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COLUMN コラム詳細

【遠方顧客をDXで開拓した企業に学ぶ】なぜシステム開発は「機能」ではなく「顧客の不満」から始めるべきなのか?

機能を考える前に、解決すべき課題がある

2026-07-02

システム開発を検討する際、多くの企業では「どのような機能を実装するか」という議論から始まりがちです。しかし、本当に成果を生み出すシステムは、機能の一覧から生まれるものではありません。

重要なのは、利用者や現場が日々感じている不満や手間、不便さを出発点に考えることです。

あるクリーニング会社は、「店舗へ行く」「待つ」「料金が分かりにくい」という利用者の不満に着目し、サービスそのものを見直しました。その結果、全国から利用者を獲得する新しいビジネスへと発展しています。

この事例から見えてくるのは、DXとは単なるデジタル化ではなく、顧客体験を改善するための仕組みづくりであるということです。

本コラムでは、なぜシステム開発は「必要な機能」ではなく「顧客の不満」から考えるべきなのかを、システム開発の視点から解説します。

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【記事要約】中小企業のDX、業務効率化から遠方顧客の開拓へ拡大

中小企業のDX活用が、社内業務の効率化にとどまらず、新規顧客の開拓へ広がっている。ヨシハラシステムズは、宅配クリーニングの受注・工程管理・配送情報をデータ連携し、全国から衣服を集荷できる仕組みを構築した。店舗来店を前提としないサービス設計により、遠方顧客の獲得と売上拡大につなげている。カネコも営業サイトやAIチャットボットを活用し、特殊ネジの相談・受注先を拡大。DXは中小企業にとって、既存業務の改善だけでなく、商圏や販路を広げる成長戦略になり得る。

出典:日本経済新聞「〈小さくても勝てる〉遠くの顧客、DXで開拓 ヨシハラ、沖縄から洗濯物を集荷」2026年5月19日付朝刊

ポイントをひとことで

システム投資で見落とされがちなのは、「何を作るか」よりも「何の不満をなくすのか」という視点です。顧客や現場の小さな不便を丁寧に掘り下げることで、本当に必要な仕組みが見えてきます。一方で、機能の追加だけを目的にすると、使われないシステムになりやすく、投資効果も限定的です。システムは業務をデジタル化するためのものではなく、顧客体験や業務の価値を高めるための手段です。この順番を間違えないことが、長く成果を生み続けるシステムへの第一歩になります。

多くのシステム開発が「機能ありき」になってしまう理由

システム開発の相談では、最初にこのような要望が挙がることが少なくありません。

  • 顧客管理機能が欲しい
  • ワークフローを導入したい
  • AIを活用したい
  • ダッシュボードを作りたい
  • アプリ化したい

もちろん、これらは必要な機能かもしれません。
しかし、それらは「手段」であり、「目的」ではありません。

本来最初に考えるべきなのは、「誰が、何に困っているのか」ということです。

例えば、

  • 問い合わせに時間がかかる
  • 見積もりが遅い
  • 来店が負担になる
  • 手続きが分かりにくい
  • 情報が探しにくい

このような不満を解決するために必要な結果として、システムの機能が決まります。

つまり、課題→ 仕組み→ 機能という順番で考えることが重要です。

顧客の不満を起点にすると、ビジネスそのものが変わる

クリーニング業界では、長年「店舗へ持ち込む」ことが当たり前でした。
しかし、

  • 店舗まで行かなければならない
  • 順番待ちが発生する
  • 営業時間に合わせる必要がある
  • 料金が分かりにくい

という不満が存在していました。この不満を解決するために、

  • 宅配で集荷する
  • ネットで注文できる
  • 点数ごとの料金体系にする
  • 配送まで一元管理する

というサービスへ変化しました。

ここで重要なのは、「宅配システムを作ろう」と考えたわけではないという点です。先にあったのは、「顧客の不便をなくしたい」という考え方です。その結果としてシステムが必要になったのです。

良いシステムは「業務をそのままデジタル化」しない

システム開発では、「現在の業務をそのままシステム化してください」という依頼も少なくありません。しかし、それでは業務の問題まで引き継いでしまいます。

例えば、紙の申請書を入力フォームへ置き換えただけでは、

  • 承認に時間がかかる
  • 確認作業が多い
  • 入力漏れが発生する

といった課題は残ります。

DXとは、紙を画面へ置き換えることではありません。
「その業務は本当に必要なのか」「その確認作業は必要なのか」という視点から見直すことが重要です。

業務そのものを見直した結果として、よりシンプルな仕組みになるケースは少なくありません。

フルスクラッチ開発だから実現できること

パッケージ製品は、多くの企業が利用できるように標準化されています。

そのため、

  • 自社独自のサービス
  • 独自の料金体系
  • 特殊な業務フロー
  • 他社との差別化につながる運用

には対応しづらい場合があります。

一方、フルスクラッチ開発では、「利用者が何に困っているか」から逆算してシステムを設計できます。例えば、「利用者は価格を比較したいのか。」「待ち時間をなくしたいのか。」「入力を減らしたいのか。」「担当者へ相談したいのか。

こうした体験に合わせて画面や業務フローを設計できることは、大きな強みです。

【関連記事】
フルスクラッチのシステム開発は時代遅れではない!その理由と向いている企業の特徴について解説

顧客の不満は、競争力の源泉になる

多くの企業では、「苦情」「問い合わせ」「クレーム」を改善対象として捉えています。

しかし見方を変えれば、これらは利用者が感じている不満を知る貴重な情報でもあります。

例えば、

  • 同じ質問が何度も来る
  • 電話対応が多い
  • 入力ミスが多い
  • 手続きが複雑と言われる
  • 操作方法を頻繁に聞かれる

これらはシステム改善のヒントです。

不満を減らすことは、担当者の負担軽減だけではありません。
顧客満足度の向上にもつながります。さらに、競合他社との差別化にもつながる可能性があります。

システム会社へ相談する前に考えたいこと

システム開発会社へ相談する際、「こんな機能を作りたい」という伝え方をする企業は多くあります。

しかし、より重要なのは、「どんな課題を解決したいのか」を共有することです。

例えば、「検索機能を付けたい」ではなく、「必要な情報を探す時間を半分にしたい」
「AIチャットを付けたい」ではなく、「問い合わせ対応を減らしたい」

というように、目的から伝えることで、より適した提案を受けられる可能性が高まります。場合によっては、当初考えていた機能とは異なる方法のほうが、より効果的な解決策になることもあります。

システムは完成がゴールではない

優れたシステムは、開発が終わった瞬間に完成するものではありません。利用者の声を聞きながら、改善を積み重ねることで価値が高まります。

そのため、

  • 利用状況を分析する
  • 問い合わせ内容を確認する
  • 現場の意見を収集する
  • 利用者の行動を把握する

といった取り組みも重要になります。
最初から完璧な機能を目指すよりも、利用者の不満を一つずつ解消していくほうが、長期的には競争力の高いシステムへ育っていきます。

まとめ

システム開発で成果を生み出す企業は、機能そのものではなく、利用者や現場が抱える不満や不便さに目を向けています。「何を作るか」を考える前に、「誰が何に困っているのか」を整理することで、本当に必要な仕組みが見えてきます。

DXの目的は、デジタル技術を導入することではありません。顧客や現場の体験をより良くし、新しい価値を生み出すことです。

システム開発を検討する際は、まず機能一覧を作るのではなく、顧客の不満や業務上の課題を書き出すことから始めてみてはいかがでしょうか。それが、長く活用され、事業の競争力向上にもつながるシステム開発への第一歩となります。

さいごに

顧客の不満を解消するシステムは、単に要望された機能を実装するだけでは生まれません。大切なのは、「なぜその機能が必要なのか」「利用者はどこで不便を感じているのか」を深く理解し、業務やサービス全体を見渡したうえで最適な仕組みを考えることです。

当社フレシット株式会社では、フルスクラッチ(オーダーメイド)によるシステム開発を専門として、お客様ごとの業務や事業の特徴を丁寧にヒアリングし、「どのようなシステムを作るか」だけでなく、「どのような価値を提供したいのか」という視点を大切にしています。そのため、既存の業務をそのままシステムへ置き換えるのではなく、顧客満足度の向上や業務効率化、将来の事業成長まで見据えたご提案を行っています。

「パッケージ製品では自社の業務に合わない」「競合との差別化につながる独自の仕組みを実現したい」「顧客に選ばれるサービスをシステムの力で実現したい」とお考えでしたら、ぜひ一度、当社フレシット株式会社へご相談ください。お客様の事業や現場への理解を大切にしながら、長く活用できるオーダーメイドのシステムをご提案いたします。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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