Webシステムとアプリの違いとは?開発前に知るべきメリット・デメリットと最適な選び方
事業フェーズから考える、Webシステムとアプリの最適な選択基準
2026-01-03

「新規事業で新しいサービスを立ち上げたい」「社内の業務効率化のためにデジタルツールを導入したい」
そう考えたとき、最初に直面するのが「Webシステム(Webアプリ)で作るべきか、それともスマホアプリ(ネイティブアプリ)で作るべきか?」という選択ではないでしょうか。
日常的に私たちがスマホで触れているのは「アプリ」が多いため、「なんとなくアプリの方が便利そう」「これからはアプリの時代だろう」と考えがちです。しかし、ビジネスの現場において、この「なんとなく」の選択は非常に危険です。
実は、初期開発のコスト、メンテナンスのしやすさ、そしてビジネスの拡張性を考えると、多くのケースにおいて「Webシステム」の方が圧倒的に有利な場合が多いのをご存じでしょうか。
本コラムでは、ITやエンジニアリングの知識がないご担当者様に向けて、Webシステムとアプリの決定的な違いを解説します。さらに、なぜ多くの成功企業が「まずはWebシステムから」スタートし、その際に「フルスクラッチ開発」を選ぶのか、その理由をビジネス視点で紐解いていきます。
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目次
ポイントをひとことで
このコラムの本質は、「Webかアプリか」という表面的な選択ではなく、事業の成長曲線に耐えられるシステム基盤を最初に描けているか、という点にあります。多くの失敗事例は、初期の利便性や流行だけでアプリ開発に踏み切り、結果としてコスト増・改修不能・拡張の壁に直面します。まずWebシステムでMVPを構築し、業務やユーザーの実態を踏まえて育てていく。その前提でAPIやデータ構造を設計できるかどうかが、将来のアプリ展開や事業スケールを左右します。技術選定とは経営判断そのものだ、という視点を持つご担当者様にこそ読んでほしい内容です。
【基礎知識】Webシステムとアプリの決定的な違い
まずは、言葉の定義と仕組みの違いを整理しましょう。一般的に「アプリ」と呼ばれるものは、大きく分けて2種類あります。App StoreやGoogle Playからダウンロードして使う「ネイティブアプリ」と、インターネットブラウザ上で動く「Webシステム(Webアプリ)」です。
1.ネイティブアプリ(スマホアプリ)
皆さんのスマートフォンに入っている、LINEやInstagram、カメラアプリなどがこれに該当します。「ストアからダウンロード」し、「端末(スマホ本体)にインストール」して利用するのが最大の特徴です。スマホそのものの機能(カメラ、GPS、通知機能など)を最大限に活用できます。
2.Webシステム(Webアプリ)
Google ChromeやSafari、Edgeなどの「ブラウザ」を開いて利用するシステムです。Amazonや楽天などのECサイト、Gmail、社内の勤怠管理システムなどが該当します。「インストール不要」で、インターネット環境さえあれば、PCでもスマホでもタブレットでも、どの端末からでも同じように利用できるのが最大の特徴です。
例えるなら…
- ネイティブアプリは「マイカー」自分専用にカスタマイズされ、いつでもすぐに走り出せますが、購入(ダウンロード)の手間があり、定期的な車検(アップデート)が必要です。
- Webシステムは「電車やバス」駅(URL)に行けば誰でもすぐに乗れます。メンテナンスは鉄道会社(サーバー側)が行うので、利用者は何も気にする必要がありません。
徹底比較!機能・費用・集客におけるメリットとデメリット
では、ビジネスで導入する場合、具体的にどのような違いが出るのでしょうか。「機能面」「費用面」「集客・運用面」の3つの軸で比較します。
1.機能面の比較:スマホ独自の機能を使いたいか?
ネイティブアプリの強み
プッシュ通知が最大の武器です。ユーザーがアプリを開いていなくても、「セール開始!」「承認依頼が届いています」といった通知をスマホの画面に直接送れるため、利用頻度を高めることができます。また、一度データを読み込めば、電波のないオフライン環境でも一部機能が使える点もメリットです。
Webシステムの強み
かつては「Webは動きが遅い」と言われましたが、現在は技術の進歩により、アプリと遜色ないサクサクとした動作が可能です。何より、PCとスマホの両方でスムーズに使える「マルチデバイス対応」が標準である点が強力です。業務利用の場合、入力作業はPC、閲覧はスマホといった使い分けが自然に行えます。
2.費用と期間の比較:コストパフォーマンスは?
ここが最も大きな判断基準になります。
ネイティブアプリの弱点
開発コストが高額になりがちです。なぜなら、iPhone(iOS)とAndroidという全く異なる2つのOS向けに、別々のプログラミング言語で開発する必要があるからです。実質的に2つのシステムを作るのと変わらないため、費用も工数もWebシステムの1.5倍〜2倍程度になることが一般的です。
Webシステムの強み
OSに依存しないため、一つのシステムを作れば、iPhoneでもAndroidでも、WindowsでもMacでも動きます。開発工数を大幅に圧縮できるため、初期投資を抑えてスピーディーにリリースすることが可能です。
【関連記事】
システム開発の費用相場は?費用を抑えるコツや依頼先選びのポイントについても解説
3.集客と運用の比較:ユーザーへのハードルは?
ネイティブアプリの壁
「ダウンロード」という高いハードルがあります。ユーザーは、よほど興味があるか必要に迫られない限り、わざわざストアで検索して、ギガ数を消費してアプリを入れようとはしません。また、リリースや更新のたびにAppleやGoogleの厳しい「審査」を通す必要があり、ビジネスのスピード感が損なわれるリスクがあります(審査に落ちるとリリースできません)。
Webシステムの強み
「検索」に強いのが特徴です。Google検索から直接ページにアクセスできるため、新規ユーザーの獲得(SEO対策)において圧倒的に有利です。URLをクリックするだけで使い始められるため、利用開始のハードルが極めて低いのもメリットです。また、システムを更新すれば、その瞬間に全ユーザーに最新機能が反映されます。
ビジネスの成功を左右する「選び方」の基準
違いが見えてきたところで、貴社のプロジェクトはどちらを選ぶべきでしょうか。以下の基準を参考にしてください。
Webシステムを選ぶべきケース
- 予算を抑えてスピーディーに立ち上げたい
- BtoB(企業向け)のサービスや社内業務システムである(PCでの利用が想定される)
- 検索エンジンからの集客(SEO)を重視したい
- ユーザーにダウンロードの手間をかけさせたくない
- 頻繁に機能追加や改善を行いたい
ネイティブアプリを選ぶべきケース
- 毎日数回以上利用させるツールである(SNSやチャットなど)
- プッシュ通知がビジネスモデルの核である
- スマホのカメラやセンサーを高度に活用する(AR機能やゲームなど)
- オフライン環境での利用が必須である
正直に申し上げますと、一般的な業務システムや、ECサイト、マッチングサービス、予約システムといった多くのビジネス用途においては、「まずはWebシステム」を選択するのが正解です。
なぜ「Webシステム」からのスタートが推奨されるのか
多くのシステム開発会社が、最初のステップとしてWebシステム開発を勧めるのには、深い理由があります。それは「リスクヘッジ」と「拡張性」の問題です。
「アプリを作りたい」と言っても、結局Webシステムは必要になる
ここが盲点になりがちなのですが、スマホアプリを作ったとしても、その裏側には必ず「Webシステム」が必要です。アプリ上の会員データや商品データ、予約情報などは、スマホの中にあるわけではありません。インターネットの向こう側にある「サーバー」と「データベース」で管理されています。そして、それらのデータを管理画面(PCブラウザ)で操作するのは、結局のところWebシステムなのです。
つまり、「アプリだけ作る」ということは不可能で、「管理用のWebシステム+スマホアプリ(iOS / Android)」という3点セットを作ることになります。これがコスト高の正体です。
まずはWebシステムで「MVP開発」を
新規事業において最も恐ろしいのは、「巨額の費用をかけてアプリを作ったが、誰もダウンロードしてくれなかった」という事態です。まずは、Webシステムとしてサービスを開発し、PCやスマホのブラウザで使える状態でリリースします。これを「MVP開発(実用最小限の製品)」と呼びます。
Webシステムであれば、検索からユーザーを集めやすく、フィードバックを受けて即座に修正・改善が可能です。そこで十分にユーザーが定着し、「もっと便利に使いたい」という要望が高まった段階で、初めてネイティブアプリ化を検討しても遅くはありません。実は、有名なメルカリやFacebookなども、最初はWeb版からスタートしているのです。
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MVP開発の成功事例4選!成功のポイントについても徹底解説
将来の拡張を見据えた「フルスクラッチ開発」という選択肢
Webシステムを選択した場合でも、その作り方には「既存のパッケージやCMSを使う方法」と「フルスクラッチで開発する方法」があります。将来的にアプリ化することを見据えるならば、「フルスクラッチ開発」が強力な選択肢となります。
パッケージの限界と「データの足かせ」
安価なパッケージシステムでWebサービスを立ち上げた場合、多くの場合、データ構造がそのパッケージ専用の形式になっています。いざ事業が軌道に乗り、「そろそろスマホアプリを出したい」となったとき、パッケージのシステムとアプリを連携させるのが技術的に難しく、最悪の場合、システム全体をゼロから作り直すことになります。
フルスクラッチなら「API」で未来に繋がる
フルスクラッチ(オーダーメイド)で開発する場合、将来の拡張性を見据えて、最初から「API(エーピーアイ)」という仕組みを設計に組み込んでおくことが可能です。APIとは、システムの裏側にあるデータ(会員情報や商品情報)を、外部のプログラムから呼び出せるようにする「接続口」のことです。
フルスクラッチでしっかりとしたAPIを持つWebシステムを作っておけば、将来アプリを開発する際、そのAPIに接続するだけで済みます。つまり、裏側のシステム(脳みそ)はそのまま使い回し、スマホアプリ(見た目)を作るだけで済むため、開発コストと期間を大幅に短縮できるのです。
また、フルスクラッチであれば、貴社独自の複雑な業務フローや、他社にはないユニークな機能も、制約なく実現できます。「最初はWebで小さく始め、将来はアプリ展開もしながら大きく育てる」。このロードマップを描けるのが、フルスクラッチWebシステムの最大の強みです。
まとめ
本コラムでは、Webシステムとアプリの違い、そしてビジネス視点での選び方について解説しました。
- ネイティブアプリ:動作・通知に優れるが、コストと集客のハードルが高い。
- Webシステム:マルチデバイス対応でコストパフォーマンスが良く、検索集客に強い。
- ビジネスの定石:まずはWebシステムからスモールスタートし、検証サイクルを回す。
- 拡張性の確保:将来のアプリ化(API連携など)を見据えるなら、フルスクラッチ開発が最適。
「なんとなくアプリ」でプロジェクトを始めてしまうと、後戻りできないコストが発生します。重要なのは、現在のフェーズだけでなく、将来の事業成長まで見据えた設計ができているかどうかです。
フレシット株式会社では、単にシステムを作るだけでなく、事業フェーズや運用体制に合わせたロードマップ設計からフルスクラッチで支援しています。初期段階から将来の拡張(アプリ化やデータ活用)を見越したAPI設計を行うことで、「まずはWebで小さく始め、軌道に乗ったらアプリへ展開する」といった柔軟な成長戦略が実現可能です。
「やりたいことはあるけれど、Webかアプリか決めきれない」そんな段階でも構いません。「流行り」ではなく「貴社のビジネスにおける最適解」をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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