【新規事業】SaaSシステム開発の成功ガイド|フルスクラッチを選ぶべき「決定的な理由」
事業として成長させるためのSaaSシステム設計の考え方
2026-09-11

新規事業としてSaaSを立ち上げる際、「まずは既存のSaaSやノーコードツールを組み合わせて始めよう」と考える企業は少なくありません。
実際、市場ニーズを確かめる初期段階では、既存サービスを活用することは有効な選択肢です。
しかし、事業が具体化するにつれて、「自社独自の料金体系を実現できない」「顧客ごとに異なる権限や契約条件を設定できない」「既存サービスとの連携に制約がある」「機能を追加するたびに外部サービスへの依存度が高くなる」「自社サービスの強みとなる機能を自由に作れない」
といった問題に直面するケースがあります。
SaaSビジネスの価値は、単に業務機能をクラウド上で提供することではありません。
顧客が継続的に利用したくなる業務体験を作り、その利用価値に応じて継続的な収益を生み出せることが重要です。
そのため、SaaSシステムのシステム開発では、単なる機能開発ではなく、「誰に、どのような価値を提供し、どのように継続利用してもらい、どのように収益化するのか」という事業モデルそのものをシステムへ落とし込む必要があります。
特に、既存サービスでは実現できない独自機能や料金体系、顧客管理、外部システム連携などが競争力になるSaaSでは、フルスクラッチ開発が有力な選択肢になります。
本コラムでは、SaaS事業の立ち上げや既存サービスからの移行を検討している事業会社のご担当者様に向けて、SaaSシステムをフルスクラッチで開発するメリット、必要な機能、MVPによる開発方法、システム開発会社を選ぶ際のポイントについて解説します。
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目次
SaaSシステムとは?
SaaSシステムとは、ソフトウェアをインターネット経由で提供し、利用者がWebブラウザやアプリなどから継続的に利用できる仕組みです。
従来のパッケージソフトのように利用者ごとの端末へインストールするのではなく、クラウド上でシステムを提供するため、提供企業側で機能追加や改善を継続的に行えることが特徴です。
代表的なSaaSシステムには、顧客管理、営業支援、勤怠管理、人事管理、会計、予約管理、プロジェクト管理、契約管理などがあります。
また、近年では特定業界や特定業務に特化した「Vertical SaaS」も増えています。
SaaSビジネスでは、システムそのものが商品です。
そのため、使いやすさや機能だけでなく、契約管理、料金プラン、権限管理、セキュリティ、利用状況の可視化、外部サービスとの連携、将来の機能拡張などを含めて設計する必要があります。
ポイントをひとことで
SaaS開発で大切なのは、最初から多くの機能を作ることではなく、「お客様が使い続けたいと思う理由」をシステムで実現することです。便利そうな機能を増やしても、実際の業務で使われなければ開発費が無駄になってしまいます。一方で、料金体系や権限管理など、後から大きく変えると改修に時間と費用がかかる部分は、最初にしっかり考えておく必要があります。最初に作るべきものと、利用状況を見て後から追加するものを分けることが、無駄な開発を減らし、SaaSを長く成長させるための重要なポイントです。
SaaSビジネスで「フルスクラッチ開発」が選ばれる3つの理由
SaaSシステムを開発する方法には、既存パッケージの活用、ノーコード・ローコード、複数のクラウドサービスの組み合わせ、フルスクラッチ開発などがあります。
そのなかで、なぜ独自性の高いSaaSではフルスクラッチ開発が選ばれるのでしょうか。
理由は、SaaSでは「システムそのもの」が商品であり、独自の機能や使いやすさがそのまま競争力になるためです。
(1)独自の「料金・契約モデル」を設計できる
SaaSビジネスでは、料金設計が収益性を大きく左右します。一般的な月額固定料金だけでなく、事業によっては次のような料金体系が必要になります。
ユーザー数課金:
利用アカウント数に応じて月額料金を変更する。
従量課金:
APIの利用回数、データ量、処理件数などに応じて料金を計算する。
機能別プラン:
Free、Standard、Professional、Enterpriseなど、利用可能な機能によって料金を変更する。
ハイブリッド課金:
基本料金にユーザー数や利用量に応じた従量料金を組み合わせる。
さらに、無料トライアル、クーポン、年間契約、日割り計算、プラン変更、オプション追加などを考えると、SaaSの課金ロジックは非常に複雑になります。
フルスクラッチであれば、自社の事業モデルに合わせて課金ロジックを設計し、Stripeなどの決済サービスと連携して、契約から請求、決済までを自動化できます。
「どのように料金を取るか」を自由に設計できることは、SaaSシステムをフルスクラッチで開発する大きなメリットです。
(2)競争力となる「独自機能・業務フロー」を実装できる
SaaS市場では、単純に機能数を増やせば競争力が高まるわけではありません。
重要なのは、ターゲットとなる顧客の業務を深く理解し、「このシステムだから業務が楽になる」と感じてもらえる機能を作ることです。
例えば、
- 業界特有の承認フロー
- 独自の案件管理方法
- 自動判定やスコアリング
- AIを活用した入力支援
- 顧客独自の帳票出力
- 特殊な権限管理
- 業界特有のマスターデータ
- 独自のダッシュボード
などです。
こうした機能は、汎用パッケージでは対応できなかったり、大量のカスタマイズが必要になったりする場合があります。SaaSシステムをフルスクラッチで開発すれば、顧客の業務そのものを分析し、自社サービスならではの操作方法や業務フローを実装できます。
この「他社には簡単に真似できない業務体験」が、SaaS事業における重要な競争力になります。
(3)将来の「スケール」に耐えられるシステムを作れる
SaaSは、事業成長によって利用者数やデータ量が大きく増える可能性があります。
サービス開始時には100社だった利用企業が、数年後には1,000社、10,000社になるかもしれません。そこで重要になるのが、将来の成長を考慮したシステム設計です。
AWSやGoogle Cloudなどを利用すれば、サービス開始時は必要最小限のインフラから始め、利用者数の増加に合わせて処理能力を拡張できます。
さらに、
- API公開
- スマートフォンアプリ
- 外部サービスとの連携
- AI機能
- 大規模データ分析
- 海外展開
- 複数サービスへの展開
などを想定した設計も可能です。
初期開発だけを考えるのではなく、「3年後、5年後にどのようなサービスになっている可能性があるか」を考えて設計することが、SaaSシステムのシステム開発では重要です。
継続利用率を高める「必須機能」と「技術要件」
SaaSビジネスでは、契約を獲得することだけでなく、その後も継続して利用してもらうことが重要です。使いにくいシステムや、日常業務に定着しないシステムでは、解約率が高くなり、安定した収益を確保できません。
ここでは、SaaSシステムを設計する際に特に重要なポイントを解説します。
(1)顧客ごとの「アカウント・権限管理」
BtoB向けSaaSでは、一つの企業のなかで複数のユーザーがシステムを利用するケースが一般的です。
そのため、「管理者」「一般ユーザー」「閲覧のみ」「承認者」など、役割によって利用できる機能や閲覧できる情報を変更する必要があります。
さらに、大企業向けSaaSでは部署や拠点、子会社などを考慮した複雑な権限設定が必要になる場合があります。こうした権限管理は、サービス開始後に追加すると大規模な改修につながりやすい機能です。
将来どのような企業が利用する可能性があるのかを想定したうえで、初期設計を行うことが重要です。
(2)顧客が価値を実感できる「ダッシュボード」
SaaSでは、単に入力した情報を保存するだけでは十分ではありません。
蓄積されたデータから、「現在何が起きているのか」「どの業務に問題があるのか」「次に何をすべきなのか」を利用者が把握できることが重要です。
例えば、営業支援SaaSであれば、
- 案件数
- 商談進捗
- 売上予測
- 成約率
- 担当者別実績
などをダッシュボードとして可視化できます。
顧客が「このシステムを見ることで業務状況が分かる」という状態を作れれば、SaaSは単なる業務ツールから、意思決定に欠かせないシステムへと変わります。
(3)外部システムとつながる「API連携」
企業では、一つのSaaSだけですべての業務を行っているわけではありません。会計、CRM、チャット、電子契約、決済、基幹システムなど、複数のシステムが利用されています。
そのため、SaaSシステムの価値を高めるうえで外部システムとのAPI連携は重要です。
例えば、
- 会計システムとの請求データ連携
- CRMとの顧客情報連携
- SlackやMicrosoft Teamsへの通知
- 電子契約サービスとの契約情報連携
- Google Calendarとのスケジュール連携
- 外部AIサービスとの連携
などが考えられます。
フルスクラッチであれば、自社SaaSの役割に合わせて必要なAPI連携を設計できます。
将来的には自社APIを外部企業へ公開し、他社サービスから利用してもらうことで、自社SaaSを中心としたサービス連携を広げていくことも可能です。
失敗しないための開発手法「MVP開発」のススメ
新規SaaS事業で最も避けたいのは、多額の開発費を投じて完成度の高いシステムを作ったにもかかわらず、市場で利用されないことです。
新規事業では、実際にサービスを提供するまで「顧客が本当にその機能を必要としているか」を完全に判断することはできません。
そこで当社が推奨しているのが、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)による開発です。
(1)全機能を作らず「顧客が料金を払う価値」に絞る
MVPで重要なのは、単純に機能を減らすことではありません。「このサービスに顧客がお金を払う理由は何か」を明確にし、その価値を検証できる最低限の機能を作ります。
例えば業務管理SaaSであれば、「アカウント登録」「業務データの登録」「案件・進捗管理」「検索」「ダッシュボード」など、サービスの中心となる機能から開発します。
そして実際のユーザーに利用してもらい、
- どの機能が頻繁に利用されるのか
- どの画面で離脱するのか
- どの機能が使われていないのか
- どのような追加要望があるのか
- 料金を払ってでも利用したい価値は何か
といったデータを収集します。
その結果をもとに次の開発内容を決めることで、利用されない機能へ開発費を投じるリスクを抑えられます。
(2)開発スケジュールの目安(要件定義~リリースまで)
| フェーズ | 期間目安 | 主な作業内容 |
| 要件定義・設計 | 3〜4ヶ月 | ビジネスモデルの整理、ターゲット顧客・料金体系・業務フローの整理、機能一覧、画面設計(ワイヤーフレーム)、データ設計、技術選定 |
| MVP開発(実装)・テスト | 3〜4ヶ月 | アカウント管理、権限管理、コアとなる業務機能、契約・課金機能などの実装。セキュリティテスト、ユーザーテスト(UAT) |
| リリース | 0.5ヶ月 | 本番環境へのデプロイ、初期データ設定、運用開始 |
| グロース(機能追加) | リリース後 | 利用データや顧客からのフィードバックを分析し、ダッシュボード、API連携、AI機能などを順次追加 |
SaaS開発では、最初から100点のシステムを完成させる必要はありません。
重要なのは、顧客へ価値を提供できる状態まで早く到達し、実際の利用データをもとに改善を続けることです。
パートナー選定の基準|「作るだけ」の会社を選んではいけない
SaaSシステムをフルスクラッチで開発する場合、システム開発会社の選定は非常に重要です。
なぜなら、SaaSでは「要件通りにシステムを完成させること」がゴールではないからです。
事業を成長させるためには、ビジネスとシステムの両方を理解し、サービスの改善を継続的に支援できるシステム開発会社が必要になります。
「SaaSビジネス」への理解と提案力があるか
SaaSシステムの開発では、機能要件だけを聞いて見積もりを作るシステム開発会社では十分ではありません。
例えば、
「その料金体系では上位プランへ移行する理由が弱いのではないか」
「この業務フローでは入力作業が多く、継続利用されにくいのではないか」
「将来的に大企業へ販売するのであれば、権限管理を初期段階から考えたほうがよい」
「この機能はMVPでは作らず、利用者の反応を見てから追加したほうがよい」
といった提案ができることが重要です。
言われた機能をそのまま作るのではなく、事業目的から逆算して「何を作るべきか」「何を今は作らないべきか」まで提案できるシステム開発会社を選ぶ必要があります。
運用保守と「継続改善」の体制があるか
SaaSシステムは、リリースした瞬間に完成するものではありません。利用者が増えれば、新しい要望が生まれます。
競合サービスが新しい機能を追加すれば、自社サービスにも改善が必要になるかもしれません。
さらに、利用データを分析すると、開発時には想定していなかった改善点が見つかることもあります。
そのため、システム開発会社を選ぶ際には、
データ分析:
ユーザーの利用状況を分析し、改善すべきポイントを発見できるか。
継続開発:
リリース後も定期的に機能追加やUI・UX改善を行えるか。
インフラ:
利用者増加に応じたサーバー増強やパフォーマンス改善を行えるか。
保守・セキュリティ:
障害への対応や脆弱性への対策、バックアップなどを継続的に実施できるか。
といった点まで確認することが重要です。
あなたの「SaaS事業」を「継続的に収益を生むシステム」に変えませんか?
SaaSシステムのシステム開発は、一般的な業務システム開発とは異なります。なぜなら、SaaSではシステムそのものが顧客へ提供する商品だからです。
料金体系、契約管理、権限管理、業務フロー、UI・UX、外部連携、セキュリティ、将来の機能拡張まで、すべてが事業競争力に影響します。
そのため、SaaSシステムをフルスクラッチで開発する際には、「どのような機能を作るか」だけでなく、「どのような事業を作るのか」という視点からシステムを設計することが重要です。
当社フレシット株式会社では、フルスクラッチによるシステム開発を専門とし、事業会社様のSaaSシステム開発をご支援しています。
単にご要望いただいた機能を開発するのではなく、まず事業内容やターゲット顧客、業務フロー、料金モデル、将来の事業展開まで詳細にヒアリングします。
そのうえで、「MVPではどこまで作るべきか」「競争力になる機能は何か」「既存サービスを利用すべき部分と独自開発すべき部分はどこか」「将来的な利用者増加や機能拡張をどのように考えるか」といった事業面と技術面の双方から、SaaSシステムの設計をご提案します。
・既存のパッケージやノーコード・ローコードでは実現できないSaaSを作りたい。
・自社独自の業務ノウハウをSaaSとしてサービス化したい。
・既存事業で蓄積してきた知見を、新しいSaaSビジネスへ展開したい。
・現在利用しているシステムでは事業成長に対応できなくなってきた。
そのような段階にある企業様は、ぜひ一度当社へご相談ください。
まずは、実現したいSaaS事業のビジョンをお聞かせください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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