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COLUMN コラム詳細

丸紅が進める畜産データ一元化に見る、なぜ“現場の経験と勘”はSaaSでは扱いきれないのか

データ化が進むほど「汎用ツール」が合わなくなる理由

2026-01-05

近年、AIや各種デジタルツールの普及により、これまで「現場の経験」や「長年の勘」によって支えられてきた業務が、少しずつデータとして可視化され始めています。畜産業界においても、牛の体重や健康状態、育成履歴などをデータとして管理し、生産性向上や担い手不足の解消につなげようとする動きが進んでいます。

こうした流れを見ると、「データ化できるなら、SaaSを導入すれば十分ではないか」と考える企業担当者も少なくありません。しかし実際には、データ化が進めば進むほど、汎用的なSaaSでは対応しきれない課題が浮き彫りになります。本コラムでは、なぜ“現場の経験と勘”はSaaSでは扱いきれないのか、そしてなぜフルスクラッチによるシステム構築が必要になるのかを解説します。

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【記事要約】畜産テックが進化、農家の経験と勘をデータ化し生産性向上へ

畜産業界では、AIやセンサーを活用して農家の経験や勘をデータとして可視化・共有する動きが広がっている。丸紅は牛の体重、投薬、血液検査、売買履歴などを一元管理するプラットフォームを開発し、国内牛の約4割にあたる160万頭の登録を目指す。画像解析による体重推定や紙書類のAI読み取りにより、従来は属人的だった管理や判断がデータに基づくものへと変わりつつある。こうした仕組みは飼料改善や治療の高度化、融資判断の効率化にもつながり、担い手不足が深刻な畜産業の生産性向上と持続性確保を支える基盤になりつつある。

出典:日本経済新聞「丸紅、畜産データ丸ごと管理 体重や血液情報、牛160万頭登録目指す」2025年12月11日付朝刊

ポイントをひとことで

本コラムでは、データ化そのものではなく「何を、どの粒度で、どんな文脈と一緒に扱うか」がシステムの価値を決めるという点です。現場の経験や勘は、数値だけを切り出しても再現できません。判断に至る背景や例外処理まで含めて初めて業務データになります。SaaSが合わなくなるのは必然であり、業務起点で設計できるフルスクラッチだからこそ、データ化が進むほど競争力が高まる状況をつくれます。

現場の経験と勘は「例外の集合体」である

多くの現場業務は、マニュアル通りに進むものばかりではありません。むしろ実態は、例外対応の積み重ねによって成り立っています。例えば、畜産の現場では、牛の体調や成長具合を見ながら給餌量を微調整したり、わずかな行動変化から体調不良を察知したりします。こうした判断は、単一の数値だけで決まるものではなく、天候、飼育環境、個体差、過去の経験など、複数の要素が絡み合っています。

この「経験と勘」は、属人的である一方、非常に高度な判断ロジックの集合体でもあります。問題は、汎用SaaSの多くが、あらかじめ定義された項目やフローの中でしかデータを扱えない点にあります。
現場固有の判断軸や例外処理を十分に表現しようとすると、SaaSの想定を超えてしまうケースが少なくありません。

データ化=業務が単純化する、ではない

データ化という言葉には、「業務が整理され、シンプルになる」というイメージがつきまといます。しかし実際には、データ化が進むほど、業務の複雑さが可視化されるケースも多く見られます。これまで暗黙知として処理されてきた判断がデータとして表に出ることで、「どの条件で、どのような判断をしているのか」を定義する必要が生じるからです。

例えば、同じ「体重が増えにくい」という状況でも、成長段階や個体差によって取るべき対応は異なります。これをデータとして扱おうとすれば、単なる数値管理では足りず、文脈や背景情報を含めた設計が求められます。SaaSは、こうした業務固有の複雑性をすべて内包する前提で作られていません。その結果、運用で無理に合わせたり、別ツールや手作業で補完したりすることになり、かえって業務が分断されることもあります。

汎用SaaSが抱える構造的な限界

SaaSは多くの企業で利用されることを前提に設計されています。そのため、業界横断で通用する「最大公約数的な機能」が中心になります。
この構造自体は合理的ですが、業務の中核に「現場の経験と勘」が存在する企業にとっては、次のような課題が生じやすくなります。

まず、データ項目が足りない、もしくは粒度が合わないという問題です。
現場では重要な判断材料であっても、SaaS側に項目が存在しなければ、メモ欄や外部ファイルで管理せざるを得ません。

次に、業務フローが合わない問題です。
SaaSが想定する業務プロセスと、実際の現場の動きにズレが生じると、入力や確認が二度手間になり、定着しなくなります。

さらに、将来的な拡張性の問題もあります。
データを活用して新たな分析や判断支援を行おうとした際、SaaSの仕様変更を待つ必要があったり、そもそも実現できなかったりするケースも少なくありません。

フルスクラッチは「業務をシステムに合わせない」ための選択

フルスクラッチによるシステム開発の最大の特徴は、業務そのものを起点に設計できる点にあります。
現場で実際に行われている判断や工夫を丁寧に整理し、それをどのようなデータ構造で持ち、どのような画面や操作で扱うべきかをゼロから設計できます。

これにより、経験や勘を単に数値化するのではなく、「判断のプロセス」そのものをデータとして扱えるようになります。また、業務の変化に応じて項目やロジックを柔軟に拡張できるため、データ化が進むほど価値が高まる仕組みを構築できます。

重要なのは、フルスクラッチが特別なケースのための手段ではなく、むしろ「業務が複雑である企業」ほど合理的な選択になり得るという点です。

データ活用の成否は「設計段階」で決まる

AIや分析ツールを活用したいと考える企業は多いですが、その前提となるのが、どのようなデータを、どの構造で蓄積しているかです。
現場の経験や勘が反映されていないデータでは、いくら高度な分析を行っても、実務に役立つ示唆は得られません。

フルスクラッチによるシステム構築では、将来的なデータ活用を見据えた設計が可能です。
「今、何を管理するか」だけでなく、「将来、どんな判断を支援したいのか」まで含めて設計することで、データは単なる記録ではなく、事業の意思決定を支える資産になります。

まとめ

現場の経験や勘がデータ化されつつある今、システムに求められる役割は単なる記録や管理ではありません。
業務固有の判断や例外をどこまで正確に表現できるか、そしてそれを将来にわたって活用できる形で蓄積できるかが重要になります。

汎用的なSaaSは手軽さという強みがある一方で、業務の核心に踏み込もうとすると限界が見えてきます。
データ化が進むほど業務の複雑さが明らかになるからこそ、業務そのものを起点に設計できるフルスクラッチの価値が高まっていると言えるでしょう。

現場の経験や勘をデータとして扱うには、単にツールを導入するだけでは不十分です。業務の背景や判断の流れを正しく理解し、「なぜその判断が行われているのか」まで落とし込んだ設計があってこそ、データは意味を持ちます。当社フレシット株式会社では、要件を機能に落とし込む前段階から業務を丁寧に整理し、現場で実際に使われ続けることを前提としたシステム設計を行っています。汎用的な仕組みに業務を合わせるのではなく、業務そのものに合わせて仕組みをつくる。その結果として、データ化が進むほど価値が積み上がるオーダーメイドのシステムを実現しています。現場の強みを競争力として活かし続けたいとお考えであれば、フルスクラッチという選択肢を、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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