WebサイトとWebシステムの違いとは?目的・費用・開発手法から最適な選択肢を見極める
パッと見は同じ。でも中身は別物。失敗しないためのWeb開発の基本
2025-12-28

企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や新規事業の立ち上げにおいて、最初の壁となるのが「Webサイト」と「Webシステム」の違いです。
「新しいWebサービスを作りたいが、これはサイト制作なのか、システム開発なのか?」「見積もりを取ったら金額に大きな差が出たが、何が違うのか?」
こうした疑問をお持ちのプロジェクト担当者様は少なくありません。両者はインターネットブラウザ上で表示される点では同じですが、その「役割」「仕組み」「開発工程」、そして「ビジネスにおける価値」は大きく異なります。
本コラムでは、WebサイトとWebシステムの決定的な違いを解説します。さらに、事業を成功させるために、なぜ安易なパッケージではなく「フルスクラッチ(オーダーメイド)」でのシステム開発が必要となるケースが多いのか、その判断基準についても深く掘り下げていきます。
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目次
ポイントをひとことで
本コラムは、「Webサイト」と「Webシステム」を混同したままプロジェクトを進めてしまうことが、なぜ予算超過や手戻り、システムの作り直しにつながるのかを、実務視点で整理しています。重要なのは、見た目がブラウザで動くかどうかではなく、「情報を見せたいのか」「業務やサービスを動かしたいのか」という目的の違いです。特に事業成長や独自性を求める場合、既存パッケージに業務を無理に合わせる選択は、中長期的に大きな制約となります。初期コストだけで判断せず、将来の拡張性や運用を見据えた設計こそが、システム投資を成功に導く鍵であることを示したコラムです。
WebサイトとWebシステムの決定的な違い
まずは、両者の根本的な定義と役割の違いを明確にしましょう。一言で表現するならば、Webサイトは「情報の提示」を得意とし、Webシステムは「情報の処理」を得意とします。
Webサイト:情報を届ける「広告塔」
Webサイトの主目的は、情報をユーザーに閲覧してもらうことです。企業のコーポレートサイト、採用サイト、製品のランディングページ(LP)、ブログなどがこれに該当します。
基本的に、すべてのユーザーに対して同じ情報が表示されます。あらかじめ用意されたテキストや画像をHTML/CSSという言語で構築し、ブラウザ上に表示させる「静的」なページが中心です。
マーケティングの観点では、Webサイトは「集客」「認知拡大」「ブランディング」を担います。デザインの美しさや、情報の伝わりやすさが重要視される領域です。
Webシステム:価値を生み出す「道具」
一方でWebシステムは、ユーザーのアクションに応じて結果を返す、あるいはデータを蓄積・加工するための仕組みです。ECサイト(ネットショップ)、予約システム、社内管理ツール、SNS、マッチングサービスなどが該当します。
ユーザーが入力した情報をデータベースに保存したり、検索条件に合わせて表示内容をリアルタイムに変えたりする「動的」な処理が行われます。ここではHTML/CSSに加え、PHP、Java、Ruby、Pythonといったプログラミング言語と、データベースの設計が必要不可欠です。
ビジネスの観点では、Webシステムは「業務効率化」「サービスの提供」「収益の創出」を担います。単に見るだけのものではなく、使うことで価値が生まれるツールと言えるでしょう。
【比較表】機能・費用・開発期間の違い
WebサイトとWebシステムの違いを、より具体的な項目で比較します。
| 項目 | Webサイト | Webシステム |
| 主な目的 | 情報発信、ブランディング | 業務処理、サービス提供、機能利用 |
| ユーザー体験 | 受動的(読む、見る) | 能動的(入力する、検索する、購入する) |
| 表示内容 | 誰が見ても基本的に同じ(静的) | ユーザーや状況により変化する(動的) |
| 必要な技術 | HTML, CSS, JavaScript | HTML/CSS + プログラミング言語, データベース, サーバー設計 |
| 開発費用 | 数十万円〜数百万円 | 数百万円〜数千万円以上(規模による) |
| 開発期間 | 1ヶ月〜3ヶ月程度 | 3ヶ月〜1年以上 |
| 更新・運用保守 | CMSで記事更新などが中心 | バグ改修、機能追加、セキュリティ対策、サーバー監視 |
このように比較すると、Webシステムの方が圧倒的に工数がかかり、費用も高額になることがわかります。しかし、それはシステムが単なる表示物ではなく、企業の資産となる「デジタルインフラ」を構築する作業だからです。
事業成長を見据えた「開発手法」の選び方
ここからが本コラムの核心です。システムを作りたいと考えたとき、大きく分けて「CMS・パッケージ利用」と「フルスクラッチ開発」という2つの選択肢があります。
多くのシステム開発会社は、コストを抑える提案として既存のパッケージやCMS(コンテンツ管理システム)のカスタマイズを提案するかもしれません。しかし、事業の独自性や将来の拡張性を重視する場合、その選択が足かせになることがあります。
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既存パッケージ・CMSのメリットと限界
既存のシステムパッケージ(例えば、決まった機能のEC作成ツールや予約システム)を利用する最大のメリットは、初期費用と導入スピードです。すでにある機能を流用するため、安く早く立ち上げることができます。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。パッケージを利用するということは、「既製品の仕様に、自社の業務フローを合わせる」必要があるということです。
- 「ここに独自の入力項目を追加したい」
- 「他社にはないユニークな検索機能をつけたい」
- 「既存の基幹システムと複雑な連携をさせたい」
事業が成長し、こうした要望が出たとき、パッケージでは対応できないか、無理やりカスタマイズするために莫大な追加費用が発生するケースが後を絶ちません。結果として、使いにくいシステムになり、数年で作り直しになる「安物買いの銭失い」のリスクを孕んでいます。
フルスクラッチ開発が選ばれる理由
フルスクラッチ開発とは、既存のテンプレートを使わず、ゼロから設計してシステムを構築する手法です。オーダーメイドのスーツを仕立てるのと同様に、貴社の事業モデル、業務フロー、ターゲットユーザーの特性に合わせて、完全に最適化されたシステムを作ることができます。
なぜ、成功している多くの事業会社がフルスクラッチを選ぶのでしょうか。理由は3つあります。
1. 独自性が競争優位になる
Webサービスが乱立する現代において、他社と同じような使い勝手のシステムではユーザーに選ばれません。UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)を徹底的にこだわり、独自の価値を提供するには、制約のないフルスクラッチが必須です。
2. 拡張性と柔軟なスケーリング
事業は常に変化します。最初は小さく始めても、ユーザー数が増えれば機能追加やサーバーの増強が必要です。フルスクラッチで適切に設計されたシステムであれば、事業フェーズに合わせた柔軟な拡張(スケーリング)が可能です。長期的に運用し続ける資産として考えた場合、トータルコストパフォーマンスは高くなります。
3. セキュリティとパフォーマンスの最適化
不要な機能が詰め込まれたパッケージとは異なり、必要な機能だけを実装するため、システムの動作が軽量化されます。また、独自のセキュリティ要件に合わせた堅牢な設計も可能です。
失敗しないシステム開発会社の選び方
Webサイト制作とWebシステム開発は、似て非なるものです。そのため、発注先を選ぶ際も「デザインが得意な制作会社」ではなく、「技術力とビジネス理解のあるシステム開発会社」を選ぶ必要があります。
特にフルスクラッチ開発を検討する場合、以下のポイントを満たしている会社かどうかが成功の鍵を握ります。
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ビジネスの「要件定義」ができるか
単に「言われた通りにコードを書く」だけの会社は避けるべきです。優秀なシステム開発会社は、コードを書く前の「要件定義」に最も時間を割きます。
「なぜその機能が必要なのか?」「その機能でどうやって利益を出すのか?」といったビジネスの本質を理解し、エンジニア視点から「それはシステム化すべきではない」「もっと良い方法がある」と提案してくれるパートナーを選びましょう。
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運用保守を見据えた設計力があるか
システムは作って終わりではありません。リリース後もOSのアップデート対応やセキュリティ対策、機能改善が続きます。開発段階から「保守のしやすさ(メンテナンス性)」を考慮した設計ができる会社でないと、リリース後にバグが多発し、運用保守コストが肥大化してしまいます。
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最新技術への適応力
Web技術の進化スピードは凄まじいです。数年前の常識が通用しないこともあります。モダンな開発言語やフレームワーク、クラウドインフラ(AWSやGoogle Cloudなど)の知識に明るく、プロジェクトに最適な技術選定ができる技術者集団であるかを確認してください。
「Webサイト」か「Webシステム」かを見極めるフロー
最後に、貴社のプロジェクトがどちらに該当するか、あるいはどの程度の開発規模が必要かを整理するための思考フローを提示します。
Step 1:ユーザーとの対話性
- ユーザーに情報を読ませたいだけ → Webサイト
- ユーザーに検索、登録、購入などの操作をさせたい → Webシステム
Step 2:データの重要性
- 情報は毎回固定でよい → 静的な仕組み(小規模開発)
- 顧客データや商品データを蓄積・分析し、ビジネスに活かしたい → データベース連携(本格的なシステム開発)
Step 3:独自性と将来性(システムの選択)
- 一般的な機能で十分、とにかく安く始めたい → パッケージ・SaaS利用
- 独自のビジネスモデルを実現したい、将来的に機能拡張したい → フルスクラッチ開発
もし、貴社が目指すものが「業界の常識を変えるような新サービス」や「自社独自の業務効率化による利益率改善」であれば、迷わずフルスクラッチでのWebシステム開発を検討すべきでしょう。初期投資はかかりますが、それは消費ではなく、将来の利益を生むための「投資」となります。
まとめ
本コラムでは、WebサイトとWebシステムの違い、そしてビジネスにおけるそれぞれの役割について解説しました。
- Webサイトは情報を伝える「広告塔」であり、静的な情報提示が中心。
- Webシステムは業務やサービスを行う「道具」であり、動的なデータ処理が中心。
- 事業の独自性や拡張性を重視するなら、パッケージではなくフルスクラッチ開発が推奨される。
- 成功の鍵は、ビジネスを理解し、運用まで見据えた設計ができるシステム開発会社を選ぶこと。
システム開発は、企業の未来を左右する大きなプロジェクトです。
「Webサイト」という枠組みで考えていたものが、実は高度な「Webシステム」を必要とするケースも多々あります。まずは自社のやりたいことがどちらに分類され、どの程度の規模感になるのかを正しく把握することから始めましょう。正確な知識を持つことで、最適なパートナー選びと、無駄のない投資が可能になります。
フレシット株式会社は、単に言われた通りにシステムを作る開発会社ではありません。事業モデルや業務フロー、将来の拡張性まで踏み込んだ要件整理から伴走し、貴社にとって本当に価値のあるWebシステムをフルスクラッチで設計・開発しています。既存パッケージでは実現できない独自性や、運用フェーズを見据えた柔軟な設計こそが、長く使える「資産としてのシステム」を生み出します。
「この構想はWebサイトで足りるのか、それともWebシステムが必要なのか」
「パッケージで進めるべきか、フルスクラッチで作るべきか」
そうした判断に迷われている段階からでも構いません。構想整理やセカンドオピニオンとしてのご相談も含め、ぜひ一度フレシット株式会社にお聞かせください。
貴社の事業に最適化された、オーダーメイドのWebシステムづくりを、私たちが全力でご支援します。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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