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COLUMN コラム詳細

【薬局DX企業の成長から見える成功要因】システム開発で失敗しない企業はなぜ「最初から完成形」を目指さないのか

継続的な改善を前提としたシステム開発が成功につながる理由

2026-07-01

システム開発を検討している企業の多くは、「できるだけ最初の開発で完成度の高いシステムを作りたい」と考えます。開発には時間も費用もかかるため、一度で理想のシステムを完成させたいと思うのは当然です。

しかし、実際に事業を成長させている企業を見ると、その考え方は少し異なります。

最初から100点のシステムを目指すのではなく、まずは利用者に使ってもらい、現場の声を取り入れながら改善を重ねています。一見すると遠回りに思える方法ですが、結果として現場に定着し、長く活用されるシステムにつながるケースは少なくありません。

本コラムでは、システム開発で失敗する企業と成功する企業の違いを踏まえながら、なぜ「最初から完成形を目指さない」という考え方が重要なのかを解説します。

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【記事要約】カケハシ、顧客伴走型の開発で薬局DXを推進し医療プラットフォーム構築へ

カケハシは、薬局向けSaaSの提供だけでなく、顧客の業務課題を深く理解しながら機能改善や運用支援を行う体制を強みとしている。従業員約420人のうち60人以上がカスタマーサクセスを担い、現場の要望を開発へ反映している。

創業初期には、開発リスクが高い中で約200人の薬剤師に試作品を利用してもらい、現場からの意見を取り入れながら改良を重ねた。その結果、複数のベンチャーキャピタルから資金調達に成功し、事業拡大の基盤を築いた。

今後は薬局向けサービスにとどまらず、卸売業者や製薬企業を含めた医療データ活用の基盤づくりを目指す。薬局の購買データなどを関係者間で共有することで、医薬品の安定供給や医療全体の効率化への貢献を視野に入れている。

出典:日本経済新聞「〈STARTUP X〉薬局の働き方改革の黒子に カケハシ、SaaSで作業時間半減」2026年5月20日付朝刊

ポイントをひとことで

システム開発では、「完成度」を開発完了時点だけで判断すると、投資判断を誤りやすくなります。重要なのは、運用を通じて改善を続けられる状態をつくれているかどうかです。利用者の声を継続的に取り入れられるシステムは、業務や市場の変化にも柔軟に対応でき、長期的な価値を生み出します。一方で、最初からすべてを決め切ろうとすると、開発期間や費用が膨らむだけでなく、リリース時には現場の実態とずれてしまうこともあります。システム投資を成功させるためには、一度で100点を目指すのではなく、優先順位を見極めながら改善を積み重ねる考え方が欠かせません。その積み重ねが、結果として事業の成長を支えるシステムにつながります。

システム開発は「完成品を作る仕事」ではない

システム開発というと、多くの方は建物を建てるようなイメージを持っています。

設計図を作り、その通りに開発し、完成したら利用を開始する。
もちろん、システムにも事前設計は必要です。しかし、建物と大きく異なる点があります。

それは、システムは利用者の業務や市場環境の変化に合わせて進化し続けるものだということです。

業務内容は日々変わります。法改正や組織変更、新しいサービスの開始などによって、昨日まで最適だった業務が半年後には変わっていることも珍しくありません。そのため、開発時点で「これが完成形だ」と決めてしまうと、運用開始後の変化に対応しづらくなります。

成果を上げている企業ほど、システムを「完成品」ではなく、「改善を続けるための基盤」として考えています。

なぜ要件定義だけでは十分ではないのか

システム開発では、最初に要件定義を行います。

どのような機能が必要なのか、誰が利用するのか、どのような業務を効率化したいのかを整理する重要な工程です。しかし、要件定義を丁寧に行ったとしても、それだけで現場のすべてを把握することはできません。

その理由は、利用者自身も「本当に必要な機能」を言葉だけで表現することが難しいからです。

例えば営業担当者が「検索機能をもっと使いやすくしたい」と要望したとします。実際に画面を確認すると、本当に困っていたのは検索速度ではなく、「検索条件を毎回入力し直さなければならないこと」かもしれません。

あるいは、製造現場で「入力画面を改善したい」という相談があっても、原因は入力画面ではなく、前工程の情報共有不足にある場合もあります。つまり、利用者が伝える要望と、本当の課題は一致しないことがあります。

だからこそ、要件定義だけで開発内容を固定するのではなく、実際に使ってもらいながら改善していく姿勢が重要になるのです。

【関連記事】
要件定義が失敗する原因は?6つの失敗事例から学ぶ対策を解説

現場で使って初めて見える課題がある

システム開発が難しい理由の一つは、現場で利用を始めて初めて見えてくる課題が多いことです。
例えば、

  • この画面ではクリック数が多すぎる
  • 一覧画面にも必要な情報を表示してほしい
  • スマートフォンでは操作しづらい
  • 入力項目の順番を変更した方が作業しやすい

といった改善要望は、運用開始後によく挙がります。

これは、開発前の準備が不足していたという意味ではありません。利用者は実際の業務を行う中で、「もっとこうしたい」「この方が効率的だ」と気付くからです。つまり、システムは利用されて初めて改善点が見えてきます。

成功している企業は、この事実を前提としてシステム開発を進めています。「一度で完璧に作る」ことではなく、「改善しやすい状態でスタートする」ことを重視しているのです。

システムを育てる企業ほど成果を出しやすい

システム開発で成果を上げる企業には共通点があります。それは、利用者を開発の「評価者」ではなく、「改善のパートナー」と考えていることです。

利用開始後も定期的に現場の意見を収集し、

  • 本当に使われている機能
  • 利用されていない機能
  • 作業時間が短縮された業務
  • まだ負担が残っている業務

を確認しながら改善を続けます。
こうした積み重ねによって、システムは現場に自然と定着し、業務そのものの改善にもつながっていきます。

完成した瞬間がゴールではなく、利用者とともに価値を高めていくことが、長く使われるシステムを生み出す重要な考え方といえるでしょう。

フルスクラッチ開発は「改善し続ける」ことを前提に考える

フルスクラッチ開発には、「自由に作れる」という大きなメリットがあります。

一方で、その自由度の高さから、「最初の要件定義ですべて決めなければならない」と考えられることがあります。しかし、実際にはその考え方が開発を難しくしてしまうケースも少なくありません。

システムは利用開始後に初めて見えてくる改善点が数多くあります。

そのため、開発初期の段階では事業の根幹となる業務やデータの考え方を丁寧に整理し、運用しながら改善できる部分については柔軟に見直していく方が、結果として利用しやすいシステムになります。

例えば、業務の流れそのものが変われば、必要な画面や入力項目も変わります。新しいサービスが始まれば管理したい情報も増えます。法改正や組織変更によって承認フローが変わることもあります。

こうした変化は、開発時点ですべて予測することはできません。

だからこそ、変更しやすく、改善し続けられることがフルスクラッチ開発の大きな価値になります。重要なのは、一度ですべてを作り切ることではなく、事業の成長に合わせてシステムも成長させていくことです。

システム開発会社選びでも「改善の進め方」を確認する

システム開発会社を比較する際、多くの企業は、

  • 開発実績
  • 技術力
  • 開発費用
  • 納期

といった項目を重視します。

もちろん、これらは重要な判断材料です。しかし、長く活用できるシステムを目指すのであれば、それだけでは十分とはいえません。確認したいのは、「リリース後にどのような改善を想定しているか」という点です。

例えば、

  • 利用者の意見をどのように集めるのか
  • 改善内容の優先順位をどう決めるのか
  • 段階的な機能追加を前提としているか
  • 将来的な拡張を見据えた設計になっているか

といった考え方は、システム開発会社によって大きく異なります。

「納品したら終わり」という考え方よりも、「システムを育てるパートナー」として伴走してくれる会社の方が、結果としてシステム投資の成果を得られる可能性は高くなります。

システム開発で失敗しないための進め方

システム開発を成功へ導くためには、最初から100点を目指すよりも、改善を前提とした進め方が重要です。そのためには、次のような考え方が役立ちます。

最初に優先順位を明確にする

「あれも欲しい」「これも必要」と機能を増やしていくと、開発期間も費用も膨らみます。まずは事業に最も大きな効果をもたらす機能から着手し、段階的に拡張していく方が成功しやすくなります。

利用者の声を継続的に集める

現場で使う担当者の意見は、システムを改善するための最も重要な情報です。定期的に利用状況を確認し、小さな改善を積み重ねることで、システムの使いやすさは着実に向上します。

システムを事業とともに成長させる

企業の事業は成長とともに変化します。その変化に合わせてシステムも改善を続けることで、長期間にわたって競争力を支える基盤となります。

【関連記事】
システム開発はなぜ失敗する?5つの失敗事例からその原因について解説します

まとめ

システム開発で失敗する企業ほど、「最初から完成形を作ろう」と考えがちです。しかし、実際の現場では、利用を始めてから初めて見えてくる課題や改善点が数多くあります。

そのため、システム開発では最初の完成度だけを追い求めるのではなく、利用者の声を取り入れながら継続的に改善していく姿勢が重要です。特にフルスクラッチ開発は、事業や業務の変化に合わせて柔軟に進化させられることが大きな強みです。

システムを「一度作って終わり」と考えるのではなく、「事業とともに育てていく資産」と捉えることが、システム投資を成功へ導く大切な考え方といえるでしょう。

さいごに

システム開発を成功させるためには、最初からすべてを作り込むことよりも、現場で利用しながら改善を積み重ねられる環境を整えることが重要です。そのためには、システムそのものだけでなく、「どのように開発を進めるか」という考え方も大切になります。

当社フレシット株式会社では、フルスクラッチ開発だからこそ、お客様の業務内容や将来の事業展開を丁寧に理解し、長期的な視点でシステムをご提案しています。開発前の要件整理はもちろん、実際の運用で得られた現場の声も大切にしながら、業務に合わせて改善を重ねられるシステムづくりをご支援しています。

事業環境や業務は変化し続けます。その変化に柔軟に対応できるシステムは、単なる業務効率化のためのツールではなく、企業の競争力を支える重要な資産になります。

「自社の業務に合わせたシステムを作りたい」「導入して終わりではなく、事業の成長とともに育てていけるシステムを実現したい」とお考えでしたら、ぜひ当社フレシット株式会社へご相談ください。お客様とともに改善を積み重ねながら、長く価値を生み続けるオーダーメイドのシステムをご提供いたします。

著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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