システム保守の属人化を解消するには?原因・リスク・立て直し方を徹底解説
担当者依存を解消し、継続的な保守・改善を可能にする考え方
2026-09-05

システム保守の属人化は、多くの企業で発生する身近な問題です。
対策せずに放置すると、さまざまなリスクにつながるおそれがあります。
そこで本コラムでは、属人化の定義や兆候、原因をはじめ、「システムを立て直す方法」から「防止のためのベンダー選定ポイント」まで、わかりやすくまとめました。
属人化を解消し、安定したシステム保守を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
システム保守の属人化とは?運用上のリスクを解説
まずは、システム保守における属人化の定義やリスクを理解しておきましょう。この章では、言葉の定義や関連ワード、運用上のリスクまで詳しく解説していきます。
担当者しかわからない状態
属人化とは、「一個人に業務や知識が集中している状態」を指します。一見すると担当者が業務に詳しい状態は、「悪くない」と感じるかもしれません。
しかし、担当者が不在になった際に、ほかの社員がトラブルに対応できず、業務が停滞する可能性があります。また、長期的にはリスクを抱え続けることになり、現状維持が困難になるケースも考えられるでしょう。
こうした状態は企業にとっての損失につながるため、早急な対策を講じることが求められます。
ブラックボックス化との関係
ブラックボックス化とは、「第三者から業務やシステムの全容が見えない状態」を指します。
属人化と混同されやすい言葉ですが、「特定の個人に依存している状態」と「特定の個人にしか業務が見えない状態」という違いがあります。
システム保守の文脈では、まず個人へナレッジやノウハウが集中し、その結果として、第三者から業務が見えない状態に移行するケースが少なくありません。そのため、組織として早めに対策を講じなければ、さまざまな問題に発展する可能性があります。
属人化が企業にもたらすリスク
属人化の代表的なリスクのひとつが、「システム保守の不安定化」です。
担当者が不在になったとき、障害対応の遅れなどが発生し、組織全体に影響を及ぼす可能性が考えられます。いざドキュメントを参照しようとしても、文書が存在しない、または内容が更新されていないため、担当者に頼るしかない状況に陥ることも少なくありません。
また、システム改修や機能追加を行う際にも影響が生じます。
仕様や設定内容を把握している人が限られるため、変更作業に時間がかかったり、誤った対応によるトラブルが発生したりするおそれがあります。本来ならば、設計書や運用マニュアルなどを参照しながら対応できますが、こうした資料が整備されていない環境であれば、適切に対応することが難しくなります。
さらに、担当者に負担が集中しやすい点も懸念事項といえるでしょう。
障害復旧対応や問い合わせ対応が一人に集中すると、業務効率の低下やトラブルの発生を招き、結果として担当者の離職につながる可能性が高まります。
これらの諸問題を防ぐためには、先手先手で対策を講じることが何よりも重要です。
システム保守が属人化している会社の兆候
システム保守の属人化は、徐々に影響が生じるため、自発的に気づくのは難しいです。しかし、障害対応の遅延や見積もりの不透明化、コストの増加といった形で、兆候が表れるケースも少なくありません。
この章では、属人化している会社に見られる兆候について解説します。
障害発生時の原因究明や復旧が遅い
属人化している企業では、障害発生時の対応が遅くなる傾向があります。
そもそも、システムを理解している担当者が限られるため、障害の原因究明に時間がかかります。加えて、復旧作業も長引きやすく、業務全体に影響を及ぼす可能性が高いです。
障害復旧対応の遅れが慢性化している場合は、一刻も早く対策を検討するべきです。
改修や機能追加の見積もりができない
システムの改修や機能追加の見積もりができない状態も兆候のひとつです。
本来、システム全体が整理されていれば、どの部分に影響が及ぶのかを確認しながら、改修や機能追加の検討ができます。しかし、各種ドキュメントが不足していたり、担当者しか把握していない部分があったりすると、影響範囲の調査に多くの時間を要します。
その結果、工数や費用を正確に算出できず、見積もりの作成自体が難しくなるでしょう。
保守費用の増加が止まらない
保守費用の増加について、明確な理由を説明できない場合は注意が必要です。
属人化した環境では、非効率な運用や不要な契約が見直されないまま残ることがあります。また、第三者から確認できない業務によって、本来なら発生しないコストが増加し続けている可能性も否定できません。
年々、保守費用が増加している場合は、属人化の影響が隠れていないか調査する必要があるでしょう。
法改正やセキュリティ脅威への対応が遅い
システム保守では、法改正やセキュリティ脅威への対応も重要な業務です。しかし、属人化が進んでいると、各種対応が後回しになることがあります。
こうした対応の遅れは、法令違反やセキュリティ事故、情報漏えいなど、重大なインシデントにつながる可能性もあるので注意が必要です。
「現在対応が遅れている」「そもそも対応状況がわからない」といった場合は、すでに属人化の影響が出ていると考えられます。
担当者不在時に対応できる人がいない
属人化の影響がもっともわかりやすく表れるのが、担当者不在時です。
特に、障害対応や設定変更などの重要な業務を一人だけが担っている場合、企業として大きなリスクを抱えていることになります。何らかの理由で担当者が不在になったとき、業務に影響が及ぶ可能性があるからです。
また、こうした状態は担当者本人にとっても負担が大きく、業務が個人に集中し続けると、疲弊や過重労働を招き、場合によっては担当者の離職につながるおそれもあるでしょう。
システム保守が属人化する原因
属人化は、担当者だけではなく、組織や運用体制が原因となって発生することも少なくありません。この章では、システム保守が属人化する主な原因について解説します。
設計書や運用マニュアルの未整備
システム保守が属人化する大きな原因のひとつが、設計書や運用マニュアルの未整備です。
システムの構成や機能、運用手順などが文書として残されていない場合、担当者は過去の経験や記憶を頼りに業務を進めることになります。結果として、システムに関する知識が特定の個人に偏り、徐々に属人化が進んでいきます。
ドキュメントの更新不足
仮にドキュメントが存在しても、最新の内容でなければ、属人化を防ぐことはできません。
システムの内容は、機能追加や設定変更、法改正・セキュリティ脅威への対応などによって、少しずつ変化していきます。しかし、変更内容を更新しないままでいると、実際のシステムと文書の内容にズレが生じるでしょう。
その結果、ドキュメントが活用されなくなり、個人の経験や知識を頼りにする運用が常態化していきます。
複雑化したソースコード
長年運用されているシステムでは、改修や機能追加が繰り返されることで、ソースコードが複雑化することがあります。
本来は、第三者でも理解しやすいソースコードが望ましいですが、担当者ごとの開発ルールの違いや場当たり的な改修の積み重ねによって、内容がわかりづらくなるケースは少なくありません。
複雑化したソースコードの理解には時間がかかるため、ほかの社員や新たな担当者が内容を把握しづらくなるでしょう。
特定ベンダーへの依存
属人化は、社内だけではなく、ベンダーとの関係でも発生します。
たとえば、契約しているベンダーにシステム保守を任せきりにすると、システム改修やノウハウの蓄積、他社への移行が難しくなる場合があります。こうした特定のベンダーへ依存せざるを得ない状態を、「ベンダーロックイン」といいます。
ベンダーロックインは、システム保守を外部委託する際の代表的な課題のひとつです。
システム保守の属人化を立て直す方法
属人化をなくすためには、単に担当者を増やすだけでは不十分です。まずは、システムの現状を理解し、組織全体で防ぐ体制を整える必要があります。
この章では、システムを立て直すための具体的な方法を解説します。
システムの現状把握
まずは、システムの現状を洗い出しましょう。
システムの機能や役割、仕様などを整理し、全体像を理解することが大切です。
たとえば、どのような業務で利用されているのか、どのシステムと連携しているのか、現在どのような運用が行われているかを確認します。また、保守作業の内容や担当者の担当範囲についても整理しておくと、属人化している箇所を把握しやすくなるでしょう。
自社の状況を正しく理解することで、課題の特定や改善策の検討がスムーズに進みます。
ドキュメントの作成・更新
システムの現状を把握できたら、設計書や運用マニュアルの作成・更新を行います。
設計書にはシステムの構成や機能の概要、運用マニュアルには日常的な保守作業や障害発生時の対応手順などをまとめます。これらの情報を文書として残しておくことで、担当者以外でもシステムの構成や運用方法を理解できるようになります。
また、ドキュメントを継続的に更新することも大切です。システム改修や設定変更の内容が反映されていない場合、実際の運用との間にズレが生じてしまいます。
運用フローの標準化とナレッジの共有
属人化を回避するためには、仕組みの改善も欠かせません。
たとえば、障害発生時の対応手順や問い合わせ対応の流れ、システム変更時の承認プロセスなどをルール化することで、対応品質のばらつきを抑えられます。また、定期的な情報共有の機会を設けることで、知識や経験を組織全体で共有できるようになります。
業務を仕組みで回る状態へと移行することが、属人化の解消と再発防止につながります。
外部ツールの導入
ここまでの取り組みをより効率的に進めるなら、外部ツールを導入する方法も有効です。
たとえば、ドキュメント管理ツールやナレッジ共有ツールを導入することで、設計書や運用マニュアルをまとめて管理できます。また、タスク管理ツールを活用すれば、保守業務の進捗や対応履歴をチーム全体で共有できるでしょう。
ただし、外部ツールの導入だけで属人化がなくなるわけではありません。
あくまで、「属人化の防止につながるアプローチのひとつ」という点を押さえておきましょう。
属人化に強いベンダーへの相談
自社だけでの対応が難しい場合は、「属人化対策に強みを持つベンダー」への相談も検討しましょう。
特に長期間運用されてきたシステムでは、ドキュメント不足や知識・ノウハウの集中、複雑化したソースコードなどの問題が重なっているため、社内だけで状況を理解し、改善することは難しいです。
その際、ベンダーの支援を受けることで、第三者の視点を取り入れながら立て直しを進められます。
属人化を防ぐのは難しいからこそ、専門的な知見を持つベンダーの力も借りながら、段階的に進めていくことが大切です。
システム保守の属人化を防ぐベンダーの選定方法
属人化を防ぐためには、依頼先のベンダー選びも重要です。
この章では、システム保守の属人化を防ぐベンダー選定のポイントを解説します。
既存システムの引き継ぎ実績はあるか
まずは、既存システムの引き継ぎに対応できるベンダーを選定することが大切です。
属人化が進んだシステムでは、ドキュメントが不足していたり、全体像が不透明だったりするケースも少なくありません。
そのため、新規開発だけではなく、既存システムの調査・分析や運用改善、保守の引き継ぎ経験を持つベンダーかどうかを確認する必要があります。これらの実績は、属人化した環境への対応力を判断する際のひとつの目安になるでしょう。
ベンダー公式サイトの確認はもちろん、問い合わせ時には、過去の対応事例や支援実績について尋ねてみることをおすすめします。
ドキュメント整備やナレッジ移管に対応しているか
属人化を防ぐためには、システムを維持するだけではなく、ナレッジやノウハウを組織へ残す取り組みも欠かせません。そのため、ベンダー選定時には、設計書や運用マニュアルの整備、ナレッジ移管に対応しているかを確認しましょう。
たとえば、システム構成図の作成や運用手順書の整備、定期的な報告会の実施などを支援してくれるベンダーであれば、社内への知識の移管も進めやすくなり、ノウハウも蓄積しやすいです。
一方で、保守作業を代行するだけの体制では、ナレッジやノウハウがベンダー側に集中し、新たな属人化を招くおそれがあります。長期的な運用を見据え、自社にも知識を蓄積できる体制を構築できるか確認することも大切です。
契約内容や見積もりは明確か
契約内容や見積もりのわかりやすさも、ベンダー選定で確認したいポイントです。属人化が進んだ組織では、現状を十分に理解できていないケースが少なくありません。
その結果、保守範囲や対応内容が曖昧なまま契約してしまうことがあります。契約内容や責任範囲が不明確だと、追加費用の発生や認識のズレにつながることもあるでしょう。
そのため、どこまでが保守対象なのか、障害対応の受付時間や対応範囲はどうなっているのか、ドキュメント整備や改善提案が含まれるのかなどを、事前に確認しておくことが大切です。
また、見積もりの内容が明確であることも重要です。各種費用の根拠や作業内容を明確に説明してくれるベンダーであれば、契約後の認識のズレも防ぎやすく安心して依頼できます。
よくある質問
最後に、属人化に関してよく寄せられる質問をまとめました。
属人化に関する疑問を解消し、ぜひ保守・運用にお役立てください。
システム保守の属人化が起こりやすい業務は?
- 障害復旧対応
- サーバー管理
- 各種設定の変更 など
主に、専門知識が必要な業務で起こりやすい傾向があります。特に、「レガシーシステム(古いシステム)」では、属人化に注意すべきでしょう。
システム保守の属人化にもメリットはありますか?
担当者がシステムを熟知しているため、判断や対応を迅速に行える場合があります。短期的には業務効率が向上するケースもあるでしょう。一方で、長期的には組織全体のリスクとなるため注意が必要です。総合的に見ると、デメリットのほうが大きいといえます。
システム保守の属人化を解消する方法はある?
| 対策方法 | コスト感 | ノウハウの蓄積 | 効果の出やすさ |
| 自社で対策 | ◯ | ◯ | △ |
| ツールの導入 | ◯ | ◯ | ◯ |
| ベンダーへの委託 | △ | △ | ◯ |
主に、次のような方法が考えられます。
- 自社で独自の体制を構築する
- 外部ツールを導入して改善する
- 外部ベンダーに委託して解消する
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、上記の比較表を参考のうえ、自社に適した対策を実践してください。
さいごに
システム保守の属人化は、単に「担当者しかわからない」という問題にとどまりません。改修のたびに調査へ時間がかかる、障害対応が特定の人に集中する、仕様変更の影響範囲を判断できないといった状態が続けば、システムそのものが事業の変化や成長を妨げる要因になってしまいます。
特に、長年にわたって改修を重ねてきたシステムでは、目の前の保守業務だけを改善しても、根本的な解決が難しい場合があります。そのようなケースでは、既存システムを整理したうえで、業務や将来の事業展開に合わせてシステムそのものを見直すことも選択肢のひとつです。
当社フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発を得意としています。既製のパッケージに業務を合わせるのではなく、お客さま固有の業務フローや運用方法、必要な機能、既存システムとの連携、将来的な機能追加まで踏まえ、一社一社に合わせたシステムをご提案します。
また、システムは「作って終わり」ではありません。長期的に安心して利用するためには、開発段階から保守・運用や将来の改修を見据え、特定の担当者だけに知識が集中しにくい状態をつくることが重要です。
「現在のシステムが属人化していて、このまま使い続けることに不安がある」「既存システムを刷新し、保守しやすいシステムへ作り直したい」「自社の業務に合ったシステムをゼロから開発したい」とお考えでしたら、ぜひ当社フレシット株式会社へご相談ください。
現在抱えている課題を整理するところから伴走し、業務と事業に本当に必要なシステムをフルスクラッチで実現します。
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監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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