システム開発におけるテストとは何か|テストは目的ではなく品質保証のための手段である
品質保証を成立させるために見直すべきテストの位置づけ
2026-02-05

システム開発において「テストをしっかりやれば品質は担保できる」と考えられがちです。しかし、テストは品質を作り出す工程ではありません。テストの役割を誤解したまま開発を進めると、手間とコストをかけたにもかかわらず「使えない」「業務に合わない」システムが完成してしまいます。
本コラムでは、ご担当者さま向けに、テストの本来の意味と、品質保証の考え方を整理します。
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目次
テストは目的ではなく、品質保証のための手段である
テストは品質を高めること自体を目的とした工程ではなく、設計や実装の結果として得られた品質を確認し、保証するための手段です。テストを実施すること自体が目的化すると、消化試合のようにケースを回すことがゴールになり、品質の本質的な課題が見逃されます。本来重要なのは、要件や設計の前提が正しかったか、業務や利用シーンとズレていないかを検証することです。テストは不安要素を可視化し、品質を説明可能にするための工程であり、実施すること自体に価値があるわけではありません。
ポイントをひとことで
システム投資において重要なのは、テスト工程をどれだけ厚くするかではなく、どの段階で不確実性を減らす判断を行っているかです。後工程のテストに品質を委ねる設計は、意思決定の先送りに過ぎません。本来、業務理解や前提整理の時点で曖昧さを減らし、検証すべき論点を明確にしておく必要があります。テストとは成果物の出来栄えを確認する作業ではなく、過去の判断が妥当だったかを説明可能にするための確認行為です。テストをどう位置づけているかは、その開発が事業リスクを管理する投資になっているかを見極める重要な指標になります。
テストが目的化したシステム開発で起きがちな問題
システム開発の現場では、一般的に、テスト工程が後半に集中します。その結果、「テストをたくさん実施したか」「テストケースを消化したか」が評価基準になりがちです。しかし、テストを実施すること自体が目的になると、本来確認すべき点が見落とされます。
例えば、要件の前提が業務実態とズレていても、仕様書通りに動けばテストは合格になります。この状態では、不具合は少なくても、現場で使われないシステムが完成します。テストの量や形式では、品質は保証できないのです。
品質はテスト前にほぼ決まっている
品質の大部分は、要件定義や設計の段階で決まります。どの業務を対象にするのか、どこまで柔軟に変更を想定するのか、どのようなデータの扱いを前提にするのか。これらの判断が曖昧なまま進めば、どれだけテストを重ねても本質的な問題は解消されません。
テストは、その判断が正しかったかを確認する工程です。つまり、テストは品質を「作る」工程ではなく、品質を「確かめる」工程だと理解する必要があります。
テストは不安を洗い出すために行う
テストの価値は、安心感を得ることではなく、不安を可視化する点にあります。業務上の例外ケースは想定されているか、利用者の操作に無理がないか、運用フェーズで問題が起きそうな箇所はないか。
これらを洗い出すためには、単なる動作確認では不十分です。業務視点でのテストや、実運用を想定したシナリオが必要になります。テストは「問題が起きないことを証明する作業」ではなく、「問題が起きそうな点を見つける作業」なのです。
パッケージ前提のテストとフルスクラッチの違い
既存のパッケージを前提とした開発では、テストは仕様確認に寄りがちです。一方、フルスクラッチ開発では、要件や設計そのものが事業ごとに異なります。そのため、テストでは「事業として成立するか」「業務が止まらないか」といった観点が重要になります。
フルスクラッチ開発におけるテストは、単なる確認作業ではなく、事業リスクを抑えるための判断材料として位置づける必要があります。
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システム開発会社に求められるテストの考え方
信頼できるシステム開発会社は、テスト工程だけを切り出して評価しません。要件定義から設計、実装、テストまでを一連の流れとして捉え、どこで品質を担保するのかを明確にします。
テストで何を確認すべきかを説明できるかどうかは、そのシステム開発会社が品質保証を理解しているかの重要な判断基準になります。
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まとめ
テストは品質を高める魔法の工程ではなく、品質を保証するための手段です。テストが目的化すると、本来向き合うべき要件や設計の妥当性が見えなくなります。システム開発において重要なのは、テスト以前に何を決め、何を前提としているかを明確にすることです。その上で行うテストこそが、事業に耐えうるシステムかどうかを判断する材料になります。
フルスクラッチでのシステム開発は、機能を作ること自体が目的ではありません。事業や業務の前提を正しく捉え、その判断が本当に正しかったのかを、設計からテストまで一貫して検証できるかどうかが重要です。
当社フレシット株式会社は、要件定義の段階から事業の背景や業務の実態を丁寧に整理し、「何を確認するためにテストを行うのか」を明確にした上で開発を進めています。テストを後工程の作業として切り離すのではなく、品質保証の考え方を開発全体に織り込むことで、完成後に「想定と違う」とならないシステムづくりを重視しています。既存の型にはめるのではなく、自社の事業に本当に合ったシステムを長く使い続けたいと考える企業にとって、フルスクラッチという選択肢と、その進め方を理解している開発パートナーであることが、当社フレシット株式会社の強みです。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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