米フィンテック企業の成長に学ぶ|フルスクラッチ開発で“使い勝手”を磨き続ける意味
そのシステム、本当に“磨き続けられますか?
2026-02-17

米国のフィンテック企業が、広告宣伝に依存せず、10年かけて製品の使い勝手を磨き続けた結果、日米欧の金融機関から信頼を獲得したという報道がありました。華やかなマーケティングではなく、地道な改良の積み重ねが評価につながった点は、多くの事業会社にとって示唆に富むものです。
システム開発の現場でも同じことが言えます。表面的な機能追加やデザイン刷新ではなく、「業務にとって本当に使いやすいか」を突き詰めていく姿勢こそが、競争力を左右します。本コラムでは、フルスクラッチ開発でしか実現できない“使い勝手の磨き込み”とは何かを、実務の観点から解説します。
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目次
【記事要約】アルパカ横川毅CEO、宣伝より改良を重ね金融大手の信頼を獲得
米フィンテック企業アルパカは企業価値10億ドル超と評価された。横川毅CEOは金融危機後に独立し、事業転換や資金調達の壁に直面しながらも、派手な広告戦略ではなく、取引基盤の操作性や安定性を地道に改良し続けた。育成機関への挑戦や投資家からの不採択を経験しつつも、機能改善を積み重ねた結果、約10年を経て日米欧の金融機関から採用されるまでに成長した。使い勝手を磨く姿勢が評価の礎となった。
出典:日本経済新聞「米ユニコーン企業 アルパカCEO 横川毅氏 苦節10年 株取引を世界に」2026年2月15日付朝刊
ポイントをひとことで
システム投資の成否は、導入時の完成度よりも、運用しながらどれだけ改善を重ねられるかで決まります。現場で使われる中で必ず課題や例外は見えてきます。そのときに手を入れやすい設計になっているかどうかが、長期的な生産性を左右します。短期的なコストや機能比較だけで判断するのではなく、将来の改良余地まで含めて見極めることが、発注側に求められる視点です。
宣伝よりも「使いやすさ」を選ぶという経営判断
広告投資は短期的な認知拡大には有効です。しかし、BtoB領域や業務システムの世界では、最終的な評価を決めるのは「実際に使ったときの体験」です。
たとえば、
・入力項目が多すぎて現場が疲弊する
・検索に時間がかかり、顧客対応が遅れる
・例外処理に弱く、結局手作業が残る
このような状態では、いくら広告で評価を高めても、継続利用にはつながりません。
“使い勝手を磨く”とは、単にUIを整えることではありません。業務の流れを理解し、現場での判断や例外対応まで含めて設計し直すことです。このレベルまで踏み込むには、画面単位の改修ではなく、システム全体を俯瞰した見直しが必要になります。
ここに、パッケージ導入とフルスクラッチ開発の本質的な違いがあります。
パッケージの限界と改善の天井
パッケージ型のシステムは、一定の業務モデルを前提に設計されています。そのため、標準機能の範囲内では迅速に導入できます。一方で、次のような課題が生じやすいです。
・自社独自の業務フローに完全には合わない
・拡張には追加費用や制約が発生する
・内部仕様に手を入れられないため、根本改善が難しい
結果として、「現場がシステムに合わせる」運用が常態化します。小さな違和感が積み重なり、使いづらさが放置されます。
“磨き込み”とは、この違和感を放置しない姿勢です。しかし、既存パッケージの枠内では改善余地に限界があります。根本的に作り直す自由度がなければ、本質的な使いやすさの追求は困難です。
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フルスクラッチ開発が持つ磨き込みの自由度
フルスクラッチ開発では、業務そのものを起点に設計できます。既存の枠に合わせるのではなく、「どう動けば最も効率的か」をゼロから定義できます。
たとえば、
・入力回数を減らすための自動補完設計
・担当者ごとに最適化された画面表示
・例外発生時のガイド付き処理フロー
・他システムとのリアルタイム連携による二重入力排除
これらは単なる機能追加ではなく、業務体験そのものの改善です。フルスクラッチであれば、仕様変更や改良を重ねながら、継続的に進化させることができます。
磨き込みは一度で完了しません。運用後のフィードバックを受け、改善を繰り返すことが前提です。そのためには、改修が前提となった設計思想が不可欠です。
“使い勝手”はUIだけではない
多くの企業が「使いやすい=デザインが洗練されている」と捉えがちです。しかし、本質はそこではありません。
真の使い勝手とは、
・処理速度が安定していること
・障害時の影響範囲が限定されていること
・データ整合性が保たれていること
・将来の拡張に耐えられること
つまり、非機能面を含めた総合的な体験です。
入力画面が美しくても、バッチ処理が遅ければ現場は不満を持ちます。検索が一瞬で終わること、集計が即座に出ること、障害時も業務が止まらないこと。これらもすべて“使い勝手”の一部です。
フルスクラッチ開発では、これらの要素を初期段階から設計に織り込むことができます。
10年磨き続けられる設計とは何か
製品を磨き続けるには、改修しやすい設計が必要です。場当たり的な追加開発を繰り返せば、変更コストが増大し、改善が難しくなります。
重要なのは、
・責務が明確に分かれた実装
・拡張を想定したデータ設計
・API連携を前提とした設計思想
・テスト自動化による品質担保
こうした基盤があれば、小さな改善を積み重ねられます。
“磨き込み”は精神論ではありません。改良を可能にする設計があってこそ成立します。フルスクラッチ開発では、その前提から構築できます。
広告よりも体験がブランドをつくる
業務システムにおいて、最強の営業は利用者の満足度です。
「このシステムは使いやすい」
「作業時間が半分になった」
「トラブルが減った」
この評価が積み重なれば、紹介や継続契約につながります。
一方、使いにくいシステムは、どれほど導入時に期待値が高くても、徐々に敬遠されます。広告での印象形成よりも、日々の体験が評価を決定します。
製品を磨き続ける企業が信頼を得るのは、偶然ではありません。事業会社がシステム投資を検討する際も、同様の視点が重要です。
まとめ
フルスクラッチ開発でしか実現できない“使い勝手の磨き込み”とは、単なるオーダーメイドという意味ではありません。業務理解を起点に設計し、運用後も改良を重ねられる自由度を持つことです。
広告や機能数ではなく、体験そのものを競争力にする。そのためには、改修を前提に設計し、長期的に磨き続けられる仕組みを構築する必要があります。
システムは導入して終わりではありません。使い続ける中で価値が高まるものこそが、事業を支える基盤になります。
使い勝手を磨き続けられるシステムは、偶然生まれるものではありません。業務を深く理解し、将来の拡張や改善まで見据えて設計し、運用後も地道に改良を重ねていく姿勢があってこそ実現します。
当社フレシット株式会社は、既存パッケージの枠に合わせるのではなく、お客様の事業内容・業務フロー・成長戦略を起点にゼロから設計するフルスクラッチ開発を専門としています。要件定義の段階から経営視点と現場視点の両方を整理し、「いま必要な機能」だけでなく「将来磨き続けられる余地」まで含めて形にします。
導入して終わりではなく、運用しながら改善を積み重ねていく。その前提で設計されたシステムこそが、長期的に事業の競争力を支えます。
もし、自社の業務に本当にフィットし、使うほどに価値が高まるシステムを実現したいとお考えであれば、一度、当社フレシット株式会社にご相談ください。貴社の事業に最適化された一つだけのシステムを、共に設計してまいります。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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