【川崎幸病院がDXで利益8億円増へ】売上を追わずに利益を増やすDXとは?──人件費率を下げるシステム設計の考え方
人を増やさず、利益を増やすDX
2026-03-04

大動脈手術で国内有数の実績を持つ病院が、売上拡大ではなく「人件費率の改善」によって利益を積み増す方針を掲げました。背景にあるのは、医療を継続するために健全な利益を確保するという明確な経営判断です。
多くの企業が「売上を伸ばせば利益も伸びる」と考えがちですが、実際には人件費や物価が上昇する局面では、その発想だけでは限界があります。本コラムでは、売上を追わずに利益を増やすDXの考え方と、人件費率を下げるためのシステム設計のポイントについて解説します。
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目次
【記事要約】川崎幸病院、DX推進で人件費率を抑制し8億円の利益積み増しへ
国内有数の大動脈手術実績を持つ川崎幸病院は、将来の建て替え資金確保と医療継続を目的に事務部門のDXを推進している。退院サマリーや褥瘡治療計画の作成にAIやRPAを導入し、月間数百時間規模の作業を削減。電子カルテ連動やウェブ問診で転記業務も省力化する。人件費率を40%から35%へ引き下げることで、売上拡大に頼らず今後3年で経常利益を8億円積み増す方針だ。
出典:日本経済新聞「大動脈手術 国内最多の川崎幸病院 DXで利益8億円増目標 事務を自動化 医療継続、建て替え資金に」2026年2月26日付朝刊
ポイントをひとことで
DXは単に業務を便利にするための取り組みにとどまるものではありません。どの業務を仕組みに置き換え、どこで人の手を使うのかを見直すことで、結果として固定費を抑え、利益率を高めることにつながります。大切なのは、減った作業時間や人件費を「楽になった」で終わらせるのではなく、人を増やさなくても回る体制をつくり、その分だけ毎月の利益が確実に残るようにすることです。システム投資を将来の収益力を左右する経営判断として捉えられるかどうかが、その後の差を生みます。
売上拡大に頼る経営の限界
利益は「売上 − コスト」で決まります。にもかかわらず、多くのDXは売上向上を主目的に設計されています。新規顧客獲得、マーケティング強化、チャネル拡大といった取り組みは確かに重要です。しかし、売上を伸ばせば必ず利益が増えるとは限りません。
売上を拡大すれば、業務量も増えます。問い合わせ対応、受発注処理、請求処理、在庫管理、カスタマーサポートなど、裏側の業務が増大し、人員も増える傾向があります。結果として、人件費率が上昇し、利益が思うように積み上がらないケースは少なくありません。
特に人材確保が難しい時代では、単純な人員増強はリスクを伴います。採用コスト、教育コスト、定着率の問題など、見えない負担も拡大します。売上拡大中心のDXは、場合によっては利益を圧迫する要因になり得ます。
利益積み増し型DXという発想
今回の病院の事例が示しているのは、「売上を追わずに利益を積み増す」という考え方です。その鍵は人件費率の引き下げにあります。
たとえば、退院サマリーの作成や各種計画書の作成にAIやRPAを導入し、月間数百時間単位の事務作業を削減する取り組みは、人を減らすためではなく、人件費率を下げるための施策です。自然減や配置転換によって総人件費を抑えつつ、売上水準を維持できれば、利益率は確実に改善します。
この発想は医療業界に限りません。製造業、小売業、ITサービス業など、あらゆる業界で応用可能です。重要なのは、「どこに無駄な時間が発生しているか」を可視化し、それをシステムで置き換えることです。
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人件費率を下げるためのシステム設計
では、どのようなシステム設計が利益積み増しにつながるのでしょうか。
まず着目すべきは、繰り返し発生する事務作業です。データ転記、集計、帳票作成、進捗管理、二重入力など、現場では当たり前になっている業務の中に、多くの時間ロスが潜んでいます。
これらを単純にRPAで置き換えるだけでは十分ではありません。本質は、業務の流れそのものを見直し、最初から「入力は一度だけ」「自動連携を前提とする」設計にすることです。
例えば、
- Webフォームと基幹システムを直接連動させる
- 承認フローを電子化し、履歴を自動記録する
- リアルタイム集計で報告資料作成を不要にする
といった設計は、毎月何百時間もの削減につながります。これが年間単位になると、常勤数名分の労働時間に相当することも珍しくありません。
フルスクラッチ開発が必要になる理由
人件費率を本気で下げる場合、既存パッケージへの当てはめでは限界があります。パッケージは汎用性を重視しているため、自社固有の業務に完全にフィットするとは限りません。結果として、システム外での手作業やエクセル運用が残り、真の効率化に至らないことがあります。
利益積み増し型DXでは、「どの工程を自動化すべきか」「どの情報をリアルタイムで連動させるべきか」という設計が極めて重要です。そのためには、業務の現状を丁寧に洗い出し、自社専用に最適化された仕組みを構築する必要があります。
フルスクラッチ開発は、業務に合わせて設計できる点が最大の強みです。単なる機能追加ではなく、利益率改善という経営目標から逆算して設計できる点に価値があります。
売上を増やさずに利益を伸ばすための視点
利益を積み増すためには、次の視点が重要です。
- 業務量が増えても人員を増やさない設計になっているか
- データは一度の入力で全体に反映されるか
- 手作業による集計や転記が残っていないか
- 人がやるべき業務とシステムに任せる業務が明確か
これらを徹底的に見直すことで、売上を無理に拡大せずとも、利益率は改善できます。むしろ、効率化が進んだ後に売上が伸びれば、利益はさらに大きく積み上がります。
利益積み増しは経営の安定性を高める
利益を積み増すことは、単なる数字の改善ではありません。将来投資の原資を確保することに直結します。設備更新、新規事業、採用強化、研究開発など、攻めの投資は十分な利益があってこそ可能です。
外部環境が不安定な時代においては、売上の伸びだけに依存する経営は脆弱です。一方で、人件費率を適正化し、安定した利益を確保できる企業は、景気変動にも耐えやすくなります。
まとめ
売上拡大だけを目指すDXには限界があります。これからの経営に求められるのは、売上を無理に伸ばさずとも利益を積み増せる仕組みづくりです。その鍵は、人件費率を下げるためのシステム設計にあります。
繰り返し発生する業務を見直し、最初から自動化を前提とした仕組みを構築すること。業務に合わせたフルスクラッチ開発によって、初めて実現できる最適化も少なくありません。
利益は偶然増えるものではなく、設計によって生み出すものです。今後のDXを検討する際は、「売上を伸ばすか」だけでなく、「人件費率をどう下げるか」という視点から、自社の業務を見直してみてはいかがでしょうか。
利益を積み増すDXは、単なるツール導入では実現できません。業務の流れを丁寧に分解し、「どこに時間が使われているのか」「どこを自動化すれば人件費率が下がるのか」を経営視点で整理することが出発点になります。
当社フレシット株式会社は、機能ありきではなく、利益改善というゴールから逆算してシステムを設計するフルスクラッチ開発を強みとしています。既存パッケージに業務を合わせるのではなく、現場の実態を踏まえながら、自社にとって最も合理的な仕組みを一から設計します。転記や二重入力の排除、リアルタイム連携、承認フローの最適化など、日々の積み重ねが利益率に直結する領域にこそ、本質的な価値があると考えています。
「売上を追い続ける経営」から「利益を設計できる経営」へ。その転換を本気で目指すのであれば、業務に合わせたオーダーメイドの仕組みづくりが不可欠です。自社の人件費率を下げ、持続的に利益を積み増せる体制を築きたいとお考えでしたら、ぜひ一度、当社フレシット株式会社にご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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