ベトナムのラボ型開発でよくある失敗や注意点を解説
2026-08-28

国内のIT人材不足を背景に、ベトナムのラボ型開発を検討する企業が増えています。しかし、「ベトナムのラボ型開発が自社に合うだろうか」「海外へ委託しても問題なく開発を進められるか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
ベトナムのラボ型開発には、開発コストを抑えやすく、IT人材を確保しやすいといったメリットがあります。一方で、進め方によっては期待した成果が得られず、プロジェクトが思うように進まないケースもあります。
このコラムでは、ベトナムのラボ型開発が選ばれる理由やよくある失敗例、導入時の注意点について詳しく解説します。ベトナムでのラボ型開発を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考になさってください。
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目次
ラボ型開発とは?

ラボ型開発とは、一定期間にわたって専属の開発チームを確保し、継続的にシステム開発を進める開発形態です。成果物ごとに契約する請負型開発とは異なり、エンジニアの稼働や開発リソースに対して費用を支払う点に特徴があります。
契約期間中は、プロジェクトの状況に応じて仕様変更や機能追加にも柔軟に対応できます。そのため、新規システムの開発だけでなく、既存システムの機能改善やサービスの継続的なアップデートを行うプロジェクトにも適しています。
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ベトナムがラボ型開発の委託先に選ばれる理由

ベトナムのラボ型開発は、開発コストや人材確保の面でメリットがあることから、多くの日本企業に活用されています。
ここでは、ベトナムがラボ型開発の委託先として選ばれる主な理由をご紹介します。
開発コストを抑えやすい
ベトナムのラボ型開発が選ばれる理由の一つが、開発コストを抑えやすいことです。日本国内と比べてエンジニアの人件費が低い傾向にあるため、中長期で専属チームを運用するラボ型開発では、コストメリットが期待できます。
ただし、人月単価だけで判断するのではなく、BrSEやプロジェクト管理費、コミュニケーションコストなども含めた総コストで比較することが重要です。コストだけを重視して委託先を選ぶと、期待した成果につながらない可能性もあります。
IT人材が豊富で技術力が高い
ベトナムでは国を挙げてIT人材の育成を進めており、多くのエンジニアがWebシステムやアプリ開発、AI、クラウドなど幅広い分野で活躍しています。そのため、さまざまな開発案件に対応できる人材を確保しやすいことが特徴です。
また、日本国内では採用が難しいスキルを持つエンジニアを確保できる可能性があり、開発リソース不足の解消につながるケースもあります。
ただし、システム開発会社によって得意分野や技術レベルには差があるため、過去の開発実績や担当エンジニアのスキルを事前に確認することが重要です。
日本企業との開発実績が豊富
ベトナムは日本向けオフショア開発の実績が豊富で、多くのシステム開発会社が日本企業とのプロジェクトを経験しています。そのため、日本の開発プロセスや品質基準に対応できる企業も少なくありません。
また、日本語でコミュニケーションを行えるBrSE(ブリッジSE)やPMを配置しているシステム開発会社もあり、日本企業との連携を前提とした開発体制を構築しているケースもあります。
一方で、対応品質や日本語レベルは企業によって異なるため、事前にコミュニケーション体制や支援内容を確認しておくことが大切です。
ベトナムのラボ型開発でよくある失敗例

ベトナムのラボ型開発は、コストや人材確保の面で多くのメリットがあります。しかし、発注側の準備や管理体制が不十分なまま進めると、期待した成果が得られず、プロジェクトが停滞してしまうケースも少なくありません。
ここでは、ベトナムのラボ型開発でよく見られる代表的な失敗例について確認していきましょう。
要件やゴールが曖昧なまま開始してしまう
ベトナムのラボ型開発では、開発の目的や優先順位、完成イメージが十分に共有されないままプロジェクトが始まるケースがあります。
ラボ型開発は仕様変更に柔軟に対応できる反面、方向性が曖昧な状態では、開発チームごとに解釈が異なりやすくなります。その結果、開発途中で仕様変更や手戻りが繰り返され、スケジュールの遅延やコスト増加につながることがあります。
また、完成したシステムが当初想定していた内容と異なり、期待した成果を得られないケースも少なくありません。
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コミュニケーションや文化の違いで認識がずれる
ベトナムのラボ型開発では、言語だけでなく、仕事の進め方や価値観、商習慣の違いによって認識のずれが生じることがあります。細かなニュアンスが正しく伝わらないまま開発が進むと、小さな認識違いが後になって大きな問題へ発展する可能性があります。
また、コミュニケーション不足によって課題の共有や意思決定が遅れ、品質や納期へ影響するケースも少なくありません。結果として、修正作業や確認作業が増え、プロジェクト全体の進行が停滞してしまうこともあります。
エンジニアのスキルや体制が期待と合わない
ベトナムのラボ型開発では、担当エンジニアのスキルや経験が想定と異なり、期待した品質や開発スピードが得られないケースがあります。システム開発会社全体の実績が豊富でも、実際にアサインされるメンバーの得意分野や経験がそれぞれ異なるためです。
さらに、プロジェクトの途中で担当エンジニアが交代すると、業務知識やノウハウの引き継ぎが十分に行われず、開発効率が低下することもあります。その結果、品質のばらつきやスケジュールの遅延につながる可能性があります。
品質管理を委託先に任せきりにする
ベトナムのラボ型開発では、システム開発会社へ委託したことに安心し、品質管理まで任せきりになってしまうケースがあります。その結果、品質基準やレビュー方法、テスト方針が十分に共有されないまま開発が進み、完成後に想定外の不具合が見つかることもあります。
また、リリース直前になって認識のずれが発覚すると、大幅な修正が必要になり、開発期間やコストへ大きな影響を与える可能性があります。それにより、当初予定していたスケジュールどおりに運用を開始できないケースもあります。
想定していたほどコストを削減できない
ベトナムのラボ型開発は、国内開発と比べてコストを抑えやすいとされています。しかし、実際には人月単価だけでは見えない費用が発生し、想定していたほどコストメリットを得られないケースも少なくありません。
例えば、BrSEやプロジェクト管理にかかる費用、コミュニケーション工数、仕様変更による追加対応などが重なることで、総コストが当初の想定を上回ることがあります。さらに、手戻りや開発期間の長期化が発生すると、コスト削減どころか予算超過につながる可能性もあります。
ベトナムでラボ型開発を行う際の注意点

ベトナムでのラボ型開発を成功させるためには、委託先へ任せきりにするのではなく、発注側も主体的にプロジェクトへ関与することが重要です。
ここでは、ベトナムでラボ型開発を進める際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
開発の目的や要件を明確にする
ベトナムのラボ型開発では、開発を始める前にプロジェクトの目的や要件を明確に整理しておくことが重要です。「何を実現したいのか」「どの機能を優先するのか」といった目的や優先順位を共有することで、認識のずれを防ぎやすくなります。
また、KPIや成果の判断基準も事前に定めておけば、仕様変更が発生した場合でも判断しやすくなり、プロジェクト全体を円滑に進めやすくなります。
コミュニケーション体制を整える
ベトナムのラボ型開発では、円滑なコミュニケーションを継続できる体制づくりが欠かせません。定例ミーティングやチャットツールを活用し、進捗状況や課題をこまめに共有することが重要です。
また、議事録や課題管理表を活用し、進捗や課題を可視化することも欠かせません。BrSEだけに情報共有を任せず、発注側も積極的にコミュニケーションへ参加することで、認識のずれや情報の属人化を防ぎやすくなります。
役割分担と開発体制を明確にする
ベトナムのラボ型開発を円滑に進めるためには、PMやBrSE、エンジニアなど、それぞれの役割や責任範囲を明確にしておくことが重要です。誰が意思決定を行い、誰が進捗管理や品質管理を担当するのかを整理しておくことで、トラブル発生時にも迅速に対応しやすくなります。
また、担当メンバーのスキルや経験を事前に確認するとともに、メンバー交代時の引き継ぎ方法についても決めておくことで、開発品質を維持しやすくなります。
品質管理のルールを決める
ベトナムのラボ型開発では、開発開始前に品質管理のルールを決めておくことが重要です。レビュー基準やテスト方針、受入条件などを事前に共有しておくことで、開発途中で認識のずれが生じるリスクを抑えられます。
また、不具合件数やレビュー実施率などの品質指標を設定し、定期的に確認することで、問題を早期に発見し、継続的な品質改善につなげやすくなります。
契約内容や費用を事前に確認する
ベトナムのラボ型開発では、契約内容や費用についても事前に十分確認しておくことが大切です。月額費用だけでなく、追加開発や仕様変更が発生した場合の費用負担や契約条件も確認しておきましょう。
また、知的財産権の帰属や情報セキュリティ対策、秘密保持契約なども事前に整理しておくことで、契約後のトラブルを防ぎやすくなります。
ベトナムより国内でのラボ型開発が適しているケース

ラボ型開発を成功させるためには、コストだけでなく、品質やコミュニケーション、プロジェクトの進めやすさまで含めて開発体制を選ぶことが重要です。そのような観点では、ベトナムより国内でのラボ型開発が適している企業も少なくありません。
ここでは、国内ラボ型開発の方がスムーズにプロジェクトを進めやすい代表的なケースをご紹介します。
ラボ型開発を初めて導入する企業
ラボ型開発を初めて導入する企業には、ベトナムより国内でのラボ型開発の方がおすすめです。
ベトナムのラボ型開発では、開発管理やコミュニケーション体制の構築など、発注側にも一定のノウハウが求められます。海外開発の経験が少ない企業では、認識のずれや意思決定の遅れが発生しやすく、期待した成果を得られない可能性もあります。
ラボ型開発の進め方から相談したい企業や、小規模なプロジェクトから始めたい企業は、国内ラボ型開発を選ぶことで、安心して開発を進めやすくなるでしょう。
品質やコミュニケーションを重視する企業
品質や円滑なコミュニケーションを重視する企業にも、ベトナムより国内ラボ型開発の方が適しているといえます。
ベトナムのラボ型開発では、言語や文化の違いから認識合わせに時間を要するケースもあります。一方、国内ラボ型開発であれば、日本語で細かな仕様調整や認識合わせを行いやすく、要件変更にも迅速に対応できます。
また、品質基準やレビュー方法についても認識を共有しやすく、開発途中での認識のずれを防ぎやすい点もメリットです。
特に、仕様変更が多いシステムや品質を重視するプロジェクトでは、国内ラボ型開発を選ぶことで、安定した開発体制を構築しやすくなります。
要件変更が多いプロジェクト
要件変更が発生しやすいプロジェクトでは、国内ラボ型開発が特におすすめです。
ベトナムのラボ型開発でも仕様変更への対応は可能ですが、関係者間の調整に時間がかかる場合があります。一方、新規サービスの開発やDX推進では、市場や利用者の反応に合わせて仕様を見直す場面も少なくありません。
国内ラボ型開発であれば、変更内容を素早く共有しやすく、開発への反映も進めやすいため、変化の多いプロジェクトにも柔軟に対応できます。
セキュリティ要件が厳しいシステム
セキュリティ要件が厳しいシステムを開発する場合は、ベトナムより国内ラボ型開発の方が安心です。
ベトナムのラボ型開発でも十分なセキュリティ対策は可能ですが、個人情報や機密情報を扱う金融・医療・基幹システムなどでは、より厳格な管理体制が求められます。また、社内規程や国内法令への対応、監査への対応なども必要になるケースが多く、日本企業との認識合わせや運用管理の負担が大きくなることもあります。
そのため、セキュリティやコンプライアンスを重視するプロジェクトでは、国内ラボ型開発を選ぶことで、安心して開発を進めやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、ベトナムのラボ型開発が選ばれる理由やよくある失敗例、導入時の注意点について解説しました。
ベトナムのラボ型開発は、開発コストを抑えながらIT人材を確保しやすい点が魅力です。一方で、要件やゴールが曖昧なまま進めたり、品質管理を委託先へ任せきりにしたりすると、手戻りやコスト増加につながる可能性があります。
そのため、ラボ型開発を初めて導入する企業や、品質・コミュニケーション・セキュリティを重視する企業には、国内ラボ型開発がおすすめです。日本語で密に連携しながら進めやすく、要件変更や細かな仕様調整にも柔軟に対応できます。
今回ご紹介した内容を参考に、自社の目的や開発体制を整理したうえで、適したラボ型開発を選びましょう。
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監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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