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COLUMN コラム詳細

【日用品卸3社の物流連携が示す】なぜ「標準データ」は“パッケージ導入”では作れないのか

取引先や業務変更に耐えるデータ基盤をどう設計するか

2026-01-19

企業間連携や業務効率化が進む中で、「標準データ」という言葉を耳にする機会が増えています。商品情報、取引条件、物流条件などを共通の形式で扱えるようにすることで、業務の無駄を減らし、全体最適を実現しようとする動きです。一方で、標準データを整備しようとして既製のパッケージシステムを導入したものの、かえって柔軟性を失ってしまうケースも少なくありません。

本コラムでは、日用品流通の取り組みを手がかりに、なぜ標準データはパッケージ導入だけでは作れないのか、その理由を整理します。

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【記事要約】日用品業界で進む商品データ標準化、物流効率化を支える共通基盤構想

日用品業界では、卸・小売・メーカー間で扱われる商品情報のばらつきが、物流や業務効率の低下を招いてきた。こうした課題に対応するため、卸大手と商品データ管理会社が設立した新会社は、業界共通で利用できる商品データベースを構築する。従来はメーカーごとに情報項目や表記が異なり、卸が個別に調整・登録する必要があったが、新たな仕組みでは商品仕様に加え、梱包方法やロット数量など物流に直結する情報も含めて一元管理する。2026年4月の稼働開始を予定し、取引先が変わっても情報の再登録や修正を最小限に抑えられる設計とする。5年後には約1500社のメーカーを対象に標準化を進め、国内の日用品取引の大部分をカバーすることで、業務負担の軽減と物流コスト削減を同時に実現する構想である。

出典:日本経済新聞「日用品卸3社、物流連携 花王系など、コンテナ統一 回収トラック台数3割減」2026年1月14日付朝刊

ポイントをひとことで

標準データの成否は、項目定義の巧拙ではなく、「変わる前提」をどこまで設計に織り込めているかで決まります。業務や取引関係は時間とともに必ず変化しますが、多くのシステム投資は初期要件の固定化によって、その変化を負債に変えてしまいます。重要なのは、いまの業務を正確に写すことだけではなく、将来の差異や例外が発生した際に、構造を壊さず吸収できる余地を残すことです。標準化とは統一ではなく、更新コストを抑え続けるための設計判断であり、短期効率より長期耐性を優先できるかが投資価値を左右します。

標準データが必要とされる背景

企業活動において扱われるデータは、社内利用にとどまらず、取引先や物流、外部サービスとの連携に使われることが当たり前になっています。その中で、データの形式や定義がバラバラなままでは、都度の変換や確認作業が発生し、業務負荷が増え続けます。

日用品流通の現場でも、商品名や容量、梱包形態、ロット数量といった情報が、提供元ごとに異なる形式で管理されてきました。こうした状態は、特定業界に限らず、多くの業務システムで共通して見られる課題です。標準データとは、こうしたばらつきを前提にしつつ、共通で扱える軸を定義しようとする試みだと言えます。

「標準データ=パッケージで解決できる」という誤解

標準化という言葉から、多くの担当者は「既製のパッケージを入れれば整う」と想像します。しかし、この考え方は標準データの本質を捉えていません。パッケージシステムは、あらかじめ想定された業務モデルやデータ構造に基づいて設計されています。

そのため、一定範囲の業務を効率化するには有効ですが、複数の立場や運用をまたぐ標準データを作る用途では制約になりやすいのが実情です。標準データとは、単に項目をそろえることではなく、「異なる前提をどう共存させるか」を設計する行為だからです。

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標準データ設計で問われるのは「差異の扱い方」

標準データを設計する際に必ず直面するのが、例外や差異の問題です。商品や取引条件、業務フローは企業ごとに異なり、それらを完全に同一化することは現実的ではありません。

重要なのは、差異を排除することではなく、差異を許容できる構造を作ることです。日用品流通で進められている取り組みでも、商品情報だけでなく、梱包方法やロット単位といった物流に直結する情報まで含めて標準化の対象としています。これは、現場ごとの差異を前提にしたうえで、共通利用できるデータ構造を模索している例と言えます。

なぜフルスクラッチ設計が有効になるのか

標準データの設計では、「どこを固定し、どこを可変にするか」という判断が極めて重要です。この判断は業務理解なしには行えず、あらかじめ決められた型に当てはめるだけでは対応できません。

フルスクラッチ設計では、業務を分解し、データの役割や利用シーンを一つずつ整理した上で構造を定義できます。その結果、標準として共有できる部分と、運用ごとに吸収すべき部分を明確に切り分けることが可能になります。標準データを「縛り」ではなく「共通基盤」として機能させるためには、この設計自由度が欠かせません。

取引先や運用が変わっても耐えられるか

標準データは、作った瞬間よりも、運用が始まってからの方が真価を問われます。取引先が増えたり、業務ルールが変わったりした際に、毎回大きな修正が必要になるようでは、標準として機能しているとは言えません。

日用品流通の構想では、登録したデータが、卸や小売が変わっても追加・修正の手間を減らせる設計を目指しています。これは、特定の相手や運用を前提にしない標準データの考え方を象徴しています。多くの業務システムが変更に弱くなる原因は、初期設計で前提条件を固定しすぎてしまう点にあります。

標準データは「完成形」を目指さない

標準データは、一度定義すれば終わりというものではありません。新しい商品や取引形態、業務プロセスが生まれれば、データの持ち方も進化していく必要があります。日用品流通で描かれている5年後の構想も、段階的に標準化の範囲を広げていく前提に立っています。

このように、変化を前提とした標準データを実現するには、初期導入の容易さよりも、拡張や修正に耐えられる構造かどうかが重要になります。短期的な効率化だけを目的にすると、後から大きな作り直しが必要になるリスクがあります。

まとめ

標準データは、単なる共通フォーマットではなく、異なる業務や立場をつなぐための設計思想そのものです。既製のパッケージを導入するだけでは、差異や将来の変化を十分に吸収できず、かえって制約が増える場合があります。日用品流通の取り組みが示しているのは、標準データを機能させるためには、業務横断で例外を前提とした設計が不可欠だという点です。標準データの成否は、ツール選定ではなく、最初にどのような構造を描くかによって決まります。

標準データは、単に項目をそろえれば完成するものではありません。業務の違いや例外、将来の変化を前提にしながら、どこを共通化し、どこに余白を残すのかを設計段階で見極める必要があります。その判断を誤ると、運用が始まった途端に修正や追加が頻発し、かえって現場の負担を増やしてしまいます。

当社フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発を通じて、こうした「標準データ設計が難しい領域」に数多く向き合ってきました。特定のツールや型に業務を当てはめるのではなく、業務構造そのものを整理し、変化を前提にしたデータの持ち方から設計します。そのため、取引先や運用が変わっても、すぐに作り直しが必要になるシステムにはなりません。

標準データを本気で活かしたい、今の業務に合わせるだけでなく、将来の拡張や連携まで見据えたシステムを作りたいと考えている場合、フルスクラッチという選択肢は有効です。既存の仕組みに違和感を覚えている段階こそ、設計から見直すタイミングだと言えます。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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