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COLUMN コラム詳細

システム開発におけるパーキンソンの法則とは?失敗を防ぐための設計と進め方

成果から逆算するフルスクラッチ開発の考え方

2026-03-02

「十分な期間を確保したはずなのに、なぜか開発が終わらない」「機能を足しているうちに、当初の目的が曖昧になってしまった」。このような経験はないでしょうか。システム開発において頻発するこうした現象は、偶然ではありません。その背景には「パーキンソンの法則」があります。

本コラムでは、システム開発におけるパーキンソンの法則の本質を解説し、事業会社が失敗を防ぐための具体的な設計と進め方について整理します。

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システム開発におけるパーキンソンの法則とは

パーキンソンの法則とは「仕事は与えられた時間をすべて使い切るまで膨張する」という考え方です。システム開発では、十分な期間や予算を確保すると安心感から検討や機能追加が広がり、本来不要な仕様まで積み上がる傾向があります。その結果、意思決定が遅れ、コスト増大やスケジュール遅延を招きます。重要なのは、目的と優先順位を明確にし、期限と範囲を意図的に制約することです。限られた条件下で本質的な価値に集中する設計と進行管理が、成果を最大化します。

ポイントをひとことで

システム開発において真に管理すべきなのは工数ではなく、意思決定の基準です。時間や予算に余白があると、議論や機能は自然に増えていきますが、それは価値の増大を意味しません。重要なのは「何をやらないか」を先に定めることです。目的・成果指標・初期範囲を明確に固定することで、投資は拡散ではなく集中に向かいます。開発とは拡張の作業ではなく、優先順位を研ぎ澄ます営みだと捉える視点が、投資対効果を左右します。

パーキンソンの法則とは何か

パーキンソンの法則とは、「仕事は与えられた時間をすべて使い切るまで膨張する」という法則です。本来2週間で終わる検討でも、1か月あれば1か月かかります。余裕のある予算があれば、その範囲内で要件や資料が増えていきます。

システム開発では、この法則がより顕著に現れます。なぜなら、システムは目に見えにくく、完成イメージが曖昧なまま議論が進みやすいからです。時間や予算に余白があるほど、「せっかくだからこの機能も」「将来使うかもしれないから追加しておこう」という判断が増えます。

その結果、開発は本来の目的から徐々に離れ、工数とコストが膨らみます。

システム開発で起きる“膨張”の典型パターン

システム開発におけるパーキンソンの法則は、主に以下のような形で表れます。

要件定義の長期化

関係者が多いプロジェクトでは、「全員が納得するまで議論する」ことが目的化しがちです。議論は重ねるほど精緻になりますが、その分だけ決定は遅れます。検討期間が延びるほど論点も増え、いつまでも確定しません。

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機能の過剰追加

当初は業務効率化が目的だったにもかかわらず、分析機能、通知機能、ダッシュボード機能などが次々に追加されます。どれも単体では合理的に見えますが、全体としては過剰投資になっているケースが少なくありません。

スケジュールの弛緩

「まだ時間がある」という心理が、優先順位の曖昧さを生みます。重要な意思決定が先送りされ、結果的に後半で圧縮開発になり、品質リスクが高まります。

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なぜ事業会社で起こりやすいのか

事業会社にとってシステムは手段です。しかし、開発が始まると「どの機能を入れるか」という議論が中心になり、本来の経営目的が後景に退きます。

特に以下のような状況では、パーキンソンの法則が働きやすくなります。

  • 業務課題が言語化されていない
  • 成功指標が数値で定義されていない
  • 「できること」と「やるべきこと」が分離されていない
  • 現場の要望をそのまま積み上げている

時間と予算があるほど、システムは“完成度”を追い求めます。しかし、完成度と事業成果は必ずしも比例しません。

パーキンソンの法則を抑制する考え方

システム開発において重要なのは、「膨張させない前提」を最初に置くことです。

目的から逆算する

まず明確にすべきは、「このシステムで何を変えたいのか」です。業務時間を20%削減したいのか、在庫ロスを半減したいのか、受注処理のスピードを倍にしたいのか。数値で定義された目的があると、不要な機能は自然と削ぎ落とされます。

範囲を意図的に制限する

最初からすべてを網羅するのではなく、「初期リリースで必要な範囲」を明確に区切ります。フェーズを分けることで、開発を前進させながら改善できます。これは単なる段階開発ではなく、意思決定を前に進めるための設計です。

期限を固定する

スケジュールを柔軟にするほど、議論は延びます。期限を固定することで、優先順位が自然に整理されます。「間に合わせるために何を削るか」という視点が生まれ、重要な機能が明確になります。

フルスクラッチ開発とパーキンソンの法則

「フルスクラッチ開発は自由度が高いから、かえって膨張するのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、自由度が高いほど設計の責任は重くなります。しかし、本質的には逆です。

パッケージ導入の場合、「用意された機能をどう使うか」という議論になります。一方、フルスクラッチ開発では、「本当に必要な機能は何か」から設計します。この違いが、膨張を防ぐ大きなポイントになります。

フルスクラッチ開発では、事業の優先順位を基準に取捨選択できます。不要な機能を持ち込まないことが前提になるため、結果として合理的な投資になります。

重要なのは、自由度を“制御できる設計思想”を持っているかどうかです。

システム開発会社の選び方で差が出る

パーキンソンの法則を抑制できるかどうかは、システム開発会社の関わり方で大きく変わります。

単に要望を受け取って実装するだけでは、機能は増え続けます。一方で、「それは本当に必要か」「目的に直結しているか」を問い続けるシステム開発会社であれば、開発は引き締まります。

  • 事業視点で設計できるかどうか。
  • 投資対効果を前提に議論できるかどうか。
  • 仕様ではなく成果を基準に会話できるかどうか。

これが、開発の成否を分けます。

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まとめ

システム開発におけるパーキンソンの法則とは、「時間と予算があるほど、開発は膨らむ」という現象です。この法則を理解せずに進めると、機能は増え、目的は曖昧になり、投資対効果が見えなくなります。

重要なのは、目的を明確にし、範囲を制限し、期限を固定することです。そして、事業成果を軸に設計できる体制を整えることです。

システムは機能の集合ではなく、事業成果を生むための手段です。パーキンソンの法則を前提に設計することで、開発は「膨らむプロジェクト」から「前進する投資」へと変わります。

こうした前提に立つとき、重要になるのは「機能を増やすこと」ではなく、「本当に必要なものだけを見極める力」です。

当社フレシット株式会社は、単に要望を受け取って形にするのではなく、事業目的・投資対効果・将来拡張までを見据えたうえで、必要な機能と優先順位を整理するところから伴走します。時間と予算があるほど膨らみがちなシステム開発において、あえて引き算を行い、事業成果に直結する設計へと導くことを重視しています。

フルスクラッチ(オーダーメイド)開発だからこそ、パッケージに業務を合わせるのではなく、御社のビジネスモデルや業務フローに最適化した形で設計できます。同時に、初期リリースの範囲を明確に区切り、段階的に成長させる設計を行うことで、パーキンソンの法則による膨張を抑えながら、着実に成果へとつなげます。

「作ること」が目的ではなく、「事業を前に進めること」を目的にしたシステム開発をお考えであれば、一度、当社フレシット株式会社にご相談ください。御社の戦略にフィットした、無駄のない一歩目を共に設計いたします。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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