【三井住友銀行のOliveに学ぶ】なぜ“アプリ上で完結する設計”は、業務効率を飛躍的に高めるのか
人が介在しない前提でサービスを設計するという発想
2026-01-22

人手不足や業務の複雑化が進むなか、企業の業務効率化は待ったなしの課題となっています。多くの企業がシステム導入やツール活用によって改善を試みていますが、期待した成果が出ないケースも少なくありません。その原因の多くは、「人が介在する前提」のまま業務やサービスが設計されている点にあります。本コラムでは、アプリ上で業務やサービスを完結させる設計が、なぜ効率化を飛躍的に高めるのかを、設計思想の観点から掘り下げていきます。
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目次
【記事要約】三井住友銀行、Olive浸透で省人化を進める店舗運営モデルを構築
大手銀行が人手不足を背景に夜間・休日営業を拡大するなか、三井住友銀行は個人向けデジタルサービス「Olive」を軸に、省人化を前提とした店舗運営を進めている。口座開設や各種手続きをアプリ上で完結できるサービスを広げることで、店舗に常駐する人員を最小限に抑えることが可能となった。リアル店舗ではアバター接客も導入し、説明業務の効率化を図る。一方で、商業施設内に新型店舗を展開するなど顧客接点は拡大しており、デジタル完結型サービスと対面支援を組み合わせた運営モデルが、限られた人材で店舗網を維持するための現実解となっている。
出典:日本経済新聞「リアル店舗再起動(下)銀行店舗、働き手確保賢く」2026年1月7日付朝刊
ポイントをひとことで
業務効率の差は、機能数や処理速度ではなく、「人が介在する前提」をどこまで設計から排除できているかで決まります。人の説明や判断を前提にした構造は、運用が回っている間は問題が見えにくいものの、人手不足や業務拡張の局面で一気に限界を迎えます。重要なのは、現状業務を忠実に写すことではなく、将来も破綻しない完結点をどこに置くかという設計判断です。システム投資の成否は、導入後の改善力ではなく、初期段階でどれだけ構造的な前提を定義できたかに左右されます。
業務効率化が進まない本当の理由
業務効率化というと、作業時間の短縮や処理スピードの向上が注目されがちです。しかし、現場で非効率が生じる本質的な要因は、別のところにあります。それは「人が説明し、人が確認し、人が判断する」工程が業務フローの随所に残っていることです。
例えば、入力内容の確認、手続き方法の説明、例外対応の判断などは、長年人が担ってきた業務です。これらをそのまま残した状態でシステム化しても、作業の主体が人である限り、効率化には限界があります。業務が滞る原因は、処理速度ではなく、判断や説明が人に依存している構造そのものにあります。
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「アプリ上で完結する設計」とは何か
アプリ上で完結する設計とは、単にオンラインで操作できるという意味ではありません。重要なのは、業務の開始から終了までを、原則として人の介在なしで完結できる構造にすることです。
そのためには、利用者が迷わず操作できる導線設計、入力ミスを防ぐUI、判断基準をロジックとして組み込んだルール設計が必要になります。さらに、例外ケースを想定し、それも含めてシステム側で処理できるように設計することで、初めて「完結型」と言えます。
このような設計では、人はサポート役や高度な判断に集中でき、日常的な業務処理から切り離されます。その結果、業務全体の効率が大きく向上します。
人が介在しない前提で設計するという発想
多くの業務システムは、「最終的に人が見る」「最後は人が判断する」ことを前提に作られてきました。しかし、この前提こそが効率化を阻む最大の要因です。
人が介在する前提を外すためには、業務の目的を改めて定義し直す必要があります。何のための手続きなのか、どこまでを自動化できるのか、どの判断をルール化できるのかを一つひとつ整理していきます。このプロセスを経ることで、これまで人が無意識に行っていた作業が、実は不要だった、あるいはシステムで代替可能だったことに気づくケースも少なくありません。
後付けでは実現しにくい理由
アプリ完結型の設計は、既存システムに機能を追加するだけでは実現が難しいのが実情です。なぜなら、業務フロー自体が人の介在を前提に組み立てられているためです。
後から効率化しようとしても、データ構造や権限設計、画面遷移が足かせとなり、抜本的な改善ができないケースが多く見られます。結果として、部分的な自動化にとどまり、かえって業務が複雑化することもあります。
業務効率を本質的に高めるためには、初期段階で「完結型」を前提とした設計を行うことが不可欠です。
フルスクラッチ設計が活きる領域
アプリ上で完結する設計を実現するには、業務内容や運用ルールに深く踏み込んだ設計が求められます。画一的な仕組みでは対応できないため、業務に合わせて柔軟に設計できるフルスクラッチ開発が適した場面も多くあります。
重要なのは、機能を増やすことではなく、不要な人の介在を減らすことです。そのためには、システム開発会社とともに業務を分解し、判断基準や例外処理まで含めて設計する視点が欠かせません。
まとめ
業務効率化を実現する鍵は、処理を速くすることではなく、人が介在しない前提でサービスや業務を設計することにあります。アプリ上で完結する設計は、そのための有効なアプローチです。後付けではなく、最初の設計段階から業務の完結点を意識することで、効率化の効果は大きく変わります。業務とシステムの関係を改めて見直すことが、これからの効率化を考えるうえで重要な視点となるでしょう。
業務効率を本質的に高めるためには、単に機能を追加するのではなく、「どこまでを人に任せず、どこからをシステムで完結させるのか」という設計判断が欠かせません。その判断は、業務を深く理解し、将来の運用や変化まで見据えた設計ができて初めて可能になります。
当社フレシット株式会社は、要件をそのまま形にするのではなく、業務の流れや判断ポイントを一つひとつ整理しながら、「人が介在しない前提」で業務を再設計することを重視しています。既存の枠に当てはめるのではなく、業務や組織に合わせてゼロから設計するフルスクラッチ開発だからこそ、アプリ上で完結する仕組みや、運用負荷を抑えた構造を実現できます。
効率化や省人化を一時的な改善で終わらせず、長期的に機能する仕組みとして定着させたいとお考えであれば、設計段階から伴走できるシステム開発会社の存在が重要です。業務とシステムの関係を根本から見直したい方は、当社フレシット株式会社でのフルスクラッチ開発を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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