【横浜市のゴミDXから見える課題】「入力ミスを減らす」だけでは不十分?“確認作業”まで減らせる業務システム設計とは
入力効率だけでは解決できない、“確認業務”という見えにくい負担について
2026-06-01

横浜市は、約1200施設の廃棄物情報を一元管理するシステムを導入し、ゴミ処理に関する事務作業の効率化を進めています。試験運用では、施設職員の事務作業時間が約7割削減され、「正しく入力したか」の確認作業も減ったと報じられました。
この事例で注目すべきなのは、「入力がラクになった」という点だけではありません。本当に重要なのは、“確認しなくてもよい状態”をシステム側で実現したことです。
実際の業務では、入力そのものよりも、「確認」「差し戻し」「問い合わせ」「再集計」といった周辺作業が現場負担になっているケースは少なくありません。
本コラムでは、なぜ確認作業が発生するのか、そしてなぜフルスクラッチ(オーダーメイド)の業務システムが“確認を減らせる仕組み”を作りやすいのかについて解説します。
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目次
【記事要約】横浜市、廃棄物データを一元管理 DXで業務効率化と資源循環を推進
横浜市は、約1200施設の廃棄物情報を一元管理するシステムを導入し、ゴミ処理業務のDXを進めている。試験運用では、施設職員の事務作業時間を約7割削減し、入力確認作業の負担軽減にもつながった。さらに、蓄積したデータをAIで分析し、収集車の最適ルート策定や省人化を検討している。従来は施設ごとに分散していた廃棄物情報も統合され、リサイクル計画の立案やコスト削減、資源循環の推進に活用される見通しだ。
出典:日本経済新聞「ゴミ情報、1200施設一元管理 横浜市がDX推進 年40万件の事務効率化 資源循環にデータ活用」2026年4月22日付朝刊
ポイントをひとことで
業務システムで本当に減らしたいのは、「入力時間」よりも「人が疑う時間」です。入力後に確認・照合・問い合わせが発生する状態は、データではなく“人の注意力”で業務を回している状態とも言えます。だからこそ、システム投資では画面の使いやすさだけでなく、「あとで確認しなくても済むか」という視点が重要になります。現場で自然に正しいデータが蓄積されるようになると、単なる効率化ではなく、業務そのものの進め方まで変わっていきます。
入力業務の本当の負担は「入力後」に発生している
業務改善の話になると、「入力時間を短縮する」「フォームを簡略化する」といった話題になりがちです。しかし、現場で本当に負担になっているのは、その後に発生する確認作業であることが少なくありません。
例えば、次のような業務は多くの企業で見られます。
- 入力後に上長がExcelで再確認する
- 請求前に別担当者が目視チェックする
- 数字が合わず問い合わせが発生する
- システムと紙を照合する
- 「本当にこの入力で合っているか」を電話確認する
- 差し戻し後に再入力が発生する
これらは一つひとつが小さな作業に見えても、積み重なると膨大な工数になります。
しかも厄介なのは、こうした確認作業が“当たり前の業務”として定着しやすいことです。現場では、「ミスが起きる前提」で業務フローが組まれていきます。
つまり、入力作業そのものを効率化しても、“入力したデータを信用できない状態”が続く限り、確認業務はなくならないのです。
「確認文化」が定着する会社の共通点
確認作業が多い会社には、いくつか共通点があります。
入力ルールが担当者ごとに違う
同じ項目でも、人によって入力方法が違うケースがあります。
例えば、
- 半角・全角が混在する
- 日付表記が統一されていない
- 商品名を略称で入力する
- 必須項目が曖昧
といった状態です。
この場合、後工程でデータを使う人が毎回確認しなければなりません。結果として、「あとで直せばいい」が積み重なり、確認工数が増えていきます。
業務フローに合っていない入力画面になっている
既製品のシステムでは、業務に対して入力画面を合わせるのではなく、入力画面に業務を合わせる運用になりやすいケースがあります。
すると現場では、
- メモ欄で補足する
- Excelを別管理する
- 紙で補完する
- チャットで確認する
といった“システム外の運用”が増えていきます。これでは、システムを導入しても確認作業は減りません。
「誰が」「なぜ」入力したかが追えない
入力履歴や変更履歴が曖昧だと、「この数字は誰が入れたのか」「なぜ変更されたのか」が分からなくなります。その結果、確認のために人へ問い合わせる必要が生まれます。データそのものではなく、“人への確認”が業務になってしまうのです。
本当に減らすべきなのは「確認工数」
業務改善というと、「入力時間を○%削減」といった成果が注目されやすいですが、実務では確認工数の方が大きな負担になっているケースもあります。
特に企業規模が大きくなるほど、
- 承認フロー
- 部門間連携
- 集計
- 請求
- 在庫管理
- 会計連携
など、多くの業務が後続でつながっています。
つまり、入力ミスは“後ろの業務全体”に影響します。そのため、多くの企業では「確認担当」が増え続けます。しかしこれは、人を増やしているのではなく、“データを信用できないコスト”を増やしている状態とも言えます。
だからこそ重要なのが、「確認しなくても回る状態」をどう作るかです。
“信用できるデータ”はどう作るのか
では、確認作業を減らすには何が必要なのでしょうか。
重要なのは、「人に頑張らせる」のではなく、“自然に正しい入力になる仕組み”を作ることです。例えば、次のような考え方があります。
入力候補を選択式にする
自由入力を減らし、選択式を増やすことで表記ゆれを防げます。
前後のデータと連動させる
例えば、
- 選択した顧客によって入力項目を変える
- 在庫数と連動して入力制限をかける
- マスタ情報から自動補完する
といった設計です。これにより、「入力者の判断」に依存しにくくなります。
現場の流れに合わせて画面を作る
実際の現場では、理想的な順番で作業が進むとは限りません。
そのため、
- 現場の作業順
- 持ち運び方法
- タブレット利用
- オフライン利用
- 入力タイミング
まで考慮して設計する必要があります。ここを無視すると、「結局あとで確認する」が発生しやすくなります。
フルスクラッチ開発が向いている理由
確認作業まで減らしたい場合、既製品のカスタマイズだけでは限界があるケースがあります。理由は、企業ごとに“確認が発生する理由”が異なるためです。
例えば、
- 業界独自の商習慣
- 社内承認ルール
- 紙文化
- 現場特有の例外対応
- 部門間の情報連携
など、背景が企業ごとに違います。
そのため、本当に確認作業を減らそうとすると、
- 業務フロー
- 入力方法
- データ連携
- 権限管理
- 承認タイミング
- 履歴管理
まで含めて設計する必要があります。
フルスクラッチ(オーダーメイド)開発の強みは、こうした“実際の運用”に合わせてシステムを作れる点にあります。単に機能を追加するのではなく、「なぜ確認が発生しているのか」から整理できるためです。
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「使えるシステム」と「確認が減るシステム」は違う
現場で使われているシステムでも、確認作業が多ければ、本当の意味で効率化できているとは言えません。
- 入力後にExcel確認が必要
- 結局チャットで確認している
- 毎月集計ミスが起きる
- データを信用できず紙を残している
こうした状態では、“システムがあるだけ”になってしまいます。
本当に目指すべきなのは、「入力ができるシステム」ではなく、“確認しなくても業務が回るシステム”です。そして、その実現には単なる画面設計だけではなく、現場運用まで踏まえたデータ設計と業務理解が欠かせません。
まとめ
横浜市のゴミDX事例で注目すべきなのは、「入力作業を効率化したこと」だけではなく、“確認作業そのものを減らしたこと”にあります。
実際の業務では、入力後に発生する確認・差し戻し・問い合わせが、現場の大きな負担になっているケースは少なくありません。
だからこそ、業務システムを考える際は、「何を入力するか」だけでなく、「なぜ確認が発生しているのか」まで整理することが重要です。
システム開発では、入力画面の作り込みだけではなく、“人が信用できるデータをどう作るか”という視点が、業務効率を大きく左右します。
さいごに
業務システムの改善というと、「入力をラクにする」「画面を使いやすくする」といった話になりがちです。しかし実際には、その後ろにある確認作業や問い合わせ対応、差し戻し対応まで含めて見直さなければ、現場負担は大きく変わりません。
特に、Excelや紙運用、複数システムの併用が続いている企業では、「システムは入っているのに、結局人が確認している」という状態が起きやすくなります。
当社フレシット株式会社では、単に機能を作るのではなく、「なぜ確認が発生しているのか」「なぜ現場で再確認が必要になるのか」といった業務背景の整理からご支援しています。
また、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発だからこそ、既製品に業務を合わせるのではなく、実際の現場運用や業務フローに合わせたシステム設計が可能です。
「入力負担を減らしたい」だけでなく、「確認作業そのものを減らしたい」「現場で安心して使えるシステムにしたい」とお考えの際は、ぜひ当社フレシット株式会社へご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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