【新しい郵便番号の仕組みから読み解く】“目的ごとに分ける”が競争力になる──データ細分化が業務効率を変える理由
Excelで限界を感じたら疑うべきは“データの持ち方”です
2026-03-30

近年、住所や拠点を7桁の英数字で識別する仕組みが登場し、配送や業務のあり方に変化が生まれています。この動きの本質は単なる利便性の向上ではなく、「データをどの粒度で扱うか」という設計思想の転換にあります。
従来のように一つの住所や一つの拠点で管理するのではなく、目的ごとに分けて管理することで、業務効率は大きく変わります。本コラムでは、データ細分化の重要性と、それを実現するための考え方について解説します。
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目次
【記事要約】7桁英数字で住所を識別する「デジタルアドレス」が物流効率を変える
日本郵便は、住所や氏名を「ABC-1234」のような7桁英数字で一意に識別する「デジタルアドレス」を企業向けに発行開始した。この識別子は転居後も変更手続きにより継続利用でき、生涯同一の届け先IDとして機能する点が特徴である。従来の住所表記の揺れを排し、配送先を正確に特定できるため、仕分けの簡略化や共同配送の実現など物流効率化への寄与が期待される。今後は企業情報や緯度経度などの付加情報とも連携し、より精緻な配送インフラとしての活用が見込まれる。
出典:日本経済新聞「新郵便番号、企業にも今月から発行 7桁英数字で届け先特定」2026年3月13日付朝刊
ポイントをひとことで
業務効率の差はツールの性能ではなく、「どの単位でデータを持つか」という設計判断で決まります。多くの現場では粒度が粗いまま運用で補っており、それが非効率や属人化の原因になります。重要なのは、業務の判断や処理の単位に合わせてデータを切り分けることです。ここを誤ると後からの改善コストが膨らみます。逆に初期段階で適切に設計できれば、システムが判断を担い、人に依存しない運用へと移行できます。
なぜ「まとめて管理」が限界を迎えるのか
多くの業務システムでは、「1拠点=1データ」といった形で情報がまとめて管理されています。一見するとシンプルで扱いやすいように見えますが、業務が複雑化するにつれて問題が顕在化します。
例えば、物流拠点を1つの単位で管理している場合、実際には複数の搬入口や担当部署が存在していても、それらを区別できません。その結果、
- どの搬入口に届けるべきか分からない
- 担当部署ごとの処理が分断される
- 余計な確認や手作業が発生する
といった非効率が生まれます。
このような状態は、Excelや既存システムで無理やり運用している企業ほど顕著です。業務は細かく分かれているのに、データは粗いままというギャップが、日々のロスを生み出しています。
データ細分化がもたらす変化
データを目的ごとに分けると、業務の精度とスピードは大きく変わります。
例えば、拠点単位ではなく「搬入口単位」で管理する場合、配送先は一意に特定できるようになります。さらに、商品ごと、時間帯ごとといった単位で分けていくことで、より最適な処理が可能になります。
このような細分化によって得られる効果は明確です。
- 判断の迷いがなくなる
- 手作業の確認が減る
- 担当者依存が解消される
つまり、「人が考えて補う業務」から「システムで自動的に判断できる業務」へと変わっていきます。
「数百億通り」という自由度が意味するもの
近年の識別方式では、数百億通りという膨大なパターンが扱えるようになっています。これは単なる技術的な進化ではなく、「どこまで細かく分けても対応できる」という設計の自由度を意味します。
従来は、システムの制約によって
- 拠点は1つにまとめる
- 部署単位でしか管理できない
といった妥協が必要でした。
しかし、細分化の前提が変わることで、
- 拠点×搬入口
- 拠点×商品
- 拠点×時間帯
といった掛け合わせでの管理が現実的になります。
この自由度こそが、業務改善の幅を大きく広げます。
静的な情報から「運用条件」へ
さらに重要なのは、データに持たせる内容が変わってきている点です。従来は住所や名称といった固定的な情報が中心でしたが、現在は営業時間や稼働時間といった運用に関わる情報も扱えるようになっています。
例えば、搬入口の稼働時間をデータとして持たせることで、
- 受け取り可能な時間帯に合わせた配送
- 無駄な再配達の削減
といった最適化が可能になります。
これは単なる情報管理ではなく、「業務ルールをデータとして扱う」という発想です。この考え方が導入されると、システムは単なる記録のためのものではなく、業務を動かす基盤へと変わります。
パッケージでは対応しきれない理由
ここまで見てきたような細分化は、あらかじめ決められた枠組みでは対応が難しいケースが多くあります。パッケージ型のシステムでは、
- 管理単位が固定されている
- 項目追加に制限がある
- 業務ごとの細かい違いに対応できない
といった制約が存在します。
そのため、現場の業務に合わせて柔軟に粒度を変えることができず、結果として「運用でカバーする」状態に陥りがちです。一方で、フルスクラッチのシステム開発であれば、業務の実態に合わせて
- どの単位で管理するか
- どの情報を持たせるか
を設計段階から決めることができます。
この違いが、長期的な効率や拡張性に大きな差を生みます。
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データの粒度が競争力を分ける時代へ
業務効率の差は、ツールの違いではなく「データの持ち方」によって生まれるケースが増えています。
同じ業務を行っていても、
- 粗い単位で管理している企業
- 目的ごとに細かく分けている企業
では、処理スピードやミスの発生率に大きな差が出ます。
特に人手不足が進む中で、「人が補う前提」の業務は限界に近づいています。データを細かく分けることで、システムが判断できる範囲を広げることが、持続的な運用には不可欠です。
まとめ
データを「まとめて管理する」時代から、「目的ごとに分けて管理する」時代へと移行しています。拠点、工程、商品、時間といった単位で細かく分けることで、業務の無駄や属人化を減らすことができます。重要なのは、どこまで細かく分けるかを業務に合わせて設計することです。この考え方が、これからの業務効率と競争力を左右する要素となります。
データをどの粒度で持つかは、ツールの選定ではなく「設計」で決まります。そして、その設計は業務の理解なしには成立しません。現場の流れや判断のタイミング、運用上の制約まで踏まえたうえで、どこまで分けるべきかを見極めることが重要です。
当社フレシット株式会社では、単にシステムをつくるのではなく、業務の実態に向き合いながら最適なデータ設計からご提案しています。拠点・工程・商品・時間といった単位をどのように扱うべきかを整理し、将来の変更にも耐えられる形で一から組み上げていきます。
既存の仕組みに業務を合わせるのではなく、業務に合わせてシステムをつくる。その選択が、日々の運用負荷や将来的な改善余地に大きな差を生みます。データの持ち方から見直したいとお考えの際は、一度ご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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