【遠方顧客をDXで開拓した企業に学ぶ】中間流通に依存せずシステムで「顧客との直接接点」を持つ重要性
既存の商流を活かしながら、自社独自の顧客接点を築くシステム戦略
2026-08-20

メーカーやBtoB企業では、商社や代理店、卸売会社などを通じて商品を販売するビジネスモデルが長く採用されてきました。中間流通を活用することで、自社だけでは開拓できない販売先へ商品を届けられることには大きなメリットがあります。
一方、中間流通への依存度が高くなると、「最終的に誰が商品を購入しているのか」「顧客は何を求めているのか」「なぜ自社の商品が選ばれているのか」といった情報を自社で把握しにくくなる場合があります。
そこで重要になるのが、システムを活用して自社でも顧客との直接接点を持つという考え方です。
自社サイトから問い合わせや見積もりを受け付けるだけでなく、商品検索、受発注、顧客管理、購入履歴の蓄積などを一つの流れとしてシステム化すれば、従来の商流を活かしながら新しい販売チャネルを作ることもできます。
本コラムでは、メーカーやBtoB企業が顧客との直接接点を持つことの重要性と、それを実現するためのシステム開発について解説します。
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目次
【記事要約】中小企業のDX、業務効率化から遠方顧客の開拓へ拡大
中小企業のDX活用が、社内業務の効率化にとどまらず、新規顧客の開拓へ広がっている。ヨシハラシステムズは、宅配クリーニングの受注・工程管理・配送情報をデータ連携し、全国から衣服を集荷できる仕組みを構築した。店舗来店を前提としないサービス設計により、遠方顧客の獲得と売上拡大につなげている。カネコも営業サイトやAIチャットボットを活用し、特殊ネジの相談・受注先を拡大。DXは中小企業にとって、既存業務の改善だけでなく、商圏や販路を広げる成長戦略になり得る。
出典:日本経済新聞「〈小さくても勝てる〉遠くの顧客、DXで開拓 ヨシハラ、沖縄から洗濯物を集荷」2026年5月19日付朝刊
ポイントをひとことで
システム投資を考える際に重要なのは、業務をどこまでデジタル化するかだけでなく、「顧客との関係をどこまで自社で持つか」という視点です。直接接点を持てれば、売上機会が増えるだけでなく、問い合わせや購買行動などの情報が自社に蓄積され、次の営業施策や商品開発にも活かせます。システムを単なる業務ツールではなく、顧客を知り、関係を深めるための事業基盤として設計できるかどうかが、長期的な投資価値を大きく左右します。
中間流通には大きなメリットがある一方、顧客が見えにくくなる
メーカーにとって、商社や代理店、卸売会社などの中間流通は重要な存在です。
販売網を自社で一から作らなくても幅広い顧客へ商品を届けられるほか、営業活動や物流、代金回収などを担ってもらえるケースもあります。
そのため、中間流通そのものをなくすことがDXの目的ではありません。
考えるべきなのは、販売を外部のチャネルだけに依存した結果、顧客との接点まで失っていないかということです。
例えば、メーカーから卸売会社、販売会社を経由して最終顧客へ商品が届く場合、メーカーには「何個売れたか」という情報は届いても、「誰が」「どのような目的で」「何と比較して」購入したのかまでは分からないことがあります。
顧客の声が届かなければ、商品改善や新商品開発にも影響します。
さらに、既存の販売網が縮小した場合、自社で新しい顧客を開拓する手段を持っていなければ、事業環境の変化をそのまま受けることになります。
中間流通を活用しながら、自社でも顧客との接点を持つ。この両立が重要です。
DXによって「誰に売るか」「どう売るか」まで変えられる
DXというと、紙の帳票を電子化したり、Excelで管理していた情報をシステムへ移行したりする取り組みをイメージしがちです。
しかし、デジタル技術の活用によって変えられるのは社内業務だけではありません。
「誰に商品を売るのか」「顧客とどのようにつながるのか」という販売方法そのものを変えることもできます。
例えば、これまで営業担当者や代理店を経由しなければ受けられなかった相談を、自社サイトから直接受け付けられるようにします。
すると、既存の営業網では接点を持てなかった地域や業界から問い合わせが入る可能性が生まれます。
さらに、商品検索、仕様確認、見積もり、問い合わせ、注文までオンラインで対応できれば、自社サイトは単なる会社案内ではなく、営業活動を担うチャネルへと変わります。
システムによって業務を効率化するだけではなく、これまで存在しなかった顧客との接点を作ることもDXなのです。
BtoB企業では「ECサイトを作ればよい」とは限らない
顧客と直接つながる仕組みというと、ECサイトを思い浮かべるかもしれません。しかし、BtoB取引は一般的なECとは異なる場合があります。
例えば、製造業では次のような取引があります。
- 顧客によって販売価格が異なる
- 数量によって単価が変わる
- 見積もりを経て受注する
- 商品ごとに納期確認が必要になる
- 図面や仕様書を確認して製造可否を判断する
- 顧客ごとに支払条件が異なる
- 特注品やオーダーメイド品を扱う
このような企業が一般的なECパッケージへ無理に業務を合わせようとすると、本来の営業活動や取引方法との間にずれが生じることがあります。
必要なのは、単純に「オンラインで商品を販売すること」ではありません。
自社の商流や営業方法を踏まえ、顧客が相談してから受注に至るまでの流れをデジタル上でも実現することが重要です。
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問い合わせから受注までを一つの流れとして考える
顧客との直接接点を持つシステムを考える場合、問い合わせフォームだけを設置して終わらせないことも重要です。
例えば、Webサイトから問い合わせが入った後、営業担当者が内容をExcelへ転記し、別のシステムで見積書を作成し、受注後はさらに基幹システムへ入力しているのであれば、顧客接点はデジタル化されていても社内では情報が分断されています。
そこで、
「商品を探す」
↓
「問い合わせる」
↓
「見積もりを依頼する」
↓
「商談する」
↓
「注文する」
↓
「納品する」
↓
「再注文する」
という顧客との一連の流れを考えます。
問い合わせ情報を顧客管理へ連携し、見積もりや受注情報とも結び付けられれば、「どの問い合わせが受注につながったのか」まで把握できます。
さらに、過去の購入履歴を確認して再注文できる仕組みがあれば、顧客の利便性向上にもつながります。
Webサイト、営業支援、受発注、顧客管理を個別に考えるのではなく、顧客との関係全体からシステムを考えることが重要です。
顧客との直接接点を持つ本当の価値は「データ」にある
自社で顧客接点を持つメリットは、直接販売による売上だけではありません。
より長期的に重要になるのが、顧客データを自社で蓄積できることです。
例えば、
- どの商品がよく検索されているか
- どの業界から問い合わせが多いか
- どの地域から相談が来ているか
- どのような要望が多いか
- どの商品を組み合わせて購入しているか
- どのくらいの期間で再注文しているか
といった情報を把握できるようになります。
これらは単なるシステム上の記録ではありません。
営業戦略、商品開発、価格設定、在庫計画、マーケティングなど、さまざまな経営判断に活用できる情報です。
特にBtoB企業では、営業担当者の経験や個人的な関係性の中に顧客情報が蓄積されているケースがあります。
システムを通じて顧客との接点を作れば、こうした情報を会社として蓄積し、継続的に活用できるようになります。
顧客データが商品開発にもつながる
顧客と直接つながることは、新しい商品やサービスを生み出すうえでも重要です。
例えば、特定の商品について同じような問い合わせが繰り返し発生している場合、そこには市場の需要が隠れている可能性があります。
「このサイズはないのか」「この用途でも使えるのか」「少量で注文できないのか」「この仕様に変更できないか」
こうした問い合わせを継続的に蓄積・分析できれば、営業担当者個人の気付きで終わらせず、商品開発へ反映できます。
つまり、顧客との直接接点を持つシステムは、販売チャネルであると同時に、市場の声を集める仕組みにもなるのです。
フルスクラッチ開発がBtoBの直接取引と相性がよい理由
BtoB企業の取引方法は企業によって大きく異なります。
特に、長年事業を続けてきたメーカーほど、独自の見積もり方法、価格設定、承認手順、受発注方法などを持っています。
そのため、既製のシステムでは自社の業務に合わせきれないことがあります。
フルスクラッチ開発であれば、自社の商流に合わせて、
- 商品検索
- 問い合わせ
- 見積もり
- 顧客別価格
- 受発注
- 在庫確認
- 納期回答
- 顧客管理
- 購入履歴
- 再注文
などを必要に応じて組み合わせることができます。
さらに、既存の基幹システムや在庫管理システムなどと連携させることも可能です。
重要なのは機能を増やすことではありません。
「自社の顧客はどのように商品を探し、どのように相談し、どのような流れで購入するのか」を理解したうえで、その体験に合ったシステムを作ることです。
システム開発会社へ相談する前に整理したいこと
顧客との直接接点を作るシステムを検討する際は、「ECサイトを作りたい」「受発注システムを作りたい」と最初から機能を決めすぎないことも大切です。
まず整理したいのは、自社の事業上の目的です。
例えば、「代理店では届いていない顧客層を開拓したい」「地方や海外からも問い合わせを受けたい」「小口案件をオンラインで受注したい」「問い合わせから受注までの状況を把握したい」「顧客のニーズを商品開発へ活かしたい」
など、実現したいことによって必要なシステムは変わります。
その目的をシステム開発会社と共有することで、単なる機能開発ではなく、事業に合ったシステムを検討しやすくなります。
中間流通をなくすのではなく「自社の顧客接点」を増やす
ここで注意したいのは、顧客との直接接点を持つことと、中間流通を排除することは同じではないという点です。
既存の商社や代理店が持つ営業力、専門知識、販売網には大きな価値があります。
その関係を維持しながら、自社サイトやWebシステムという新しい顧客接点を加える考え方もあります。
既存チャネルだけに依存するのではなく、「代理店経由」「営業担当者経由」「Web経由」など、複数の顧客接点を持つことで、販売機会を広げられます。
DXの価値は、既存の商流をすべて置き換えることではありません。
デジタルを活用して新しい選択肢を増やし、自社が顧客との関係を持てる範囲を広げることにあります。
まとめ
メーカーやBtoB企業にとって、中間流通は重要な販売チャネルです。しかし、そこだけに顧客接点を依存すると、最終顧客のニーズや購買行動を自社で把握しにくくなります。
自社サイトやWebシステムを活用して顧客との直接接点を持つことで、既存の販売網では届かなかった顧客から問い合わせや受注を獲得できる可能性があります。
さらに重要なのは、顧客との接点から得られるデータです。問い合わせ、見積もり、購入履歴などを蓄積することで、営業活動だけでなく商品開発やマーケティングにも活用できます。
DXを考える際は、社内業務の効率化だけではなく、「自社は顧客とどこでつながるのか」という視点を持つことが大切です。
システムは業務を支えるだけの道具ではありません。顧客との新しい関係を生み出し、自社で市場を開拓していくための重要な事業基盤にもなります。
さいごに
顧客との直接接点を持つシステムをつくるうえで重要なのは、単にECサイトや問い合わせ機能を導入することではありません。商品を探し、相談し、見積もりを取り、発注し、再び利用するまでの流れを、自社の商流や顧客の特性に合わせて設計することが大切です。
特にBtoBビジネスでは、顧客別の価格設定、見積もり、承認、在庫・納期確認、受発注など、企業独自の業務が競争力そのものになっているケースも少なくありません。こうした領域では、既製のシステムに業務を合わせるのではなく、自社の強みを活かせる仕組みをつくるフルスクラッチ(オーダーメイド)開発が有効です。
当社フレシット株式会社では、お客様の業務だけでなく、商品・サービスの特徴や顧客との取引の流れまで丁寧に理解したうえで、フルスクラッチによるシステム開発をご提案しています。問い合わせ、見積もり、受発注、顧客管理などを個別に考えるのではなく、顧客との接点から実際の取引、その後の継続利用までを見据えてシステムを検討できることが当社の強みです。
「既存の販売チャネルに加えて、自社でも顧客を開拓したい」「自社独自の商流に合ったWebシステムをつくりたい」「顧客データを蓄積し、営業や商品開発にも活用したい」とお考えでしたら、ぜひ当社フレシット株式会社へご相談ください。自社ならではの強みを活かし、顧客との新しい接点を生み出すシステムを一緒に考えてまいります。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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