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COLUMN コラム詳細

システム移行・追加開発で失敗しないために知っておくべき「切り戻し」設計とは|フルスクラッチ開発で考える本番リリースの安全性

事業継続を守るためのリリース設計という視点

2026-01-11

システム移行や追加機能の本番リリースは、事業成長や業務改善に不可欠な取り組みです。一方で、リリース後に不具合や業務停止が発生すると、現場や顧客に大きな影響を及ぼします。こうしたリスクに備える考え方として重要なのが「切り戻し」です。切り戻しは単なる緊急対応ではなく、システム開発全体の品質や信頼性を左右する設計思想そのものです。

本コラムでは、事業会社のご担当者さまが押さえておくべき切り戻しの基本と、フルスクラッチ開発における考え方を整理します。

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本番リリース後に備える「切り戻し」とは何か

切り戻しとは、システム移行や追加機能の本番リリース後に、重大な不具合や業務影響が発生した場合に、システムをリリース前の安定した状態へ戻す対応を指します。想定外のエラーや性能劣化、業務停止リスクを最小限に抑えるための「安全装置」とも言えます。切り戻しには、データの復元方法、戻す判断基準、対応時間、関係者への連絡手順などを事前に定義しておくことが不可欠です。特に業務システムでは「切り戻せる前提」でリリース計画を立てることで、挑戦的な改善と安定運用の両立が可能になります。

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ポイントをひとことで

切り戻しの議論が示唆しているのは、システム開発における本当のリスクは「障害そのもの」ではなく、「障害が起きたときに判断できない状態」にあるという点です。戻せる設計とは、単に技術的に復元できることではなく、業務・意思決定・責任範囲まで含めて不確実性を管理する仕組みを持つことを意味します。切り戻しを前提に置けるかどうかは、システムを“完成品”として捉えるのか、“変化し続ける経営資産”として捉えるのかの分岐点であり、投資判断や設計思想の成熟度を測る重要な指標になります。

切り戻しとは何か、なぜ重要なのか

切り戻しとは、本番リリース後に重大な問題が発生した場合、システムをリリース前の安定した状態へ戻す対応を指します。データベース、アプリケーション、インフラ設定などを含め、業務が継続できる状態へ速やかに戻すことが目的です。

重要なのは、切り戻しは「失敗したときの保険」ではなく、「失敗を許容できる状態をつくるための前提条件」だという点です。切り戻しを前提に設計されていないリリースは、ひとたび問題が起きると判断が遅れ、被害が拡大しがちです。

切り戻しが想定されていないリリースの典型的な問題

切り戻しが軽視されると、リリース後に次のような状況が起こります。

・データ構造が変わり、元に戻せない
・旧システムと新システムが混在し、業務が停止する
・判断基準が曖昧で、切り戻すかどうかを現場が迷う
・関係者への連絡や意思決定に時間がかかる

これらは技術的な問題だけでなく、設計や計画段階での想定不足が原因です。

切り戻しは技術ではなく設計の問題

切り戻しというと、バックアップや復元といった技術的な話に意識が向きがちです。しかし実際には、「どの状態に戻すのか」「どの時点で戻す判断をするのか」「戻すことで業務にどのような影響が出るのか」といった設計・運用の問題が大半を占めます。

特に業務システムでは、データの整合性や業務フローとの関係を無視した切り戻しは成立しません。業務理解とセットで設計されて初めて、実行可能な切り戻しになります。

システム移行における切り戻しの考え方

システム移行では、旧システムと新システムの切り替えタイミングが最大のリスクポイントです。切り戻しを考える場合、次の点が重要になります。

・移行データの範囲と戻し方を明確にする
・移行後に入力されたデータの扱いを決めておく
・並行稼働や段階移行の可否を検討する

これらを事前に整理せず、「問題が起きたら戻す」と考えても、現実的には戻せないケースが多くあります。

追加機能リリースで求められる切り戻し視点

追加機能の場合、既存業務への影響が見えにくい点が課題になります。一見小さな機能でも、想定外の業務変更やパフォーマンス低下を引き起こすことがあります。
この場合、機能単位での有効・無効の切り替えや、段階的な公開といった設計が有効です。切り戻しとは「すべてを戻す」だけでなく、「影響範囲を限定して止める」ことも含みます。

切り戻し判断を支える基準と体制

切り戻しを成功させるには、技術だけでなく判断基準と体制が不可欠です。

・どのレベルの障害で切り戻すのか
・誰が最終判断を行うのか
・判断から実行までにかけられる時間はどれくらいか

これらが曖昧だと、現場は判断を先延ばしにし、結果として被害が拡大します。切り戻しは「迷わず決断できる状態」をつくることが本質です。

フルスクラッチ開発だからこそ可能な切り戻し設計

フルスクラッチ開発では、既存の制約に縛られず、業務やリスクに合わせた切り戻し設計が可能です。業務フロー、データ構造、運用体制を踏まえたうえで、「戻れる設計」「止められる設計」を組み込むことができます。これは単なる安全対策ではなく、安心して改善や挑戦を続けるための基盤になります。

まとめ

切り戻しは、システム移行や追加機能開発における最後の手段ではなく、最初から組み込むべき前提条件です。切り戻しを設計できているかどうかは、そのシステムが業務と真剣に向き合って作られているかの指標でもあります。本番リリースを成功させるためには、機能や納期だけでなく、「戻れるかどうか」という視点を持つことが欠かせません。

切り戻しを前提にした設計が求められる背景には、システムが「一度作って終わり」ではなく、事業や業務の変化とともに育て続ける存在になっている現実があります。当社フレシット株式会社では、機能要件だけでなく、リリース後に起こり得る判断・運用・リスクまでを含めて設計することを重視しています。業務理解を起点に、戻れる・止められる・調整できる構造をゼロから組み立てるフルスクラッチ開発だからこそ、安心して改善や挑戦を積み重ねるシステムづくりが可能です。システム移行や追加開発に不安を感じている段階でしたら、一度立ち止まり、設計の前提からご相談いただければと思います。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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