自社システム開発は外注も可能!メリット・デメリットや外注すべきシーンを解説
2025-07-03

ビジネスのデジタル化が進む中、自社専用のシステムを構築したいと考える企業が増えています。しかし、「社内に開発リソースがない」「何から始めればいいかわからない」といった理由から、外部のシステム開発会社にシステム開発を外注するケースも少なくありません。
このコラムでは、自社システム開発を外注することのメリット・デメリットを整理し、どのような場面で外注すべきか、どのような点に注意すべきかを解説します。外注と内製の違いを理解したうえで、自社にとって最適な開発体制を選びましょう。
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目次
自社システム開発を内製・外注するときの比較表
内製(社内開発) | 外注(外部委託) | |
---|---|---|
初期コスト | 比較的低め(既存人材を活用した場合) | 比較的高め(開発費用が一括発生する) |
ランニングコスト | 運用保守費は安いが社員の人件費や教育コストがかかる | 運用保守契約・改修のたびに費用が発生する |
柔軟性・変更対応 | ◎ 即時対応・調整が可能 | △ 要件変更には再見積もり・納期調整が必要 |
スピード感 | △ 慣れるまで時間がかかる | ◎ 専門チームが短期間で対応可能 |
ノウハウの蓄積 | ◎ 社内に技術と知見が残る | ✕ ノウハウが社外にあり、属人化の恐れ |
開発体制の自由度 | ◎ 優先順位や工程を自社でコントロール | △ スケジュールや仕様変更に制限あり |
セキュリティ管理 | ◎ 自社管理でリスクを把握しやすい | △ 委託先のセキュリティ体制に依存 |
技術力の確保 | △ 優秀なエンジニアの採用・育成が課題 | ◎ 経験豊富な技術者にすぐ依頼可能 |
結論からお伝えいたしますと、長期的に継続開発・運用したい企業や、ノウハウを蓄積したい企業であれば、内製化がおすすめです。反対に、短期間でのリリースや高度な技術が必要なプロジェクトであれば、外注を検討した方がよいでしょう。
それでは、それぞれの特徴を踏まえた上で、詳細を確認していきましょう。
自社システム開発を外注するメリット
まずは、自社システム開発を外注するメリットを解説します。あえてコストをかけてでも外注する理由を知り、自社の場合にも役立つか検討してみましょう。
専門的な技術を持つエンジニアチームが協力してくれる
自社システム開発を外注する大きなメリットのひとつとして、専門的な技術を持つエンジニアチームの協力を得られる点が挙げられます。システム開発会社の多くは多様なプロジェクトの経験があり、ニーズに合わせてシステムの内容や開発手法もカスタマイズしてくれます。
複雑で高度なシステム開発もできるので、「自社だけで開発するのは荷が重い」「技術力のあるエンジニアがいないから実質的に自社開発は無理」という場合におすすめです。
また、自社だけでは難しい専門的な課題や最新技術の導入もスムーズに進められるため、品質の高いシステムを短期間で実現できる点が大きな強みといえるでしょう。
開発スピードが早い
専門的な技術力のあるシステム開発会社に依頼することで、開発スピードを上げることができます。システム開発会社は「開発すること」が本業なので、社内リソースのほぼ全てを開発業務に充てられます。予算やプロジェクトの規模次第ではトップエンジニアを多数アテンドしてもらえるので、さらに開発スピードも速くなるでしょう。
また、外注であれば社内で新たに人材を採用・育成する時間やリソースをかける必要がなく、すぐに開発に着手できます。納期遅れのリスクも抑えやすく、結果として、自社で内製する場合と比べて短期間で高品質なシステムを完成させることができます。
初期投資や人件費を削減できる
自社システム開発を外注することで、初期投資や人件費を大幅に削減できる点も大きなメリットです。社内でシステム開発をする場合、新たにエンジニアを採用・育成するために多くの時間とコストがかかります。また、開発環境の整備や必要なソフトウェア・ハードウェアの購入にかかる初期投資も無視できません。
一方、システム開発を外注すれば、必要な技術力やリソースを持つエンジニアチームを期間限定で利用できるため、採用や設備投資の負担を軽減できます。プロジェクトごとに必要な予算を効率よく配分できるので、まさに「コストパフォーマンスの良い手法」となります。
リスク分散ができる
システム開発には、技術的なトラブル・スケジュールの遅延・予算オーバーなど、さまざまなリスクが伴います。自社だけで開発を進める場合、これらのリスクをすべて自社で負うことになるので注意しましょう。トラブルの規模次第では、収益性が悪化したりステークホルダーからの評価が下がったりすることもあり、自社の事業全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクを回避するためにも、普段からシステム開発を手がけているプロ集団に外注することをおすすめします。外注によって、システム開発会社が持つ豊富な経験やノウハウを活用できるため、リスク管理や問題解決に優れた体制が整います。
契約によって責任範囲が明確になり、トラブル時の対応もスムーズになるため、リスクも分散しやすいでしょう。結果として、開発プロジェクトの安定性が向上し、安心してシステム構築に取り組めるようになります。
社内リソースを本業に集中できる
システム開発は時間のかかる作業であり、社内で対応しようとするとエンジニアやプロジェクトマネージャーが開発業務に追われることになります。開発専門のエンジニアが常駐していれば問題ありませんが、別業務と兼任する場合やシステム開発以外の業務量が多い場合、本来の業務や経営戦略に割く時間や労力が不足するので注意しましょう。
しかし、開発を外注すれば、社内の人材はコアビジネス・顧客対応・マーケティング・営業など自社の強みを活かした重要な業務に専念できます。開発品質や納期の管理もプロに任せることができるので、管理工数も削減できるでしょう。社内の負担を大幅に軽減したいときは、外注を検討するのがおすすめです。
最新技術やトレンドを取り入れやすい
自社システム開発を外注することで、最新技術やトレンドを取り入れやすくなるというメリットがあります。実績のあるシステム開発会社や優秀なエンジニアは常に業界の動向や最新の技術進化にアンテナを張っており、最先端技術の活用にも積極的です。新しいプログラミング言語、開発ツール、クラウドサービス、AIや機械学習といった先端技術をいち早く導入できる可能性も高くなるでしょう。
自社だけで最新技術を習得し実装するには時間とコストがかかりますが、外注することで、専門家の知見を活かしながら競争力の高いシステムを迅速に構築することができます。ビジネス市場の変化にスピーディーに対応したいときにこそ、プロを頼るのがおすすめです。
自社システム開発を外注するデメリット
自社システム開発を外注するメリットが多い一方で、デメリットも存在します。メリットだけでなくデメリットにも目を向けながら、外注の可否を検討しましょう。
システム開発会社とのコミュニケーションコストが発生する
外部の開発チームと連携する場合、要件の共有・仕様の確認・進捗報告など頻繁なやり取りが求められます。その度に会議や打ち合わせが必要になるため、想像した通りの工数削減にはつながらないかもしれません。
また、「伝えたいことがうまく伝わらない」「こちらの要望をわかってもらえない」などのコミュニケーションストレスも発生する恐れがあるので注意しましょう。言語・社内文化の違いやリモートでのやり取りがある場合は、意思疎通が難しくなることも多く、誤解や認識のズレがプロジェクトの遅延につながるリスクがあります。
細かな確認や修正指示が増えることで、社内の担当者の負担も大きくなり、本来の業務に支障をきたすこともあるでしょう。円滑なコミュニケーション体制を構築することが、外注プロジェクト成功のカギとなります。
システム開発の柔軟性が高いとは限らない
自社システム開発を外注する場合、必ずしもシステム開発の柔軟性が高いとは限らない点もデメリットです。外注先との契約内容や開発体制によっては、仕様変更や追加要望への対応がスムーズに行えないことがあります。ある程度パッケージ化されている開発にしか対応していない場合や、技術力が低くてフルカスタマイズでの開発ができない場合は特に注意しましょう。
また、プロジェクトの途中で急な要件変更が必要になった場合、外注先が契約範囲外の作業として対応を渋ったり、追加費用が発生したりすることも少なくありません。
開発体制の自由度が低い
システム開発を外注する場合、システム開発会社がすでに持っているチーム体制や開発フロー、使用ツール・技術スタックなどにある程度従う必要があります。自社の希望通りに細かい開発プロセスをコントロールするのが難しく、「うちでは対応できない」といわれてしまうこともあるので注意しましょう。メンバーの入れ替えや人員の増減といった調整も、社内チームに比べて融通が利きにくく、スピード感に欠ける場合があります。
プロジェクトマネージャーやリーダーが外部にいることで、社内の判断や方針変更が現場に届きづらく、意思決定に時間がかかるかもしれません。開発の柔軟性やスピードが損なわれ、最終的にシステムの完成度にも影響を与えるリスクがあることを承知しておきましょう。
セキュリティ体制が外注先に依存する
開発を委託すると、設計・実装・テストなどの多くの工程を外部のシステム開発会社に任せることになります。万全なセキュリティ体制を構築しているシステム開発会社であれば問題ありませんが、対策が不十分なシステム開発会社の場合、クラウド環境の設定ミスや開発端末の管理不足が生じるかもしれません。特に、外注側の内部要因でセキュリティホールが発生した場合、情報漏洩や個人情報の流出につながる恐れもあります。
そのような事態が発生した場合、例え原因が外注先にあったとしても「〇〇社から情報が流出した」と批判されるのは自社であることが多いです。契約に基づき損害賠償を請求できたとしても、市場からの信頼を失ってしまうリスクがあるので注意しましょう。
自社に開発ノウハウが蓄積されない
開発を全て外部に任せることで、自社に開発ノウハウが蓄積されないことがデメリットです。いわゆる「丸任せ」にできるのは非常に楽でコストパフォーマンスも高いですが、自社で開発できない状態が続くことに変わりはありません。つまり、システムの改修や新たな開発が必要になったとき、また外部のシステム開発会社を頼るしかない状態が続いてしまいます。
自社にノウハウが溜まらないと永遠に自社開発ができず、その度に外注費がかかって、却ってコストがかかるケースも多いです。内部開発に比べて自社のエンジニアの育成が進まず、技術力や判断力の底上げもできないでしょう。
自社システム開発を外注すべき企業の特徴
自社システム開発を外注すべき企業の特徴として、以下が挙げられます。
- 社内に専門的なIT人材がいない企業
- 本業に集中したい(本業だけで忙しい)企業
- 短期間でシステムを導入・リリースしたい企業
- 今この瞬間だけ開発業務が生じる企業
- 最新技術や専門領域の知見が必要な企業
- 社内ノウハウをあえて蓄積する必要がない企業
上記に該当する場合は、システム開発の外注を検討してみましょう。一時的な開発ニーズがあるだけでノウハウを蓄積する必要がないときや、最先端技術を搭載した複雑なシステムがほしくてプロエンジニアのノウハウを求めているときなどもおすすめです。
反対に、システムを頻繁に改修・進化させる必要がある企業や、中長期的にIT内製化を目指している企業は、少しずつ内製化を目指すのが理想的です。
自社システム開発を外注する際の注意点
ここでは、自社システム開発を外注する際の注意点を解説します。安心・安全に依頼できるシステム開発会社を探すためにも、以下の点を意識していきましょう。
信頼できるシステム開発会社を選定する
信頼できるシステム開発会社を選定するため、以下の点を意識しながら比較・検討していきましょう。
- 開発実績・専門分野
- 技術力・対応技術の幅
- 開発体制・進行管理
- エンジニアの数・属性
- セキュリティ体制
- 納品後のサポート体制
システム開発会社選びは「安さ」ではなく「信頼性と相性」で決めるのが望ましいです。「安かろう悪かろう」にならないよう、自社の課題を理解し、共に伴走してくれるパートナーを探しましょう。また、著作権やソースコードの所有権はどちらにあるか、契約内容が自社にとって不利でないかを確認することも大切です。
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なお、バグ修正の対応範囲、レスポンスの速さ、アップデート対応などを契約前に確認したり、「コミュニケーションが取りやすい担当者がいるか」など感覚的な部分を大切にしたりすることも効果的です。
自社のニーズを正確にまとめる
理想的なシステムにしてもらえるよう、事前に自社のニーズを正確にまとめておきましょう。ニーズが正確であれば、必要な機能を必要な分だけ盛り込んだ最適な要件定義が完成するため、機能不足になることもオーバースペックになることもありません。
迷ったときは、「何を解決したいのか」「どんな成果を出したいのか」を具体的に書き出してみましょう。現場担当者・管理者・経営層など、関わる全員にヒアリングしながら今の課題や不満点を浮き彫りにして、必要なシステム像をイメージしてみるのが近道です。
進捗管理・コミュニケーション体制を構築する
自社システム開発の外注を成功させるためには、進捗管理・コミュニケーション体制の構築が大切です。コミュニケーションミスやコミュニケーションストレスが発生しない体制にしておくことで、小さな疑問も相談しやすい環境が整います。トラブルの予防や認識相違を防ぐ手法としても有効で、定期的なミーティングもしやすくなるでしょう。
また、自社側の責任者(プロジェクトマネージャー)を明確にしたり、チャットやオンラインミーティングツールを導入したりするのもおすすめです。「重要な決定事項はメールで共有」「日常的な質問はチャットで」など使い分けを明確にしておくことで、フィードバックもしやすくなるでしょう。
まとめ
自社システムの開発を外注することは、専門技術の活用、スピーディな開発、社内リソースの有効活用といった多くのメリットをもたらします。ただし、ノウハウが自社に蓄積されにくい点や、セキュリティや開発体制の柔軟性が外注先に依存する点など、リスク面への配慮も欠かせません。
本コラムでご紹介した注意点を踏まえ、自社に合った開発体制や信頼できるパートナー選びを心がけましょう。
フレシット株式会社では、ヒアリングから設計・開発・運用保守まで一貫して対応できる開発体制を整えており、業務に即した“使えるシステム”をフルスクラッチで提供しています。企画段階からでも柔軟に伴走し、貴社に最適なシステム開発の形をご提案いたします。外注先をお探しの際は、ぜひ当社にご相談ください。
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監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。