【ソフトバンクの健康支援アプリに学ぶ】これからの業務システムは「入力する」から「提案する」へ進化する
データを蓄積するだけでなく、最適な行動を提案する業務システムの設計思想を解説
2026-07-04

業務システムと聞くと、「データを入力するもの」「情報を管理するもの」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
しかし近年は、システムに求められる役割が大きく変わり始めています。
健康・医療分野では、日常生活のデータと医療情報を組み合わせ、一人ひとりに合わせた行動を提案するサービスが登場しています。これは医療業界だけの話ではありません。製造業、小売業、不動産業、人材業界、物流業界など、あらゆる業界で「記録するシステム」から「最適な行動を提案するシステム」への進化が始まっています。
本コラムでは、この変化が起きている理由と、これからの業務システム開発で重要になる考え方について解説します。
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目次
【記事要約】ソフトバンク、生活データと医療情報を活用し健康改善アプリを提供
三井住友FG、富士通、ソフトバンクは、健康・医療データを一元管理する基盤構築で提携した。特にソフトバンクは、歩数などの日常生活データと血圧などの医療情報を組み合わせ、利用者ごとに健康的な行動を促すアプリを提供する。血圧が高めで歩数が少ない人に追加の運動を促すなど、医療データを治療後の管理だけでなく、生活改善や予防医療につなげる狙いがある。
出典:日本経済新聞「医療データ一元化へ提携 三井住友FG・富士通・ソフトバンク 検査や投薬の重複防ぐ」2026年5月20日付朝刊
ポイントをひとことで
業務システムへの投資は、「どれだけ多くのデータを集められるか」ではなく、「そのデータを現場の行動につなげられるか」という視点で判断することが重要です。入力や管理を効率化するだけでは、いずれ他社との差は小さくなります。一方、利用者や担当者に適切なタイミングで次の行動を示せる仕組みは、業務品質や生産性を継続的に高める資産になります。システムを企画する際は、管理機能だけでなく「どのような提案を生み出せるか」まで見据えて設計することが、将来の競争力につながります。
業務システムの役割は大きく変わっている
従来の業務システムは、情報を正確に登録・保存することが最大の役割でした。
例えば、
- 顧客情報を登録する
- 受注内容を管理する
- 在庫を記録する
- 売上を集計する
- 勤怠を管理する
など、「記録すること」がシステムの価値でした。
もちろん現在でも正確なデータ管理は重要です。しかし、データが十分に蓄積された現在では、それだけでは他社との差別化につながりにくくなっています。
「記録できること」は当たり前になり、企業はその先の価値を求めるようになりました。
本当に価値があるのは「次に何をすべきか」を示せること
健康支援アプリの例では、単に歩数や血圧を表示して終わるわけではありません。
「歩数が少ない」「血圧が高め」という複数のデータを組み合わせ、「あと15分歩いてみましょう」という具体的な行動を提案しています。
つまり、データそのものではなく、データから行動につながる提案を行っていることに価値があります。この考え方は、多くの業務システムにも応用できます。
例えば営業支援システムであれば、
- 商談履歴
- 顧客属性
- 問い合わせ内容
- 過去の受注状況
を組み合わせ、「この顧客には今週フォローするべきです」と提案できれば、営業担当者はより成果につながる行動を取りやすくなります。
製造業であれば、
- 生産量
- 稼働率
- 故障履歴
を分析し、「来週中に点検したほうがよい設備があります」と通知できれば、トラブルを未然に防げます。
システムの価値は、データを保存することではなく、データを活用して利用者の判断を支援することへと変わっています。
データは「組み合わせる」ことで価値が生まれる
多くの企業では、データが社内のさまざまなシステムに分散しています。
例えば、
- 顧客管理システム
- 販売管理システム
- 会計システム
- 問い合わせ管理システム
- ECサイト
- Webサイトのアクセス解析
それぞれに情報はありますが、別々に管理されているケースは少なくありません。この状態では、個々のデータしか見ることができず、利用者に最適な提案を行うことは難しくなります。
一方で、これらの情報を連携できれば、
- 購買履歴
- 問い合わせ内容
- 行動履歴
- 契約状況
などを総合的に判断できるようになります。つまり、「データがあること」ではなく、「データ同士を結び付けられること」が重要なのです。
AIだけでは価値は生まれない
近年、多くの企業がAIの導入を検討しています。しかし、AIを導入しただけで業務改善が実現するわけではありません。AIは入力されたデータを分析することは得意ですが、
- 必要なデータが不足している
- データの形式が統一されていない
- システムごとに情報が分断されている
という状態では、十分な成果は期待できません。さらに重要なのは、AIが分析結果を出すだけではなく、その結果を現場で活用できる形にすることです。
例えば、「異常値があります」という表示だけでは、担当者は次に何をすればよいのか判断しなければなりません。
一方で、「担当者へ連絡してください」「再検査を実施してください」「在庫を補充してください」など、具体的な行動まで提案できれば、業務は大きく効率化します。
AIはあくまで手段であり、その力を最大限に引き出すには、システム全体の設計が欠かせません。
パッケージでは実現しにくい理由
企業によって、
- 業務フロー
- 判断基準
- 顧客対応
- 承認ルール
は大きく異なります。
そのため、「この条件なら担当者Aへ通知する」「この顧客にはこの提案を表示する」「この設備だけ特別な判定を行う」といった細かな運用は、パッケージ製品では対応が難しい場合があります。
企業独自のノウハウを反映した提案機能を実現するには、自社業務に合わせたシステムが必要になるケースも少なくありません。フルスクラッチ開発であれば、自社の業務に合わせて必要なデータを集約し、独自の判断ロジックや提案機能を組み込むことができます。
その結果、単なる管理ツールではなく、現場の意思決定を支援する業務システムを実現しやすくなります。
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今後の業務システムに求められる考え方
これからの業務システムでは、「入力しやすいこと」や「管理しやすいこと」だけでは十分とは言えません。重要になるのは、
- 必要なデータを集められるか
- 他のシステムと連携できるか
- 利用者ごとに最適な提案ができるか
- 現場がすぐ行動できる情報を提供できるか
という視点です。
業務システムは、人が判断するための材料を集めるだけでなく、判断そのものを支援する存在へと変わりつつあります。
今後は、社員や顧客が「次に何をすればよいのか」を自然に理解できるシステムほど、高い価値を持つようになるでしょう。
まとめ
業務システムは、情報を記録・管理するためのツールから、データを活用して最適な行動を提案するツールへと進化しています。
そのためには、複数のデータを組み合わせ、利用者に合わせたアドバイスや判断材料を提供できる仕組みが欠かせません。
また、AIを活用する場合も、データの連携や業務に合わせた設計が十分でなければ、本来の効果を発揮することは難しくなります。
これからシステムを新たに開発・刷新する際は、「どのような情報を記録するか」だけでなく、「その情報を活用してどのような提案ができるか」という視点を持つことが、競争力のある業務システムを実現するための重要なポイントとなるでしょう。
さいごに
これからの業務システムは、情報を記録・管理するだけでなく、蓄積されたデータを活用し、利用者や担当者に最適な行動を提案することが求められるようになっています。
そのためには、AIを導入するだけでは十分ではありません。どのようなデータを収集し、どのように連携させ、誰に対してどのタイミングで何を提案するのかまで見据えたシステムづくりが重要になります。
しかし、このような仕組みは企業ごとに業務内容や判断基準が異なるため、既製品だけでは実現が難しいケースも少なくありません。自社の業務に合わせて最適な機能を設計できるフルスクラッチ(オーダーメイド)のシステムだからこそ、企業独自の強みやノウハウを生かした提案機能を実現できます。 当社フレシット株式会社では、お客様の業務を深く理解することを大切にし、「記録するためのシステム」ではなく、「業務をより良くするためのシステム」を一社一社オーダーメイドで開発しています。将来的な機能拡張やAI活用、他システムとの連携まで見据えたシステム開発をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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