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システム開発における準委任契約とは?請負契約との違いなども徹底解説

2025-01-27

システム開発における準委任契約とは?請負契約との違いなども徹底解説

企業がビジネスを推進する中で、「人手が足りない」「スキルやノウハウが十分ではない」などのさまざまな理由により、業務の一部を外部のプロフェッショナルに委託するケースは少なくありません。
システム開発の世界でも、開発ベンダーやソフトハウスと呼ばれる専門業者への業務委託が昔から行われてきました。

近年はこうした業務委託において「準委任契約」という契約形態を採用する企業が増えています。
そこでこの記事では、システム開発の業務委託を検討している方に向け、準委任契約のメリットやデメリット、請負契約との違い、成功事例や失敗事例など、準委任契約に関するさまざまな情報について詳しく解説します。

準委任契約とは

準委任契約とは、外部業者へ業務を委託する際の契約形態の1つです。準委任契約を知るには、まず「委任契約」について理解しなければなりません。

委任契約とは、委託者が受託者に対して業務を依頼し、受託者が契約期間内において定められた業務を遂行することにより報酬が発生する契約です。
受託者にとっては、成功という結果や明確な成果物を求められるものではなく、あくまで定められた業務を遂行することが契約上の目的となります。
例えば、委任契約によって仕事を引き受けた弁護士が、結果として裁判に負けてしまったとしても、契約違反にはならないのです。

委任契約のうち、弁護士や司法書士が行うような法律行為に関わる契約を(狭義の)委任契約、それ以外(法律行為に関わるもの以外)を準委任契約と呼びます。
つまり、システム開発において、エンジニアの作業時間に対して報酬を支払うような契約や、技術力の提供を条件とするような契約は、すべて準委任契約です。

準委任契約と請負契約の違い

請負契約は、業務の請負人が仕事の完了を約束し、依頼者がその結果に対して報酬を支払う契約です。一般的には、契約履行の条件として成果物の内容が提示され、その納品および報酬の支払いをもって契約が終了します。
そのため、システム開発においても、明確な成果物や完成形について双方合意の上、請負契約での外部委託が行われるケースが少なくありません。

一方、準委任契約は上述の通り、「仕事の完了」ではなく「業務の遂行」を約束する契約です。以下に、両者の違いを表で比較しました。

項目準委任契約請負契約
契約の目的業務の遂行(過程重視)成果物の完成(結果重視)
成果物の要否必要ない場合が多い必須
報酬の支払い基準労働時間や作業内容に応じて支払われる(例: 月次払い、時給制)成果物の納品後に支払われる(例: 納品時一括払い)
責任範囲誠実に業務を遂行すればよい。成果物の完成責任は負わない成果物が契約通りに完成する責任を負う
仕様変更への対応柔軟に対応可能契約内容に基づき別途追加契約が必要な場合が多い
適しているケース仕様が確定していないプロジェクトや作業プロセスが重視される業務納期や成果物が明確に定められているプロジェクト

上記のように、準委任契約は業務の遂行に焦点を当てており、請負契約とは異なるメリットとデメリットがあることが分かります。

準委任契約のシステム開発における報酬の支払い方法

業務の結果や仕事の完了に対して報酬が発生する請負契約では、成果物の納品をもって定められた報酬が支払われるのが一般的です。
一方、業務の遂行に対して報酬が発生する準委任契約では、労働時間や作業内容に基づいて報酬が支払われるため、金額決定の方法や支払いのタイミングについてはさまざまなケースがあります。
いずれにしても、契約時に双方合意の上で明確に取り決めておくことが重要です。

システム開発における準委任契約では、月ごとの作業に基づいて毎月報酬が支払われる「月次払い」のほか、特定のフェーズが完了するごとに報酬が支払われる「マイルストーン払い」などがあります。
また、金額についても、毎回一定の金額(固定報酬)が支払われるケースを始め、基本金額に成果報酬がプラスされるケース、時給によって報酬が決定されるケースなど、多様なパターンが考えられます。

準委任契約のシステム開発で未完成となった場合

請負契約とは異なり、準委任契約では「仕事の完了」ではなく「業務の遂行」が契約履行の条件です。そのため、基本的にはシステム開発で未完成となった場合でも委託者は報酬を支払う義務が発生します。
その一方で、システム開発で未完成となった要因が、業務が適切に遂行されなかったことにあると認められる場合は、債務不履行として責任を追及できるケースがあるかもしれません。

また、2020年の民法改正により、準委任契約であっても成果物の納品を義務とする「成果完成型」の契約を結べるようになりました。
委託する業務内容次第では、「成果完成型」の準委任契約を採用することで、委託者はよりリスクを低減できるのではないでしょうか。

準委任契約のメリット

準委任契約でシステム開発を委託する主なメリットは、次の通りです。

  • 必要な期間だけ必要な人材を確保できる
  • プロフェッショナルの技術や専門知識が活用できる
  • 仕様変更などにも柔軟に対応できる

準委任契約によって、必要な人材を必要な期間だけ確保することが可能です。突発的なプロジェクトが発生した場合でも、迅速かつ効率的にリソースを揃えられます。

また、実績のある外部業者に委託すれば、プロとしての専門的な知識やスキルを活用しながら、成果物のクオリティを飛躍的に高められるでしょう。さらに、「業務の遂行」を条件とした準委任契約では、請負契約と比べて、仕様変更などの事態にも柔軟に対応してもらえます。

準委任契約のデメリット

一方で、準委任契約でのシステム開発には、デメリットも存在します。主なものは次の通りです。

  • 納期がある仕事では向かないケースもある
  • 委託者には指揮命令権がない
  • 受託者と長期的な関係を築きづらい

「仕事の完了」を約束するわけではない準委任契約は、明確な納期がある仕事を最後まで責任をもって任せたいケースなどでは向かないこともあります。

指揮命令権がなく、業務の遂行方法についても受託者に一任する形となるため、例えば作業手順を逐一細かく指示するといったことも困難です。
また、委託した業務が短期で終わってしまえば契約も終了となるため、受託者との長期的な関係を構築しづらいとも言えます。

準委任契約の注意点

外部に業務を委託する際には、条件などについてあらかじめ双方の認識を統一しておく必要があります。準委任契約においては、特に次のポイントについて契約書に明記し、しっかりと合意を得た上で進めないと、大きなトラブルに発展するリスクがあるため注意しましょう。

  • 業務内容や対応範囲
  • 報酬の決定方法や支払いのタイミング
  • 業務上必要となる諸経費の取り扱い
  • 損害が発生した際の責任や賠償
  • 特許権、著作権など知的財産権の所在
  • 契約解除や終了の条件

これらについて詳しくは、後述する「準委任契約の契約内容に盛り込むべき内容」で解説します。

準委任契約のシステム開発における納期と品質管理について

準委任契約でシステム開発を行うリスクや注意点を考える際には、上述したポイントのほか、納期や品質管理について考慮し、慎重に検討しておくことも重要です。

これまでも見てきた通り、準委任契約では成果物の納品が契約履行の条件とはならないため、請負契約のような納期の概念が基本的にはありません。
とはいえ、一般的にシステム開発には納期が存在し、準委任契約であっても、業務の遂行にあたってはそれを意識してもらう必要があるでしょう。

したがって、明確なマイルストーンを設け、その上で定期的な進捗確認や作業内容のチェックといった品質管理を行うことが大切です。

準委任契約のシステム開発における料金体系

上述の通り、準委任契約のシステム開発では、月ごとの作業を基に毎月報酬が支払われる「月次払い」のほか、フェーズごとにその完了をもって報酬が支払われる「マイルストーン払い」などがあります。

金額の決定方法は、固定報酬制と変動報酬制に大別され、いずれの場合も作業者1名につき1ヶ月単位での基本報酬を決定する「人月単価」を採用するのが一般的です。
固定報酬制では、稼働時間に関わらず基本報酬が支払われますが、変動報酬制では、基本報酬をベースに、稼働時間によって金額が上下します。

そのほか、時給によって金額が決定されたり、成果報酬が加味されたりするなど、独自の条件を設定した料金体系も存在します。

準委任契約の契約内容に盛り込むべき内容

前述した通り、準委任契約において契約書に明記すべき主なポイントは次の通りです。

  • 業務内容や対応範囲
  • 報酬の決定方法や支払いのタイミング
  • 業務上必要となる諸経費の取り扱い
  • 損害が発生した際の責任や賠償
  • 特許権、著作権など知的財産権の所在
  • 契約解除や終了の条件

業務内容や対応範囲が明確になっておらず、受託者が「どこまで対応すれば良いか分からない」と悩んでしまうのはよくあるケースと言えます。まずは業務内容や対応範囲をしっかりと定めておくことが重要です。

また、報酬の決定方法や支払いタイミング、諸経費の取り扱いを始め、損害賠償や知的財産権など、金銭の授受や権利・責任に関わる内容については、特に慎重を期す必要があります。
これらに対する双方の見解が異なってしまうと、のちに大きなトラブルに発展する恐れがあるため、十分に注意して契約書を作成しましょう。

なお、準委任契約では、契約期間中の途中解約も基本的には可能とされています。その際に揉めることのないよう、契約解除の条件を明確にしておくことも大切です。

準委任契約に向いているケース

準委任契約は、「仕事の完了」ではなく、誠実な「業務の遂行」が求められるという特性上、最終的な成果物よりも、そこに至るまでの過程が重視されるようなケースに適していると言えます。

システム開発においては、例えば、仕様が明確になっておらず、確固たる完成イメージが想定できないようなケースです。この場合、システムを完成させるという目的に向け、まずは仕様を確定するという過程の優先順位が高くなるため、準委任契約で業務を委託するのが良いでしょう。

逆に言えば、現時点では仕様が固まっておらず、開発スケジュールや必要となるリソースを見積もれないので、請負契約で業務を委託するのは難しいということになります。

そのほか、資金繰りなどの都合から委託者が一度にまとまった予算を確保できず、請負契約で納品と同時に大きな報酬を支払うことが難しい場合に、準委任契約の「月次払い」によって費用負担を軽減するといったケースも考えられます。

準委任契約の成功事例と失敗事例

準委任契約のシステム開発における成功事例と失敗事例を、それぞれ以下に紹介します。

準委任契約の成功事例

中小企業であるA社は、限られた予算でシステム開発を行うため、準委任契約によって外部の開発業者に作業を依頼。その結果、開発業者のエンジニアが持つ専門知識と高度なスキルを存分に活用しながら、高品質なシステムを完成させることができた。

当初想定していなかった仕様変更などの事態も頻繁に発生したが、準委任契約の柔軟性によって大きな問題にはならず、コストも予算内に収束。社内からも高い評価を受けるプロジェクトとなった。

準委任契約の失敗事例

B社は、半年後のシステム完成に向け、その開発を準委任契約で外部業者に委託。しかしながら、業務内容や対応範囲があいまいであり、品質基準も明確にしていなかった。

その結果、受託者に対して事細かに指示を出す必要が生じた上、たびたび認識の齟齬や進捗の遅れが発生。最終的には、納期に間に合わなかっただけでなく、指揮命令権のない準委任契約で作業の進め方などあらゆる面で過度な指示を受けたとして、受託者より「偽装請負」であると訴えられた。

準委任契約で委託する際のポイント

準委任契約で外部のシステム開発会社に業務を委託する際には、主に次のポイントをチェックしましょう。

  • 過去に同様のシステムを開発した経験があるか
  • システム開発におけるどのフェーズが得意か
  • 想定外の事態にも柔軟に対応できるか

一口にシステムと言ってもその内容はさまざまです。過去に同様のシステムを開発した経験を持つ会社であれば、十分な知見やノウハウがあることが期待できます。

また、システム開発を外部委託する際には、要件定義などの上流工程を準委任契約で、その後に続く設計や開発の工程を請負契約で行うなど、フェーズによって契約形態を使い分けることも少なくありません。
その場合、上流工程が不得意な会社に、要件定義を準委任契約で委託しても、高い品質は見込めないでしょう。委託したい開発フェーズが得意な会社を選ぶことが重要です。

さらに、仕様変更などの事態にも柔軟に対応してくれる会社であれば、成功の確率はよりアップします。準委任契約の柔軟性を最大限に活かすためにも、業務を委託するシステム開発会社自体が柔軟性を備えていることが大切です。

さいごに

本コラムでは、準委任契約のメリットやデメリット、請負契約との違い、成功事例や失敗事例など、準委任契約に関するさまざまな情報について詳しく解説させていただきました。

フレシット株式会社では、準委任契約のメリットを最大化するためのサービスを提供させていただいております。
お客さまごとにお取引の形を最適化させていただき、準委任契約で開発リソースを提供させていただくサービスです。

下記のようなお客さまに適しているサービスでございます。

  • まだ、開発するシステムが細部まで固まり切っておらず、小さく作って少しずつ大きくしたい。
  • 開発チームのマネジメントも含めて行って欲しい。そして、毎月、必要な分だけ開発リソースが欲しい。
  • 派遣やSESでお願いするほど開発リソースを必要とはしていない。

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