システム開発をフルスクラッチで成功させるために──「システム化の方針・狙い」を共有できていますか?
仕様の前に決めるべき、たった一つのこと
2026-01-04

システム開発を検討する際、多くのご担当者さまが「何を作るか」「どんな機能が必要か」に意識を向けがちです。しかし、プロジェクトの成否を大きく左右するのは、機能の多さや最新技術の採用ではありません。
本当に重要なのは、「なぜシステムを作るのか」「このシステムで何を実現したいのか」というシステム化の方針や狙いが、関係者全体で共有されているかどうかです。
本コラムでは、IT化の原理原則[8]「システム化の方針・狙いを共有することが成功を左右する」を軸に、事業会社がフルスクラッチ開発を成功させるために押さえるべき考え方を解説します。
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目次
【要約】IT化の原理原則[8]システム化の方針・狙いを共有することが成功を左右する
システム化を成功させるためには、情報システムを導入する目的や背景、達成したい事業目標を明確にし、その方針・狙いを関係者全体に周知徹底することが不可欠です。超上流段階でこの共有が不十分なまま進むと、各担当者が個別最適の要求を出し始め、仕様調整に時間を要するだけでなく、構築後の運用・保守においても無駄なコストや負荷が増大します。情報システムは技術そのものが目的ではなく、事業目標を達成するための手段であることを関係者全員が理解し、共通認識のもとで設計・構築を進めることが、長期的に見て効率的かつ安定したシステム運用につながります。
出典:独立行政法人情報処理推進機構
『超上流から攻める IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
『実務に活かす IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
「IT化の原理原則17ヶ条」が教える、IT導入を成功へ導くための基礎知識
IPAが公開する「IT化の原理原則17ヶ条」は、企業がIT導入やシステム開発を円滑に進めるための基本的な考え方を整理した指針です。ユーザー企業とシステム開発会社の視点の違い、要件定義の重要性、コミュニケーション不足が招く問題など、実務で起こりやすい課題を原理的に示している点が特長です。また、開発プロセスにおける責任や役割の明確化、投資判断の妥当性、品質確保への姿勢など、プロジェクト成功に必要な視点を包括的に提示しています。これらの原理原則を理解することで、組織が主体的にIT化を推進し、失敗しにくい体制を整えることができるようになります。
出典:独立行政法人情報処理推進機構
『超上流から攻める IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
『実務に活かす IT化の原理原則 17ヶ条』原理原則[1]
ポイントをひとことで
このコラムが示しているのは、システム開発の成否は技術力や機能要件以前に、「なぜそのシステムを作るのか」という方針と狙いをどこまで言語化し、関係者で共有できているかに大きく左右されるという点です。目的が曖昧なまま進めば、要件は発散し、判断基準を失った設計や改修が積み重なります。超上流での方針整理と共有は、開発効率だけでなく、運用保守フェーズの安定性や投資対効果にも直結する重要なプロセスだと言えます。
システム開発の失敗は「目的の不在」から始まる
システム開発の現場では、「要件は出ているのに、なぜか話が噛み合わない」「途中で仕様がぶれる」「完成したが使われない」といった問題が頻発します。
その多くは、システム化の目的や方針が曖昧なまま開発が進んでしまうことに起因しています。現場部門、経営層、情報システム部門、それぞれが異なる期待やゴールを思い描いたまま要件を出すと、仕様は肥大化し、調整コストが増大します。
システムは業務を効率化するための道具であり、事業目標を達成するための手段です。システムそのものを目的化してしまうと、「作ること」がゴールになり、結果として投資対効果の低い仕組みが出来上がってしまいます。
超上流で問われる「方針」と「狙い」の言語化
フルスクラッチ開発において特に重要なのが、超上流フェーズでの意思決定です。この段階で、「どの業務を変えたいのか」「現状のどこに課題があるのか」「将来的にどこまで成長させたいのか」といった方針と狙いを明確にし、言語化しておく必要があります。
例えば、「業務効率化」が目的なのか、「新規事業創出」が目的なのかによって、設計思想や優先すべき要件は大きく異なります。この前提が共有されていないと、後工程で仕様変更が頻発し、スケジュールやコストに悪影響を及ぼします。
ステークホルダー全体への周知徹底が不可欠な理由
システム開発には、多くのステークホルダーが関わります。現場の利用者、管理部門、経営層、そしてシステム開発会社。それぞれの立場が異なるからこそ、共通の判断軸が必要になります。
システム化の方針・狙いが共有されていない場合、各担当者は自分にとって都合の良い要求を出しがちです。その結果、仕様の統一に時間がかかり、開発後も「想定と違う」「聞いていない」といった不満が生じます。一方、方針と狙いが明確に共有されていれば、要件の取捨選択や優先順位付けもスムーズになり、合理的な判断が可能になります。
フルスクラッチ開発だからこそ方針共有が活きる
フルスクラッチ開発は、パッケージ導入と異なり、ゼロから設計できる自由度の高さが特徴です。
この自由度は大きな武器である一方、方針が曖昧だと迷走するリスクも孕んでいます。
だからこそ、システム開発会社に「作りたいもの」を伝えるだけでなく、「実現したい状態」や「事業としての狙い」を共有することが重要です。システム開発会社がその背景を理解していれば、単なる要件実装にとどまらず、事業全体を見据えた設計や改善提案が可能になります。
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方針共有は運用保守フェーズにも影響する
システムは完成して終わりではありません。運用保守のフェーズに入ってからも、判断が求められる場面は数多くあります。このとき、初期に定めた方針や狙いが明確であれば、機能追加や改修の判断基準として機能します。
逆に、方針が曖昧なままだと、場当たり的な対応が増え、システムは次第に複雑化していきます。その結果、運用保守コストが膨らみ、使い勝手も悪化してしまいます。
まとめ
システム開発を成功させるためには、「何を作るか」以上に、「なぜ作るのか」「何を目指すのか」を明確にすることが重要です。
システム化の方針・狙いを超上流で定め、ステークホルダー全体で共有することで、要件定義や設計、さらには運用保守に至るまで、一貫した判断が可能になります。
フルスクラッチ開発は自由度が高いからこそ、方針共有の有無が成果を大きく左右します。
システムを単なる業務ツールとしてではなく、事業を支える基盤として捉え、目的と狙いを明確にしたうえでプロジェクトを進めることが、長期的に価値のあるシステム構築につながります。
システム化の方針や狙いを明確にし、それを関係者全体で共有することは、言葉で言うほど簡単ではありません。現場の課題、経営の視点、将来の事業構想を整理し、一貫した設計思想として落とし込むには、高い業務理解と設計力が求められます。
フレシット株式会社では、いきなり仕様や機能の話から入るのではなく、事業背景や目指す姿を丁寧に整理するところから伴走します。そのうえで、方針や狙いを要件・画面・データ設計へと一貫して反映させることで、「作って終わり」ではない、長く使い続けられるフルスクラッチのシステム構築を支援しています。
方針共有に不安を感じている段階こそ、早めに専門家の視点を取り入れることで、プロジェクト全体の質と確度を大きく高めることができます。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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