中小企業は社内SEを雇うな!外注した方がいい理由を解説
2026-02-26

中小企業でDXや業務効率化の重要性が高まるなか、「社内SEを採用すべきか、それとも外注すべきか」と悩んでいる経営者や担当者も多いのではないでしょうか。中小企業の社内にIT担当者がいれば安心に感じる一方で、採用コストや育成負担、属人化リスクなど、見落とされがちな課題も少なくありません。
このコラムでは、中小企業における社内SEの現実的な役割や課題を整理したうえで、外注という選択肢がなぜ合理的なのかをわかりやすく解説します。
自社にとって最適なIT体制を検討したい方は、ぜひ参考になさってください。
目次
そもそも社内SEとは?中小企業における役割

社内SEとは、自社のシステムやIT環境の運用・管理を担うエンジニアです。具体的には、業務システムの運用保守やネットワーク管理、PC設定、ヘルプデスク対応など、幅広い業務を担当するケースが多く見られます。
特に中小企業では、IT部門の体制が十分に整っていないことも多く、社内SEが少人数で複数の業務を兼任し、「何でも屋」のような状態になりやすい傾向があります。その結果、本来注力すべき開発や改善業務に時間を割けない場合もあります。
一方で、中小企業に社内SEがいることで、業務内容を理解したうえでの迅速な対応や、現場に即した改善を進めやすいというメリットもあります。ただし、こうした強みを十分に活かすには、体制や役割設計が重要になります。
なぜ中小企業は社内SEを「雇うな」「やめとけ」と言われるのか

社内SEは企業にとって重要な存在である一方で、中小企業の環境では構造的に負担が大きくなりやすいのが実情です。
ここでは、中小企業は社内SEを「雇うな」「やめとけ」と言われる主な理由について解説します。
業務範囲が広すぎて専門性が育たない
中小企業の社内SEは、システム開発や運用保守だけでなく、ネットワーク管理、PC設定、ヘルプデスク対応、トラブル対応など、幅広い業務を任されることが多いです。ITに関することはすべて社内SEに集まりやすく、結果として業務が過度に集中してしまいます。
そのため、1つの分野についてスキルを磨く時間が確保しにくく、「専門性が身につかない」「レベルが低いと言われやすい」といった状況に陥りやすくなります。
中小企業では人員に余裕がない分、社内SEが何でも対応せざるを得ない構造になっていることが大きな要因です。
人材が定着しにくく採用リスクが高い
ITエンジニアは慢性的に人材不足の状態が続いており、転職市場でも需要が高い職種です。そのため、中小企業で働く社内SEは、より条件の良い企業や成長環境を求めて転職してしまうケースも少なくありません。
せっかく採用した社内SEが短期間で離職してしまうと、採用コストや教育コストが無駄になってしまいます。また、後任の確保も容易ではなく、中小企業にとっては大きな経営リスクとなります。
社内SEの市場価値が高いからこそ、中小企業で定着させる難易度も高いのが現実です。
評価・キャリア設計が難しい
中小企業における社内SEの仕事は、売上のように数値で成果を示しにくい傾向があります。システムが「問題なく動いている状態」が評価されにくく、トラブルが起きたときだけ注目されるケースも少なくありません。
その結果、社内SE本人が「正当に評価されていない」と感じやすくなり、モチベーションの低下につながることがあります。
また、明確なキャリアパスを描きにくい点も、中小企業の社内SEが不安を感じやすい要因の一つです。
一人依存・属人化リスクが高い
中小企業では、社内SEが1人だけ配置されているケースも多く見られます。その場合、システム構成や運用ノウハウが特定の個人に集中しやすくなります。
もし社内SEが退職や休職をした場合、業務が一時的に止まってしまったり、トラブル対応ができなくなったりするリスクがあります。このような属人化は、企業活動そのものに影響を及ぼす可能性があり、中小企業にとって大きな弱点となるリスクがあります。
中小企業が社内SE業務を外注する主なメリット

中小企業において社内SEを一から採用・育成するには、大きなコストと時間がかかります。その一方で、IT業務を外注することで、こうした負担を抑えながら、必要なスキルや体制を確保することが可能になります。
ここでは、中小企業が社内SE業務を外注することで得られる主なメリットについて解説します。
専門スキルをすぐに活用できる
IT分野は技術の進化が早く、システム開発、クラウド、セキュリティ、データ活用など、求められるスキルも年々高度化しています。中小企業がこうした分野すべてに対応できる社内SEを確保するのは、現実的には容易ではありません。
外注を活用すれば、各分野に精通したエンジニアや専門チームの知見をすぐに利用できます。必要なタイミングで必要なスキルを活用できる点は、中小企業にとって大きな強みといえるでしょう。
コストを変動費化できる
中小企業が社内SEを雇用する場合、人件費に加えて、採用費や教育費、福利厚生費などの固定コストが継続的に発生します。業務量に波があっても、一定のコストを負担し続けなければなりません。
一方、外注であれば、必要な業務量に応じて費用を調整できます。固定費を抑え、変動費として管理できるため、経営の安定性を高めやすくなる点も、中小企業にとって重要なメリットです。
トラブル対応・運用保守負担を軽減できる
システムトラブルや障害は、いつ発生するかわかりません。中小企業の社内SEが対応する場合、深夜や休日対応が必要になることもあり、個人への負担が大きくなりがちです。
その点、外注先と保守契約を結んでおけば、専門チームによる迅速な対応が期待できます。万が一のトラブル時にも事業継続を支えやすくなり、BCP(事業継続計画)の観点からも有効な対策といえます。
事業成長に合わせて柔軟に拡張できる
中小企業では、事業拡大や新規事業の立ち上げに伴い、IT環境の見直しやシステム拡張が必要になる場面が多くあります。社内SEだけでこうした変化に対応するのは、負担が大きくなりやすい傾向があります。
外注を活用すれば、中小企業の事業規模や戦略の変化に合わせて、システムの改修や機能追加を柔軟に進めることが可能です。あわせて、DX推進や新サービス展開にも対応しやすくなります。
社内はコア業務に集中できる
IT対応に多くの時間を取られてしまうと、本来注力すべき営業活動や商品開発、顧客対応などに十分なリソースを割けなくなります。これは、中小企業にとって大きな機会損失につながります。
社内SE業務を外注することで、社内の人材はコア業務に専念できるようになります。その結果、業務効率や生産性の向上につながり、企業全体の競争力強化にも貢献します。
中小企業にとって最適なIT体制の考え方

中小企業がIT活用を進めていくうえで重要なのは、「すべてを内製するか」「すべてを外注するか」といった極端な選択をすることではありません。自社の規模や人材状況に合わせて、無理のない体制を構築することが、長期的な成長につながります。
ここでは、中小企業にとって現実的で成果につながりやすいIT体制について、代表的な考え方を3つの視点から解説します。
内製×外注のハイブリッド型が現実的
中小企業がITをすべて内製で完結させようとすると、人材の確保や育成、スキル維持に大きな負担がかかります。高度なIT人材を継続的に確保することは、多くの中小企業にとって現実的とはいえません。
一方で、すべてを外注に任せてしまうと、業務内容や経営方針が十分に反映されず、意思決定のスピードが落ちてしまう可能性もあります。システムの方向性まで外部に依存してしまうと、自社にノウハウが蓄積されにくくなる点も課題です。
そのため、「判断や戦略は社内で行い、開発や運用は外注する」というハイブリッド型の体制が、中小企業にとって現実的な選択肢となります。社内の担当者が全体方針を管理し、専門的な実務は外注に任せることで、効率と安定性の両立が可能になります。
将来を見据えたシステム設計が重要
中小企業のシステムは、事業拡大や組織変更、新サービスの開始などに伴って、継続的な見直しが必要になります。最初に導入したシステムをそのまま10年以上使い続けられるケースは、決して多くありません。
初期費用の安さだけを重視して、SaaSやテンプレート型ツール、安価なパッケージを導入すると、後から機能追加や連携ができず、結果的に作り直しが必要になることもあります。こうした場合、かえってコストが膨らんでしまう可能性があります。
将来の拡張や業務変化に柔軟に対応するためには、要件に合わせて設計できる外注開発やフルスクラッチ型のシステムを検討することが有効です。長期視点での設計が、中小企業におけるIT投資の失敗を防ぐポイントとなります。
長期視点で支援できるパートナーを選ぶ重要性
中小企業が社内SE業務を外注する場合、「外注すれば安心」というわけではありません。外注先の選び方によって、IT活用の成果は大きく左右されます。
単発の開発だけを請け負う外注先では、運用開始後の改善や相談に十分対応してもらえないケースもあります。その結果、システムが十分に活用されないまま形骸化してしまうことも少なくありません。
運用・改善・拡張まで見据えて継続的に支援できるパートナーと連携することで、課題に応じた提案や迅速な対応を受けやすくなります。長期的な視点で伴走してくれる外注先を選ぶことが、中小企業がIT投資の効果を最大化するための重要なポイントです。
中小企業が社内SE業務の外注で失敗しないためのポイント

中小企業が社内SE業務を外注することで、コスト削減や専門性の活用といったメリットを得やすくなります。しかし、進め方を誤ると「期待した効果が出ない」「かえって負担が増えた」といった結果になってしまうことも少なくありません。
ここでは、中小企業が社内SE外注で失敗しないために押さえておきたい、6つのポイントをご紹介します。
役割分担と業務範囲を明確にできるか
中小企業が社内SE業務を外注する際に多い失敗の一つが、業務範囲を曖昧なまま依頼してしまうことです。対応範囲が不明確だと、「どこまで対応してもらえるのか」「誰が責任を持つのか」が分からず、トラブルや認識のズレが生じやすくなります。
開発・運用保守・問い合わせ対応などの役割を整理し、契約や運用ルールとして明確にしておくことが、安定した外注体制につながります。
継続的に相談・改善できる体制があるか
中小企業の社内SE業務は、一度外注して終わりではなく、運用を続けながら改善していくことが前提になります。業務内容やシステム環境は、事業の変化に合わせて少しずつ変わっていくため、定期的な調整が欠かせません。
打ち合わせや相談の場を継続的に設けることで、課題を早期に共有でき、外注の効果を長く維持しやすくなります。
セキュリティ・情報管理体制が整っているか
中小企業が社内SE業務を外注すると、社内システムや顧客情報など、重要なデータを外部と共有する機会が増えます。そのため、情報管理やセキュリティ対策が不十分な場合、大きなリスクにつながる可能性があります。
外注先の管理体制やセキュリティ対策、契約内容を事前に確認し、安心して任せられる環境を整えることが重要です。
将来の拡張・変更に柔軟に対応できるか
中小企業において、事業の成長や業務内容の変化に伴い、システムの改修や機能追加が必要になる場面は少なくありません。その際、柔軟に対応できない外注先では、追加コストや開発遅延が発生しやすくなります。
将来的な拡張や仕様変更にも対応できる体制かどうかを事前に見極めておくことで、長期的な運用が安定します。
費用対効果を継続的に管理できるか
中小企業が社内SEを外注すると、固定費は抑えやすくなりますが、依頼内容によっては想定以上にコストがかかる場合もあります。そのため、費用だけでなく、業務効率や成果とのバランスを意識することが重要です。
外注費用に見合った効果が出ているかを定期的に確認し、必要に応じて内容を調整していきましょう。
経営視点で提案・改善できるか
中小企業の社内SE業務の外注先には、単なるシステム対応や作業代行にとどまらず、自社の経営課題や事業方針を理解したうえで支援できる姿勢が求められます。業務効率やコスト構造、将来の成長戦略まで踏まえてIT活用を考えられるパートナーであれば、場当たり的な対応ではなく、中長期的な改善につなげられます。
自社の課題や方向性をくみ取り、具体的な施策として提案してくれる外注先を選ぶことで、IT投資の効果を最大化しやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、中小企業における社内SEの役割や課題を整理したうえで、外注という選択肢のメリットや、失敗しないためのポイントについて解説しました。
社内SEを雇用することで一定の安心感は得られますが、人材確保や育成、属人化といったリスクを抱えやすいのも現実です。一方で、社内SE業務を外注することで、専門性の活用やコスト最適化、業務負担の軽減など、多くのメリットを得られます。
ただし、単に外注するだけでは十分な成果につながらないため、自社の役割を明確にし、長期的に支援してくれるパートナーを選ぶことが重要です。
今回の内容を参考に、自社の現状や課題を整理したうえで、無理のないIT体制づくりを検討し、社内SE外注を活用した持続的な経営基盤の強化につなげていきましょう。
監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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