発」が選ばれる理由
Webシステムの仕組み、特に「シェフ(プログラム)」と「倉庫(データベース)」の連携を理解すると、なぜ多くの企業が、既存のパッケージソフトではなく、ゼロから作る「フルスクラッチ開発」を選ぶのかが見えてきます。
パッケージソフトは「チェーン店のマニュアル」
世の中には、安価にECサイトや予約システムが作れるパッケージ製品やSaaS(クラウドサービス)がたくさんあります。これらは、いわば「チェーン店のマニュアル」です。「ハンバーグ定食」も「カレーライス」も、あらかじめ決められたレシピと手順で作ることが義務付けられています。「うちは隠し味に味噌を入れたい」「お客様の好みに合わせて焼き加減を秒単位で変えたい」といった独自の要望があっても、マニュアル(仕様)の範囲外であれば対応できません。無理に対応しようとすると、逆にコストが跳ね上がったり、システムの動作が不安定になったりします。
フルスクラッチは「専属シェフによるオーダーメイド」
一方、フルスクラッチ開発は、貴社のビジネスのためだけに厨房を設計し、シェフを雇うことです。
- 「自社独自の複雑な割引ルールを適用したい」
- 「既存の基幹システム(古い倉庫)とリアルタイムで在庫を連携させたい」
- 「業界特有の商習慣に合わせた入力画面にしたい」
こうした要望は、パッケージの決まったプログラムでは実現不可能です。Webシステムの仕組み上、プログラム(シェフ)はデータベース(倉庫)から自由自在にデータを取り出し、あらゆる計算を行うことができます。この「自由度」を100%活かせるのがフルスクラッチ開発です。
貴社のビジネスが、他社と同じ一般的なフローであればパッケージで十分かもしれません。しかし、「独自の工夫で他社と差別化したい」「業務効率を極限まで高めたい」と考えるなら、仕組みの制約を受けないフルスクラッチ開発が、結果として最も高い投資対効果を生み出します。
まとめ
本コラムでは、難解なWebシステムの仕組みを「レストラン」に例えて解説しました。
- ブラウザ(お客様)、サーバー(ウェイター)、プログラム(シェフ)、データベース(食材倉庫)が連携して動いている。
- Webシステムは、注文のたびに画面を生成する「動的」な料理である。
- プロの仕事は、単に作るだけでなく、大量注文(アクセス)や食中毒(セキュリティ事故)への対策を講じることにある。
- フルスクラッチ開発は、独自のレシピと厨房設計により、ビジネスの強みを最大限に引き出す手法である。
Webシステムの裏側には、お客様(ユーザー)に快適な体験を届けるために、0.1秒単位で働く高度な技術の連携があります。もし貴社が、既存の枠に収まらない新しいサービスや、業務改革を目指しているのであれば、その想いを形にできるのは、仕組みを熟知し、ゼロから設計図を描ける技術力を持ったシステム開発会社だけです。
「こんなことはシステムで実現できるのだろうか?」そう思われたら、ぜひ一度フレシット株式会社にご相談ください。貴社のビジネスという素晴らしいレストランを支える、最高の厨房づくりをお手伝いいたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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