DXは何から始める?5STEPでわかりやすく解説
ツール選びの前に、やるべきことがある
2026-02-23

DXがビジネスの文脈で語られるようになって久しくなりました。
多くの企業がDXに取り組む一方で、「結局、何から始めればいいのかわからない」「ツールの話ばかりで、具体的な業務のイメージが持てない」と、お困りの方も多いのではないでしょうか。DXは、最新のITツールを導入することではありません。自社の業務や課題を見直し、デジタル技術を活用して企業を変革していく取り組みです。
本コラムでは、DXをこれから検討・推進するご担当者さまに向けて、
- DXが求められる理由
- 業務整理から考えるDXの進め方5STEP
- DXがうまく進まない背景と成功事例
- DX推進に必要な人材と体制
を丁寧に解説します。
貴社にとって、最適なDXを推進するための第一歩としてお役立てください。
目次
DXとは何か
DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称です。英語圏では「Trans(~を横断する、超える)」を「X」で表現するため、D「X」と呼ばれます。
なお、DXとはアナログからデジタルへの変換を意味する言葉ではありません。デジタル技術を活用することで、業務やビジネスモデル、組織のあり方そのものを変革していく考え方を指します。つまり、アナログからデジタルへの変換をきっかけに、企業全体の変革に繋げていくことこそがDXの本質なのです。
DXとIT化の違い
DXの類義語として、IT化(≒デジタル化)という言葉も使われますが、異なる概念です。DXが企業全体への変革を目的としているのに対し、IT化は、手段そのものが目的になりやすい傾向にあります。DXにおける手段や前提がIT化であり、DXの目的はIT化ではありません。
DXのよくある事例
DXとは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。身近な事例を紹介します。
紙や口頭を減らす
紙や口頭のコミュニケーションは、DXで最も取り上げられる課題の一つです。
紙の報告書を例にします。手書きによる誤字脱字、紛失のリスク、確認印をもらう手間。Excelやスプレッドシートを活用すると、報告書にまつわる問題が一気に解消されます。紙をExcelに置き換えただけであればIT化ですが、報告・確認の流れそのものを見直せばDXです。
情報を一カ所に集める
書類を電子化するのも、DXの効果が得られやすい事例です。
紙の資料をPDF化し、クラウド上で一元管理することができれば、紛失のリスクや、閲覧権限を侵されるリスクからも、書類を守ることが可能です。書類を電子化するだけではIT化ですが、承認者の判断が早くなるなどの変化が起こればDXといえるでしょう。
作業を自動化する
自動化による業務改善もDXと呼べます。
例えば、電話対応をしていた問い合わせ対応も、自動音声によるアナウンスに切り替えたり、問い合わせフォームを利用したりすることで、効率化が可能です。自動化によって効率化するだけでなく、蓄積されたデータを次の改善や判断に活かせる状態をつくる。これも立派なDXです。
DX推進が必要な3つの理由
それではなぜ、DXは必要なのでしょうか。理由は大きく3つです。
1.人手不足と属人化の解消
下のグラフは、帝国データバンク『人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)』の結果です。正社員が不足していると感じている企業は51.6%、非正社員が不足していると感じている企業は28.3%と、高止まりを続けています。

帝国データバンク『人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)』より引用
人手不足によって深刻化するのは業務の属人化です。人手が足りず、特定の人物しかできない業務が増えることは、企業運営にとって大きなリスクとなります。人手不足と属人化の解消として、DXが必要視されているのです。
2.新しい価値や事業の創出
IT技術は日々進歩を続けています。新しい技術は、新しい価値や事業の創出に欠かせません。技術の進歩から新しいアイディアが生まれたり、新しい価値が生まれるということも珍しくはないのです。
新しい技術を積極的に導入することが、新しい価値の創出に必須だと考えられています。
3.競争力の維持・強化
IT技術の進歩が続くと、既存の技術は常に古いものへと置き換わっていきます。
他社が新しい技術を取り入れようとしている中で、自社だけが古い技術で取り残されているような状況になれば、ビジネス競争に勝てません。企業の生存戦略としても、DXは必要不可欠なのです。
DXを始める前に必要な3つの考え方
必要性を理解した上で、DXを始めるために重要な考えをお伝えします。
1.DXは目的ではなく手段
DXの最終的な目的は企業全体の業務変革です。デジタル化そのものをDXの目的として考えてしまうと、業務変革という結果は生み出せません。単なるデジタル化で終わらせないためにも、目的を明確にしておきましょう。
2.DXは小さく始める
DXは、将来的には全社に大きく影響を与える取り組みです。しかし、はじめから大きな目標を立てると、何から始めればよいかわからなくなります。
最終的な目標が全社にわたる業務変革だとしても、第一歩は小さく始めましょう。例えば、一部署だけでデジタル化を推進し、成果が出たことを確認してから段階的に広げるのも効果的な進め方です。
3.データ蓄積を前提で考える
DXにおいて、データは業務改善の種です。データ分析こそがDXにおいて最も重要な要素のひとつといえます。集積したデータを活用することで、業務の効率化や新しい価値の創出につながるため、DXを進める場合はデータの蓄積も意識しましょう。
DXを推進するための5STEP
ここからは業務整理を主体としたDXの進め方を、5STEPで紹介します。
STEP1.DXの目的を明確にする
DXの目的は、デジタル化を通じた業務変革にあります。
そのため、DXを推進する際には「何を変えたいのか」という目的を明確にすることが重要です。あわせて、どこから着手するのか、何を基準に成果を判断するのかも、初期段階で定めておきましょう。
単なるデジタル化で満足してしまうと、DXの成果を正しく評価できません。実行と評価をセットで行うことで、はじめてDXは適切に評価されます。
また、DXは小さな取り組みから始まる場合でも、将来的には全社へ影響が広がる可能性があります。だからこそ、経営層が主体となって旗振りを行い、責任の所在を明確にしたうえで推進していくことが理想です。
STEP2.現状業務を整理する
次に必要なのは現状把握です。改善する業務の棚卸から始めましょう。
ポイントは業務をできるだけ細分化することです。大雑把な棚卸では、業務の実態は掴めません。細かい粒度での整理でこそ、DXすべき業務が見極められるのです。棚卸には、業務に精通している人材に協力してもらいましょう。
STEP3.進め方と手段を検討する
ここで初めてDXの手段を選択します。
ツールを導入するのか、サービスを利用するのか、システム開発を行うのかを選ぶのです。なお、ツール、サービス、開発にはそれぞれ得手不得手がありますので、業務フローに置き換えて、どこにどの手段をあてこむのがよいか、検討するとよいでしょう。
どのような基準で手段を選ぶとよいのかは、後述します。
STEP4.業務に落とし込む
すべての検討が終われば、いよいよ業務への落とし込みです。STEP3で選んだ手段を実現しましょう。特にシステム開発は、長い工程へと進みます。いずれの手段にせよ、最後まで重要なのは、手段を目的化しないことです。
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DXを推進するためのシステム開発についてプロが解説
STEP5.データを活かしDXを育てる
DXは実現して終わりではありません。
成否判断をした上で、導入したツールやシステムの改善や、蓄積したデータの活用検討をしましょう。そこからさらに新たなDXを育てられるのです。
DX推進でよくある失敗とその理由
日本企業では、DXに取り組んでいるものの、十分な成果を実感できていないケースが少なくありません。
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)がまとめた『DX動向2025』によると、「DXの成果が出ていない」「成果がわからない」と感じている日本企業は2024年度では42.2%に上ります。同年のアメリカは13.0%、ドイツは18.3%です。日本企業は明らかにDXの恩恵を感じられていません。なぜでしょうか。

IPA『DX動向2025』より引用
DX推進の目的が定義されていない
大きな理由のひとつが、DXの目的が定義されていないことです。調査によると、DXの成果がわからない理由は「成果目標を定めていない」が21.9%と最も高いです。「何のための取り組みなのか」目的がなければ、成否判断はできません。

IPA『DX動向2025』より引用
DX推進を任せられる人材がいない
DX推進を専任する人材が社内にいないことも、よくある課題のひとつです。
下図によると、従業員が100人以下の日本企業において「DXに取り組む専門部署やプロジェクトチームがある」と答えたのは20.7%でした。アメリカが88.3%、ドイツが88.7%であるのに対し、かなり低い水準であることがわかります。
通常業務の片手間でDXを進めようとして、うまくいかないケースも少なくありません。

IPA『DX動向2025』より引用
DX推進が組織の共通認識になっていない
DXがうまく進まない要因として、組織内でDXの目的や重要性が共有されていないことが挙げられます。
経営層と現場のどちらか一方だけがDXを理解していても、取り組みは前に進みません。認識にズレがある状態では、DXは組織に定着せず、形だけで終わってしまいます。
DX推進に必要な人材と体制
日本企業のDX推進には目的、人材、体制に問題があることがわかりました。
ここでは、人材と体制に焦点を当てて解説します。
DXには業務理解とITの両方が必要
DXはデジタル技術を活用した業務変革です。業務変革には、業務理解が欠かせません。
しかし、業務理解のある人材だけでDXを推進することは現実的ではなく、業務理解のある人材とIT人材が揃って、はじめてDXは進めることができます。
また、業務理解のある人材を外部に求めるのは困難です。同じ業種でも、細かく見れば企業ごとのルールや方針が異なるからです。そのため人材不足に悩む企業は、社内には業務側の人材を揃え、IT人材を外部委託するというのも、検討するとよいでしょう。
DXはトップ主導で現場と進める
DXを推進するには、トップダウンでの意志疎通が最も効果的です。現場からDXの必要性を訴えるだけでは、なかなか全社に浸透しません。経営層がDXの必要性を理解し、社内に認識させる必要があります。
DXツール・技術の選び方
ここでは実際にDXにあたってどのようなツールや技術があり、どうやって選ぶのかを解説します。
DXで使われる代表的なツール・技術
・身近なツール
Excel、スプレッドシートでも、DXは可能です。コストをかけられない場合の最初の一歩として、活用するのも手です。
・クラウドサービス
世間には、DXを推進するクラウドサービスも数多く存在します。
例えば、書類の申請から承認までWeb上で完結するワークフローシステムや、実際の倉庫の状況と紐づけた在庫管理システムなどです。DXの対象が汎用性のある業務の場合は、比較的低コストでお手軽に導入できるクラウドサービスを検討するのもおすすめします。
・システム開発
クラウドサービスでは、網羅できない場合に有効な手段が、システム開発です。コストは他の手段に比べて高くなりがちですが、カスタマイズ性が高く、原則どんな業種でも対応可能です。
DXツール・技術の選び方の考え方
・最初からツールや技術ありきにしない
便利なツールや技術があると、つい「これで何が出来るか」と考えてしまいます。しかし、重要なのは「この目的のために必要なツールや技術は何か」という考え方です。ツールや技術起点でDXの検討を始めるのはやめましょう。
・DXの目的を明確にする
ツールや技術に惑わされないためにも、DXの目的を明確にしておくことが重要です。迷ってしまったら、いつでも目的に立ち返るようにしましょう。
・小さく始められる手段を選ぶ
DXというと何か大事で進めなければいけないように感じてしまいますが、そんなことはありません。紙の申請書をExcel化し、データを集められるようにするといったスモールスタートから検討しましょう。
DXにシステム開発が向いているケース
では、システム開発がどのような場合にDXの手段として有効なのでしょうか。具体的に紹介します。
・業務プロセス自体を見直したい
既存のツールやサービスは、汎用性の高い業務プロセスをモデルにしています。業務をゼロベースで見直す場合、既存のツールやサービスの利用を前提にするのはおすすめしません。何もないところから考えられるのが、システム開発の強みです。
・既存ツールでは業務に合わない
業務の複雑さや、使い勝手に基づけば、業種や業務プロセスによっては、既存ツールでは実現できない場合があります。拡張性の高い、システム開発を検討しましょう。
・将来の拡張やデータ活用を前提にしたい
既存ツールは目の前の決まったプロセスの改善に役立つことが多いです。しかし、別のシステムと連携させる拡張性は低い傾向にあります。蓄積したデータをさらに活用したい場合、拡張性が担保しやすいシステム開発によるDXがおすすめです。
・会社独自の強みを仕組みにしたい
企業にはそれぞれの強みがあります。会社独自の強みを活かしたまま、DXを推進したい場合は自由にカスタマイズできるシステム開発によるDXも検討しましょう。
DXの成功事例
ここでは、具体的な事例をご紹介します。
実はスモールスタートだったセブンイレブンのDX
DXの成功例としてよく紹介されるのはセブンイレブン。従来の「ストアコンピューター」を廃止し、タブレット操作ができるクラウド上のデータ管理に移行しました。結果、店舗業務の効率化と省人化に成功。まさにDXによって業務プロセスを刷新した良い事例です。
しかし、この事例の発端はPOSシステム(販売時点情報管理システム)でデータを収集しはじめたところから始まっています。革新的な業務変革も、最初は、スモールスタートだったのです。
ゼロから大規模DX推進チームを立ち上げたクレディセゾン
クレジットカードで有名なクレディセゾン。本格的にDXを推進し始めたのは2019年からです。内製化組織をゼロから立ち上げ、2025年時点では約200名規模のDX推進チームを立ち上げました。
社員換算で約800人分の業務を自動化し、コピー用紙の使用量も累計102トン分削減を実現。主要システムのクラウド利用率も80%に到達しています。
既存ツールやサービスではなく、自社に適したシステム開発によるDXとして、大きな成果を上げました。
DXに関するよくある質問
最後に、DX推進でよくある質問にお答えします。
Q1.DX推進に必要な予算の目安は?
A.DXの対象や事業規模によります。スモールスタートであれば、Excelなど会社が利用しているツールから始めることも可能です。サービス導入やシステム開発となると数十万~数千万円の予算を見ておく必要があります。導入の判断に至った場合は、提供会社やシステム開発会社に必ず見積もりを取りましょう。
Q2.現場はDXの必要性を感じているのに経営層が理解してくれない!どうする?
A.経営層のDX理解は必須です。時間をかけてでも、理解を得ましょう。経営層が関心を持つのは「投資対効果」と「失敗リスク」です。説明だけで理解されない場合は、数字をもって理解を促しましょう。ツールの無料トライアルを試して効果を測定するなど、効果を具体的に提示するのが効果的です。
Q3.DX検討のためのデータはどこから集めればいい?
A.既存の業務の中から集めましょう。DXのヒントは、既存業務の中にあります。報告書を書く時間を計測してもらったり、紙の情報からデータを抽出して分析したりと、コツコツ集めるのがDX推進の近道です。
Q4.DXとIT投資の違いは?
A.IT投資はDXの前提です。DXの手段としてIT化(≒デジタル化)がありますが、IT投資は、そういったIT化のための投資です。DXが目的とするのは業務改革のため、IT投資だけではDXとは呼びません。
Q5.DXを外部委託する場合のポイントは?
A.DXにおける外部委託のポイントはいくつかあります。なかでも、ツールやシステムを提供するだけでなく、業務フローや現場の課題を一緒に整理できるかが、最も重要です。その他のポイントは下のリンクをご確認ください。
DXは小さく始めて、育てていくもの
DXはデジタル技術を活用した企業変革です。
そのためには明確な目的と、業務への理解が不可欠となります。
いきなり大きな変革を目指す必要はありません。まずは身近な業務を見直し、小さな改善から始めることが、DXの現実的な進め方です。
業務の中で生まれたデータを蓄積し、活用しながら改善を重ねていくことで、DXは企業に根付いた取り組みとして、育っていきます。
さいごに
DXは「何から始めるか」が明確になった瞬間に、はじめて現実的なプロジェクトになります。
しかし実際には、目的は描けても「それをどう業務に落とし込むか」「どの手段が最適か」「将来の拡張やデータ活用まで見据えて設計できるか」でつまずく企業が少なくありません。
当社フレシット株式会社は、ツール導入ありきではなく、まず業務整理から伴走するフルスクラッチ開発のシステム開発会社です。
現場の実態を丁寧にヒアリングし、目的から逆算して設計を行い、将来の拡張やデータ活用まで見据えた“育てられるシステム”をオーダーメイドで構築します。
既存サービスでは実現できない業務の最適化、会社独自の強みを活かした仕組みづくり、本気で成果につなげたいDX。
その第一歩を、業務整理から一緒に進めてみませんか。
DXを「検討」で終わらせず、「成果」に変えるために。
貴社にとって最適なかたちのDXを、当社とともに設計していきましょう。
監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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