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COLUMN コラム詳細

トヨタのポイント経済圏構想に見る | なぜ顧客データは「あるのに使えない」のか

部門・拠点に分散した行動履歴が活かされない理由

2026-01-13

顧客データは十分に蓄積されているはずなのに、思うような成果につながらない。多くの企業で、こうした違和感が生まれています。購買履歴、利用履歴、問い合わせ履歴など、情報は確かに存在しているにもかかわらず、顧客理解や提案の精度が上がらない。

その背景には、データ量の不足ではなく「分断されたまま集められている」という構造的な問題があります。顧客データを事業成長につなげるために、何がボトルネックになっているのかを整理します。

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【記事要約】トヨタ、ID統合を起点にポイント経済圏へ参入し、モビリティ基盤を拡張

トヨタ自動車は、複数サービスに分散していた顧客IDを「トヨタアカウント」として統合し、ポイント経済圏の構築を本格化させています。これまでレンタカー、カーシェア、コネクテッドカーなどで個別管理されていたIDを一本化することで、アプリやサービスを横断的に利用できる基盤を整えました。今後はこの共通IDと決済基盤を連携させ、獲得したポイントをスマホ決済や電子マネーとして日常利用できるようにする方針です。ID統合により顧客の行動データを包括的に把握でき、車両購入後の継続課金型サービスや生活サービスとの連携を強化できます。IDを軸にした統合基盤は、売り切り型からサービス型ビジネスへの転換を支える中核となります。

出典:日本経済新聞「トヨタ、ポイント経済圏参入 サービス連携」2026年1月8日付朝刊

ポイントをひとことで

顧客データをうまく活かせるかどうかは、分析ツールの選び方よりも、「顧客をどういう単位で見ているか」「行動を一連の流れとして追えているか」で決まります。部門ごとに作られた仕組みは、その場では便利でも、全体を見た判断や先回りした提案をしにくくします。大切なのは、将来「顧客の見方」が変わっても、システムを作り直さずに対応できる余地を残しておくことです。作りやすさより、使い続けながら柔軟に変えられるかどうかが、投資の価値を左右します。

データはあるのに使えない企業が増えている理由

多くの企業では、CRM、販売管理、予約システム、問い合わせ管理など、目的ごとにシステムが導入されています。それぞれのシステムで顧客情報は管理されており、データが不足しているわけではありません。しかし、成果が出ない企業に共通しているのは、それらのデータが「つながっていない」ことです。

システムごとに顧客の持ち方が異なり、同じ顧客であっても別人として扱われているケースも珍しくありません。その結果、データは存在しても、全体像として顧客を捉えることができなくなります。

部門・拠点ごとに最適化された管理が分断を生む

データの分断は、意図的に起きているわけではありません。多くの場合、部門や拠点ごとに業務を効率化しようとした結果です。営業部門は商談管理を重視し、サポート部門は問い合わせ履歴を重視する。販売店や拠点ごとに独自の管理ルールが存在する。こうした積み重ねによって、顧客データは部門単位で最適化され、全社視点では分断された状態になります。

この状態では、「どの顧客が、いつ、何を利用し、どのように変化しているのか」を一貫して把握することができません。

行動履歴が分断されると何が起きるのか

顧客の行動履歴が分断されていると、企業側のアクションはどうしても後手に回ります。
過去の利用状況や購入傾向を横断的に把握できないため、提案は一律になりやすく、顧客の変化に気づくのも遅れます。本来であれば、利用頻度の低下や行動の変化からニーズを察知できるはずでも、データが散在していると判断材料として使えません。

結果として、「顧客に合った提案ができない」「タイミングを逃す」といった課題が生まれます。

「蓄積」よりも重要な「横断」という視点

顧客データ活用というと、まず「どれだけ多く集めるか」が語られがちです。しかし、本質的に重要なのは量ではなく、横断できるかどうかです。

購入履歴、利用履歴、契約情報、問い合わせ履歴が、同じ顧客として一つの線でつながっているか。これができていなければ、分析も提案も部分最適にとどまります。
横断的にデータを扱える状態を作ることが、顧客理解の精度を大きく左右します。

既存システムの延長では解決しにくい理由

分断の問題に直面したとき、多くの企業は「ツールを追加すれば解決できるのではないか」と考えます。しかし、既存システムの上に別の仕組みを重ねるだけでは、根本的な解決にはなりません。

顧客の定義やデータの持ち方がバラバラなままでは、新しい仕組みを入れても調整作業が増えるだけです。結果として、運用が複雑になり、現場の負担が増してしまいます。
この問題は、個々のシステムではなく「全体の設計」が整理されていないことに起因しています。

再設計という選択肢が必要になるタイミング

顧客データを成果につなげたいと考えたとき、重要なのは「今の仕組みで何ができないのか」を正しく把握することです。
部門をまたいだ顧客把握ができない、履歴を横断して見られない、データを前提にした提案ができない。こうした課題が重なっている場合、部分的な改修では限界があります。

業務の流れや顧客の捉え方そのものを見直し、データをどう持ち、どうつなぐのかを再設計するフェーズに入っている可能性があります。

まとめ

顧客データを集めても成果が出ない原因は、量の不足ではなく分断された構造にあります。部門や拠点ごとに管理された行動履歴は、全体像を見えにくくし、提案や判断の精度を下げます。
顧客を一人として捉え、行動の変化を横断的に把握できる状態を作れるかどうかが、データ活用の分かれ目です。今の仕組みで限界を感じている場合は、運用の工夫だけでなく、設計そのものを見直す視点が求められます。

顧客データを活かせない原因は、ツール不足ではなく、業務やデータのつながり方そのものにあります。部門や拠点ごとに積み重なった仕組みをそのままにしても、横断的な顧客理解や先回りした提案は実現できません。だからこそ重要なのは、「今あるシステムをどう直すか」ではなく、「自社の業務や顧客との関係をどう設計し直すか」という視点です。

当社フレシット株式会社は、既存の仕組みや前提を一度整理し、業務の流れ・データの持ち方・将来の拡張まで含めて設計することを重視しています。既製の型に当てはめるのではなく、企業ごとの実態に合わせて一から設計できるフルスクラッチだからこそ、分断された顧客データを「使える情報」へと変えていくことが可能です。顧客データ活用に限界を感じ始めているのであれば、設計から見直すという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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