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COLUMN コラム詳細

H3ロケット失敗が映す日本企業のDX停滞リスク――「失敗できない文化」が挑戦を止める理由と、完璧か拙速かの二択を超えるシステム設計

再挑戦を可能にする設計思想が、競争力を左右する

2026-02-13

ロケット開発の現場で語られた「完璧か、拙速か」という葛藤は、宇宙分野に限った話ではありません。日本企業のDX推進においても、同じような心理が働いています。失敗すれば評価が下がる。だからこそ万全を期す。しかしその姿勢が、結果として挑戦を遅らせ、競争機会を逃してしまうことがあります。

本コラムでは、「失敗できない文化」がDXを止める理由を掘り下げながら、完璧主義でも拙速でもない第三の道としてのシステム設計について考えます。

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【記事要約】H3失敗が問う日本の完璧主義と不確実性への向き合い方

H3ロケット失敗を巡り、徹底究明を重んじる姿勢は評価される一方、過度な慎重さが再挑戦を遅らせ、国際競争や安全保障での空白を生む危険も指摘される。失敗を恥とみなし100%の成功を求める空気は、責任感を強迫観念へと変えかねない。米国企業の迅速な再起と対比し、重要なのは「完璧」か「拙速」かの二択を超え、許容可能なリスクを見極めつつ前進する現実的判断である。不確実性を受け入れる文化への転換こそ、誠実さを停滞に変える“魔物”に打ち勝つ鍵となる。

出典:日本経済新聞「H3ロケット失敗に『新たな魔物』 日本の完璧主義が招く 国際競争、脱落するリスク」2026年2月10日付朝刊

ポイントをひとことで

DXにおける最大の障壁は技術力不足ではなく、失敗を許容しない意思決定の慣性にあります。ゼロリスクを前提にした計画は安心感を生みますが、変化の速い環境では機会損失という別のリスクを拡大させます。重要なのは、何を守り、何を試すのかを峻別し、致命傷を避けながら学習速度を高める設計です。再挑戦可能性を織り込んだ投資判断こそが、持続的な競争力を左右します。

「失敗できない文化」がDXを鈍らせる理由

多くの企業でDXが進まない背景には、技術不足よりも心理的な要因があります。それが「失敗=評価低下」という暗黙の前提です。

新システムの導入や刷新は、少なからずリスクを伴います。業務が止まるかもしれない。想定外の不具合が出るかもしれない。現場から反発が出るかもしれない。こうした懸念が重なると、「完璧に準備してからでなければ動けない」という空気が生まれます。

結果として、要件定義は膨張し、仕様は複雑化し、承認プロセスは長期化します。検討を重ねるほど安全性は高まるように見えますが、市場や競合環境はその間も変化し続けます。慎重さが過度になると、リスク回避のつもりが機会損失という別のリスクを招きます。

DXが本来目指すべきは、変化への適応力の向上です。しかし「失敗できない文化」のもとでは、変化そのものを避ける傾向が強まり、挑戦が後回しになります。これが、DXが進まない本質的な理由の一つです。

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「完璧か拙速か」の二択に陥る危険

システム開発の現場では、しばしば次のような議論が起きます。

・すべての不具合を潰し切ってからリリースすべきだ
・いや、まず出してみて改善すればよい

前者は完璧主義、後者はスピード重視です。しかしこの対立は、本来の論点を単純化しすぎています。

完璧を追求しすぎれば、リリース時期は遅れます。拙速に進めれば、業務停止や信用失墜につながる恐れがあります。重要なのはどちらを選ぶかではなく、「どのリスクを許容し、どのリスクを回避するか」を見極めることです。

すべてのリスクをゼロにすることは不可能です。にもかかわらず、ゼロリスクを前提に計画を立てると、現実との乖離が生じます。そしてその乖離を埋めるために、さらなる慎重さが求められ、意思決定が遅れます。

「完璧か拙速か」という二択から抜け出すには、リスクを管理対象として扱い、段階的に前進する設計思想が欠かせません。

不確実性を前提にしたシステム設計とは何か

DXは、不確実性との戦いです。市場環境、顧客ニーズ、法規制、競合の動き。どれも固定的ではありません。そのため、システムもまた変化を前提に設計する必要があります。

不確実性を前提にした設計では、次の視点が重要になります。

・一度にすべてを完成させない
・段階的に価値を提供する
・万が一の際に戻れる仕組みを用意する
・現場での検証を通じて改善を重ねる

このような考え方は、単なる開発手法の問題ではありません。経営判断のあり方そのものに関わります。「まずは小さく始める」「検証しながら広げる」という姿勢が、挑戦を可能にします。

フルスクラッチ開発がつくる「挑戦できる環境」

パッケージ製品や既存サービスを導入する場合、提供される枠組みに業務を合わせることが前提になります。一方、フルスクラッチ開発では、事業や業務の実態に即した設計が可能です。

とくに重要なのは、挑戦を前提とした設計ができる点です。

段階リリース
最初から全機能を搭載するのではなく、優先度の高い機能から順にリリースします。これにより、早期に業務改善効果を確認しながら、次の開発方針を調整できます。

並行稼働
新旧システムを一定期間同時に運用することで、急激な切り替えによる混乱を抑えます。万が一の際も、業務停止のリスクを抑制できます。

切り戻し設計
トラブル発生時に迅速に元の状態へ戻せる仕組みをあらかじめ組み込んでおくことで、挑戦への心理的障壁を下げます。

これらはすべて、「失敗しない」ためではなく、「失敗しても致命傷にならない」ための設計です。完璧を保証するのではなく、再挑戦を可能にする環境を整えることが、DXの現実的な進め方です。

責任の再定義――止めることではなく、進めること

日本企業では「責任を取る」という言葉が重く受け止められます。しかし責任とは、本当に停止することなのでしょうか。

むしろ現代の競争環境では、責任とは「再挑戦できる状態を維持すること」とも言えます。挑戦を恐れて何もしないことは、短期的には安全でも、長期的には組織の活力を奪います。

リスクを精査し、許容できる範囲を見極め、前に進む。その過程で問題が起きれば修正し、必要なら戻る。この循環を回せることこそが、持続的な成長につながります。

システムは、その循環を支える基盤です。不確実性を受け入れ、段階的に進化できる設計があれば、挑戦は特別なものではなく、日常的な営みになります。

まとめ

「失敗できない文化」は、慎重さという美徳から生まれます。しかしその美徳が行き過ぎると、挑戦を止める足かせにもなります。DXにおいて重要なのは、完璧を保証することでも、無謀に急ぐことでもありません。不確実性を前提とし、リスクを管理しながら前進することです。

フルスクラッチ開発は、そのための有力な選択肢の一つです。段階リリース、並行稼働、切り戻し設計といった考え方を通じて、「失敗できない」状態から「挑戦できる」状態へと転換することが可能になります。

完璧か拙速かの二択を超えた先にあるのは、リスクと共存しながら成長する姿勢です。不確実性を受け入れる文化を育てることこそが、これからのDXに求められる本質的な課題ではないでしょうか。

こうした「挑戦できる環境」を本気で実装しようとするなら、単にシステムをつくるのではなく、事業の前提やリスク許容度まで踏み込んだ設計が欠かせません。当社フレシット株式会社は、要件を受け取って開発するだけの立場ではなく、事業会社の皆さまと同じ目線で「どこまでを許容し、どこを守るべきか」を整理するところから伴走します。

段階リリースや並行稼働、切り戻しを前提とした設計を初期段階から織り込み、万が一が起きても止まらない業務基盤を形にします。変化が前提の時代において、完成度の高さだけでなく、再挑戦のしやすさまで設計すること。それが、フルスクラッチで取り組む意義です。

完璧を目指して足を止めるのではなく、現実的なリスク管理のもとで前に進み続ける。そのためのシステムを、自社の事業に最適化されたかたちで持ちたいとお考えであれば、当社フレシット株式会社は有力な選択肢となるはずです。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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