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COLUMN コラム詳細

【食べログ・価格.comを巡る買収提案から考える】AI活用で本当に重要なのは“顧客接点”を持つシステムだった

AI時代に求められる、顧客接点とデータ蓄積を見据えたシステム設計

2026-06-11

LINEヤフーがカカクコムに買収提案を行った背景として、AI時代におけるデータの価値が注目されています。特に、食べログや価格.comが保有する予約履歴、レビュー、価格推移などの情報は、AIの精度向上に大きく関わる資産と考えられています。

一方で、この話を単なる大企業同士のM&Aの話として捉えるのは少しもったいないかもしれません。

今回の動きから見えてくるのは、「AIそのもの」よりも「顧客との接点を持つ仕組み」の重要性です。

本コラムでは、なぜLINEヤフーがカカクコムを高く評価したのかを紐解きながら、AI時代に企業が考えるべきシステム開発のポイントについて解説します。

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【記事要約】LINEヤフーが狙うAI競争力の源泉、カカクコムのデータ資産価値とは

LINEヤフーがカカクコムの買収提案を再提示した背景には、AI時代におけるデータ資産の重要性がある。カカクコムは「食べログ」や「価格.com」を通じて、価格変動の履歴、利用者レビュー、予約情報などの蓄積データを保有している。さらに、飲食店や利用者との接点を持つことで、実際の購買や予約行動に関する情報も集積される。こうしたデータは、利用者の意図を理解し、最適な提案や購買支援を行うAIの性能向上に直結する。LINEヤフーはAIを今後の主力事業と位置付けており、カカクコムのデータ資産を取り込むことで、サービス横断型AIの競争力強化を目指しているとみられる。

出典:日本経済新聞「食べログ1億人経済圏照準 LINEヤフー、カカクコム買収で再提案」2026年5月15日付朝刊

ポイントをひとことで

AI時代のシステム投資で見落とされがちなのは、「今の業務を効率化できるか」だけで判断してしまうことです。しかし実際には、将来どのような情報が蓄積され、どのような意思決定に活用できるかまで考えて設計することが重要です。顧客とのやり取りや利用履歴は、当初は単なる業務データに見えるかもしれませんが、時間をかけて蓄積されることで大きな経営資産になります。システムは業務を処理するための道具であると同時に、事業の知見を蓄積する基盤でもあります。短期的な効率化だけでなく、数年後の事業価値まで見据えて投資判断を行うことが、これからのシステム開発には求められます。

なぜLINEヤフーはカカクコムを高く評価したのか

今回の買収提案で注目されたのは、食べログや価格.comが持つ膨大な利用者データです。食べログには飲食店の予約情報や口コミ、評価データが蓄積されています。

価格.comには商品の価格推移や比較検討の履歴、レビュー情報が集まっています。これらの情報は単なるデータベースではありません。

「誰が」「何を」「いつ」「どのように比較し」「最終的に何を選んだのか」という実際の行動履歴が含まれています。

AIは学習材料がなければ性能を向上させることができません。どれほど優れたAIモデルを導入しても、利用者の行動データが存在しなければ、適切な提案や予測は難しくなります。

つまり、LINEヤフーが評価しているのは食べログや価格.comというサービスそのものではなく、そのサービスを通じて得られる顧客接点とデータの蓄積なのです。

AIの性能を決めるのはアルゴリズムだけではない

AIに関する話題では、どうしても最新の生成AIや大規模言語モデルに注目が集まりがちです。しかし実際のビジネスでは、AIの性能を左右する要素は大きく分けて二つあります。

一つはAIモデルそのものです。
もう一つは学習や分析に利用するデータです。

近年はAI技術そのものの差が縮まりつつあります。多くの企業が同じ生成AIサービスや同じAI基盤を利用できるようになったためです。その結果、競争力を生み出す要素は「どのような独自データを持っているか」に移りつつあります。

例えば飲食店検索サービスを運営している企業が、数百万件の予約履歴を保有している場合、そのデータを活用して来店予測やおすすめ提案の精度を高めることができます。

ECサイトであれば、閲覧履歴や購入履歴から商品提案を行うことができます。つまり、AIの時代になったからこそ、自社独自のデータを持つ価値が高まっているのです。

データは自然には集まらない

ここで重要なのが、データは自然発生しないという点です。

企業がAI活用を検討する際、「まずAIを導入しよう」と考えるケースがあります。
しかし、その前に考えるべきことがあります。それは、「どこで顧客と接点を持つのか」ということです。

顧客が利用するシステムがなければデータは蓄積されません。

会員登録がなければ利用履歴は取得できません。
予約システムがなければ来店履歴は残りません。
ECサイトがなければ購買データは集まりません。
AIはデータがあって初めて価値を発揮します。

そしてデータは顧客接点から生まれます。つまりAI活用の出発点は、顧客接点を作るシステムを整備することなのです。

顧客接点を生み出すシステムとは

企業が顧客接点を持つ方法は業種によって異なります。代表的なものとしては次のようなシステムがあります。

会員サイト

会員サイトは利用者の属性や行動履歴を蓄積できる代表的な仕組みです。
ログイン履歴や閲覧履歴、問い合わせ履歴などが残るため、利用者理解に役立ちます。

予約システム

飲食店、美容室、医療機関、各種サービス業では予約情報そのものが重要な資産になります。
予約頻度や利用時間帯などのデータは将来的な需要予測にも活用できます。

ECサイト

商品の閲覧履歴や購入履歴は顧客理解に直結します。
どの商品を比較したのか、どの商品を購入したのかという情報はAI活用において非常に価値があります。

マッチングサイト

求人サービスや不動産サービスなどでは、利用者がどのような条件で検索し、どのような選択をしたのかという情報が蓄積されます。

業務システム

顧客向けサービスだけではありません。社内業務システムにも価値があります。
営業活動、問い合わせ対応、受発注履歴などの情報は将来的な業務改善やAI活用の基盤になります。

SaaSだけでは蓄積できない情報もある

近年は多くのSaaSが登場し、手軽にシステムを導入できるようになりました。
一方で、企業独自の業務や顧客接点を管理したい場合には限界もあります。

例えば、

・独自の商談プロセス
・特殊な予約フロー
・業界特有のマッチング条件
・複数サービスをまたぐ顧客管理

などです。

こうした領域は企業ごとに異なるため、既製品だけでは対応しきれないケースがあります。

その結果、本来取得したい情報が記録できなかったり、複数システムにデータが分散してしまったりすることがあります。

AI活用を見据えるのであれば、単に業務を効率化するだけではなく、将来どのようなデータを蓄積したいのかという視点でシステムを検討することが重要です。

AI時代のシステム開発は「業務効率化」だけではない

これまでシステム開発は、「人手を減らしたい」「入力作業を効率化したい」「紙をなくしたい」という目的で進められることが多くありました。

もちろんそれらも重要です。
しかしAI時代のシステム開発には、もう一つの役割があります。

それはデータを蓄積する基盤を作ることです。

今は活用方法が見えていないデータでも、数年後には大きな価値を持つ可能性があります。

実際に食べログや価格.comが評価されている理由も、長年にわたり顧客との接点を持ち続け、データを蓄積してきたことにあります。

その価値は一朝一夕で作れるものではありません。

だからこそ、自社がどのような顧客接点を持ち、どのような情報を蓄積していくべきかを考えながらシステムを設計することが重要なのです。

まとめ

LINEヤフーによるカカクコムへの買収提案から見えてくるのは、AI時代において重要なのはAIそのものではなく、顧客との接点を持ち続ける仕組みであるということです。

レビュー、予約履歴、購買履歴、行動履歴などのデータは、顧客接点があって初めて蓄積されます。

そして、そのデータが将来的なAI活用や新たなサービス創出の土台になります。

AI導入を検討する際は、どのAIを使うかだけでなく、自社がどのような顧客接点を持ち、どのようなデータを蓄積できるのかという視点からシステムを見直してみることも重要ではないでしょうか。

さいごに

AI活用の成否は、AIツールの選定だけで決まるものではありません。どのような顧客接点を持ち、どのようなデータを蓄積できる仕組みを作るかが、将来の競争力につながります。

しかし、企業ごとに顧客との接点や業務の流れは異なるため、既製品のサービスだけでは必要な情報を十分に取得できないケースも少なくありません。

当社フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)開発を専門とするシステム開発会社として、お客様の事業内容や業務に合わせた会員サイト、予約システム、ECサイト、マッチングサイト、業務システムなどの開発を行っています。

単に業務を効率化するためのシステムではなく、「将来的にどのようなデータを蓄積し、どのように活用していくのか」という視点も踏まえながら設計をご提案しています。

AI活用を見据えたシステムづくりや、自社ならではの顧客接点を実現する仕組みをご検討の際は、ぜひ当社フレシット株式会社へご相談ください。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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